HapotHapot植物のことなら、ハポット。
観葉植物中級者向け

アジアンタム・フラグランスの育て方

Adiantum raddianum 'Fragrans'('Fragrantissimum' とも)公開日: 最終更新日:

アジアンタム・フラグランスの育て方の要点

水やり
表土が乾きかけたらすぐ(夏はほぼ毎日、春秋は2〜3日に1回が目安)。冬も乾き切らせない
置き場所
日陰
冬越し
15°C 以上を保つ

Hapot編集部より

アジアンタム・フラグランスは、店頭で最もよく見かける、アジアンタムの中では生育が旺盛で丈夫な系統です。基本のアジアンタムとの違いは、小葉がひと回り大きく、株がこんもりと密に茂ることと、傷んだあとの新芽の立ち上がりが早いことです。ラディアヌム(Adiantum raddianum)の園芸品種で、海外ではフラグランティッシマムの名でも知られ、観葉植物として世界的に広く育てられてきたとされます。名前は「香りのよい」という意味ですが、葉にはっきりした香りはなく、由来ははっきりしません。黒く細い葉柄に、扇形の明るい緑の小葉が重なる姿はアジアンタムらしさそのもので、高さ30〜40cmほどにまとまります。乾燥に弱い点はほかのアジアンタムと同じですが、根茎の力が強く、刈り込んでも2〜3週間で新しい葉がそろいやすいので、初めての1株に向いています。小さな3号鉢から5号鉢まで、手に取りやすい大きさで流通しています。

アジアンタム・フラグランスの姿

分類・基本データ

科
イノモトソウ科
属
ホウライシダ属 Adiantum
種
アジアンタム・フラグランス raddianum 'Fragrans'
別名
フラグランス、アジアンタム フラグランス、フラグランティッシマム、アジアンタム・ラディアヌム・フラグランス
原産地
熱帯アメリカ原産のラディアヌム(Adiantum raddianum)から選ばれた園芸品種とされます。

アジアンタム・フラグランスの育て方の5つのポイント

水やり

表土が乾きかけたらすぐ(夏はほぼ毎日、春秋は2〜3日に1回が目安)。冬も乾き切らせない

日光

日陰

温度の目安

15-28°C(冬は8°C以上を保つ)

湿度

60-80%

土

保水性のある観葉植物用土(ピートモスを2割ほど足す)

アジアンタム・フラグランスはどれくらい大きくなる?

大きさの目安

室内の鉢植えで高さ30〜40cm、幅30〜50cm。こんもり密に茂り、3〜5号鉢での流通が中心です。

成長の速さ

速い(春〜秋は株元から新芽が次々に出る)

温度の目安(耐寒〜耐暑)

15-28°C(冬は8°C以上を保つ)

ケアのポイント

肥料

5〜9月に月1回、規定の2倍に薄めた液肥

成長速度

速い(春〜秋は株元から新芽が次々に出る)

毒性

ペットへの毒性の報告は特にない(アジアンタムの仲間はASPCAの無毒リストに掲載)

迷ったら株元から刈り込んで構いません。フラグランスは根茎の回復力が強く、湿り気を保てば2〜3週間で新しい葉がそろいます。

育て方の詳細

苗・株の選び方

良い株は、株全体がこんもり丸く、内側の葉まで明るい緑であること、株元から黒い葉柄の新芽が何本も出ていること、鉢を持つとしっとり重いことの3点で見分けます。

避けたいのは、外側の葉の縁が茶色く縮れている株と、株の中心がすかすかで葉柄だけが目立つ株です。前者は店頭で水切れを起こした株、後者は内側が蒸れて傷んだ株の可能性があります。持ち帰る間の乾燥を防ぐため、袋で包んでもらいます。冬は冷たい外気に当てないよう、車や屋内での移動を選びます。

置き場所・日当たり

基本はアジアンタムと同じで、日差しの当たらない明るい日陰が向いています。フラグランスは株が密に茂るぶん、株の内側まで光が届く明るさがあると、中心の葉が黄ばまずにきれいにそろいます。北向きの窓辺や、レースカーテン越しの窓から1mほど離れた棚の上が目安です。冬は8°C以上を保ち、夜は窓から離します。

よくある失敗は、丈夫と聞いてリビングの中央に置き、暖房の乾いた空気で外側の葉からしおれることです。空気の乾く部屋では、加湿器のそばか洗面所へ移します。しおれた葉を株元で刈り、湿度のある場所で2〜3週間待てば、旺盛な根茎から新しい葉がそろって出てきます。

