苗・株の選び方
良い株は3点で見分けます。赤い苞の付いた蕾が枝先にいくつも控えていること、葉が濃い緑で艶があり、下葉が黄色くなっていないこと、枝が太く節の間が詰まっていることです。苞だけでなく、中から紫の花びらがのぞき始めた蕾が多い株は、家に迎えてからも長く咲きます。
避けたいのは、下葉が落ちて枝が間延びした株と、葉裏に白いかすれやベタつきがある株です。前者は日照不足、後者はハダニやカイガラムシの可能性があります。秋以降は売り場が寒くないかも確認します。
Hapot編集部より
パボニアは、冬に10°C以上を保てる明るい室内があれば、初心者でも長く花を楽しめるアオイ科の熱帯性花木です。鉢花として「パボニア」の名で出回るのは、主にブラジル原産のパボニア・マルチフローラの系統です。花びらのように見える赤い部分は苞(副がく)で、その中から濃い紫の花びらが筒状にのぞき、先端から青紫のおしべが顔を出します。ろうそくの炎のような姿から、ブラジリアンキャンドルとも呼ばれます。流通株には、マルチフローラを親にした交配種とされるものも含まれるといわれます。同じ属のパボニア・ハスタータ(和名ヤノネボンテンカ)は、白〜淡いピンクで中心が赤い小花を咲かせる別の種で、「パボニア・ハスタータ」と種名付きで苗が少し出回る程度です。マルチフローラは暖かければ周年咲くとされ、日本では5〜10月によく咲きます。同じアオイ科のハイビスカスと同じく、日当たりと水切れ対策が花数を左右します。

水やり
土の表面が乾いたら(春秋は2〜3日に1回、夏は毎日確認、冬は土の中まで乾いてから週1回程度)
日光
直射日光
温度の目安
10-30°C(マルチフローラ。冬は10°C以上が安心で、5°C前後が限界とされる)
湿度
50-70%
土
水はけと水もちの良い草花用培養土。赤玉土を多めにした配合
大きさの目安
マルチフローラは鉢植えで高さ30cm〜1m前後、原産地では2m近くになるとされます。ハスタータは高さ1m前後の低木です。流通は4〜6号鉢が中心です。
成長の速さ
中(鉢植えで高さ30cm〜1m前後)
温度の目安(耐寒〜耐暑)
10-30°C(マルチフローラ。冬は10°C以上が安心で、5°C前後が限界とされる)
肥料
5〜10月に緩効性肥料を2か月に1回、または液肥を10日〜2週間に1回
成長速度
中(鉢植えで高さ30cm〜1m前後)
毒性
人やペットへの毒性はとくに知られていないが、口にしないよう置き場所に注意する
花が止まる原因の多くは、日照不足と冬の寒さです。春から秋は日の当たる場所で育て、最低気温が15°Cを下回る前に室内の窓辺へ移します。
良い株は3点で見分けます。赤い苞の付いた蕾が枝先にいくつも控えていること、葉が濃い緑で艶があり、下葉が黄色くなっていないこと、枝が太く節の間が詰まっていることです。苞だけでなく、中から紫の花びらがのぞき始めた蕾が多い株は、家に迎えてからも長く咲きます。
避けたいのは、下葉が落ちて枝が間延びした株と、葉裏に白いかすれやベタつきがある株です。前者は日照不足、後者はハダニやカイガラムシの可能性があります。秋以降は売り場が寒くないかも確認します。
春から秋は、日当たりの良い窓辺か屋外で育てます。1日4〜6時間ほど日が当たると花付きが安定します。ただし真夏の直射日光と西日は葉焼けや蕾落ちの原因になるので、7〜8月は午前中だけ日が当たる場所か、レースカーテン越しに移します。熱帯性で寒さに弱く、最低気温が15°Cを下回る前に室内へ取り込み、冬は10°C以上を保つのが目安です。冬は日の当たる窓辺に置きますが、夜は窓から50cm以上離して冷気を避けます。エアコンの風が直接当たる場所も、乾燥で葉が傷むため避けます。
よくある失敗は、買ってきた株を暗い室内に置き続け、蕾が落ちて新しい花が上がらなくなることです。明るい窓辺に移して2〜3週間かけて光に慣らすと、新しい枝の先に再び蕾が付きます。
