苗・株の選び方
貯水葉が株元をしっかり覆い、胞子葉がピンと張っている株を選びましょう。胞子葉が垂れてシワが寄っているものは水切れや根傷みの可能性があります。貯水葉の一部が茶色いのは自然な世代交代なので問題ありませんが、株の中心(成長点)が黒ずんでいるものは避けてください。初心者は丈夫なビフルカツムの板付け済み株か苔玉仕立てが扱いやすく、購入適期は成長期に入る5〜6月です。
Hapot編集部より
コウモリラン(Platycerium bifurcatum)は、鹿の角のように分岐する胞子葉と、株元を覆う丸い貯水葉という2種類の葉を持つ着生シダ植物です。和名は垂れ下がる葉の姿をコウモリの翼に見立てたもので、園芸界では「ビカクシダ」の名でも広く流通しています。原産はオーストラリア東部やニューギニアの熱帯・亜熱帯林で、樹木の幹に着生して育つため土を必要とせず、水苔を使った板付けやハンギングで壁面に飾れるのが最大の魅力です。難易度は中級者向けとされますが、ビフルカツムは原種の中で最も丈夫で耐寒性も比較的高く、水やりのコツさえ掴めば初心者でも十分育てられます。リドレイやウィリンキーなど個性的な品種のコレクションも人気で、SNS発のインテリアグリーンとして近年最も注目される植物のひとつです。
水やり
水苔が乾いたら株ごと水に浸ける(週2-3回、冬は週1回)
日光
間接光
適温
10-30°C(最低10°C以上)
湿度
60-80%
土
水苔(土は使わない)。板付けまたはハンギング栽培
肥料
春〜秋に月1回、薄い液肥を水やり時に
成長速度
中
毒性
なし
貯水葉が株元をしっかり覆い、胞子葉がピンと張っている株を選びましょう。胞子葉が垂れてシワが寄っているものは水切れや根傷みの可能性があります。貯水葉の一部が茶色いのは自然な世代交代なので問題ありませんが、株の中心(成長点)が黒ずんでいるものは避けてください。初心者は丈夫なビフルカツムの板付け済み株か苔玉仕立てが扱いやすく、購入適期は成長期に入る5〜6月です。
レースカーテン越しの明るく風通しの良い場所が理想です。本来は樹木に着生するシダで、木漏れ日と風の流れる環境を好みます。直射日光は葉焼け、無風の閉め切った部屋は蒸れと生育不良の原因に。春〜秋は屋外の半日陰(軒下など雨の当たりにくい場所)に吊るすと見違えるほど元気になります。冬は10°C以上を保てる室内へ。板付けやハンギングにすると着生植物本来の姿が楽しめ、風通しも確保できて一石二鳥です。
水やりは「貯水葉と植え込み材が乾いたら」が基本です。鉢植え・苔玉なら水苔が乾いたらたっぷり、板付けなら水を張ったバケツに10〜15分沈める「ドブ漬け」が確実です。頻度は春〜秋で週1〜2回、冬は10日〜2週に1回。株元を覆う貯水葉が自分で水を蓄えるため、乾かし気味でも意外と耐えます。逆に常に湿っていると貯水葉の裏が蒸れて傷むので注意。空中湿度を好むため、霧吹きの葉水はこまめに行いましょう。
剪定は基本的に不要です。茶色く枯れた胞子葉(鹿の角状の葉)は付け根からカットしてOK。ただし株元を覆う貯水葉は、茶色く枯れても剥がさないでください。枯れた貯水葉は新しい貯水葉の下敷きとなり、水分と養分を蓄えるスポンジの役割を果たします。「枯れ葉も株の一部」がコウモリラン管理の合言葉です。
2〜3年に1回、5〜8月に。鉢植えなら一回り大きな鉢に水苔で植え直します。人気の「板付け」への移行もこの時期が適期です:焼き杉板などに水苔を敷き、株を置いてテグスや麻ひもで固定するだけ。貯水葉が板を抱き込むように成長し、壁掛けできる生きたインテリアになります。子株が出ていたら、貯水葉ごと丁寧に外して独立させられます。
株分け(子株外し)が確実です。親株の脇に出た子株が、貯水葉つきで手のひらサイズに育ったら、根と水苔ごとナイフで切り離し、水苔で包んで小鉢か板に付けます。適期は5〜8月。胞子からの繁殖も可能ですが、発芽から観賞サイズまで数年かかるため上級者向けです。子株は親と同じ環境で管理し、根付くまで水を切らさないようにしてください。
