苗・株の選び方
実を楽しみたいなら、実の付く品種かどうかを名札で確かめることが最初の一歩です。紅葉が美しいオタフクナンテンは、背が低く庭の縁取りに向きますが、花や実がほとんど付かない品種です。赤い実なら普通のナンテン、白い実ならシロナンテンを選びます。
株は、根元から複数の茎が立ち、下のほうまで葉が残っているもの、葉色がよく、茎にカイガラムシの殻が付いていないものを選びます。秋から冬に実の付いた株を買えば、実付きのよい株かどうかをその場で確認できます。
Hapot編集部より
ナンテン(南天)は、晩秋から冬に赤い実の房を垂らす常緑の低木で、「難を転ずる」に通じる縁起木として玄関まわりや鬼門の方角に植えられてきました。初夏の6月ごろに白い小花を円すい形に咲かせ、11月ごろから実が赤く色づいて、お正月飾りや生け花にも使われます。根元から細い茎を何本も立ち上げる株立ちの樹形で、高さは1〜2mほど。寒さにも暑さにも強く、半日陰でも育つので、北側の玄関や狭い通路のような場所でも元気に育ちます。毎年の手入れは、実を楽しんだ古い茎を2〜3月に根元から切って、株を若返らせることがほぼすべてです。いっぽうで「葉は茂るのに実がならない」という悩みが多い木でもあり、その多くは梅雨どきの開花と剪定の時期に原因があります。実や葉には有毒成分が含まれるので、小さな子どもやペットが口にしないよう注意します。白い実のシロナンテン、紅葉が美しく背の低いオタフクナンテンなど、目的に合わせて選べる品種もそろっています。

水やり
庭植えは根付けば雨任せ。鉢は表面が乾いたら
日光
半日陰
温度の目安
-10〜35°C程度(寒さにも暑さにも強い)
湿度
40-60%
土
水もちがよく、腐植の多い土
大きさの目安
高さ1〜2m、横幅50cm〜1m前後の株立ち。オタフクナンテンは高さ30〜50cmほど。
成長の速さ
ゆっくり(年に10〜20cm。高さ1〜2m)
温度の目安(耐寒〜耐暑)
-10〜35°C程度(寒さにも暑さにも強い)
肥料
2月の寒肥と、9月に少量の追肥
成長速度
ゆっくり(年に10〜20cm。高さ1〜2m)
毒性
実や葉にアルカロイドなどの有毒成分を含む。犬や猫、子どもの誤食に注意
花が咲く6月に雨が続くと、実の数が大きく減ります。鉢植えなら開花中だけ軒下に移し、庭植えは古い茎を間引いて株の中まで風と光を通します。
実を楽しみたいなら、実の付く品種かどうかを名札で確かめることが最初の一歩です。紅葉が美しいオタフクナンテンは、背が低く庭の縁取りに向きますが、花や実がほとんど付かない品種です。赤い実なら普通のナンテン、白い実ならシロナンテンを選びます。
株は、根元から複数の茎が立ち、下のほうまで葉が残っているもの、葉色がよく、茎にカイガラムシの殻が付いていないものを選びます。秋から冬に実の付いた株を買えば、実付きのよい株かどうかをその場で確認できます。
半日陰から日なたまで育ちますが、実をたくさん付けたいなら半日以上日が当たる場所が向いています。日陰でも枯れることはなく、葉もよく茂りますが、花数と実の数は少なくなります。耐寒性が強く、東北南部の平地でも庭植えで冬を越します。暑さにも強いものの、真夏の西日が強く当たる乾いた場所では葉先が茶色く焼けることがあるため、午後は日陰になる東向きの場所が理想です。縁起を気にするなら、玄関脇や鬼門とされる北東、裏鬼門の南西が昔からの定位置です。株立ちで横幅は50cm〜1mほどに広がるので、通路沿いは株元から少し離して植えます。失敗例として、背の高い木の陰になった場所に植えて、何年たっても実がほとんど付かないことがあります。冬のあいだに日の当たる場所へ移植すると、翌々年ごろから実付きがよくなります。
