苗・株の選び方
良い株は、ビロードの葉の色が均一な深い緑で、縁に茶色い傷みがないこと、白い葉脈が太くはっきりしていること、葉柄がまっすぐ立っていることの3点で見分けます。
避けたいのは、葉の表に白いかすれが広がっている株と、葉の縁が乾いた茶色に縮れている株です。前者はハダニ、後者は乾燥か寒さで傷んだ可能性があります。ビロードの質感は傷むと戻らないため、葉の状態がいちばんの判断材料になります。購入は湿度と気温の安定する5〜9月が向いています。
アロカシア・フライデックの育て方の要点
Hapot編集部より
アロカシア・フライデックは、ビロードのような手ざわりの深い緑の葉に、白く太い葉脈が走る、「グリーンベルベット」の名でも売られる品種です。基本のアロカシアとの違いは、葉の表面に艶がなく、光を吸い込むようなしっとりした質感をもつことと、細長い矢じり形の葉が斜め上へ立ち上がる姿にあります。フィリピン原産のアロカシア・ミコリツィアナから選ばれた品種とされ、草丈は室内で40〜80cmほどになります。同じ白い葉脈でも、硬く艶のあるアマゾニカとは質感がまったく違い、並べると見分けやすいのが特徴です。一方で、ビロード状の葉は乾燥と寒さで縁が傷みやすく、ハダニの被害も目立ちやすいため、仲間の中では手のかかる部類に入ります。湿度60%以上を保てる部屋かどうかが、迎えるかを決める目安です。加湿器を使う部屋で、質感の違う葉を楽しみたい人に向きます。

水やり
土の表面から2〜3cmが乾いたら(春〜秋は週1〜2回、冬は2〜3週に1回)
日光
間接光
温度の目安
15-30°C
湿度
60-80%
土
バークとパーライトを混ぜた、乾きやすく通気性の良い用土
大きさの目安
室内で高さ40〜80cm。葉は長さ25〜40cmの細長い矢じり形で、4〜6号鉢での流通が中心です。
成長の速さ
ふつう(生育期に月1枚ほど新しい葉が開く)
温度の目安(耐寒〜耐暑)
15-30°C
肥料
5〜9月に2週に1回、規定の2倍に薄めた液肥
成長速度
ふつう(生育期に月1枚ほど新しい葉が開く)
毒性
全草にシュウ酸カルシウムを含み有毒。かじると口の痛みや腫れ、よだれ、嘔吐を起こすことがある。犬や猫の誤食に注意し、葉の整理や植え替えは手袋を着けて行う
ビロードの葉は、湿度が足りないと縁から茶色く傷みます。葉の縁の色が乾いた茶色に変わり始めたら、まず加湿を見直します。
良い株は、ビロードの葉の色が均一な深い緑で、縁に茶色い傷みがないこと、白い葉脈が太くはっきりしていること、葉柄がまっすぐ立っていることの3点で見分けます。
避けたいのは、葉の表に白いかすれが広がっている株と、葉の縁が乾いた茶色に縮れている株です。前者はハダニ、後者は乾燥か寒さで傷んだ可能性があります。ビロードの質感は傷むと戻らないため、葉の状態がいちばんの判断材料になります。購入は湿度と気温の安定する5〜9月が向いています。
基本はアロカシアと同じで、レースカーテン越しの明るい場所に置きます。フライデックで違うのは、艶のないビロードの葉が強い光を吸収して熱を持ちやすく、ほかのアロカシアより早く葉焼けすることです。夏の窓辺ではレースカーテン1枚では足りないことがあり、窓から1〜1.5m離すのが目安です。暗すぎると葉柄が伸びて葉が垂れ、白い葉脈が細く見えるので、照明だけの部屋は避けます。加湿器のそばの、明るく暖かい場所が最も向いた置き場所です。
よくある失敗は、エアコンの風が届く位置に置き、ビロードの葉の縁が数日で茶色く縮れることです。傷んだ縁は戻らないため、風の当たらない場所へ移して新しい葉で回復を確かめます。
乾いてから与えるリズムはアロカシアと同じです。フライデックは葉の表面に水が残るとビロードの毛の間に水がたまり、しみのような跡が残ることがあります。そのため葉水は霧を細かくし、葉の表より葉裏と周りの空気にかけます。土への水やりは、表面から2〜3cmが乾いたら鉢底から流れるまでで、春から秋は週1〜2回、冬は2〜3週に1回です。湿度は加湿器で60%以上を保つほうが、葉水だけに頼るより安定します。
よくある失敗は、乾燥を気にして土への水やりまで増やすことで、根が傷んで下葉から黄色くなります。土が乾かないうちは水を待ち、空気の湿度だけを上げるのが、フライデックの水管理の要です。
根腐れを防ぐため、乾きやすく空気をよく通す用土が向いています。観葉植物用土4、洋ラン用バーク(小粒)3、パーライト2、軽石1が配合の目安です。市販のアロイド用の土も使えますが、粒の細かい土が多いものはパーライトを1割ほど足します。鉢は側面にスリットの入ったプラスチック鉢か素焼き鉢を選び、鉢底石を2cm敷きます。株に対して鉢が大きすぎると乾きが遅れるので、根鉢より一回り大きい程度にとどめ、元肥は緩効性肥料を少量にします。