水やりの詳細

株が密に茂る分、葉からの蒸散が多く、土の乾きはアジアンタムの中でも早めです。夏はほぼ毎日、春と秋は2〜3日に1回、表土が乾きかけたら鉢底から流れるまで与えます。冬も根鉢を乾き切らせず、4〜5日に1回を目安に、室温になじませた水を昼前に与えます。霧吹きは朝に1回、葉が密な部分は内側にも届くようにかけます。

よくある失敗は、旅行などで3日以上水を切らすことです。外側の葉が一斉にしおれますが、フラグランスなら株元から刈り込み、鉢ごとバケツの水に10分ほど浸して湿らせ直せば、根茎が生きていることが多く、2〜3週間で新芽が立ち上がります。

最適な土の作り方

水を含みやすく、根の周りがしっとり保たれる土にします。市販の観葉植物用土にピートモスを2割ほど足すのが手軽です。配合するなら赤玉土(小粒)4、ピートモス3、腐葉土2、パーライト1が目安です。根茎が横に広がる性質なので、鉢は深さより口の広さを優先し、乾きにくいプラスチック鉢か釉薬のかかった陶器鉢を選びます。鉢底石は1cmほどの薄敷きで十分です。素焼き鉢は表面から水が抜けて乾きが早まるので、この系統には向きません。

剪定・切り戻し

フラグランスの剪定は、密に重なった株の内側の傷んだ葉を間引くことが中心です。5〜9月に、黄色や茶色になった葉を、黒い葉柄を株元までたどって付け根で切ります。株が茂りすぎて内側の葉が蒸れ始めたら、外側の古い葉を3割ほど間引いて光と風を通します。全体が傷んだときは、地際で全部刈り込む「仕立て直し」もこの系統なら回復が早く、2〜3週間で新しい葉に入れ替わります。

よくある失敗は、刈り込んだあとに葉がないからと水やりを減らし、根茎まで乾かすことです。葉がなくても土は湿らせ続け、明るい日陰で新芽を待ちます。

  1. 1

    時期と道具を用意する

    5〜9月が回復の早い時期です。先の細い清潔なハサミと霧吹きを用意し、株の内側の傷んだ葉を確かめます。

  2. 2

    傷んだ葉を付け根で切る

    黄色や茶色の葉は、黒い葉柄を株元までたどって付け根で切ります。葉の途中で切ると、葉柄だけが残って見た目が悪くなります。

  3. 3

    混み合った葉を間引く

    内側が蒸れている場合は、外側の古い葉から3割ほど間引きます。全体が傷んでいれば、地際で全部刈り込みます。

  4. 4

    湿らせて新芽を待つ

    作業後は土を湿らせ、霧吹きを毎朝続けます。明るい日陰で2〜3週間待つと、新しい葉がそろって出てきます。

植え替え

植え替えは毎年か2年に1回、5〜7月が目安です。フラグランスは根茎の広がりが早く、1年ほどで鉢の表面が根茎で埋まり、水が染み込みにくくなります。鉢の表面に根茎が盛り上がってきたら合図です。根鉢の外側を軽くほぐし、口の広い一回り大きな鉢に、根茎の上が少し見える浅めの高さで植え付けます。大きくなりすぎた株は、ここで株分けして同じ鉢に戻します。

よくある失敗は、根茎を深く埋めて植え、新芽が出にくくなることです。根茎は土の表面すれすれに置くのがこの仲間の基本で、深植えに気づいたら土を少し取り除いて高さを戻します。

  1. 1

    時期と道具を用意する

    5〜7月に行います。口の広い一回り大きなプラスチック鉢、ピートモスを足した土、薄く敷く鉢底石、清潔なハサミを用意します。

  2. 2

    前日に水を与えて抜く

    乾いた根茎は傷みやすいので、前日にたっぷり水を与えます。鉢の縁をたたき、根鉢を崩さないように株を抜きます。

  3. 3

    根鉢の外側を軽くほぐす

    根鉢の外側と底を指で軽くほぐし、黒く傷んだ根を切ります。乾かないよう、作業は日陰で手早く進めます。

  4. 4

    根茎を浅く植える

    鉢底石を1cm敷いて土を入れ、根茎の上が少し見える浅い高さで植えます。鉢底から流れるまで水を与えます。

  5. 5

    湿度を保って休ませる

    透明な袋を軽くかぶせ、明るい日陰に2週間置きます。1日1回袋を開けて換気し、新芽が動いたら袋を外します。

増やし方

株分けで簡単に増やせるのがフラグランスの良いところです。5〜7月の植え替えのときに、根茎を新芽が3〜4個以上付くまとまりに手かナイフで分け、それぞれ小鉢に植え付けます。分けた株は葉を半分ほど切り詰めて水分の消耗を抑え、透明な袋をかぶせて明るい日陰で2週間ほど養生させます。回復力が強い系統なので、小鉢に分けても比較的よく根付きます。