根が細かく浅く広がる木で、乾燥にはやや弱い面があります。庭植えは植え付け後1年ほど、土の表面が乾いたら株元へたっぷり与え、根付いたあとは雨任せで構いません。ただし梅雨明けから8月の日照りが続くときは、株元へ数日おきに水を与えると、実の落ちる量が減ります。鉢植えは表面の土が乾いたら鉢底から流れるまで与え、夏は朝に毎日確認します。冬は実の付いた枝を観賞する時期ですが、水やりは土が乾いてから数日おく程度に控えます。6月の開花中は、花に水がかからないよう株元へ注ぎます。花粉が流れると受粉しにくくなるためです。失敗例として、鉢植えを真夏に水切れさせ、葉が赤茶色に変わって実が小さいまま落ちることがあります。株は枯れていないことが多いので、日陰で水を切らさず秋を待てば、翌年は回復します。
水もちのよい、腐葉土などの有機物を多く含む土を好みます。極端な乾燥地や砂地より、少ししっとりした土のほうがよく育ちます。鉢植えは赤玉土小粒6、腐葉土4の配合か、市販の庭木・花木用培養土で十分です。庭植えは植え穴を根鉢の2倍に掘り、掘った土に腐葉土や堆肥を3割ほど混ぜて埋め戻します。水はけが極端に悪い粘土質の場所では、腐葉土を多めに入れて少し高めに植えます。植えたあとは株元に腐葉土を敷き、夏の乾燥を防ぎます。
ナンテンの剪定は、実を楽しんだあとの2〜3月に、古い茎を地際から切る「更新」が基本です。ナンテンは、その年に伸びた茎の先に花を咲かせて実を付けます。一度実を付けた茎は翌年は花が付きにくく、年数がたつと下のほうの葉が落ちて、上にだけ葉がある姿になります。そこで、実の付いた古い茎や背が高くなりすぎた茎を根元から切り、若い茎と入れ替えます。株全体で茎が10本前後になるように残すと、風通しもよくなります。4月以降に茎の先を切ると、その年の花房ごと切り落とすことになるので、春から夏は形が乱れても先端を切りません。高さを下げたい茎は、根元近くで切ると脇から新しい芽が出てきます。失敗例として、春に樹形を整えようと茎の先端を一律に切りそろえ、その年は花も実もまったく付かないことがあります。次の冬までそのまま伸ばし、翌年の2〜3月に古い茎の更新だけを行います。
時期を確かめる
実を楽しんだあとの2〜3月に行います。4月以降は茎の先に花房ができるので、先端は切りません。
切る茎を選ぶ
実を付け終えた古い茎、下のほうの葉が落ちて上だけに葉が残る茎、背が高くなりすぎた茎を選びます。
根元から切る
選んだ茎を、地際に近い位置で切ります。株全体で10本前後の茎が残るようにし、太さや高さの違う茎をバランスよく残します。
寒肥を施す
剪定が終わったら、株の周りに有機質肥料の寒肥を施します。切った茎にカイガラムシが付いていれば、袋に入れて処分します。
植え付けや植え替えの適期は、新芽が動き出す前の3月下旬から4月と、暑さの落ち着いた9月下旬から10月です。ナンテンは根が細かく、根を大きく崩すと回復に時間がかかる木なので、植え付けでは根鉢を崩さずにそのまま据えます。庭植えは根鉢の2倍の穴に腐葉土を混ぜた土で植え、たっぷり水を与えます。鉢植えは2〜3年に1回、根が鉢いっぱいに回ったら一回り大きな鉢に植え替えます。鉢の大きさを変えたくないときは、植え替えのついでに株を2〜3つに分ける株分けで小さくできます。植え替え後は2週間ほど明るい日陰で休ませ、肥料は新芽が伸び始めてから与えます。失敗例として、移植で根を大きく切り、その年に葉がほとんど落ちてしまうことがあります。地際から新しい芽が出てくることが多いので、水を切らさずに様子を見ます。
時期と用意するもの
3月下旬から4月か、9月下旬から10月に行います。一回り大きな鉢、赤玉土と腐葉土、鉢底石、清潔なハサミを用意します。
株を抜いて根を確認する
鉢から抜き、根鉢の底と肩を軽くほぐす程度にとどめます。細い根が多い木なので、大きく崩さず、黒く傷んだ根だけを切り取ります。
植え直す
鉢底石を敷いて土を入れ、根鉢の上面が鉢の縁より2〜3cm下になる高さで据えます。周りに土を入れ、棒で突いて隙間をなくします。
水やりと養生
鉢底から流れ出るまで水を与え、2週間ほど明るい日陰で休ませます。新芽が伸び始めたら元の場所へ戻し、肥料を与えます。