フライデックの剪定は、古い葉と、乾燥で縁が傷んだ葉の整理です。葉が半分以上黄色くなったら、葉柄を株元から2〜3cm残して切り、乾いてから外します。縁だけが茶色い葉は、茶色い部分の内側1〜2mmを残して葉の形に沿って切り整えると、見た目を保ったまま株の力を残せます。ビロードの葉は切り口が目立ちやすいので、切れ味の良いハサミを使います。
よくある失敗は、傷みの多い葉を一度に何枚も切って、株の葉が2枚以下になり新しい葉が止まることです。整理は月に1〜2枚までにし、加湿で傷みの原因を取り除いてから、新しい葉と入れ替えるように進めます。
時期と道具を用意する
整理は5〜9月に行います。切れ味の良い先の細いハサミと手袋を用意し、葉に触れる手は清潔にします。
縁の傷みを整える
葉の縁だけが茶色い場合は、茶色い部分の内側1〜2mmを残し、葉の形に沿って切ります。緑の部分まで切ると新たに傷みます。
黄色い葉を株元で切る
葉が半分以上黄色くなったら、葉柄を株元から2〜3cm残して切り、残りが乾いてから外します。
湿度を整えて回復を待つ
作業後は加湿器のそばに置き、湿度60%以上を保ちます。1回に切るのは1〜2枚までにし、新しい葉の開き方を確かめます。
植え替えは1〜2年に1回、最低気温が18°Cを超える5〜7月に行います。フライデックは根が細く、根鉢を大きく崩すと葉の縁が一気に傷むことがあるため、古い土は3分の1ほど落とす程度にとどめます。鉢底から根が出た、水がしみ込みにくい、子株が出て窮屈になった、が合図です。鉢は直径3cm大きいものにし、塊茎の上部が少し見える浅さで植えます。
よくある失敗は、植え替えの直後に乾いた部屋へ戻して、葉が垂れたまま縁から茶色くなることです。植え替え後の2週間は、透明な袋を軽くかぶせるか加湿器のそばに置き、湿度を高めにして休ませます。
時期と道具をそろえる
最低気温が18°Cを超える5〜7月に行います。直径3cm大きいスリット鉢、バークとパーライトを混ぜた用土、清潔なハサミ、手袋、透明な袋を用意します。
株元を支えて抜く
鉢の側面を押して土をゆるめ、株元を支えて抜きます。ビロードの葉は触ると跡が付きやすいので、葉に触れないように作業します。
根鉢は軽くほぐす
古い土は3分の1ほど落とす程度にとどめ、黒く柔らかい根だけを切ります。根の間の子球は外して取っておきます。
浅めに植え付ける
鉢底石を2cm敷き、塊茎の上部が少し見える高さで植えます。鉢底から流れるまで水を与え、受け皿の水は捨てます。
高い湿度で休ませる
透明な袋を軽くかぶせるか加湿器のそばに置き、明るい日陰で2週間休ませます。1日1回換気し、肥料は1か月後から再開します。
フライデックは、株元から出る子株と、根の間にできる子球で増やせます。適期は5〜7月の植え替えのときです。子株は葉が2枚以上付き、根が伸びたものを根ごと切り離して小鉢に植えます。子球は、湿らせた水苔に半分埋めてふた付きの容器に入れ、25°C前後の明るい日陰に置くと、1〜3か月で芽が出るとされます。子株や子球から育てた株も、ビロード状の葉の質感は親株と同じになります。
よくある失敗は、分けたばかりの子株を乾いた部屋に置き、ビロードの葉の縁が傷んで根付く前に弱ることです。分けた株は湿度80%前後の容器や袋の中で2〜3週間養生させます。
時期と道具を準備する
5〜7月の植え替えに合わせて行います。小鉢、乾きやすい用土、清潔なナイフ、手袋、透明な袋、水苔とふた付き容器を用意します。
子株を根ごと切り離す
葉が2枚以上付き、根が伸びた子株を選び、親株とのつながりをナイフで切ります。根を傷めないように土をほぐして取り出します。
植え付けて袋で養生する
子株を2.5〜3号の小鉢に植えて水を与え、透明な袋をかぶせて湿度80%前後に保ちます。25°C前後の明るい日陰に置きます。
子球を水苔で芽出しする
子球は軽く絞った水苔に半分埋めてふたをし、25°C前後に置きます。1日1回換気し、芽と根が出たら小鉢に植えます。
フライデックはハダニが付きやすく、ビロードの葉では被害がかすれた白い点としてはっきり見えるため、早めに気付けるのは利点です。葉裏の毛の間に潜むので、週1回は葉裏をライトで照らして確かめます。見つけたら浴室で葉裏を中心にシャワーで洗い流し、3日おきに2〜3回続けます。葉の表を強くこするとビロードの毛が傷むので、葉の表は流すだけにします。カイガラムシは葉柄の付け根を確認します。
よくある失敗は、被害を見つけて葉の表を布で拭き、ビロードの質感を損ねてしまうことです。洗い流しで足りないときは、葉の表にかけても跡が残りにくい殺ダニ剤を選んで散布します。
