苗・株の選び方
良い株は、株元から色づいた新芽や、巻いた若い葉が出ていること、大きな葉が縁まで縮れずに広がっていること、葉柄が黒く張りがあることの3点で見分けます。
避けたいのは、大きな葉の縁が茶色く縮れている株と、新芽が出ておらず古い葉だけの株です。前者は水切れを経験した株、後者は株が弱って成長が止まっている可能性があります。色づく品種を選ぶなら、春から初夏の新芽の出る時期に、実際の色を見て選ぶのが確実です。購入後は1週間ほど、明るい日陰で落ち着かせます。
アジアンタム・テネルムの育て方の要点
Hapot編集部より
アジアンタム・テネルムは、大きく三角形に広がる葉が弓なりに垂れ、新芽がピンク色に色づく品種があることで人気のアジアンタムです。基本のアジアンタム(ラディアヌム)との違いは、小葉がひと回り大きく扇形から菱形に近いことと、1枚の葉が大きく広がって株がゆったりと垂れることです。アメリカ南部のフロリダからカリブ海、中南米が原産とされ、ラディアヌムとは別の種です。園芸品種には、新芽が鮮やかなローズピンクに染まるスクツムロゼウムや、小葉の縁が波打って重なり合う、ファーリーゼンセ(ファーレイエンセ)などの名で売られる系統があるとされます。新芽の色は光と温度が足りているときにきれいに出るため、明るい日陰と15°C以上の室温が鍵になります。乾燥に弱い点はほかのアジアンタムと同じで、葉が大きいぶん蒸散も多く、水切れはすぐ葉の縮れに表れます。色の移り変わりや、ゆったり垂れる姿を楽しみたい、アジアンタムに慣れた人に向きます。

水やり
表土が乾きかけたらすぐ(夏はほぼ毎日、春秋は2日に1回が目安)。冬も乾き切らせない
日光
日陰
温度の目安
15-28°C(冬は10°C以上を保つ)
湿度
60-80%
土
保水性があり、ややさらりとした観葉植物用土
大きさの目安
室内の鉢植えで高さ30〜60cm、幅50〜70cm。葉は大きく三角形に広がって垂れ、4〜6号鉢での流通が中心です。
成長の速さ
ふつう(春〜夏に色づいた新しい葉を開く)
温度の目安(耐寒〜耐暑)
15-28°C(冬は10°C以上を保つ)
肥料
5〜9月に月1回、規定の2倍に薄めた液肥
成長速度
ふつう(春〜夏に色づいた新しい葉を開く)
毒性
ペットへの毒性の報告は特にない(アジアンタムの仲間はASPCAの無毒リストに掲載)
新芽がピンクに色づかなくなったら、光か温度が足りない合図です。窓に少し近づけ、15°C以上の部屋に置くと、次の新芽から色が戻ります。
良い株は、株元から色づいた新芽や、巻いた若い葉が出ていること、大きな葉が縁まで縮れずに広がっていること、葉柄が黒く張りがあることの3点で見分けます。
避けたいのは、大きな葉の縁が茶色く縮れている株と、新芽が出ておらず古い葉だけの株です。前者は水切れを経験した株、後者は株が弱って成長が止まっている可能性があります。色づく品種を選ぶなら、春から初夏の新芽の出る時期に、実際の色を見て選ぶのが確実です。購入後は1週間ほど、明るい日陰で落ち着かせます。
基本はアジアンタムと同じく直射日光の当たらない明るい日陰ですが、テネルムは新芽の色を出すために、仲間の中では少し明るめが向いています。レースカーテン越しの窓から70cm〜1mほどが目安です。大きな葉が弓なりに垂れるので、棚の端や高めのスタンドに置くと、葉が鉢の外へ自然に流れて美しく見えます。冬は10°C以上、新芽を楽しむなら15°C以上を保ちます。
よくある失敗は、垂れる葉を見せようと窓際の高い位置に置き、夏の熱気と強い光で大きな葉が一気に縮れることです。高い位置に置くときほど、窓からの距離をとるのが要点で、縮れた葉は付け根から切れば新芽で入れ替わります。