パボニアは水切れに弱く、乾かしすぎると蕾や花がまとめて落ちます。土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。春と秋は2〜3日に1回、花が続く夏は毎日土を確かめ、乾いていれば朝に与えます。冬は生育がゆるやかになるため、土の中まで乾いてから暖かい日の午前に、週1回程度与えます。乾燥する季節は霧吹きで葉に水をかけると、ハダニの予防にもなります。
よくある失敗は、夏に1日水を切らして葉がしおれ、蕾が落ちることです。すぐにたっぷり与えて半日陰で1〜2日休ませると、多くは葉が戻ります。反対に冬に受け皿の水をためたままにしないでください。低温と過湿が重なると根が傷み、下葉から黄色くなって落ちます。
市販の草花用培養土がそのまま使えます。自分で配合するなら赤玉土小粒6、腐葉土3、パーライト1の割合で、水はけと水もちを両立させます。鉢底には鉢底石を2〜3cm敷き、元肥として緩効性肥料を規定量混ぜます。鉢は株の大きさに合わせて5〜7号が扱いやすく、プラスチック鉢は乾きにくく、素焼き鉢は乾きやすいので、水やりの間隔を合わせます。室内で管理する時間が長い株は、有機質の多い土を避けるとコバエが湧きにくくなります。表面に赤玉土や化粧砂を1cmほど敷くのも効果があります。
パボニア・マルチフローラは、伸びた枝の先に花を付けます。剪定の適期は、気温が上がって新芽が動き出す5〜6月です。枝が間延びした株は、高さの半分ほどを目安に、葉の付け根のすぐ上で切り戻すと、脇から新しい枝が出て花の数が増えます。花が終わった部分は、苞が茶色くなったら付け根から摘み取ります。秋に室内へ取り込む前に置き場所に収まらない場合は、伸びすぎた枝だけを軽く切りそろえます。
よくある失敗は、冬に強く切り戻して芽が出ず、枝が枯れ込むことです。15°C未満の時期の強い剪定は避け、切ってしまった場合は暖かく明るい場所で水を控えめにして春を待つと、5月ごろから芽が動きます。
時期と道具を用意する
新芽が動き出す5〜6月の晴れた日に行います。清潔な剪定ばさみを用意し、15°C未満の時期の強い切り戻しは避けます。
終わった花を摘む
苞が茶色くなった花は、付け根から摘み取ります。生育期は花がらをこまめに摘むと、株が疲れにくく次の蕾が上がりやすくなります。
伸びた枝を切り戻す
間延びした枝は、高さの半分ほどを目安に、葉の付け根のすぐ上で切ります。脇から新しい枝が出て、枝先の花の数が増えます。
混み合った枝を間引く
内側に向かう枝や細く弱い枝を付け根から切り、風通しを良くします。ハダニやカイガラムシの予防にもなります。
日当たりの良い場所で管理する
剪定後は日の当たる場所に置き、土が乾いたら水を与えます。新芽が伸び始めたら肥料を与え、1〜2か月後の開花を待ちます。
植え替えは1〜2年に1回、5〜6月に行います。鉢底から根が出ている、水が染み込みにくい、葉が小さくなったといった様子が合図です。根鉢の肩と底の古い土を3分の1ほど落とし、黒く傷んだ根を切って、一回り大きな鉢に新しい土で植え直します。同じ大きさの鉢で育てたい場合は、根鉢の周りを2〜3cm削って戻し、枝も3分の1ほど切り戻して根と葉の量を釣り合わせます。植え替え後1週間は、直射日光の当たらない明るい場所で管理します。
よくある失敗は、秋や冬に植え替えて根が回復せず、葉を落とすことです。その場合は水を控えめにして10°C以上の明るい場所に置き、肥料は与えずに春の芽吹きを待ちます。
時期と道具をそろえる
5〜6月の暖かい日に行います。一回り大きな鉢、草花用培養土、鉢底石、清潔なハサミを用意し、前日から水を控えて土を乾かしておきます。
株を鉢から抜く
鉢の縁を軽く叩いて株元を持ち、根鉢ごと抜き取ります。蕾の付いた枝を折らないよう、枝をまとめて軽く支えながら作業します。
古い土と傷んだ根を取る
根鉢の肩と底の古い土を3分の1ほど落とし、黒く傷んだ根や長く巻いた根を切ります。白く張りのある根はできるだけ残します。
新しい土で植え付ける
鉢底石を2〜3cm敷いて土を入れ、元と同じ深さに据えます。隙間に土を入れ、割り箸で軽く突いて根と土をなじませます。
