苗・株の選び方
苗は、枝の節に丸くふくらんだ花芽がたくさん付いているものを選びます。花芽が多い苗ほど、翌春から花と実を楽しめます。赤い実の品種と白い実の品種があるので、名札で実の色も確かめます。
良い苗は、ほかに幹や枝がしっかりしていて傷がなく、根元がぐらつかないものです。避けたいのは、枝に白い殻のようなカイガラムシや新芽にアブラムシが付いた苗と、枝が細く間延びして芽の少ない苗です。2〜3年生の鉢植え苗なら、早ければその年の6月から実を収穫できます。
Hapot編集部より
ユスラウメは、高さ1〜2mほどの小さな木で手間がかからず、1本でも実がなりやすい初心者向けの果樹です。3〜4月に葉より先に白や淡いピンクの小さな花が枝いっぱいに咲き、6月ごろに直径1cmほどの赤い実が熟します。実は甘酸っぱく、洗ってそのまま生で食べられるほか、ジャムや果実酒にも向いています。名前に「ウメ」とつきますが、サクランボと同じサクラ属の仲間で、実の見た目も小さなサクランボに似ています。寒さにも暑さにも強く、病害虫も比較的少ないので、鉢植えでも庭植えでも育てやすいのが魅力です。白い実がなる品種もあります。花の時期は枝が白く覆われ、花木としても楽しめます。
苗木なら植えて2〜3年、種から育てても3〜4年ほどで実がなり始めます。一方で、木の寿命は10〜20年ほどと果樹の中では短めとされ、古い枝から勢いが落ちていきます。若い枝への更新や挿し木で次の株を用意しておくと、長く実を楽しめます。

水やり
鉢は表面が乾いたら。庭植えは根付けば雨任せ
日光
直射日光
温度の目安
-15〜35°C(寒さに強い)
湿度
40-60%
土
水はけのよい、有機質を含む土
大きさの目安
庭植えで1.5〜3m。鉢植えは60cm〜1mほどに保てる。
成長の速さ
中(苗木から2〜3年で結実)
温度の目安(耐寒〜耐暑)
-15〜35°C(寒さに強い)
肥料
2月と6月(収穫後)の年2回
成長速度
中(苗木から2〜3年で結実)
毒性
実は食用。種は噛み砕いて食べない
手入れは冬の間引き剪定と年2回の肥料、実が色づく時期の鳥よけで足ります。寿命が短めなので、元気な若い枝を残して木を若返らせます。
苗は、枝の節に丸くふくらんだ花芽がたくさん付いているものを選びます。花芽が多い苗ほど、翌春から花と実を楽しめます。赤い実の品種と白い実の品種があるので、名札で実の色も確かめます。
良い苗は、ほかに幹や枝がしっかりしていて傷がなく、根元がぐらつかないものです。避けたいのは、枝に白い殻のようなカイガラムシや新芽にアブラムシが付いた苗と、枝が細く間延びして芽の少ない苗です。2〜3年生の鉢植え苗なら、早ければその年の6月から実を収穫できます。
日当たりと風通しのよい屋外が向いています。半日陰でも育ちますが、日照が少ないと花と実の数が減ります。寒さに非常に強く、-15°C前後でも冬越しするので寒冷地でも庭植えでき、関東以西の暖地でも問題なく育ちます。小さな木なので、鉢植えは6〜8号鉢で高さ60cm〜1mほどに保てば、ベランダでも十分に実を楽しめます。夏は西日が長く当たると鉢が乾きすぎるので、午後に日陰になる場所が理想です。開花期の3〜4月に雨が続くと受粉しにくくなるため、鉢は軒下へ移すと実つきが安定します。
よくある失敗は、庭木の陰になる場所に植えて花がまばらになり、実がほとんどつかないことです。鉢植えなら日なたへ移し、庭植えは周りの枝を整理すると回復します。
鉢植えは土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。春と秋は2〜3日に1回、夏は朝の水やりに加えて、夕方に乾いていればもう一度与えます。冬の落葉期は乾きにくいので、乾いてから2〜3日後で十分です。庭植えは根付けば雨任せでよく、晴れが1週間以上続く真夏だけ株元に与えます。
