苗・株の選び方
良い株は3点で見分けます。葉がふわっと密に茂っていること、株元からゼンマイ状の新芽が上がっていること、土がしっとり湿っていて鉢が軽すぎないことです。
避けたいのは、葉の一部がチリチリに縮れて茶色くなっている株と、土が乾ききって鉢が軽い株です。店頭で乾燥ストレスを受けた株は、持ち帰っても回復に時間がかかります。購入したその日から乾かさない管理を始めることが、店の状態を保つ唯一の方法です。冬の購入は持ち帰り時の乾燥と冷気に注意してください。
Hapot編集部より
アジアンタムは、水と湿度さえ切らさなければよく茂る一方で、乾燥には観葉植物の中で最も弱い、繊細なシダです。薄い小さな葉が幾重にも重なる姿は「緑のレース」と呼ばれ、置くだけで空間が柔らかくなります。毎日の葉水を苦にしない人や、窓のある浴室や洗面所など湿度の高い置き場所を用意できる人に向いており、逆にエアコンの効いたリビングの真ん中で放任したい人には向きません。原産は熱帯アメリカで、滝のしぶきがかかる岩場のような湿った半日陰に自生します。乾燥すると葉がチリチリに縮れるのが有名な弱点ですが、根茎は丈夫で、傷んだ葉を刈り取って湿らせ続ければ2〜4週間で新芽が立ち上がります。管理の要点は「土を乾かさない」「毎日の葉水」「風に当てない」の3つで、冬は10°C以上を保ちます。置き場所さえ合えば手間は少なく、ハンギングで吊るしても美しい植物です。

水やり
土を乾かさない(表面が乾く前に)+毎日の葉水
日光
日陰
温度の目安
15-28°C(10°C以上を維持)
湿度
60-80%(高湿度が命)
土
保水性のある土(乾燥が最大の敵)
大きさの目安
室内で20〜50cm。3〜6号鉢で流通し、ハンギングも人気。
成長の速さ
中
温度の目安(耐寒〜耐暑)
15-28°C(10°C以上を維持)
肥料
春〜秋に月1回薄めの液肥
成長速度
中
毒性
毒性の報告は特にない
「乾かさない」が全て。チリチリになっても根は生きています——バッサリ切って毎日湿らせれば、新芽が答えてくれます。
良い株は3点で見分けます。葉がふわっと密に茂っていること、株元からゼンマイ状の新芽が上がっていること、土がしっとり湿っていて鉢が軽すぎないことです。
避けたいのは、葉の一部がチリチリに縮れて茶色くなっている株と、土が乾ききって鉢が軽い株です。店頭で乾燥ストレスを受けた株は、持ち帰っても回復に時間がかかります。購入したその日から乾かさない管理を始めることが、店の状態を保つ唯一の方法です。冬の購入は持ち帰り時の乾燥と冷気に注意してください。
直射日光の当たらない明るい日陰で、湿度の高い場所が理想です。日本の住まいで最も相性が良いのは窓のある浴室や洗面所、キッチンのシンク近くで、入浴や水仕事のたびに自然に加湿されます。リビングに置くなら加湿器の近くか、観葉植物を集めたコーナーの中など湿度がたまる場所を選んでください。
よくある失敗は、エアコンや暖房の風が通る場所に置き、2〜3日で葉がチリチリに縮れてしまうことです。その場合は傷んだ葉を株元から刈り取り、風の当たらない湿度のある場所へ移して毎日葉水を続ければ、根茎が生きていれば数週間で新芽が出ます。直射日光は葉が焼けて白くなるので厳禁です。冬は10°C以上を保ち、暖房の乾いた空気からも離してください。
「乾いたら」ではなく「乾く前に」が基本です。土の表面が乾き始めたらすぐ鉢底から流れるまで与え、夏は毎日、春と秋は2〜3日に1回が目安です。冬も乾かさない方針は変わらず、頻度だけ4〜5日に1回程度に緩めます。加えて毎日の葉水が葉の潤いを保ち、朝と夕方の2回できれば理想的です。一般に腰水(受け皿に常時水をためること)は根腐れの原因とされますが、アジアンタムでは真夏の乾燥対策として1〜2cmの浅い腰水を短期間使うのは有効です。典型的な失敗は、旅行などで3日ほど水を切らし、帰宅すると葉全体が縮れているケースです。株元まで刈り込んで土をたっぷり湿らせ、以後は乾かさない管理に戻せば再生します。留守中は腰水と透明の袋で乾燥を防いでください。