明るい日陰で休ませる
鉢底から流れるまで水を与え、1週間は直射日光の当たらない明るい場所に置きます。肥料は新芽が動き出す2〜3週間後から再開します。
家庭で増やすなら挿し木が手軽です。適期は気温が20〜25°Cになる5〜7月で、その年に伸びた若い枝を、節を2〜3つ含む8〜10cmに切って挿し穂にします。下の葉を取り、上の葉が大きければ半分に切って水分の蒸発を減らします。挿し木用土やバーミキュライトに挿し、明るい日陰で土を乾かさずに管理すると、3〜5週間ほどで根が出るとされます。種でも増やせますが、交配種とされる流通株は親と同じ花にならないことがあります。
よくある失敗は、気温の低い時期に挿して発根しないまま挿し穂が黒く傷むことです。挿し木は25°C前後が保てる時期に行い、ポリ袋をかぶせて湿度を保つと成功しやすくなります。
時期と道具を用意する
気温が20〜25°Cになる5〜7月に行います。清潔なハサミ、挿し木用土かバーミキュライト、小鉢、ポリ袋、発根促進剤を用意します。
挿し穂を切る
その年に伸びた若い枝を、節を2〜3つ含む8〜10cmに切ります。蕾や花は取り除き、下の葉を外して、上の大きな葉は半分に切ります。
水を吸わせて挿す
切り口を30分〜1時間水に浸け、発根促進剤を薄く付けます。湿らせた用土に、下の節が埋まる深さまで挿します。
湿度を保って管理する
直射日光の当たらない明るい日陰に置き、ポリ袋をかぶせて乾かさないように管理します。3〜5週間ほどで根が出るとされます。
鉢上げする
新芽が伸びて軽く引いても抜けなくなったら、3〜4号鉢に草花用培養土で植え替えます。1週間は明るい日陰で慣らします。
注意したい害虫は、新芽や蕾に付くアブラムシ、乾燥すると葉裏に増えるハダニ、葉裏から飛び立つコナジラミ、枝に付くカイガラムシです。とくに室内で冬越しさせる間は、暖房で空気が乾き、ハダニが増えやすくなります。葉の表面に白いかすれが出たら、葉裏をシャワーで洗い流し、3日おきに2〜3回繰り返します。カイガラムシは歯ブラシでこすり落とします。数が多い場合は、花に使える園芸用の殺虫剤を表示どおりに使います。
よくある失敗は、屋外から室内に取り込んだ株に付いていた害虫が、冬の間に増えることです。取り込む前に葉裏と枝を確認し、シャワーで洗ってから室内に入れます。
最低気温が15°Cを超えたら、日当たりの良い屋外か窓辺へ移します。水は土の表面が乾いたら与え、5月から肥料を再開します。5〜6月は植え替えと切り戻しの適期です。新芽に付くアブラムシに注意します。
花がよく咲く季節です。水は毎日土を確かめ、乾いていれば朝にたっぷり与えます。肥料は液肥を10日〜2週間に1回与えます。7〜8月は西日を避けて半日陰に移します。水切れによる蕾落ちとハダニに注意します。
最低気温が15°Cを下回る前に室内の明るい窓辺へ取り込みます。水は土が乾いたら与え、肥料は10月で止めます。取り込む前に葉裏の害虫を確認し、置き場所に合わせて伸びた枝を軽く切りそろえます。
10°C以上を保てる明るい窓辺で冬越しさせます。水は土の中まで乾いてから週1回程度、暖かい日の午前に与えます。冬は肥料を与えません。暖房で乾燥するとハダニが増えるので、葉水を続けます。
原因
水切れ、日照不足、取り込みなどによる急な環境の変化、10°Cを下回る寒さが主な原因です。パボニアは乾かしすぎると色付いた蕾をまとめて落とします。
対策
夏は毎日土を確かめ、乾いていればたっぷり水を与えます。日の当たる窓辺に置き場所を固定し、冬は10°C以上を保つと、新しい枝の先に再び蕾が付きます。
原因
日照不足で枝が間延びしている、冬の寒さで株が弱っている、根詰まりしているといったことが考えられます。窒素の多い肥料の与えすぎで葉ばかり茂ることもあります。
対策
1日4〜6時間日の当たる場所に移し、5〜6月に切り戻しと植え替えを行います。肥料はリン酸を含む花用のものを規定量与えると、1〜2か月で蕾が上がりやすくなります。
原因