実が育つ5〜6月に水を切らさないことが、実を大きく甘くするコツです。一方で、梅雨どきに鉢が雨に当たり続けると、熟した実が割れたり腐ったりしやすくなります。失敗例として、夏の水切れで葉が黄色くなって落ちることがあります。気づいた時点でたっぷり与え、日陰で数日休ませると新しい芽が出て回復します。
水はけがよく、適度に水分を保つ土を好みます。鉢植えは赤玉土小粒6、腐葉土3、川砂1ほどの配合が目安で、市販の果樹用培養土や草花用培養土もそのまま使えます。鉢底には鉢底石を2〜3cm敷き、水が溜まらないようにします。庭植えは直径・深さ40cmほどの植え穴を掘り、掘り上げた土に堆肥や腐葉土を3割ほど混ぜます。酸性に傾いた土では育ちが鈍るので、植え付けの2週間前に苦土石灰をひと握り混ぜておきます。水はけの悪い場所は、土を盛り上げて高植えにします。
剪定は、葉が落ちた12〜2月に行います。ユスラウメは前年に伸びた枝の葉の付け根に花芽がつくので、枝先を一律に切りそろえると花が減ります。作業は、枯れ枝、内側へ向かう枝、交差する枝を付け根から間引くのが中心です。寿命が短めの木なので、3〜4年以上たって花つきが落ちた古い枝は根元から切り、代わりに根元から出た勢いのよい若い枝を1〜2本残して育てると、古い枝を若い枝に入れ替えることで株が若返ります。鉢植えで高さを抑えたいときは、伸びすぎた枝を外向きの芽の上で切り戻します。
よくある失敗は、丸く刈り込んで翌春の花芽をほとんど落としてしまうことです。翌冬は間引きだけにすると、次の春には花が戻ります。
時期と道具を準備する
葉が落ちた12〜2月に行います。剪定ばさみ、太い枝用のノコギリ、切り口に塗る癒合剤、作業用の手袋を用意します。
不要な枝を付け根から切る
枯れ枝、内側へ向かう枝、交差する枝を付け根から切ります。枝先を一律に切りそろえると花芽が減るので避けます。
古い枝を若い枝に入れ替える
3〜4年以上たって花つきが落ちた古い枝を根元から切ります。代わりに根元から出た勢いのよい若い枝を1〜2本残します。
高さを整えて仕上げる
鉢植えは高さ1mほどを目安に、伸びすぎた枝を外向きの芽のすぐ上で切り戻します。太い枝の切り口には癒合剤を塗ります。
鉢植えは根が詰まりやすいので、2年に1回を目安に落葉期の12〜2月に植え替えます。購入した苗の植え付けも11〜3月が適期で、最初は6号鉢、育ったら7〜8号鉢へ移します。鉢底から根が出ている、水が染み込みにくい、葉が小さくなった、といった様子が合図です。株を抜いて古い土を3分の1ほど落とし、黒く傷んだ根や長く巻いた根を切って、一回り大きな鉢に植えます。大きさを保ちたいときは、根鉢を一回り削って同じ鉢に新しい土で植え戻します。
よくある失敗は、花が咲き始めた3月下旬に植え替えて根を傷め、花や小さな実が落ちることです。植え替えは芽が動く前の2月までに済ませます。
時期と用意するもの
落葉期の12〜2月に行います。一回り大きな鉢、果樹用培養土、鉢底石、清潔なはさみ、土を詰める割りばしを用意します。
根を整える
鉢から株を抜き、古い土を3分の1ほど落とします。黒く傷んだ根と、鉢の底で長く巻いた根をはさみで切り詰めます。
新しい鉢に植える
鉢底石を2〜3cm敷いて土を入れ、元と同じ深さで株を置きます。周りに土を入れ、割りばしで突いて隙間をなくします。
水やりと置き場所
鉢底から流れ出るまで水を与え、日当たりのよい屋外に置きます。肥料は2月の寒肥から再開し、芽が動き出すのを待ちます。