よくある失敗は、分けた株を袋に入れたまま強い光の当たる窓辺に置き、袋の中が蒸し暑くなって葉が傷むことです。養生中は直射日光の当たらない場所に置き、1日1回袋を開けて空気を入れ替えます。

  1. 1

    時期と道具を準備する

    5〜7月の植え替えと同時に行います。清潔なナイフ、小鉢、保水性のある土、透明な袋、霧吹きを用意します。

  2. 2

    新芽3〜4個ずつに分ける

    株を抜いて根茎を確かめ、新芽が3〜4個以上付くまとまりに手で割ります。離れない部分だけをナイフで切ります。

  3. 3

    葉を半分に切り詰める

    分けた株の葉を半分ほど切り詰め、水分の消耗を抑えます。傷んだ葉は付け根から取り除きます。

  4. 4

    小鉢に浅く植える

    小鉢に根茎の上が少し見える深さで植え、鉢底から流れるまで水を与えます。葉に霧吹きをします。

  5. 5

    袋をかぶせて養生する

    透明な袋をかぶせて直射日光の当たらない明るい日陰に置き、1日1回換気します。新芽が立てば根付いた合図です。

病害虫対策

害虫はほとんど付きませんが、密な株の内側にカイガラムシが付くことがあります。黒い葉柄に沿って付く茶色い粒は、綿棒や歯ブラシで落とします。葉が柔らかいので、薬剤は葉に直接かけず、株元や葉柄に絞って使います。風通しが悪いと、内側の葉に灰色のカビが出ることもあり、傷んだ葉を早めに間引くのが予防になります。

よくある失敗は、小葉の縁がくるりと折り返した部分にできる茶色い胞子のうを病気と思い、葉を切り落とすことです。小葉の縁に沿って並ぶ茶色い帯は胞子のうで、株が充実した証拠なのでそのままにします。こすっても取れず、縁に沿ってきれいに並んでいれば害虫ではありません。

年間カレンダー

1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
肥料
手入れ
手入れの内容
  • 5月植え替え・株分け・液肥の開始
  • 6月株の内側の傷んだ葉を間引く
  • 7月冷房の風よけ・毎日の水やり
  • 8月水切れの確認・朝の霧吹き
  • 12月加湿器のそばか洗面所へ移動

季節ごとの管理

春の管理

新芽が勢いよく立ち上がる季節です。給水は2〜3日おき、薄めた液肥を5月から月1回。株分けと鉢替えは5月に入ってから行います。日差しが強まるので、窓からの距離を見直します。

夏の管理

表土が乾きかけたら朝のうちにたっぷり、真夏はほぼ毎日です。冷房の風が当たらない、湿度の保てる場所に置きます。追肥は月1回続け、霧吹きは朝に株の内側まで行います。

秋の管理

吸い上げが落ちてきたら給水を3日おき程度へ。追肥は9月で終えます。夜の気温が10°Cを切る前に、暖かい部屋の明るい日陰へ移し、夏に傷んだ内側の葉を間引いておきます。

冬の管理

根鉢を乾き切らせない程度に、4〜5日おきに昼前の給水を続けます。肥料は休みます。8°C以上の明るい日陰に置き、暖房の温風が届く場所には置かないでください。加湿器のそばか洗面所が冬越しに向きます。

