苗・株の選び方
苗は、品種名の書かれた名札付きの苗を選ぶことが大切です。1本で実付きのよいとされる品種と、受粉樹が必要な品種があり、2本植えるなら開花期の合う組み合わせを確かめます。
良い苗は、幹が鉛筆より太くしっかりしている、葉が厚く灰緑色で裏が銀白色に光る、枝数が多く株がこんもりしている、の3点がそろったものです。葉が茶色く傷んで落ちている苗と、枝や葉裏にカイガラムシの殻が付いている苗は避けます。早く収穫したいなら、花芽の付いた3年生以上の大苗が向いています。
Hapot編集部より
フェイジョアは、寒さに比較的強く病害虫も少ないため、鉢植えで果樹を始めたい人に向く南米生まれの常緑果樹です。ブラジル南部やウルグアイが原産のフトモモ科の低木で、表が灰緑色、裏が銀白色の葉が一年中茂り、庭木や目隠しとしても使われます。6月に咲く花は、外側が白く内側が赤紫の肉厚な花びらに、濃い赤の雄しべが房のように立つ独特の姿で、花びらは甘みがあって食べられます。10〜11月には長さ5〜8cmの緑色の実が熟し、パイナップルとバナナを合わせたような香りの果肉をスプーンですくって味わいます。熟した実は自然に落ちるので、拾って数日追熟させるのが収穫のしかたです。
気をつけたいのは受粉で、1本では実付きの悪い品種が多いため、確実に収穫するなら開花期の合う2品種を並べて植えます。耐寒性は-10°C前後とされ、関東以西の平地なら庭植えもでき、鉢植えなら8〜10号鉢で高さ1〜1.5mに保てます。

水やり
庭植えは根付けば雨任せ。鉢は表面が乾いたら
日光
直射日光
温度の目安
-10〜35°C程度(関東以西の平地なら庭植え可)
湿度
40-60%
土
水はけと水もちのよい、弱酸性の土
大きさの目安
庭植えで2〜3m(放任すると5m前後)。剪定で2m以下に保てる。鉢植えは8〜10号鉢で高さ1〜1.5mほど。
成長の速さ
中(苗木から3〜4年で結実。放任で3〜5m)
温度の目安(耐寒〜耐暑)
-10〜35°C程度(関東以西の平地なら庭植え可)
肥料
3月・6月・10月の年3回
成長速度
中(苗木から3〜4年で結実。放任で3〜5m)
毒性
実と花びらは食用。毒性は知られていない
実がならない原因の多くは受粉不足です。2品種を並べて植えるか、開花中に筆で人工授粉をすると、1本ずつ育てるよりも実付きがはっきりよくなります。
苗は、品種名の書かれた名札付きの苗を選ぶことが大切です。1本で実付きのよいとされる品種と、受粉樹が必要な品種があり、2本植えるなら開花期の合う組み合わせを確かめます。
良い苗は、幹が鉛筆より太くしっかりしている、葉が厚く灰緑色で裏が銀白色に光る、枝数が多く株がこんもりしている、の3点がそろったものです。葉が茶色く傷んで落ちている苗と、枝や葉裏にカイガラムシの殻が付いている苗は避けます。早く収穫したいなら、花芽の付いた3年生以上の大苗が向いています。
1日5〜6時間以上日が当たる、風通しのよい場所が向いています。半日陰でも枝葉は育ちますが、花芽が少なくなり実付きが落ちます。耐寒性は-10°C前後とされ、関東以西の平地なら庭植えで冬を越せますが、植えて1〜2年の若木は寒風で葉が傷みやすいので、北風の当たらない南向きの場所を選びます。鉢植えは日当たりのよいベランダや庭先に置き、冬の間ずっと室内に入れておく必要はありません。寒冷地では最低気温が-5°Cを下回る時期だけ、軒下や無加温の玄関へ移します。
よくある失敗は、木陰に置いて葉は茂るのに花がほとんど咲かないことです。春に日なたへ移せば、その年に伸びた枝に翌年から花が付き始めます。
庭植えは植え付け後1年ほど、土の表面が乾いたら株元にたっぷり与え、根付いた後は雨任せで育ちます。7〜8月に晴天が10日以上続くときだけ、朝か夕方に与えます。鉢植えは表面の土が乾いたら鉢底から流れ出るまで与え、夏は朝に確認して乾いていれば毎日与えます。冬は乾いてから2〜3日後で十分です。フェイジョアは乾燥にやや強いものの、6月の開花期と、7〜9月に実が大きくなる時期の水切れは、花や小さな実が落ちる原因になります。
