苗・株の選び方
良い株は、極小の小葉が葉先まで縮れずにそろっていること、株元から細かな新芽が出ていること、土がしっとり湿っていることの3点で見分けます。
避けたいのは、葉先が茶色く縮れた葉が多い株と、土が乾いて鉢が軽い株です。どちらも店頭で乾燥を経験した可能性が高く、小さな品種ほど回復に時間がかかります。持ち帰りは透明な袋で包み、湿度を保って運びます。家に着いたらすぐに湿度の高い置き場所へ移します。葉柄が倒れて横に広がっている株も、弱っている可能性があるので避けます。
アジアンタム・ミクロフィラムの育て方の要点
Hapot編集部より
アジアンタム・ミクロフィラムは、小葉が数ミリほどしかない、アジアンタムの中でも最も細やかな姿の品種です。基本のアジアンタムとの違いは、小葉が半分以下の大きさで、葉全体が霧のように細かく見えることと、乾きの影響をさらに受けやすいことの2点です。名前の「ミクロフィラム」は「小さな葉」という意味で、ラディアヌム(Adiantum raddianum)の園芸品種とされます。高さ20〜30cmほどの小さな株にまとまり、黒い葉柄に極小の小葉が密に付く姿は、苔や盆栽を思わせる繊細さがあります。小葉が小さく水をためておけないため、数時間の乾燥でも葉先が縮れることがあり、アジアンタムの中では上級者向けです。そのぶん、湿度を保てる環境なら小さな空間で育てられ、ガラス容器のテラリウムや、浴室の小さな棚にも収まります。アジアンタムに慣れた人が次に挑戦する1株や、テラリウムの主役を探している人に向きます。

水やり
表土が乾く前に(夏は毎日、春秋は1〜2日に1回が目安)。冬も乾かさない
日光
日陰
温度の目安
15-28°C(冬は10°C以上を保つ)
湿度
70-90%
土
保水性の高い土(ピートモスを多めに)
大きさの目安
室内の鉢植えで高さ15〜30cm、幅20〜30cm。小葉は数ミリと小さく、2.5〜4号鉢での流通が中心です。
成長の速さ
ややゆっくり(小さな新芽を少しずつ増やす)
温度の目安(耐寒〜耐暑)
15-28°C(冬は10°C以上を保つ)
肥料
5〜9月に月1回、規定の3倍に薄めた液肥
成長速度
ややゆっくり(小さな新芽を少しずつ増やす)
毒性
ペットへの毒性の報告は特にない(アジアンタムの仲間はASPCAの無毒リストに掲載)
湿度70%以上を保てる場所があるかどうかが、育てられるかの分かれ目です。部屋の湿度が足りない場合は、ふたの開くガラス容器に入れると驚くほど育てやすくなります。
良い株は、極小の小葉が葉先まで縮れずにそろっていること、株元から細かな新芽が出ていること、土がしっとり湿っていることの3点で見分けます。
避けたいのは、葉先が茶色く縮れた葉が多い株と、土が乾いて鉢が軽い株です。どちらも店頭で乾燥を経験した可能性が高く、小さな品種ほど回復に時間がかかります。持ち帰りは透明な袋で包み、湿度を保って運びます。家に着いたらすぐに湿度の高い置き場所へ移します。葉柄が倒れて横に広がっている株も、弱っている可能性があるので避けます。
基本はアジアンタムと同じく明るい日陰ですが、ミクロフィラムは湿度の高さを何より優先して置き場所を決めます。窓のある浴室の棚、加湿器のすぐそば、または大きめのガラス容器の中が向いています。光は北向きの窓辺程度のやわらかさで十分で、強い光ではごく小さな小葉がすぐ白っぽく焼けます。冬は10°C以上を保ちます。
よくある失敗は、小さく可愛らしい株だからとデスクや窓辺に置き、1〜2日で葉先がちりちりに縮れることです。ガラス容器や浴室など、湿気のこもる場所に移すのが一番の近道です。縮れた葉を株元で刈って湿った環境に置けば、根茎から細かな新芽が出てきます。
鉢が小さく小葉も水をためられないため、乾き始める前に与えるのが基本です。夏は毎日、春と秋は1〜2日に1回、表土の色が変わる前に鉢底から流れるまで与えます。小さな鉢は乾きが早いので、指で土の湿りを毎日確かめる習慣が欠かせません。冬も乾かさず、2〜3日に1回を目安に、室温の水を昼前に与えます。霧吹きは朝夕2回、細かい霧で株全体を湿らせます。
よくある失敗は、勢いよく水を注いで細い葉柄を倒すことです。水差しの先を土に近づけて静かに注ぐか、鉢ごと水を張った器に5分浸して吸わせると、株を傷めずに根鉢全体が湿ります。
水をよく含み、乾きにくい土にします。市販の観葉植物用土にピートモスを3割ほど足すか、ピートモス4、赤玉土(小粒)3、腐葉土2、パーライト1で配合します。小さな株なので、鉢は2.5〜3.5号の乾きにくいプラスチック鉢か陶器鉢が向いています。テラリウムに植える場合は、容器の底に軽石を1cmほど敷き、その上に同じ土を入れます。肥料分は控えめにし、元肥は入れなくてもかまいません。水苔を表面に薄く敷くと、土の乾きがさらに遅くなります。