10月の作業をくわしく知りたいときは観葉植物の冬越しや秋の植え替えの記事も参考になります。

よくあるトラブルと対策

外側の葉が一斉にしおれて縮れる

原因

水切れか、暖房やエアコンによる空気の乾燥。株が密に茂る分、蒸散が多く乾きが早い。

対策

しおれた葉を株元から刈り込み、鉢ごと水に10分ほど浸して湿らせ直します。加湿器のそばや洗面所に移し、2〜3週間で新芽がそろうのを待ちます。

鉢の表面に根茎が盛り上がり水が染み込まない

原因

根茎の広がりによる根詰まり。フラグランスは1年ほどで鉢いっぱいになる。

対策

5〜7月に口の広い一回り大きな鉢へ、根茎の上が少し見える浅さで植え替えます。大きすぎる株は株分けして同じ鉢に戻します。

葉柄に沿って茶色い粒が付く

原因

カイガラムシの寄生。密な株の内側に付きやすい。小葉の縁に沿って並ぶ茶色い帯は胞子のうで、害虫ではない。

対策

葉柄に付いた粒は綿棒や歯ブラシで落とします。薬剤は柔らかい葉に直接かけず、株元や葉柄に絞って使います。

ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。

アジアンタム・フラグランスの花言葉・風水

花言葉

アジアンタムの花言葉は「繊細」「天真爛漫」です。フラグランスは仲間の中でも生き生きとよく茂るため、無邪気に伸びる姿を表す「天真爛漫」の言葉が特によく似合うとされ、明るい印象の贈り物や、新しい暮らしを始める人へのギフトに選ばれます。

風水・縁起

風水では、細かく柔らかな葉は気をやわらげ、人間関係の緊張をほどくとされます。こんもりと丸く茂るフラグランスは、家族が集まる場所や洗面所に置くと、水回りの気を整えながら穏やかな空気をつくる植物とされています。

アジアンタム・フラグランスのよくある質問

Qフラグランスと普通のアジアンタムの違いは何ですか?回答を見る
A

フラグランスは、アジアンタム(ラディアヌム)の中でも生育が旺盛で丈夫な園芸品種です。小葉がひと回り大きく、株が密に茂り、傷んだあとの回復が早いのが特徴とされます。店頭でアジアンタムとして売られている株の多くがこの系統で、ラベルに品種名がない場合もあります。育て方はほかのアジアンタムと同じで、乾かさないことと湿度を保つことが基本です。

Qフラグランスはいい香りがしますか?回答を見る
A

葉にはっきりした香りはなく、香りを楽しむ植物ではありません。フラグランスはラテン語で「香りのよい」という意味ですが、名前の由来ははっきりしていません。シダの仲間なので花も咲かず、香りを目当てに選ぶと期待と違うかもしれません。見どころは、黒く細い葉柄に明るい緑の小葉が重なる軽やかな姿です。香りのある観葉植物を探しているなら、ハーブ類を検討してください。

Q全部の葉がしおれてしまいました。刈り込んでも大丈夫ですか?回答を見る
A

大丈夫です。地際で刈り込み、土を湿らせ続ければ再生する可能性が高い系統です。フラグランスは根茎の回復力が強く、地上の葉がすべて傷んでも、根茎が生きていれば2〜3週間で新芽が立ち上がります。刈り込んだら鉢ごと水に浸して湿らせ直し、明るい日陰で霧吹きを続けてください。根茎が茶色く柔らかく腐っている場合は回復が難しいので、硬い部分だけを残して植え直します。

Q株が大きくなりすぎたらどうすればいいですか?回答を見る
A

5〜7月の植え替えのときに株分けして、同じ大きさの鉢に戻します。フラグランスは根茎が横に広がり、1〜2年で鉢いっぱいになります。根茎を新芽が3〜4個以上付くまとまりに分ければ、それぞれが新しい株として育ちます。分けた株は葉を半分ほど切り詰め、透明な袋をかぶせて2週間ほど養生させると根付きやすくなります。

Qフラグランスは初心者でも育てられますか?回答を見る
A

アジアンタムを初めて育てるなら、フラグランスがいちばん向いています。乾燥に弱い点は仲間と変わりませんが、失敗しても刈り込みで再生しやすく、やり直しがききます。洗面所や加湿器のある部屋など、湿度を保てる置き場所を先に決めてから迎えると成功しやすくなります。毎朝の水やりと霧吹きを習慣にできれば、特別な道具は必要ありません。

アジアンタムのほかの品種

アジアンタム としてまとめている他の品種です。

アジアンタムの種類と選び方を比較する

アジアンタム・フラグランスを育てる人が次に読んでいるページ

10月の季節の作業と、アジアンタム・フラグランスの手入れで迷いやすいところに合わせて選んでいます。

この記事について

執筆: Hapot編集部

植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。

編集ポリシー

参考にしたウェブサイト