保水性を最優先にします。市販の観葉植物用土にピートモスや腐葉土を2〜3割足して保水力を高めるか、シダ用の培養土を使います。自分で配合するなら赤玉土(小粒)4、ピートモス3、腐葉土2、パーライト1が目安です。鉢は乾きの速い素焼き鉢を避け、プラスチック鉢や陶器鉢を選びます。鉢底石は薄く1cm程度で十分で、この植物に限っては乾きにくさが利点になります。元肥は控えめにし、生育期に薄い液肥で補う方が根を傷めません。
剪定というより、傷んだ葉の整理が手入れの中心です。チリチリに縮れた葉は部分的に切るより、株元から思い切って刈り取る方が再生の近道になります。傷んだ葉は元に戻らず、残しても新芽の邪魔になるだけです。地際でハサミを入れ、土をたっぷり湿らせて毎日葉水を続ければ、2〜4週間でゼンマイ状の新芽が次々と立ち上がります。健康な株は、古くなった葉や色の抜けた葉を株元から間引く程度で十分です。失敗しやすいのは、刈り込んだあとに水やりまで止めてしまい、根茎まで乾かして再生できなくすることです。葉がなくても根は水を必要とするので、土の湿りは維持してください。作業は5〜9月の生育期が回復が早く、冬に刈り込む場合は15°C以上の場所で管理します。
時期と道具を用意する
傷んだ葉の整理は5〜9月が回復が早く、冬は15°C以上の場所で行います。清潔なハサミと霧吹きを用意します。
縮れた葉を株元から刈り取る
チリチリに縮れた葉は部分的に切らず、地際でまとめて刈り取ります。健康な株なら古い葉や色の抜けた葉だけを株元から間引きます。
土をたっぷり湿らせる
刈り込んだ直後に鉢底から流れるまで水を与えます。葉がなくても根茎は水を必要とするので、以後も土を乾かさないようにします。
毎日の葉水で新芽を待つ
明るい日陰に置き、毎日株全体に霧吹きをします。2〜4週間でゼンマイ状の新芽が出るので、そろってきたら通常の管理に戻します。
1〜2年に1回、5〜7月に行います。根詰まりすると土の乾きが急に速くなり、葉が縮れるリスクが跳ね上がるため、水やりの翌日に表面が乾くようになったら植え替えのサインです。一回り大きな鉢に、保水性のある新しい土で植え替えます。根鉢は軽くほぐす程度にし、株分けも同時にできます。
よくある失敗は、素焼き鉢に植え替えて乾きが速くなり、数日で葉が傷むことです。その場合はプラスチック鉢や陶器鉢に植え直し、腰水で湿度を補いながら養生させてください。植え替え後は2週間ほど、透明の袋を軽くかぶせる簡易温室で湿度を保つと、根が早く落ち着きます。寒い時期の植え替えは回復が遅いので避けます。
時期と道具を準備する
5〜7月に行います。一回り大きなプラスチック鉢か陶器鉢、薄く敷く鉢底石、保水性の高い用土、透明の袋、清潔なハサミを用意します。
水を与えてから株を抜く
乾いた状態で抜くと根が傷むので、前日にたっぷり水を与えておきます。鉢の縁を軽くたたき、根鉢を崩さないようにそっと抜きます。
根鉢を軽くほぐし古い土を落とす
根鉢の肩と底の古い土を軽く落とし、黒く傷んだ根を切ります。全体の3分の1以上は崩さないようにし、乾かないよう手早く進めます。
新しい鉢に植え付ける
鉢底石を1cmほど敷き、用土を入れて株を据え、隙間に土を詰めます。根茎が土から少し見える浅めの高さに植えます。
湿度を保って養生する
たっぷり水を与え、透明の袋を軽くかぶせて明るい日陰に置きます。2週間は毎日葉水を続け、新芽が動いたら袋を外します。
株分けで増やします。5〜7月の植え替え時に、根茎を2〜3芽ずつのブロックにナイフで切り分け、それぞれ保水性のある土に植え付けます。分けた株は葉を半分ほど切り詰めて蒸散を減らし、たっぷり水を与えたあと透明の袋を軽くかぶせて高湿度で2〜3週間養生させると活着が安定します。失敗しやすいのは、小さく分けすぎて芽が1つしかないブロックにし、そのまま乾かして枯らすことです。1ブロックに芽を2〜3個以上残し、毎日葉水を続けてください。胞子からの繁殖も可能で、葉裏の胞子を湿った用土にまくと数か月で前葉体ができますが、株になるまで数年かかる上級者向けの方法です。