ミクロフィラムは小さな株なので、傷んだ葉を見つけたら株元から1本ずつ抜くように切る程度の手入れで足ります。時期は5〜9月が向いています。小葉が縮れて茶色くなった葉は、先の細いハサミで葉柄の付け根から切ります。小葉が細かく1枚ずつ摘むのは難しいので、傷んだ部分を残さず葉ごと外すのが基本です。株全体が傷んだときは、地際で刈り込んで湿った環境で再生を待ちます。
よくある失敗は、刈り込んだあとに普通の部屋へ戻し、出てきたばかりの小さな新芽をまた乾かしてしまうことです。再生中はガラス容器か透明な袋の中で湿度を保ち、葉がそろうまで1か月ほど待ちます。
時期と道具を準備する
5〜9月が向いています。先の細い清潔なハサミとピンセットを用意し、葉先が縮れた葉を確かめます。
傷んだ葉を葉ごと切る
小葉を1枚ずつ摘まず、縮れた葉は葉柄の付け根で切ります。ピンセットで周りの葉をよけると、切る葉が見やすくなります。
全体が傷んだら刈り込む
株全体が縮れた場合は、地際で葉をすべて刈り込みます。根茎が硬く生きていれば、湿った環境で再生します。
湿度の高い場所で再生を待つ
刈り込んだ株は透明な袋かガラス容器に入れ、土を湿らせ続けます。1か月ほどで細かな新芽がそろってきます。
植え替えは2年に1回、5〜7月が目安です。ミクロフィラムは成長がややゆっくりで、根茎の広がりも穏やかなため、頻繁な植え替えは必要ありません。鉢の表面が根茎で覆われ、水が染み込みにくくなったら一回り大きな鉢へ移します。根鉢はほとんど崩さず、外側の古い土を少し落とす程度にして、根茎の上が見える浅さで植え付けます。
よくある失敗は、小さな株に大きすぎる鉢を選び、土の量が多くて乾きにくい一方、根の周りだけが乾いたり湿ったりと不安定になることです。鉢は今より直径1.5cmほど大きいものにとどめると、水の管理が安定します。
時期と道具を用意する
5〜7月に行います。直径1.5cmほど大きいプラスチック鉢、ピートモスの多い土、先の細いハサミ、透明な袋を用意します。
株をそっと抜く
前日に水を与えておき、鉢を逆さにして株元を指で支えながら抜きます。細い葉柄を持って引っ張らないようにします。
根鉢はほとんど崩さない
根鉢の外側の古い土を少し落とし、黒く傷んだ根だけを切ります。細い根を傷めないよう、崩しすぎないようにします。
浅めに植えて静かに水を注ぐ
根茎の上が見える浅さで植え、水差しの先を土に近づけて静かに注ぎます。勢いよく注ぐと葉柄が倒れます。
袋の中で養生する
透明な袋をかぶせて明るい日陰に置き、1日1回換気します。3週間ほどで新芽が動いたら、袋を少しずつ開けて慣らします。
株分けで増やしますが、小さな株なので2つに分ける程度にとどめます。5〜7月の植え替えのときに、根茎を新芽が4〜5個以上付くまとまりに分け、それぞれ小鉢に植え付けます。分けた株は乾きに特に弱くなるので、透明な袋かガラス容器に入れ、湿度90%近い環境で3〜4週間養生させます。テラリウムに植える株を作るのにも、この方法が向いています。
よくある失敗は、細かく分けすぎて、どの株も根付く前に乾いて枯れることです。小さな品種ほど体力が少ないため、増やすことより1株を充実させることを優先し、株が大きくなってから分けます。
時期と道具を準備する
5〜7月の植え替えと同時に行います。清潔なナイフ、2.5号ほどの小鉢、保水性の高い土、透明な袋を用意します。
2つに分ける位置を決める
株を抜いて根茎を確かめ、それぞれに新芽が4〜5個以上残るよう、2つに分ける位置を決めます。細かく分けすぎないようにします。
根茎を切り分ける
分け目を手でそっと広げ、離れない部分だけをナイフで切ります。根が付いていることを確かめ、乾かないうちに植えます。
植えて湿度を上げる
小鉢に浅く植えて静かに水を注ぎ、透明な袋かガラス容器に入れます。湿度90%近くを保ち、1日1回換気します。
新芽がそろうまで待つ
3〜4週間で細かな新芽がそろってきます。それまでは肥料を与えず、袋の中で養生させます。
害虫はほとんど付きませんが、湿度の高い容器の中ではカビやナメクジに注意します。ガラス容器で育てる場合は、1日1回ふたを開けて空気を入れ替え、カビの発生を防ぎます。白い綿のようなカビが土の表面に出たら、その部分の土を取り除きます。屋外に出していた株を容器に入れるときは、ナメクジや小さな虫が紛れていないか確かめます。
よくある失敗は、容器を密閉したままにして中が蒸れ、株元から葉が黒く溶けるように傷むことです。湿度を保ちながらも、毎日の換気で空気を動かすことが、この品種を長く育てる要点です。鉢植えの場合も、葉の間に枯れた小葉がたまったら取り除きます。