家庭では3〜4月の株分けがいちばん手軽です。根元から何本も出ている茎を、根を付けたまま2〜3本ずつに分け、それぞれを新しい土に植えます。分けた株は根が少なくなっているので、古い茎や長すぎる茎は短く切って葉を減らします。挿し木は3月ごろに前年の茎を、または6〜7月に今年伸びた茎を10〜15cmに切って挿しますが、発根まで時間がかかるため、多めに挿します。赤い実から種を採ってまく実生もでき、果肉を洗い落としてすぐにまくと、翌春から初夏に芽が出ます。実を付けるまでには数年かかります。失敗例として、株分けで細かく分けすぎ、根の少ない株がしおれて枯れることがあります。1株に茎を2〜3本と、根をしっかり付けて分けるのがコツです。
株を掘り上げる
3〜4月に、根元から茎がたくさん出ている株を掘り上げるか、鉢から抜きます。根に付いた古い土を軽く落とします。
株を分ける
茎2〜3本と根がしっかり付くように、手やハサミで分けます。細かく分けすぎると根付きにくいので、大きめに分けます。
葉を減らして植える
長すぎる茎や古い茎は短く切り、葉を減らします。それぞれを新しい土で植え、根鉢の周りに土をしっかり入れます。
根付くまで管理する
たっぷり水を与え、明るい日陰で土を乾かさないように管理します。新しい芽が伸びてきたら根付いたサインで、日の当たる場所へ移します。
病害虫は少ない木ですが、風通しの悪い株元に付くカイガラムシと、その排せつ物から出るすす病がよく見られます。茎に白や茶色の殻が付き、葉が黒く汚れてきたら、殻をブラシでこすり落とし、古い茎を間引いて風を通します。冬に用途に登録のあるマシン油乳剤を使うと予防になります。春から初夏には新芽にアブラムシやナンテンキジラミが付き、新しい葉が縮れることがあるので、見つけたら水で洗い流すか、被害の大きい葉を取り除きます。葉が細く縮れたり、まだら模様が出たりする株はウイルス病の疑いがあり、治らないため株ごと処分して、アブラムシを防ぐことが予防になります。秋に色づいた実は、ヒヨドリなどの鳥に食べられることがよくあります。失敗例として、正月用に残しておいた実が、年末に一晩でなくなることがあります。実が色づいたら、防鳥ネットをふんわりかけておくと守れます。
2〜3月の更新剪定を終えたら、4月以降は茎の先を切らずに伸ばします。3〜4月は株分けと植え付けの適期です。新芽にアブラムシやナンテンキジラミが付きやすいので、葉の縮れを見かけたら早めに取り除きます。
6月ごろに白い花が咲きます。開花中に雨が続くと実付きが悪くなるので、鉢植えは軒下へ移します。花房を軽く揺すると受粉の助けになります。梅雨明け後の日照りでは、庭植えも株元へ水を与えて実の落下を防ぎます。
夏にできた緑の実が、11月ごろから赤く色づき始めます。9月に少量の追肥をして株の体力を保ちます。9月下旬から10月は植え付けの適期です。実が色づいたら、鳥に食べられないよう防鳥ネットを用意します。
赤い実と、寒さで赤みを帯びた葉を楽しむ時期で、実は正月飾りにも使えます。2月に寒肥を施し、2〜3月に実を付けた古い茎を根元から切って株を更新します。水やりは土が乾いてから控えめに与えます。
10月の作業をくわしく知りたいときは秋の植え替えの記事も参考になります。
原因
6月の開花期に雨が続いて受粉しなかったことが多い原因です。日当たり不足や、実の付きにくいオタフクナンテンの場合もあります。
対策
鉢植えは開花中だけ軒下へ移し、花房を軽く揺すって受粉を助けます。庭植えは古い茎を間引いて株の中まで日が当たるようにします。
原因
4月以降に茎の先を切りそろえ、その年の花房を切り落としたことが考えられます。実を付けた古い茎ばかりの株も花が付きにくくなります。
対策
剪定は2〜3月に古い茎を根元から切る更新だけにし、4月以降は茎の先を切らずに伸ばします。翌年から若い茎に花が付きます。
原因
ヒヨドリなどの鳥が冬の餌として実を食べたためです。
対策
実が色づき始めたら防鳥ネットを株全体にふんわりかけます。正月飾りに使う房は、早めに切って花瓶にいけておきます。