葉が大きく蒸散が多いので、ラディアヌム系より水の消費が早めです。夏はほぼ毎日、春と秋は2日に1回を目安に、表土が乾きかけたら鉢底から流れるまで与えます。冬も根鉢を乾き切らせず、3〜4日に1回、室温になじませた水を昼前に与えます。霧吹きは朝に1回、大きな葉の裏側まで湿らせます。新芽は特に乾きに弱いので、色づいた若い葉を見たら水切れに注意します。
よくある失敗は、ピンクの新芽が出ている時期に水を切らすことで、開きかけの葉がそのまま縮れて茶色くなります。傷んだ新芽は付け根で切り、水やりの間隔を1日縮めれば、次の新芽はきれいに開きます。
水をよく含みながら、ややさらりとした土が向きます。テネルムは自生地で石灰岩の岩場に生えることもあるとされ、根の周りが過湿になりすぎない配合が合います。市販の観葉植物用土にピートモスとパーライトを1割ずつ足すのが手軽です。配合するなら赤玉土(小粒)4、ピートモス3、腐葉土2、パーライト1が目安です。鉢は乾きにくいプラスチック鉢か陶器鉢を選び、鉢底石は1〜2cm敷きます。元肥は入れず、生育期の薄い液肥で補います。
テネルムの剪定は、大きく広がった古い葉を付け根から間引いて、新芽に光を当てることが中心です。5〜9月に、黄色や茶色になった葉、縮れた葉を、黒い葉柄を株元までたどって付け根で切ります。大きな葉が重なると、株元から出るピンクの新芽が陰になって色づきにくくなるため、古い葉を全体の2〜3割ほど間引きます。
よくある失敗は、垂れた葉の先だけを切りそろえようとすることです。シダの葉は切った位置から先へは伸びず、切り口が残るだけなので、長さを整えたいときも葉ごと付け根から外します。全体が傷んだときは地際で刈り込み、湿度を保って再生を待ちます。
時期と道具を準備する
5〜9月に行います。先の細い清潔なハサミを用意し、縮れた葉、黄色い葉、新芽を覆っている大きな古い葉を確かめます。
傷んだ葉を付け根で切る
縮れた葉や黄色い葉は、黒い葉柄を株元までたどって付け根で切ります。葉先だけを切りそろえることはしません。
新芽を覆う古い葉を間引く
株元の新芽に光が届くよう、大きな古い葉を全体の2〜3割間引きます。色づいた若い葉は残します。
湿度を保って様子を見る
作業後は霧吹きで湿度を補い、明るい日陰に置きます。次の新芽の色と開き方で、置き場所が合っているか確かめます。
植え替えは2年に1回、5〜7月が目安です。テネルムは根茎が横に這って広がり、株が大きくなると鉢の中が根でいっぱいになります。水が染み込むのに時間がかかる、新芽が小さくなってきた、のいずれかが合図です。根鉢の外側を軽くほぐし、口の広い一回り大きな鉢に、根茎の上が少し見える高さで植え付けます。垂れる葉を生かすなら、やや高さのある鉢を選ぶと葉が床に届きにくくなります。
よくある失敗は、植え替えのときに大きな葉をそのまま残し、根が落ち着く前に水分が足りず葉が一斉に縮れることです。植え替え時は古い葉を3割ほど切り詰め、透明な袋で湿度を保って2週間養生させます。
時期と道具をそろえる
5〜7月の暖かい日に行います。口の広いやや高さのある鉢、保水性のある土、鉢底石、清潔なハサミ、透明な袋を用意します。
古い葉を3割切り詰める
植え替え後の水分の消耗を抑えるため、大きな古い葉を全体の3割ほど付け根で切ります。新芽は残します。
株を抜いて根を整える
前日に水を与えた株を抜き、根鉢の外側を軽くほぐします。黒く柔らかい根と、傷んだ根茎を切り取ります。
根茎を浅めに植える
鉢底石を敷いて土を入れ、横に這う根茎の上が少し見える高さで植えます。鉢底から流れるまで水を与えます。
袋で湿度を保つ
透明な袋を軽くかぶせ、明るい日陰で2週間養生させます。1日1回換気し、新芽が開いてきたら袋を外します。
株分けで増やすのが確実です。5〜7月の植え替えのときに、横に這う根茎を新芽が3個以上付くまとまりに切り分け、小鉢に植え付けます。テネルムは葉が大きいので、分けた株の葉は半分以上切り詰めて、根が少ない状態での水分の消耗を抑えます。透明な袋をかぶせ、20〜25°Cの明るい日陰で2〜3週間養生させると根付きやすくなります。