細かな新芽が動き出したら、給水を1〜2日おきに。5月から3倍に薄めた液肥を月1回与えます。植え替えと株分けは5月以降に行い、日差しが強まるので窓から少し離します。
表土が乾く前に毎日与え、霧吹きは朝夕2回です。冷房の風は数時間で葉を縮らせるので、絶対に当てない場所に置きます。ガラス容器で育てる場合は、中が暑くなりすぎないよう直射日光を避けます。
給水を2日おき程度に減らし、液肥は9月で止めます。夜の気温が12°Cを下回る前に暖かい部屋へ移します。暖房を使い始める前に、ガラス容器や加湿器の準備をしておくと安心です。
2〜3日おきに室温の水を昼前に与え、乾かさないようにします。肥料は与えません。10°C以上の明るい日陰に置き、暖房の乾いた空気に直接さらさないでください。ガラス容器か浴室が冬越しに向きます。
原因
空気の乾燥。小葉が数ミリと小さく水をためられないため、湿度50%以下では数時間で傷むことがある。
対策
浴室や加湿器のそば、ガラス容器の中に移して湿度を70%以上に保ちます。傷んだ葉は付け根から切り、新しい葉の開き方で改善を確かめます。
原因
勢いよく水を注いだことや、根鉢の乾燥で葉柄の張りが失われたこと。
対策
水は水差しの先を土に近づけて静かに注ぐか、鉢ごと器の水に5分浸します。倒れた葉は付け根で切ります。
原因
容器を密閉したままにしたことによる蒸れとカビ。
対策
黒い部分を取り除き、1日1回ふたを開けて換気します。土の表面に白いカビが出たら、その部分の土を取り除きます。
原因
刈り込んだ後に乾燥した部屋へ戻し、根茎や出たばかりの新芽を乾かしたこと。
対策
透明な袋かガラス容器に入れて湿度を保ち、土を湿らせ続けます。根茎が硬ければ、1か月ほどで細かな新芽がそろってきます。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
アジアンタムの花言葉は「繊細」「天真爛漫」です。ミクロフィラムは、仲間の中でもとりわけ小さな葉が集まるはかなげな姿から、「繊細」の言葉がもっとも似合うアジアンタムとされ、植物好きの人への贈り物に選ばれることがあります。
風水では、細かく柔らかな葉は気をやわらげ、気持ちを落ち着かせるとされます。ミクロフィラムは小さな空間にも置けるため、浴室や洗面台のそばなど水回りに置くと、水の気を整えながら、狭い場所にも穏やかな空気をもたらす植物とされています。
小葉がとても小さく、水分をためておけないため、乾燥の影響がすぐに出るからです。普通のアジアンタムなら半日ほど持ちこたえる乾燥でも、ミクロフィラムは数時間で葉先が縮れることがあります。鉢も小さいことが多く、土の乾きも早めです。湿度70%以上を保てる浴室やガラス容器の中で育てれば、手間は大きく減ります。普通のアジアンタムに慣れてから迎えるのがおすすめです。
むしろテラリウムに向いた品種で、湿度を保ちやすい分、育てやすくなります。ふたの開く大きめのガラス容器の底に軽石を敷き、保水性の高い土を入れて植え付けます。直射日光が当たると中が高温になるので、明るい日陰に置いてください。密閉したままだと蒸れてカビが出やすいため、1日1回ふたを開けて換気します。水やりは土の表面が乾きかけたら少量です。
空気の乾燥が原因であることがほとんどです。ミクロフィラムは湿度が50%を下回ると、細かい小葉の先からすぐに傷みます。加湿器のそばや浴室に移すか、ガラス容器に入れて湿度を70%以上に保ってください。エアコンや暖房の風が少しでも当たる場所も避けます。傷んだ葉は戻らないので付け根から切り、新しい葉が縮れずに開くかで改善を確かめます。
どちらもラディアヌムの園芸品種ですが、小葉の大きさと丈夫さが違います。フラグランスは小葉がひと回り大きく、生育が旺盛で傷んでも回復しやすい、アジアンタムの入門向けの系統です。ミクロフィラムは小葉が数ミリと極小で、細やかな姿が魅力ですが、乾燥にはさらに弱くなります。部屋で手軽に育てるならフラグランス、テラリウムや浴室で繊細な姿を楽しむならミクロフィラムが向いています。
5〜9月に月1回、規定の3倍に薄めた液肥で十分です。ミクロフィラムは根が細く小さな鉢で育てることが多いため、肥料が濃いと根が傷み、葉先の茶色い傷みの原因になります。植え替えたばかりの株や、刈り込んで再生中の株には、新しい葉がそろうまで肥料を与えません。冬は成長がゆっくりになるので、肥料は止めます。肥料より湿度のほうが、葉の美しさに大きく影響します。
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執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。