ユスラウメは種まきと挿し木のどちらでも増やしやすく、寿命の短さを補うために次の株を育てておくと安心です。種まきは、6月に熟した実から種を取り出して果肉を洗い落とし、すぐにまくか、湿らせた砂と一緒に冷蔵庫で保管して3月にまきます。種から育てた株は3〜4年で実がなり始めます。挿し木は芽が動く前の2〜3月に前年の枝を10〜15cmに切って挿すか、6月にその年に伸びた枝で緑枝挿しにします。明るい日陰で土を乾かさなければ、1〜2か月で根が出ます。
よくある失敗は、取り出した種を乾かしたまま常温に置き、春にまいても芽が出ないことです。種は乾かさずに保管し、芽が出なかった場合は翌年の実で採りまきをやり直します。
時期と種の用意
6月に熟した実から種を取り出し、果肉を水でよく洗い落とします。種まき用土、小さな鉢、湿らせた砂を用意します。
種を保管する
すぐにまかない場合は、種を湿らせた砂と一緒に袋に入れ、冷蔵庫で保管します。乾かすと芽が出にくくなります。
種をまく
3月に、湿らせた種まき用土に深さ1cmほどで種をまきます。日当たりのよい屋外に置き、土を乾かさないように管理します。
苗を育てる
本葉が数枚になったら1本ずつ鉢に植え替えます。落葉期に一回り大きな鉢へ移し、3〜4年で実がなり始めます。
ユスラウメは病害虫が比較的少ない果樹ですが、春の新芽に付くアブラムシと、梅雨どきの実の腐りに注意します。アブラムシは数が少ないうちに指でつぶすか水で洗い流し、多いときは芽ごと切り取ります。枝に白い殻のようなカイガラムシが付いたら、冬に歯ブラシでこすり落とします。5〜9月には、アメリカシロヒトリなどの毛虫が葉を食べることがあり、見つけしだい枝ごと取り除きます。梅雨どきに熟した実が茶色く腐るのは、灰星病などのカビによる病気で、熟した実を早めに収穫し、腐った実は拾って処分します。色づいた実はヒヨドリにも狙われるので、防鳥ネットをかけます。
よくある失敗は、熟した実を収穫せずに木に残し、腐った実から病気を広げることです。実は熟した順に早めに摘み取ります。
3〜4月に白や淡いピンクの花が咲きます。開花期は鉢を軒下へ移して雨を避けます。鉢は表面が乾いたら水を与え、日なたに置きます。肥料は2月の寒肥で足ります。新芽に付くアブラムシを早めに取り除きます。
6月に赤く熟した実から収穫し、収穫後にお礼の肥料を与えます。色づき始めたら防鳥ネットをかけます。夏の鉢は乾きやすいので朝夕に土を確認し、西日を避けた場所に置きます。梅雨どきは実の腐りに注意します。
翌年の花芽が育つ時期なので、秋は枝を切らずに残します。肥料は与えず、鉢は表面が乾いたら水を与えて日なたに置きます。葉を食べる毛虫が出たら枝ごと取り除き、10〜11月に葉が黄色く落ちるのは自然な現象です。
落葉中の12〜2月に剪定と植え替えを行い、2月に寒肥を与えます。寒さに強いので冬も屋外で管理し、鉢の水やりは乾いてから2〜3日後に控えめにします。枝に付いたカイガラムシは、この時期にブラシで落とします。
原因
開花期の雨や低温で虫が来ず受粉が進まなかった、植えて間もない若木である、日照が足りない、のいずれかが多い原因です。
対策
日当たりのよい場所に置き、開花期は鉢を軒下へ移します。実つきを確実にしたいときは、筆で花の中をなでて人工授粉します。
原因
ヒヨドリなどが赤く色づいた実を食べに来ています。実が小さく数が多いため、一度に多くを食べられやすくなります。
対策
実が色づき始めた5月下旬ごろに、株全体を防鳥ネットで覆います。熟した実から順に早めに収穫します。
原因
梅雨どきに出やすい灰星病などのカビによる病気です。熟した実を木に長く残すと広がりやすくなります。
対策
腐った実は拾って処分し、熟した実は早めに収穫します。冬の剪定で枝を間引き、株の中まで風が通るようにします。
原因
古くなった枝から勢いが落ちる、ユスラウメの寿命の短さによるものが多い原因です。鉢植えでは根詰まりも重なります。
対策
冬に枯れた枝や古い枝を根元から切り、若いひこばえを残して更新します。鉢植えは植え替えを行い、元気なうちに挿し木で次の株を用意します。