よくある失敗は、色づく品種を胞子から増やそうとして、親と違う色や形の株が育つことです。園芸品種の特徴を残したいなら、株分けで増やします。分けた株からピンクの新芽が出てくれば、品種の特徴を受け継いでいる確認になります。
時期と道具を準備する
5〜7月の植え替えと同時に行います。清潔なナイフ、小鉢、保水性のある土、透明な袋、霧吹きを用意します。
新芽付きの根茎を選ぶ
株を抜き、横に這う根茎のうち新芽が3個以上付く部分を分け目にします。新芽のない部分は分けません。
根茎を切り分ける
分け目をナイフで切り、それぞれに根が付いていることを確かめます。切ったらすぐに植え付けて乾かさないようにします。
葉を半分以上切り詰める
大きな葉は半分以上切り詰め、水分の消耗を抑えます。小鉢に浅く植え、鉢底から流れるまで水を与えます。
暖かい日陰で養生する
透明な袋をかぶせ、20〜25°Cの明るい日陰で2〜3週間養生させます。色づいた新芽が出れば根付いた合図です。
害虫は少ないものの、大きな葉の裏や葉柄の付け根にカイガラムシが付くことがあります。茶色い粒や白い綿を見つけたら、綿棒でこすり取ります。乾燥した部屋ではハダニも付き、葉の色がくすんでかすれて見えるのが合図です。霧吹きを葉の裏まで行い、浴室のシャワーで洗い流します。薬剤はやわらかい新芽を傷めやすいので、株元や葉柄に絞って使います。
よくある失敗は、ピンクに色づいた新芽を病気や虫の被害と思い込み、切り取ってしまうことです。色づいた新芽は品種の特徴で、成長とともに緑へ変わっていきます。不規則な斑点やべたつきがあるときだけ害虫を疑います。
色づいた新芽が出始める季節です。給水は2日おき、5月から薄い液肥を月1回。新芽の色を引き出すため、窓に少し近づけます。植え替えと株分けは5月以降に、大きな古い葉の整理もこの時期に行います。
表土が乾きかけたら朝にたっぷり、真夏はほぼ毎日です。高い位置に置いた株ほど熱気がこもるので、窓から離すようにします。冷房の風を避け、霧吹きを朝に行います。追肥は月1回続けます。
給水は2〜3日おきに減らし、追肥は9月で終えます。夜の気温が12°Cを下回る前に暖かい部屋へ移します。夏に縮れた大きな葉を付け根で整理し、冬に向けて株元へ光が届くようにします。
3〜4日おきに室温の水を昼前に与え、乾き切らせないようにします。肥料は与えません。10°C以上の明るい日陰に置き、暖房の温風と夜の窓際の冷えは避けてください。加湿器のそばが冬越しに向きます。
原因
光か温度の不足、またはもともと色づかない系統であること。
対策
レースカーテン越しの窓から70cm〜1mの明るい日陰に移し、15°C以上を保ちます。色づく品種かどうかは購入時のラベルや新芽の色で確かめます。
原因
水切れか、高い位置に置いたことによる熱気と強い光。葉が大きく蒸散が多いため、1日の水切れでも傷む。
対策
縮れた葉を付け根から切り、鉢ごと水に浸して根鉢を湿らせ直します。熱気のこもらない低めの位置へ移します。
原因
新芽の出る時期の水切れ。若い葉は特に乾燥に弱い。
対策
傷んだ新芽は付け根で切り、水やりの間隔を1日縮めます。霧吹きで湿度を補い、次の新芽がきれいに開くか確かめます。
原因
大きな古い葉が重なって新芽が陰になっていることや、根詰まり。
対策
古い葉を全体の2〜3割間引いて新芽に光を当てます。水の染み込みが悪ければ、5〜7月に植え替えます。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
アジアンタムの花言葉は「繊細」「天真爛漫」です。テネルムはピンクに色づく新芽が成長とともに緑へ変わる姿から、移り変わる季節や成長を感じさせる植物として、門出や新しい挑戦を迎える人への贈り物に選ばれることがあります。
