苗・株の選び方
良い株は、黒に近い深い緑の葉に、銀白色の葉脈がくっきり入っていること、葉が厚く張りがあって垂れていないこと、株元が硬く締まっていることの3点で見分けます。
避けたいのは、葉の表に白い点やかすれが広がる株と、葉柄の付け根に白い綿が付いた株です。前者はハダニ、後者はコナカイガラムシの可能性があります。小さな苗でも葉が3枚以上ある株を選ぶと、植え替え後の立ち上がりが安定します。購入は気温が安定する5〜9月が向いています。
アロカシア・ブラックベルベットの育て方の要点
Hapot編集部より
アロカシア・ブラックベルベットは、黒に近い深い緑のビロード状の葉に、銀白色の葉脈が浮かぶ、高さ20〜40cmの小型アロカシアです。基本のアロカシアとの違いは、葉が厚く丸みのあるハート形で、株全体が手のひらに収まるほどコンパクトにまとまることです。ボルネオ島原産のアロカシア・レギヌラから選ばれた品種とされ、「小さな女王」を意味する種小名のとおり、小さな鉢でも際立つ存在感があります。成長はとてもゆっくりで、新しい葉が開くのは1〜2か月に1枚ほどです。葉が厚いぶん、乾燥にはフライデックよりやや強いとされますが、寒さと過湿には同じく弱く、冬15°C以上と、しっかり乾かしてからの水やりが欠かせません。棚や机の上に置ける、模様の美しい小さな株を探している人に向きます。小さな鉢のままで長く育てられるのも魅力です。

水やり
土がほぼ乾いたら(春〜秋は7〜10日に1回、冬は3〜4週に1回)
日光
間接光
温度の目安
15-30°C
湿度
50-70%
土
バーク・軽石・パーライトを多めにした、粗く乾きやすい用土
大きさの目安
室内で高さ20〜40cm。葉は長さ10〜20cmの厚いハート形で、2.5〜4号鉢での流通が中心です。
成長の速さ
遅い(新しい葉は1〜2か月に1枚ほど)
温度の目安(耐寒〜耐暑)
15-30°C
肥料
5〜9月に月1回、規定の2倍に薄めた液肥
成長速度
遅い(新しい葉は1〜2か月に1枚ほど)
毒性
全草にシュウ酸カルシウムを含み有毒。かじると口の痛みや腫れ、よだれ、嘔吐を起こすことがある。小型で手に取りやすいため、子どもやペットの届かない高さに置く
成長がとてもゆっくりな品種なので、新しい葉が少ないのは不調ではありません。葉の数より、株元の硬さと葉の張りで元気かどうかを判断します。
良い株は、黒に近い深い緑の葉に、銀白色の葉脈がくっきり入っていること、葉が厚く張りがあって垂れていないこと、株元が硬く締まっていることの3点で見分けます。
避けたいのは、葉の表に白い点やかすれが広がる株と、葉柄の付け根に白い綿が付いた株です。前者はハダニ、後者はコナカイガラムシの可能性があります。小さな苗でも葉が3枚以上ある株を選ぶと、植え替え後の立ち上がりが安定します。購入は気温が安定する5〜9月が向いています。
基本はアロカシアと同じで、直射日光の当たらない明るい場所に置きます。ブラックベルベットで違うのは、黒っぽい葉が光をよく吸収するため、ほかのアロカシアよりやや暗めの場所でも育つことです。窓から1〜1.5m離した明るい日陰や、レースカーテン越しの光が届く棚の上が目安です。株が小さいので、エアコンの風や窓辺の冷気の影響を受けやすく、冬は部屋の内側の、床から離れた高い棚に置くと温度が安定します。
よくある失敗は、模様を引き立てようと明るい窓辺に置き、黒い葉が日焼けして茶色く変色することです。日焼けした跡は戻らないため、柔らかい光の場所へ移して次の葉で確かめます。
ブラックベルベットは葉と塊茎に水をためる力が比較的あり、ほかのアロカシアより乾かし気味に育てる品種です。土がほぼ乾き、鉢を持って軽く感じたら、鉢底から流れるまで与えます。春から秋は7〜10日に1回、冬は3〜4週に1回が目安です。小鉢で育てることが多いので、受け皿の水は必ず捨てます。空気の湿度は50〜70%で足り、葉水は葉の表に水滴が残らない程度の細かい霧にします。
よくある失敗は、小さな株を気にかけて水やりの回数を増やすことで、株元が柔らかくなって葉が倒れます。株元を押してへこむようなら水を止め、鉢から抜いて傷んだ根を切り、乾いた用土に植え直します。
ブラックベルベットには、ほかのアロカシアより粗く乾きやすい用土が向いています。観葉植物用土3、洋ラン用バーク(小粒)3、軽石(小粒)2、パーライト2が配合の目安で、市販のアロイド用の土にパーライトを2割足しても使えます。鉢は2.5〜4号の小さめの素焼き鉢かスリット鉢を選び、鉢底石は1cmほどにして土の量を確保します。保水性の高い腐葉土やピートモスの多い土は、小鉢では乾きにくく根腐れにつながります。