よくある失敗は、夏に鉢を乾かしすぎて葉先がしおれ、若い実がぽろぽろ落ちることです。鉢ごとバケツの水に20分ほど浸けて土の芯まで湿らせ、その後は朝の水やりを習慣にすると、残った実は育ち続けます。
水はけと水もちのバランスがよい、弱酸性の土を好みます。鉢植えは市販の果樹用培養土をそのまま使えます。自分で配合する場合は、赤玉土小粒6、腐葉土3、パーライト1を目安にし、鉢底には鉢底石を2〜3cm敷いて水の抜け道を作ります。ブルーベリーほど酸性にこだわる必要はなく、一般的な培養土でも育ちます。庭植えは植え穴を直径・深さ40〜50cmほど掘り、掘り上げた土に腐葉土か堆肥を3割ほど混ぜます。水が溜まりやすい粘土質の場所は、周囲より土を盛り上げて植えると根腐れを防げます。
剪定は、新芽が動き出す前の2月下旬から3月が適期です。フェイジョアは、前年に伸びた枝から春に出る新しい枝の付け根近くに花を咲かせます。枝先を一律に切りそろえると花の付く枝が減るため、夏以降に枝先を刈り込まないようにします。作業は、枯れ枝、内側へ向かう枝、交差する枝、株元から出るひこばえを付け根から抜く間引きが中心で、切る量は全体の2割ほどにとどめます。高さを抑えたいときは、上に伸びた枝を外側へ向いた枝の分かれ目で切ります。生け垣にしている場合も、強い刈り込みは花後の7月上旬までに済ませます。
よくある失敗は、年末に枝先を刈り込んで翌年の花がほとんど咲かないことです。翌年は切らずに伸ばすと、その次の年から花が戻ります。
時期と道具を準備する
新芽が動き出す前の2月下旬から3月に行います。剪定ばさみ、太い枝用のノコギリ、癒合剤を用意します。
不要な枝を抜く
枯れ枝、内側へ向かう枝、交差する枝、株元から出るひこばえを付け根から切ります。株の内側まで光と風が入るようにします。
高さを抑える
背が高くなりすぎた枝は、外側に向いた枝の分かれ目で切ります。枝先を一律に切りそろえず、切る量は全体の2割ほどにします。
切り口と片付け
太い枝の切り口には癒合剤を塗ります。切った枝にカイガラムシが付いていれば、袋に入れて処分します。
鉢植えの植え付けと植え替えは、寒さのゆるむ3月下旬から4月が適期で、暑さの落ち着いた9月下旬から10月にもできます。苗は最初は7〜8号鉢に植え、根が回ったら2〜3年ごとに一回り大きな鉢へ移し、最終的には10号前後の鉢で育てます。鉢底から根が出ている、水が染み込みにくい、葉色が薄くなってきたといった様子が植え替えの合図です。鉢から抜いたら古い土を3分の1ほど落とし、黒く傷んだ根や長く巻いた根を切ってから植え直します。
よくある失敗は、真冬に植え替えて根を切り、寒さで葉が傷んで落ちることです。半日陰で水を控えめにして春を待てば、多くは4〜5月に新しい葉を出して回復します。
時期と用意するもの
3月下旬から4月に行います。一回り大きな鉢、果樹用培養土、鉢底石、清潔なハサミ、移植ごてを用意します。
根を整える
鉢から株を抜き、古い土を3分の1ほど落とします。黒く傷んだ根や、鉢底でぐるぐる巻いた長い根を切り詰めます。
植え直す
鉢底石を2〜3cm敷いて土を入れ、株元の高さが元と同じになるように据えます。周りに土を入れ、棒で突いて根の間の隙間を埋めます。
水やりと養生
鉢底から流れ出るまで水を与え、2週間ほど半日陰で休ませます。新しい葉が動き出したら日なたへ戻し、肥料は1か月後から与えます。