風水では、柔らかく垂れる葉は気を穏やかに流すとされ、ピンクの色は人間関係や愛情運に結び付けられます。テネルムの色づく新芽と流れるような葉の姿は、寝室やリビングの棚の上に置くと、やわらかく温かな空気をつくる植物とされています。
光か温度が足りないか、もともと色づかない系統の可能性があります。テネルムの中でも新芽がピンクに染まるのは、スクツムロゼウムなどの一部の園芸品種で、すべての株が色づくわけではありません。色づく品種でも、暗い場所や15°Cを下回る部屋では色が薄くなります。レースカーテン越しの窓から1mほどの明るい日陰に置き、室温を保つと、次の新芽から色が出やすくなります。
小葉の形と、葉の広がり方を見ます。店頭で多いラディアヌム系のアジアンタムは、小さな扇形の小葉が細かく付き、株がこんもり立ち上がります。テネルムは小葉がひと回り大きく、扇形から菱形に近い形で、1枚の葉が三角形に大きく広がって弓なりに垂れます。新芽がピンクに色づく株なら、テネルムの園芸品種である可能性が高くなります。
小葉の縁が波打って重なり合う、テネルムの系統として扱われることの多い品種です。ファーレイエンセとも表記され、淡い緑の小葉がフリルのように縮れて密に重なり、豪華な姿になります。ほかのテネルムより湿度と温度をさらに必要とするとされ、湿度70%以上と15°C以上を保てる環境が向いています。流通量が少なく、名前の表記も店によって違うため、葉の形で確かめて選ぶのが確実です。
水切れか、高温と強い光が重なったことが多い原因です。テネルムは葉が大きく蒸散が多いため、1日の水切れでも大きな葉がまとめて縮れることがあります。縮れた葉は戻らないので付け根から切り、鉢ごと水に浸して根鉢を湿らせ直してください。根茎が生きていれば、2〜4週間で新芽が出てきます。高い棚に置いている場合は、熱気のこもらない低めの位置へ移します。
大きな葉が垂れる姿を生かせる、棚の端や高めのスタンドが向いています。鉢を少し高い位置に置くと、葉が鉢の外へ自然に流れ、ピンクの新芽も目に入りやすくなります。ただし窓際の高い位置は夏に熱気がこもるので、窓から1mほど離した明るい日陰を選んでください。周りに50cmほどの空間をとると、葉が壁や家具に触れずにきれいに広がります。
アジアンタム としてまとめている他の品種です。
10月の季節の作業と、アジアンタム・テネルムの手入れで迷いやすいところに合わせて選んでいます。
今の季節に読みたい
観葉植物の冬越し
観葉植物を室内に取り込む時期の目安(最低気温15°C)、冬の置き場所、水やりの減らし方、肥料と葉水、寒さで傷んだときの対処まで解説。図鑑の観葉植物を耐えられる最低温度で一覧にしています。
今の季節に読みたい
秋の植え替え
秋は多肉植物や草花、果樹の植え替え・植え付けに向く一方、観葉植物は春まで待つのが基本です。秋の適期の目安、植物タイプ別の可否、根の扱い方と植え替え後の管理を解説します。
植物カレンダー
10月にやること
アジアンタム・テネルムは今月「12°Cを切る前に暖かい部屋へ移動」の時期です。ほかの植物の植えつけ・植え替え・肥料の適期も月ごとに確認できます。
ツール
水やりチェッカー
植物のタイプ・季節・置き場所・鉢サイズを選ぶだけで、水やり頻度の目安と失敗しないチェックポイントを表示します。
困ったとき
症状から原因を調べる
葉が黄色い・しおれる・虫がついた…症状別に見分け方と対処を解説しています。
ナレッジ
植物別の土の違い
観葉植物の土と野菜・花の土の違いは堆肥と肥料の量、多肉植物の土との違いは乾く速さです。4種類の土の原料・水はけ・保水・肥料分を比較表にし、観葉植物の土で野菜は育つか、多肉の土で観葉植物は育つかなど、代用できる組み合わせと選び方を解説します。
執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。