ブラックベルベットは葉の数が3〜5枚と少なく、剪定はほとんど必要ありません。葉が半分以上黄色くなるまでは切らずに残すのが、成長の遅い品種を弱らせないコツです。黄色くなった葉は、葉柄を株元から1〜2cm残して切り、乾いてから外します。日焼けや寒さで一部だけ傷んだ葉は、緑の部分が多ければそのまま残します。
よくある失敗は、見た目を整えようと傷みのある葉を次々に切り、葉が1〜2枚になって新しい葉が出るまで何か月も止まることです。成長がゆっくりな分、残した葉の光合成が株の体力を支えると考えて、整理は最小限にとどめます。
時期と道具を用意する
整理は5〜9月に行います。先の細い清潔なハサミと手袋を用意し、切る葉を慎重に選びます。
切るのは黄色い葉だけ
葉の半分以上が黄色くなった葉だけを切り、一部だけ傷んだ葉は株の体力のために残します。
株元近くで切る
葉柄を株元から1〜2cm残して切り、残った部分が乾いて茶色くなってから軽く引いて外します。
新しい葉の付け根を確かめる
整理のついでに、新しい葉の巻きの中や葉柄の付け根に白い綿のような虫がいないかを確かめます。
ブラックベルベットは根の成長もゆっくりで、植え替えは2〜3年に1回、5〜7月が目安です。鉢底から根が出た、水が鉢の縁から流れてしみ込まない、が合図です。鉢は直径3cm大きい程度にとどめ、2.5号から3号、3号から4号のように少しずつ上げます。古い土は3分の1ほど落とし、黒い根を切ってから、塊茎の上部が見える浅さで植えます。
よくある失敗は、小さな株を早く大きくしようと大きな鉢に植えることで、土がいつまでも乾かずに根が傷みます。植え替え後は1週間ほど水を控えめにし、明るい日陰で根が落ち着くのを待ちます。
時期と道具をそろえる
最低気温が18°Cを超える5〜7月に行います。直径3cm大きい小さめの素焼き鉢、粗い用土、先の細いハサミ、手袋を用意します。
株をやさしく抜く
鉢の側面を押して土をゆるめ、株元を指でつまむように支えて抜きます。厚い葉は折れると戻らないので、葉に力をかけないようにします。
土を少し落として根を確かめる
古い土を3分の1ほど落とし、黒く柔らかい根だけを切ります。白い根はできるだけ残し、子株があればこのときに分けます。
浅めに植えて水を与える
鉢底石を1cm敷き、塊茎の上部が見える高さで植えます。鉢底から流れるまで水を与え、受け皿の水を捨てます。
1週間は水を控える
明るい日陰に置き、1週間ほどは次の水を控えて根を落ち着かせます。肥料は1か月後、新しい葉が動き出してから再開します。
ブラックベルベットは子株の出る数が少なく、増やすのはほかのアロカシアより時間がかかります。適期は5〜7月の植え替えのときです。株元から出た子株に葉が2枚以上付き、根が伸びていれば、根ごと切り離して2.5号の小鉢に植えます。根の間に子球ができていれば、湿らせた水苔に半分埋めて25°C前後に置くと、数か月かけて芽が出るとされます。市販の株の多くは組織培養で増やされた苗です。
よくある失敗は、子球の芽が出ないからと水苔を湿らせすぎて腐らせることです。子球の芽出しは2〜4か月かかることもあるので、軽く絞った湿り気を保ち、ふたを毎日開けて換気しながら待ちます。
時期と道具を準備する
5〜7月の植え替えに合わせて行います。2.5号の小鉢、粗い用土、清潔なナイフ、手袋、水苔とふた付き容器を用意します。
子株を見極める
葉が2枚以上付き、根が2cm以上伸びた子株を選びます。根が少ない子株は、もう1シーズン親株に付けたまま育てます。
切り離して植える
親株とのつながりをナイフで切り、根を付けたまま小鉢に植えます。明るい日陰に置き、葉に細かい霧の葉水をします。
子球はじっくり芽出しする
子球は軽く絞った水苔に半分埋め、ふたをして25°C前後に置きます。2〜4か月かかることもあるので、毎日換気しながら待ちます。
ブラックベルベットに付きやすい害虫はハダニとコナカイガラムシです。ハダニは黒っぽい葉の表に細かい白い点として現れるので、ほかの品種より見つけやすい面があります。コナカイガラムシは葉柄の付け根や新しい葉の巻きの中に白い綿のように付くので、新しい葉が出るたびに確かめます。ハダニはシャワーで洗い流し、コナカイガラムシは綿棒にアルコールを含ませて取り除きます。
よくある失敗は、成長が遅いことと虫の被害を見分けず、新しい葉が縮れたまま開くのを放置することです。縮れた新葉の中に白い綿が見えたら、すぐに取り除き、2週間おきに殺虫剤を2〜3回散布します。