株分けの時期と道具を用意する
5〜7月の植え替え時に行います。清潔なナイフ、株数分の小鉢、保水性の高い用土、透明の袋、霧吹きを準備します。
根茎を芽ごとに切り分ける
鉢から抜いた株の根茎を、1ブロックに芽が2〜3個以上付くようにナイフで切り分けます。小さく分けすぎると回復が遅くなります。
葉を半分に切り詰める
分けた株の葉を半分ほど切り詰め、水分の蒸散を減らします。縮れた葉やひどく傷んだ葉は株元から取り除きます。
小鉢に浅く植え付ける
用土を入れた小鉢に根茎が少し見える深さで植え、隙間に土を詰めます。たっぷり水を与えて土を落ち着かせます。
袋をかぶせて2〜3週間養生する
透明の袋を軽くかぶせて明るい日陰に置き、毎日葉水を続けます。新芽が立ち上がったら袋を外し、通常の乾かさない管理に戻します。
病害虫はほとんど付きません。薄い葉は虫の食害を受けにくく、まれにカイガラムシや、屋外や多湿環境ではナメクジが付く程度です。カイガラムシは葉軸に付くので、見つけ次第歯ブラシで落とします。ナメクジは夜間に見回って捕殺するか、鉢の周りに銅テープを貼ると寄り付きにくくなります。トラブルのほぼすべては乾燥によるチリチリなので、病害虫対策より加湿が重要と割り切ってよい植物です。失敗しやすいのは、葉が縮れたのを病気と思って殺菌剤を散布し、薬害でさらに傷めることです。縮れの原因は水切れか風か湿度不足なので、環境を直して株元から刈り込めば2〜4週間で新芽が出ます。風通しは必要ですが、送風機の風を直接当ててはいけません。
新芽が次々と展開する時期です。水やりは2〜3日に1回、土を乾かさず、5月から月1回の薄い液肥を始めます。置き場所は明るい日陰で、植え替えや株分けも5月から。急に暖かくなって土の乾きが速まり、気づかず水切れさせるのがこの時期の失敗です。
水やりは毎日、葉水は朝夕の2回で最大量にします。肥料は月1回の薄い液肥を続けます。直射日光を避けた明るい日陰に置き、エアコンの風が当たる場所は数日で葉が縮れるため厳禁です。真夏は1〜2cmの浅い腰水で乾燥を補ってもかまいません。
成長が緩みますが、土を乾かさない基準は変えず、2〜3日に1回の水やりを続けます。肥料は9月で止めます。10月以降は最低気温が10°Cを下回る前に室内の暖かい場所へ。日差しが低くなり葉焼けが起きやすいので置き場所を確認してください。
水やりは4〜5日に1回に緩めますが、乾かしてはいけません。肥料は与えず、10°C以上の明るい日陰に置きます。暖房の乾いた空気が最大の試練なので、加湿器の近くか浴室に置き、葉水は毎日続けます。暖房で葉が縮れたら株元から刈り込んで再生させます。
原因
乾燥。水切れ、空中湿度の不足、エアコンの風のいずれか(複合していることが多い)。
対策
傷んだ葉を株元からすべて刈り取り、土を湿らせ続けて毎日葉水をします。根茎が生きていれば2〜4週間で新芽が立ち上がります。風を避け、加湿するなど原因の除去が再発防止の鍵です。
原因
置き場所の環境が根本的に乾燥している。
対策
窓のある浴室や洗面所、加湿器の近くなど「湿度のある明るい日陰」へ移します。場所が合えば、特別な世話なしで茂り続けます。
原因
肥料のやりすぎか、冬の腰水による根の冷えと根腐れ。乾燥以外で葉が傷む数少ない原因。
対策
肥料は春から秋に月1回の薄い液肥だけにし、冬は腰水をやめて土の湿りを保つ程度にします。黄変した葉は株元から取り除き、新芽の色で回復を判断します。
原因
シダの胞子嚢。葉の縁に規則正しく並ぶものは病気でも害虫でもない。
対策
そのままで問題ありません。不規則に付いて爪で押すと動くならカイガラムシなので、歯ブラシで落とします。胞子嚢はこすっても取れないので見分けられます。
原因
根詰まり、または素焼き鉢による乾燥の速さ。
対策