最低気温が15°Cを超えたら水やりを週1回に戻し、5月から薄めた液肥を始めます。新しい葉が開く時期は特に湿度を保ち、葉の縁が張り付かないようにします。日差しが強まるので、窓からの距離を1m以上に見直します。
水は土が乾いたら朝に与え、液肥を続けます。ビロードの葉は熱を持ちやすいので、直射日光と西日を避け、30°Cを超える日は風通しを確保します。冷房の風は葉の縁を傷めるため、吹き出し口から離し、加湿器で湿度を保ちます。
9月で肥料を終え、水やりの間隔を10日に1回ほどへ広げます。最低気温が18°Cを下回る前に、部屋の内側の暖かい場所へ移します。暖房を使い始める時期は湿度が急に下がり、葉の縁が傷みやすいので、加湿器を早めに用意します。
15°C以上の部屋で、水は2〜3週に1回に減らし、肥料は与えません。加湿器で湿度60%を保つことが、ビロードの葉を冬越しさせるいちばんの対策です。葉を落としても塊茎が硬ければ休眠なので、水を控えて春を待ちます。
原因
湿度50%以下の乾燥や、エアコンの風。ビロード状の葉はほかのアロカシアより乾燥で傷みやすい。
対策
加湿器で湿度60%以上を保ち、風の当たらない場所へ移します。傷んだ縁は葉の形に沿って切り整え、新しい葉で回復を確かめます。
原因
葉の表にかけた水がビロードの毛の間に残り、乾いてカルキが残った跡。細かい点が増えていくならハダニ。
対策
葉水は細かい霧で葉裏を中心にかけ、葉の表に水滴を残さないようにします。点が広がる場合は葉裏を確かめ、シャワーで洗い流します。
原因
艶のない葉が光を吸収して熱を持ち、夏の窓辺や西日で焼けた。
対策
窓から1〜1.5m離した明るい日陰へ移します。焼けた部分は戻らないので、傷みの大きい葉は株元で切り、次の葉で確かめます。
原因
根鉢を崩しすぎて細い根が傷んだうえに、乾いた部屋で葉からの水分が奪われている。
対策
透明な袋を軽くかぶせるか加湿器のそばに置き、2週間ほど湿度を高めて休ませます。水は土が乾いてから与え、肥料は控えます。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
フライデック独自の花言葉はなく、アロカシア属の「復縁」「仲直り」が紹介されることが多いです。ビロードのような柔らかい手ざわりの葉から、穏やかに寄り添う気持ちを託して贈られることもあります。
風水では、深い緑は心を落ち着かせ、上へ伸びる葉は運気を高めるとされます。フライデックの艶を抑えたビロードの葉は、光の反射が少なく落ち着いた印象を与えるため、寝室や書斎など、静かに過ごしたい部屋に向くといわれます。
いちばんの違いは葉の質感です。どちらも濃い緑の葉に白い葉脈が入りますが、フライデックは艶のないビロード状で、手で触れるとしっとりした感触があります。アマゾニカは硬く艶のある葉で、縁が大きく波打ちます。株の大きさはフライデックのほうが大きくなりやすく、乾燥にはアマゾニカより弱いとされます。育て方の基本は同じで、冬15°C以上と乾かし気味の水やりです。
多くは空気の乾燥で、ビロードの葉の縁から水分が抜けて傷んでいます。湿度が50%を下回る部屋や、エアコンの風が当たる場所で起こりやすくなります。加湿器で湿度60%以上を保ち、風の当たらない場所へ移してください。冬に窓辺の冷気に当たった場合も、縁から黒っぽく傷みます。傷んだ部分は戻らないので、葉の形に沿って切り整え、新しい葉で改善を確かめます。
葉の表に残った水滴が乾いた跡か、ハダニの食害のどちらかが多いです。水道水の葉水を葉の表に大量にかけると、ビロードの毛の間に水が残り、乾いたあとにカルキの白い跡が残ることがあります。葉水は細かい霧で葉裏を中心にかけます。跡が細かい点状で広がっていくなら、ハダニの可能性が高いので葉裏を確かめ、シャワーで洗い流してください。
加湿器で湿度を保てる部屋なら、初めてでも育てられます。難しさのほとんどは冬の乾燥と寒さで、15°C以上と湿度60%以上を用意できれば、水やりの考え方はほかのアロカシアと同じです。加湿の準備がない場合は、乾燥に比較的強いクワズイモや、小型で棚に置けるアマゾニカから始めると、アロカシアの扱いに慣れやすいでしょう。
光の入る方向へ葉が向いて育つ、自然な性質です。窓の片側からだけ光が入る場所では、新しい葉ほど窓側へ傾きます。1〜2週間に1回、鉢を90度ずつ回すと、葉が四方へ均等に広がります。暗い場所で葉柄が長く伸びると傾きが大きくなるので、明るさが足りているかもあわせて確かめてください。すでに傾いた葉は大きくは戻りませんが、次の葉から向きが整います。
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執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。