最低気温が15°Cを超えたら水やりを10日に1回ほどに戻し、5月から薄めた液肥を月1回始めます。新しい葉が出るのは月1枚以下でも正常です。植え替えは5月以降、根詰まりの合図があるときだけ行います。
土がほぼ乾いたら朝に水を与え、液肥は月1回続けます。黒い葉は日焼けしやすいので直射日光を避け、明るい日陰に置きます。冷房の風が当たらない場所を選び、30°Cを超える日は蒸れないよう風を通します。
9月で肥料を終え、水やりの間隔を2週に1回ほどへ広げます。最低気温が18°Cを下回り始めたら、窓辺から部屋の内側の高い棚へ移します。秋に古い葉が1枚黄色くなるのは、冬に向けた入れ替わりのことが多いです。
15°C以上の部屋で、水は3〜4週に1回にし、肥料は与えません。小さな株は冷気の影響を受けやすいので、窓や床から離した高い棚に置きます。葉が減っても株元が硬ければ休眠なので、水を控えて春を待ちます。
原因
成長がとてもゆっくりな品種の性質。冬の低温で生育が止まっていることも多い。
対策
株元が硬く葉に張りがあれば正常です。春から秋に15°C以上と明るい日陰、月1回の薄い液肥を続けて待ちます。
原因
小鉢で水やりの回数が多すぎ、塊茎や根が腐っている。
対策
水を止めて鉢から抜き、黒く柔らかい部分を切り取ります。切り口を乾かしてから粗く乾きやすい用土に植え直し、1週間は水を控えます。
原因
直射日光や明るすぎる窓辺での日焼け。黒っぽい葉は光を吸収しやすい。
対策
窓から1〜1.5m離した明るい日陰へ移します。変色した葉は戻らないので、緑が残る部分が多ければ残し、新しい葉で確かめます。
原因
コナカイガラムシ。新しい葉の巻きや葉柄の付け根に潜み、新しい葉が縮れて開く原因になる。
対策
綿棒にアルコールを含ませて取り除き、2週間おきに殺虫剤を2〜3回散布します。新しい葉が出るたびに巻きの中を確かめます。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
ブラックベルベット独自の花言葉はなく、アロカシア属の「復縁」「仲直り」が紹介されることが多いです。種小名のレギヌラは「小さな女王」を意味するとされ、小さくても気品のある姿から、大切な人への贈り物に選ばれることもあります。
風水では、黒や深い色は落ち着きと守りの力をもち、銀色の模様は金運を連想させるとされます。ブラックベルベットは小型で場所を選ばないため、仕事机や寝室の棚に置いて、気持ちを静めるお守りのような植物として選ばれることがあります。
成長がとてもゆっくりな品種で、1〜2か月に1枚ほどが普通のペースです。冬は気温が下がるとさらに止まり、春まで新しい葉が出ないこともあります。株元が硬く、今ある葉に張りがあれば心配はいりません。春から秋に、明るい日陰と15°C以上の温度、月1回の薄い液肥を続けていれば、少しずつ葉が入れ替わりながら株が充実していきます。
葉の色素が濃く、表面のビロード状の毛が光の反射を抑えているためと考えられています。実際の色は黒に近い深い緑で、光の当たり方によっては紫がかって見えることもあります。銀白色の葉脈との対比で、より黒く見えるのが特徴です。光が強すぎると葉が茶色く焼け、暗すぎると色がややくすむので、明るい日陰に置くと深い色を保ちやすくなります。
大丈夫です。ブラックベルベットは小さめの鉢のほうが育てやすい品種です。根の成長がゆっくりで、大きな鉢では土が乾かずに根腐れしやすくなります。2〜3年に1回、鉢底から根が出てきたら、直径3cmだけ大きな鉢に植え替えれば十分です。小鉢は乾きが早い分、水切れより過湿に注意して、土がほぼ乾いてから水を与えます。
水切れか、空気の乾燥か、根の傷みのいずれかが考えられます。土が乾ききっているなら、鉢底から流れるまで水を与えれば1〜2日で戻ります。土が湿っているのに丸まる場合は根が傷んでいる可能性があり、水を止めて株元の硬さを確かめます。暖房の風が当たる場所では乾燥で丸まることもあるので、風の当たらない場所へ移してください。
小型で湿度を好むため、通気のある大きめのテラリウムなら育てられます。ただし密閉した容器では蒸れて塊茎が腐りやすいので、ふたを少し開けるか、換気できる容器を選びます。用土はバークや軽石を多めにして水はけを確保し、水は土がほぼ乾いてから少量与えます。容器の中は温度が上がりやすいので、直射日光の当たらない場所に置きます。
アロカシア としてまとめている他の品種です。
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執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。