原因
株元の風通しが悪く、茎に付いたカイガラムシの排せつ物からすす病が出ています。
対策
殻をブラシでこすり落とし、2〜3月に古い茎を根元から切って風通しをよくします。冬にマシン油乳剤をラベルどおりに散布すると予防になります。
原因
新芽に付くアブラムシやナンテンキジラミの吸汁か、アブラムシが運ぶウイルス病が考えられます。
対策
虫が見えれば水で洗い流し、被害の大きい葉を取り除きます。まだら模様が広がって治らない株はウイルス病の疑いがあるので、株ごと処分します。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
ナンテンの花言葉は「私の愛は増すばかり」「良い家庭」とされます。冬に向けて実の色が日ごとに深まっていく様子や、家の守りとして庭に植えられてきた歴史から生まれた言葉といわれます。
ナンテンは「難を転ずる」に通じることから、昔から厄よけの木とされ、鬼門の北東や裏鬼門の南西、玄関脇に植えられてきました。赤飯にナンテンの葉を添える風習や、手水鉢のそばに植える習わしもあります。根拠のある話ではないので、方角よりも日当たりと実を楽しめる場所を優先しても構いません。
多い原因は、梅雨どきの開花と剪定の時期の2つです。ナンテンは6月ごろに咲くため、雨が続くと花粉が流れて受粉しにくくなります。また、花は茎の先に付くので、春に茎の先を切りそろえると花房ごと落としてしまいます。ほかに、日当たりが悪い、植えたばかりで株が若い、オタフクナンテンのようにもともと実が付きにくい品種、なども考えられます。鉢植えは開花中だけ軒下へ移し、剪定は2〜3月の古い茎の更新だけにすると、実付きがよくなります。
2〜3月に、実を付け終えた古い茎や背が高くなりすぎた茎を、根元から切ります。ナンテンはその年に伸びた茎の先に花と実が付き、実を付けた茎は翌年は花が付きにくくなるため、古い茎を若い茎に入れ替えていくのが基本です。株全体で10本前後の茎を残すと、風通しもよくなります。4月以降に茎の先を切ると、その年の花房を切り落とすので避けます。
実や葉にはアルカロイドなどの有毒成分が含まれていて、そのまま食べるのは危険です。犬や猫が実をかじったり、小さな子どもが口に入れたりしないよう注意し、食べてしまったときは動物病院や医療機関に相談します。乾かした実が「南天実」としてのど飴などに使われるのは、成分の量が管理された加工品の場合で、庭の実を自分で食べてよいわけではありません。
「ナンテン」が「難転」、つまり難を転ずるに通じることが由来とされます。そのため鬼門や裏鬼門、玄関脇に植えて厄よけにしたり、お正月の飾りに赤い実を使ったりする習わしが各地にあります。赤飯や贈り物の料理にナンテンの葉を添える風習もよく知られています。縁起物としての意味合いは、日本の暮らしの中で受け継がれてきた言い伝えです。
ヒヨドリなどの鳥は、冬に赤く色づいた実をよく食べに来ます。実が色づき始めたら、防鳥ネットを株全体にふんわりかけておくのが確実です。正月飾りに使いたい場合は、色づいた房を早めに切って、水を入れた花瓶にいけておくと長く楽しめます。鳥が種を運ぶため、思わぬ場所からナンテンの芽が出てくることもあります。
秋から冬に葉が赤くなるのは、寒さによる紅葉で病気ではありません。ナンテンは常緑ですが、日当たりのよい場所では冬に葉が赤みを帯び、春になると緑に戻ります。オタフクナンテンは特に赤く色づく品種です。ただし、夏に葉が赤茶色になって落ちる場合は、水切れや強い西日による傷みのことがあるので、水やりと置き場所を見直します。
10月の季節の作業と、ナンテンの手入れで迷いやすいところに合わせて選んでいます。
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執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。