5〜7月に一回り大きなプラスチック鉢か陶器鉢へ、保水性の高い土で植え替えます。季節が合わなければ、植え替えまで腰水で乾燥を補ってください。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
アジアンタムの花言葉は「繊細」「天真爛漫」です。風にそよぐ薄く軽やかな葉の姿と、水さえあれば無邪気に茂る性質に由来するといわれます。シダなので花は咲きませんが、贈り物に添える言葉としてよく使われます。
風水では、細かく柔らかな葉が「気を和らげ、緊張をほどく」とされ、寝室や浴室の癒しの植物として好相性といわれます。湿った場所を好む性質から水の気と結び付けられ、水回りの気を整える植物とされたことが由来です。
チリチリになった葉は戻りませんが、株はほぼ確実に再生できます。アジアンタムの根茎は見た目より丈夫で、地上部が全滅しても生きていることが大半です。再生の手順は、傷んだ葉を株元からすべて刈り取り、土をたっぷり湿らせて以後乾かさず、毎日株全体に葉水をして明るい日陰で待つだけです。2〜4週間でゼンマイ状の新芽が立ち上がります。原因(エアコンの風、水切れ、乾燥)を取り除いてから再スタートするのが再発防止の鍵です。
日本の住宅でのベストアンサーは「窓のある浴室や洗面所」です。入浴のたびに加湿され、直射日光も当たらない、アジアンタムにとっての理想郷です。次点はキッチンのシンク近く、加湿器の稼働するリビング、観葉植物を集めたコーナー(植物同士の蒸散で湿度だまりができます)です。逆に最悪なのは「エアコンの風が通るリビングの真ん中」と「冬の暖房部屋の窓辺」です。置き場所さえ当たれば、特別な世話なしで茂り続けてくれます。
短期間なら大丈夫です。一般の観葉植物では腰水は根腐れの原因になりますが、乾燥に極端に弱いアジアンタムでは、真夏や留守中の乾燥対策として受け皿に1〜2cmの浅い水をためる方法が有効です。ただし常時続けると根が呼吸できず傷むので、涼しくなったら通常の水やりに戻し、水は2〜3日ごとに新しいものに替えてください。冬の腰水は土が冷えて根を傷めるため避けます。
浴室など湿度の高い場所に置けるなら毎日でなくてもかまいませんが、一般的なリビングでは毎日が基本です。アジアンタムの薄い葉は空気が乾くとすぐに水分を失い、湿度40%を下回る冬の暖房部屋では数日で縮れます。霧吹きで株全体をしっとりさせる作業は1分ほどで済むので、朝の水やりとセットで習慣にしてください。加湿器を使えば葉水の回数を減らせます。
病気ではありません。葉の縁に沿って並ぶ茶色い点や小さな膨らみは、シダが子孫を残すための胞子嚢で、健康に育っている証拠です。カイガラムシと見分けるには、点の並び方を見てください。胞子嚢は葉の縁に規則正しく並び、こすっても取れませんが、カイガラムシは葉軸や葉裏に不規則に付き、爪で押すと動きます。胞子嚢はそのままにして問題なく、熟すと粉状の胞子を飛ばします。
アジアンタム としてまとめている他の品種です。
アジアンタムの季節の作業や、土・鉢・肥料の選び方をくわしく解説した記事です。

観葉植物の冬越し
観葉植物を室内に取り込む時期の目安(最低気温15°C)、冬の置き場所、水やりの減らし方、肥料と葉水、寒さで傷んだときの対処まで解説。図鑑の観葉植物を耐えられる最低温度で一覧にしています。

秋の植え替え
秋は多肉植物や草花、果樹の植え替え・植え付けに向く一方、観葉植物は春まで待つのが基本です。秋の適期の目安、植物タイプ別の可否、根の扱い方と植え替え後の管理を解説します。

植物別の土の違い
観葉植物の土と野菜・花の土の違いは堆肥と肥料の量、多肉植物の土との違いは乾く速さです。4種類の土の原料・水はけ・保水・肥料分を比較表にし、観葉植物の土で野菜は育つか、多肉の土で観葉植物は育つかなど、代用できる組み合わせと選び方を解説します。
10月の作業と、アジアンタムの手入れで迷ったときに役立つページです。
執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。