原因
春の新芽にアブラムシが集まり、汁を吸っているためです。放っておくと葉が縮れ、すす病の原因にもなります。
対策
数が少ないうちに指でつぶすか、水で洗い流します。多いときは被害を受けた芽ごと切り取り、窒素の多い肥料を控えます。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
ユスラウメの花言葉は「郷愁」「輝き」などとされます。昔から家の庭先に植えられ、子どものころに赤い実を摘んで食べた思い出と結びつく木であることや、つやつやと光る小さな赤い実の姿から生まれたといわれます。懐かしさを感じさせる果樹として親しまれています。
風水では、赤い実は活力や良い縁を呼ぶ色とされ、実のなる木は家に実りをもたらす縁起物と考えられています。小さな木なので、玄関先や庭の明るい場所に置きやすいのも利点とされます。根拠のある話ではないので、置き場所は日当たりと風通しを優先して決めます。
小さな木なので、鉢植えでもよく実がなります。6〜8号鉢で高さ60cm〜1mほどに保てば、ベランダでも毎年6月に収穫できます。日当たりのよい屋外に置き、開花期の3〜4月は雨を避けて軒下へ移すと実つきが安定します。鉢植えは根が詰まりやすいので、2年に1回、落葉期に植え替えます。肥料は2月と収穫後の年2回で足ります。日当たりが悪いと実が減るので、半日陰より日なたを選びます。
ユスラウメは1本でも実がなるとされ、家庭では1本で収穫している例が多い果樹です。受粉樹を用意しなくても、花に来る虫の働きで実がつきます。ただし、開花期に雨や寒さが続いて虫が少ないと実が減ることがあります。確実にしたいときは、晴れた日に筆で花の中を軽くなでて人工授粉します。2本以上植えると、実つきがさらによくなるともいわれます。
熟した実は洗ってそのまま生で食べるのがいちばん手軽です。甘酸っぱく、さくらんぼに似たさっぱりした味です。実は日持ちしないので、たくさん採れたら砂糖と煮てジャムにしたり、ホワイトリカーと氷砂糖で果実酒にしたりします。中の種は硬いので、噛み砕かずに取り除きます。サクラ属の種には体に害のある成分が含まれるため、種ごと加工する場合も種は割らないようにします。
10〜20年ほどとされ、果樹の中では短めです。植えて数年は勢いよく育ちますが、古い枝から花つきが落ち、やがて枯れる枝が増えていきます。冬の剪定で古い枝を根元から切り、根元から出た若い枝に入れ替えると、株を長く保てます。元気なうちに挿し木や種まきで次の株を育てておくと、木が弱っても実を楽しみ続けられます。鉢植えは根詰まりも弱る原因になるので、植え替えも続けます。
関東以西の平地では6月上旬〜中旬が収穫時期です。実全体がつやのある濃い赤色になり、指で軽くつまむと取れるようになったら食べごろです。熟した実から順に摘み取ります。収穫量は、鉢植えの若木で数十粒から200粒ほど、庭植えの成木では1kg以上とれることもあります。熟した実を残すと鳥に食べられたり腐ったりするので、早めに収穫します。
多い原因は、日照不足、冬の切りすぎ、開花期の雨の3つです。日陰では花芽が少なく、枝先を刈り込むと前年の枝についた花芽を落としてしまいます。開花期に雨が続くと虫が来にくく受粉が進みません。植えて間もない若木や、寿命が近づいて弱った古い木も実が少なくなります。日なたに置き、剪定は間引きにとどめ、開花期は鉢を軒下へ移します。翌年の花芽は夏から秋に育つので、秋以降は枝を切らないことも大切です。
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執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。