カイガラムシとハダニに注意します。貯水葉の裏や胞子葉の付け根は虫が隠れやすいポイントです。カイガラムシは見つけ次第ブラシで除去、ハダニは葉水で予防を。それ以上に多い失敗は「蒸れによる根腐れと貯水葉の腐敗」で、風通しの確保と乾かし気味の水やりがあらゆるトラブルの予防になります。葉の表面の白い粉(星状毛)は乾燥から身を守る大切な組織なので、こすり落とさないようにしましょう。
成長が始まります。新しい貯水葉や胞子葉が展開。月1回の液肥を開始。
成長最盛期。水やり頻度を上げ、湿度を保ちましょう。蒸れに注意して風通しを確保。
成長が緩やかに。水やりの間隔を少しずつ空けます。
水やりは週1回程度に減らします。10°C以上を保てる室内で管理。エアコンの乾燥に注意。
原因
自然な世代交代(正常)
対策
剥がさずにそのままにする。新しい貯水葉が下に出てくる
原因
水不足、光不足
対策
水苔をしっかり水に浸け、明るい場所に移動
原因
炭疽病(多湿・蒸れ)
対策
風通しを改善し、患部を切除。殺菌剤を散布
コウモリランの花言葉は「信頼」「助け合い」「魔法」です。シダ植物なので花は咲きませんが、樹木に寄り添って生きる着生植物としての姿から「信頼」「助け合い」が、花を咲かせずに胞子で増える神秘的な生態から、西洋でシダ全般に与えられた「魔法」のイメージが由来とされています。
風水では、コウモリランのように下に垂れる丸みのある葉を持つ植物は「気を落ち着かせ、調和をもたらす」とされ、リビングや寝室との相性が良いといわれます。また土を使わず壁に掛けて飾れるため、気の入り口である玄関に置いても床をふさがず、良い気の流れを妨げないのが利点です。コウモリは中国で「福」と同音の縁起の良い動物とされており、コウモリの名を持つこの植物も幸運を呼ぶ植物として扱われることがあります。
適期は5〜8月の成長期です。コルク板や焼杉板に麻紐用の穴を開け、水で戻した水苔をドーム状に盛ります。鉢から抜いた株の土を優しく落とし、成長点(株の中心)を上向き、貯水葉の向きを確認して水苔の上に置き、テグスや麻紐で貯水葉ごと板に固定します。テグスは食い込まない程度にしっかりと。固定後1〜2週間は明るい日陰で養生し、水苔が乾いたら水やりを再開すると1〜2か月で活着します。
育てられます。ホームセンターや100円ショップで売られている小さなビフルカツムのポット苗も、明るい間接光と適切な水やりで問題なく成長します。最初は土植えのまま管理し、株が一回り大きくなった5〜8月に板付けや苔玉に仕立て直すのがおすすめです。小苗は乾燥に弱いので、大株より水切れに注意し、水苔や土の乾きをこまめに確認してください。2〜3年で見栄えのする中株に育ちます。
基本的に頻繁な交換は不要です。水苔が古くなって黒ずみ、潰れて水を含みにくくなったら、2〜3年を目安に5〜8月に増し苔(古い水苔の上から新しい水苔を足す)か仕立て直しを行います。貯水葉が水苔を覆ってしまった株は無理に剥がさず、貯水葉の下端の隙間から新しい水苔を詰めるか、板ごと一回り大きな板に重ねて固定する方法が安全です。
ビフルカツムは比較的耐寒性があり、短時間なら5°C程度まで耐えますが、安全圏は10°C以上です。屋外管理の株は最低気温が15°Cを下回り始める10月中〜下旬に室内へ取り込みましょう。冬は窓辺のレースカーテン越しの光が当たる場所に置き、水やりは水苔が完全に乾いてから週1回程度に減らします。リドレイなど高温性の品種は15°C以上を保つ必要があるため、品種ごとの耐寒性の違いに注意してください。
親株の脇に出た子株が、貯水葉3枚以上・直径10cm程度に育ったら株分けできます。適期は5〜8月です。清潔なナイフで子株の根を付けた状態で親株から切り離し、根を湿らせた水苔で包んで新しい板に固定するか、水苔を入れた鉢に植え付けます。切り離した直後は乾燥に弱いので、明るい日陰で湿度を保って管理し、新しい葉が動き出したら通常管理に戻します。小さすぎる子株は失敗しやすいので焦らないことが大切です。
コウモリランは役割の異なる2種類の葉を持ちます。胞子葉は鹿の角のように上や前方へ伸びる葉で、光合成を行い、成熟すると裏面に茶色い胞子嚢(ほうしのう)を付けます。貯水葉(外套葉)は株元を覆う丸い葉で、水分を蓄え、原生地では落ち葉を受け止めて養分に変える器官です。貯水葉は茶色く枯れたように見えても機能しているため、絶対に剥がさないでください。胞子葉の裏の茶色い粉も病気ではなく正常な胞子です。