家庭では6〜7月の挿し木で増やせますが、発根率はあまり高くないため、挿し穂は多めに用意します。その年の春に伸びて少し固くなった枝を10〜15cmに切り、上の葉を2〜3枚残して、切り口に発根促進剤を付け、鹿沼土や挿し木用土に挿します。明るい日陰で土を乾かさないよう管理すると、2〜3か月で根が出ます。秋に拾った実から種を採ってまく実生も簡単に芽が出ますが、実がなるまで5〜8年かかり、親と同じ味の実になるとは限りません。
よくある失敗は、挿し穂を日の当たる場所に置き、1週間ほどで葉がしおれることです。日陰へ移し、鉢ごとビニール袋をかぶせて湿度を保つと、枝が緑色のうちは発根の見込みがあります。
時期と挿し穂の準備
6〜7月に、清潔なハサミと発根促進剤、挿し木用土を用意します。春に伸びて少し固くなった枝を10〜15cmに切ります。
葉を減らす
上の葉を2〜3枚残して下の葉を取り、切り口を斜めに切り直します。1時間ほど水に浸けてから、切り口に発根促進剤を付けます。
用土に挿す
湿らせた鹿沼土か挿し木用土に、棒で穴を開けてから挿し穂を3〜4cm挿します。発根率が高くないので、挿し穂は多めに挿します。
発根まで管理する
明るい日陰に置き、鉢ごとビニール袋をかぶせて湿度を保ちます。2〜3か月で根が出たら、翌春に1本ずつ鉢へ植え替えます。
フェイジョアは柑橘やリンゴに比べて病害虫が少ない果樹ですが、いくつか気をつけたい虫がいます。最も多いのはカイガラムシで、枝や葉裏に白や茶色の小さな殻が付き、排せつ物にすす病が出て葉が黒く汚れます。見つけたらブラシでこすり落とし、冬に用途に登録のあるマシン油乳剤をラベルどおりに散布します。春から初夏には、葉を丸めて中に潜むハマキムシや、葉を食べるイラガの幼虫が出ることがあります。イラガは触ると強く痛むので、手袋をして葉ごと切り取ります。
よくある失敗は、枝が混み合ったままでカイガラムシが株の内側で増え、すす病で葉が真っ黒になることです。3月の剪定で内側の枝を抜き、風通しをよくすると発生が減ります。
3月に剪定と1回目の肥料を済ませ、植え付けや植え替えは3月下旬から4月に行います。水は鉢の表面が乾いたら与えます。置き場所は日当たりのよい屋外で、新芽にハマキムシが付いていないか見回ります。
6月に花が咲くので、2品種の花の間で人工授粉をします。花後に2回目の肥料を与えます。鉢は朝に乾き具合を見て、乾いていれば毎日水を与えます。日なたに置いたまま、夏の水切れによる実の落下に注意します。
10〜11月に熟した実が自然に落ちるので、毎日拾って常温で3〜7日追熟させます。収穫後の10月に3回目の肥料を与えます。水は乾いたらたっぷり与え、日なたに置きます。落ちた実を放置すると傷んで虫が寄ります。
鉢の水やりは乾いてから2〜3日後に控えめにし、肥料は与えません。置き場所は屋外の日なたで構いませんが、寒冷地は軒下へ移します。冬は寒風による葉の傷みに注意し、枝にカイガラムシがいればこすり落とします。
原因
1本では実付きの悪い品種を1本だけ植えているか、開花中の雨で受粉できなかったことが多い原因です。植えて2〜3年の若木もまだ実が付きにくい時期です。
対策
開花期の合う別の品種を近くに置き、咲いている花の雄しべを筆でなでて別の株の花に付ける人工授粉をします。鉢植えは開花中だけ軒下へ移します。
原因
熟して自然に落ちる前に、木からもぎ取った未熟な実です。フェイジョアは見た目では熟したかどうかがわかりにくい果物です。
対策
実は落ちるのを待って拾い、常温で3〜7日置いて追熟させます。香りが強くなり、指で押してわずかにへこむようになったら食べごろです。
原因
枝や葉裏に付いたカイガラムシの排せつ物にカビが生えるすす病です。風通しの悪い株で起こりやすくなります。
対策
殻をブラシでこすり落とし、混み合った枝を間引いて風を通します。冬に用途に登録のあるマシン油乳剤をラベルどおりに使うと翌年の発生が減ります。
原因
-10°Cを下回る冷え込みや、乾いた北風に当たり続けたことが考えられます。鉢植えは土が凍って根が傷むこともあります。