低温と過湿が重なって根が傷んでいる可能性があります。冬は生育がゆるやかで水を吸う量が減るため、夏と同じ頻度で水を与えると土が乾きません。
対策
水やりは土の中まで乾いてから週1回程度に減らし、受け皿の水は捨てます。10°C以上の明るい場所に移し、春に新芽が動くまで肥料は与えません。
原因
ハダニの被害が考えられます。乾燥を好む小さな虫で、とくに室内で冬越しさせる間に暖房で空気が乾くと、葉裏で増えやすくなります。
対策
葉裏をシャワーで洗い流し、3日おきに2〜3回繰り返します。予防には霧吹きで葉に水をかけます。数が多い場合は園芸用の殺ダニ剤を表示どおりに使います。
原因
アブラムシ、コナジラミ、カイガラムシの排せつ物に、すす病のカビが生えたものと考えられます。新芽や葉裏、枝の付け根に虫が付いていることが多いです。
対策
アブラムシとコナジラミはシャワーで洗い流し、カイガラムシは歯ブラシでこすり落とします。すすは湿らせた布で拭き取り、数が多い場合は殺虫剤を表示どおりに使います。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
パボニアの花言葉としては、「繊細な美しさ」などが紹介されることがありますが、広く定まったものは多くありません。赤い苞から濃い紫の花びらがのぞく姿が、ろうそくの炎のように見えることから、ブラジリアンキャンドルの名とともに、印象的な花として親しまれています。
パボニアについて、風水で広く知られた決まった意味づけはありません。一般に赤い花は情熱や活力を表す色とされ、玄関や南側の窓辺に飾ると明るい印象になるといわれます。冬も室内で花が見られることがあるので、季節を問わず部屋に彩りを添えてくれます。
水切れ、日照不足、急な環境の変化が主な原因です。パボニアは乾かしすぎると、色付いた蕾をまとめて落とします。夏は毎日土を確かめ、乾いていればたっぷり与えます。買ってきた直後や、屋外から室内へ移した直後にも、光の量や温度が急に変わって蕾が落ちることがあります。置き場所はできるだけ固定し、日の当たる窓辺で育ててください。冬に10°Cを下回る寒さに当たった場合も蕾が落ちやすくなります。
赤い部分は花びらではなく、苞(副がく)と呼ばれる部分です。パボニア・マルチフローラは、細長い赤い苞が花を包むように並び、その中から濃い紫の花びらが筒状に巻いたままのぞきます。花びらは大きく開かないことが多く、先端から青紫のおしべが顔を出します。苞は色が長く残るため、花が終わったあともしばらく赤く見えます。苞が茶色くなってきたら、付け根から摘み取ってください。
花の色と形、寒さへの強さが違います。マルチフローラは赤い苞と濃い紫の花びらが特徴で、ろうそくのような細長い花を咲かせます。ハスタータは白〜淡いピンクで中心が赤い、直径2〜3cmほどの開いた小花で、葉が矢じりの形をしていることから和名をヤノネボンテンカといいます。ハスタータの方が寒さに強いとされますが、どちらも日本の多くの地域では冬は霜の当たらない場所で管理するのが安心です。
暖かく明るい室内なら、冬でも咲くことがあります。パボニア・マルチフローラは、温度が保たれれば季節を問わず花を付ける性質があるとされます。日当たりの良い窓辺で、昼は20°C前後、夜も15°C近くを保てる部屋なら、冬に蕾が上がることもあります。10°C前後の部屋では花が止まりやすいですが、株が元気なら春に気温が上がるとまた咲き始めます。冬は花を無理に咲かせようと肥料を与えないでください。
冬の低温と過湿、または根詰まりが主な原因です。寒い時期に土が湿ったままだと根が傷み、古い下葉から黄色くなって落ちます。冬は土の中まで乾いてから水を与え、10°C以上の場所に置いてください。春から秋に下葉が落ちる場合は、鉢底から根が出ていないかを確認し、5〜6月に一回り大きな鉢へ植え替えます。新しい葉が元気に出ていれば、数枚の下葉が落ちるのは古い葉の入れ替わりなので心配いりません。
執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。