対策
枝が緑色で生きていれば、3月に枯れた枝先だけを切り、春の新芽を待ちます。鉢植えは冬だけ軒下へ移し、寒冷地では不織布で株を包みます。
原因
葉を巻いて中に潜み、葉を食べるハマキムシの幼虫です。春から初夏の新芽の時期に多く見られます。
対策
巻いた葉を開いて幼虫を取り除き、被害の大きい葉は摘み取ります。数が多い年は、用途に登録のある薬剤をラベルどおりに使います。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
フェイジョアの花言葉は「実りある人生」「情熱に燃える心」などとされます。白い花びらの内側からのぞく真っ赤な雄しべの華やかさと、花のあとに香りのよい実がたくさん実る姿に由来するといわれます。日本ではまだ広く定まった花言葉ではありません。
風水では、銀白色の葉裏が光を返す木は空間を明るくし、実のなる木は家に実りをもたらすとされます。一年中葉が落ちない常緑樹なので、目隠しを兼ねて庭や玄関まわりに植えやすいともいわれます。根拠のある話ではないので、日当たりと受粉しやすい配置を優先して場所を決めます。
品種によっては1本でも実がなりますが、確実に収穫するなら2品種を植えます。フェイジョアは自分の花粉では実を結びにくい品種が多く、アポロやクーリッジのように1本でも実付きがよいとされる品種も、別の品種がそばにあるほうが実の数が増えやすいといわれます。1本だけで育てる場合は、開花中に筆で花の中心をなでて人工授粉をすると実付きが安定します。
なります。8〜10号鉢で高さ1〜1.5mに保てば、ベランダでも毎年実を収穫できます。苗を植えてから実がなるまでは3〜4年が目安で、10号鉢の株なら1鉢あたり10〜30個ほどが期待できます。鉢植えでは2品種の鉢を並べて置けるので、受粉の組み合わせを作りやすいのも利点です。日当たりと夏の水やりさえ確保すれば、鉢でも十分に実ります。
収穫は10〜11月で、熟して自然に落ちた実を拾うのが基本です。実は熟しても緑色のままなので、色では判断できません。木を軽く揺すって落ちる実が収穫どきで、無理にもいだ実は甘くなりにくくなります。拾った実を常温で3〜7日置き、甘い香りが強くなって指で押すとわずかにへこむようになったら食べごろです。半分に切り、果肉をスプーンですくって食べます。
花びらは食べられます。肉厚の花びらには甘みがあり、そのまま口にしたり、サラダやデザートの彩りに使ったりします。原産地では鳥が花びらを食べに来て、そのときに花粉を運ぶといわれます。ただし、花びらをすべて摘むと受粉と実付きに影響する場合があるので、実を収穫したい年は摘む量を控えめにします。薬剤を散布した株の花は食べないようにします。
-10°C前後まで耐えるとされ、関東以西の平地なら屋外で冬を越せます。鉢植えも室内に取り込む必要はなく、北風の当たらない日なたに置けば十分です。植えて1〜2年の若木や、最低気温が-5°Cを下回る寒冷地では、軒下へ移すか不織布で株を包みます。鉢の土が凍ると根が傷むので、寒い地域では鉢を発泡スチロールの箱に入れるなどして冷えを和らげます。
挿し木や接ぎ木の苗木なら、植えてから3〜4年が目安です。花芽の付いた3年生以上の大苗を買えば、翌年から収穫できることもあります。種から育てた実生の株は5〜8年かかるうえ、親と同じ味の実になるとは限りません。若いうちは花が咲いても実が落ちやすいので、肥料を年3回与えて株を育て、2品種で受粉させると実りやすくなります。
10月の季節の作業と、フェイジョアの手入れで迷いやすいところに合わせて選んでいます。
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執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。