苗・株の選び方
実の付いた9〜11月に買うと、実の色と付き方を確かめられます。名札に「ムラサキシキブ」とあっても、枝が垂れて実がぎっしり固まって付く株はコムラサキです。コンパクトに育てたいならコムラサキ、自然な雑木風の庭にはムラサキシキブが向いています。白い実がよければシロシキブを選びます。
良い株は、株元から複数の枝が出ていて、葉に白い粉や傷みがないものです。鉢土が乾ききって葉がしおれている株は、実が落ちやすいので避けます。
Hapot編集部より
ムラサキシキブ(紫式部)は、秋に艶のある紫色の小さな実を枝に連ねる日本原産の落葉低木で、和の雰囲気の庭や、秋らしい実ものを鉢で楽しみたい人に向いています。6〜7月に淡い紫の小花を咲かせ、10月ごろに直径3mmほどの実が紫に熟します。白い実の品種はシロシキブと呼ばれます。
知っておきたいのは、園芸店で「ムラサキシキブ」として売られている株の多くが、近縁のコムラサキだということです。コムラサキは高さ1〜2mとムラサキシキブの半分ほどで、枝が弓なりに垂れ、実が枝に沿ってぎっしり固まって付きます。ムラサキシキブは高さ2〜3mになり、実はまばらに付きます。どちらも寒さ暑さに強く、花は春に伸びた新しい枝に咲くので、冬に剪定しても実が減りにくい、手のかからない木です。気をつけたいのは夏の水切れで、乾くと実が落ちやすくなります。

水やり
庭植えは根付けば雨任せ(夏の乾燥時は与える)。鉢は表面が乾いたら
日光
半日陰
温度の目安
-15〜35°C程度(寒さに強く、北海道南部でも育つ)
湿度
50-70%
土
腐植が多く、適度に湿り気を保つ土
大きさの目安
ムラサキシキブは高さ2〜3m、コムラサキは高さ1〜2mで枝が弓なりに垂れる。鉢植えは6〜8号鉢で高さ50cm〜1mが目安。
成長の速さ
やや早い(年に30〜50cm。ムラサキシキブは2〜3m、コムラサキは1〜2m)
温度の目安(耐寒〜耐暑)
-15〜35°C程度(寒さに強く、北海道南部でも育つ)
肥料
2月の寒肥と、開花後に少量
成長速度
やや早い(年に30〜50cm。ムラサキシキブは2〜3m、コムラサキは1〜2m)
毒性
毒性は知られていない。ただし食用にはせず、子どもやペットが口にしないよう注意
花は春に伸びた新しい枝に咲きます。剪定は落葉期の12〜3月に行えば実が減りにくく、夏は水切れさせないことが実を残すコツです。
実の付いた9〜11月に買うと、実の色と付き方を確かめられます。名札に「ムラサキシキブ」とあっても、枝が垂れて実がぎっしり固まって付く株はコムラサキです。コンパクトに育てたいならコムラサキ、自然な雑木風の庭にはムラサキシキブが向いています。白い実がよければシロシキブを選びます。
良い株は、株元から複数の枝が出ていて、葉に白い粉や傷みがないものです。鉢土が乾ききって葉がしおれている株は、実が落ちやすいので避けます。
日当たりから半日陰まで育ちますが、午前中に日が当たり、午後は日陰になる場所が理想です。日当たりがよいほど花と実が多くなる一方、強い西日と乾燥を嫌います。自生地は林の縁などで、湿り気のある土を好むため、乾きやすい南西向きの場所では株元をマルチングします。耐寒性が強く、関東以西の平地はもちろん、北海道南部でも庭植えで冬を越します。日陰に植えると枝が間延びして実が少なくなり、風通しが悪いとうどんこ病も出やすくなります。
よくある失敗は、日当たりのよいベランダの照り返しで鉢が乾き、夏に実がほとんど落ちてしまうケースです。夏は鉢を半日陰へ移すと実が残ります。
夏の水切れに注意するのが、ムラサキシキブの水やりのいちばんのポイントです。庭植えは根付けば雨任せで構いませんが、梅雨明けから8月に晴天が続くときは、株元にたっぷり与えます。鉢植えは表面の土が乾いたら鉢底から流れるまで与え、夏は朝に毎日、特に暑い日は夕方にも確かめます。落葉した冬は水を控えめにし、土が乾いてから数日おいて与えます。6〜7月の開花中は、花に水がかからないよう株元に注ぎます。
よくある失敗は、夏に数日留守にして鉢を乾かし、若い緑の実がすべて落ちてしまうケースです。その年の実はあきらめ、水を切らさないよう管理すれば翌年は回復します。
腐葉土などの有機物を多く含み、通気性と水もちのよい土を好みます。鉢植えは赤玉土小粒6、腐葉土4の配合か、市販の花木用培養土をそのまま使えます。鉢底には鉢底石を鉢の高さの1割ほど敷きますが、水もちを保つため厚く入れすぎないようにします。庭植えは植え穴を根鉢の2倍ほど掘り、掘った土に腐葉土や堆肥を3割ほど混ぜて埋め戻します。乾きやすい砂質の土では腐葉土を多めにし、植えたあとは株元に腐葉土やバークチップを敷いて夏の乾燥を防ぎます。
ムラサキシキブとコムラサキは、春に伸びた新しい枝の葉の付け根に花を咲かせ、秋に実を付けます。そのため剪定は、葉が落ちた12〜3月に行えば、翌年の花芽を切る心配がほとんどありません。基本は、伸びすぎた枝を好みの長さに切り詰め、混み合った枝や枯れ枝を付け根から間引く程度です。株元から出る細い枝が増えたら、古い枝を地際から切って若い枝と入れ替えます。コムラサキの枝が弓なりに垂れる姿は魅力なので、切りすぎずに自然な形を残します。春に芽が伸びてから枝先を切ると、その年の花が付く枝を減らします。
よくある失敗は、冬に株全体を短く刈り込みすぎ、勢いのよい長い枝ばかり出て花が減るケースです。強く切るのは数本ずつにとどめます。
時期を確かめる
葉が落ちた12〜3月に行います。花は春に伸びる新しい枝に咲くので、この時期なら翌年の花を減らしません。
枯れ枝と混んだ枝を間引く
枯れ枝、内向きの枝、交差した枝を付け根から切ります。株の中まで光と風が通るようにします。
伸びすぎた枝を切り詰める
樹形から飛び出した長い枝を、外向きの芽の少し上で切り詰めます。コムラサキは垂れる枝ぶりを残すよう切りすぎません。
古い枝を更新する
株元から若い枝が出ていれば、古く太くなった枝を地際から1〜2本切って入れ替えます。春以降は枝先を切りません。
植え付けと植え替えの適期は、落葉期の12〜3月(厳寒期を除く)です。鉢植えは2〜3年に1回、根が鉢に回ったら一回り大きな鉢に植え替えます。コムラサキなら6〜7号鉢から始めて、8号鉢程度で長く楽しめます。庭植えはコムラサキで株間1m、ムラサキシキブは高さ2〜3mになるので1.5mほど離して植えます。植え替えでは根鉢の肩と底を軽くほぐし、古い根を整理します。株が大きくなったら、3月下旬〜4月に株分けで小さくすることもできます。
よくある失敗は、芽が伸び始めた5月に植え替えて葉がしおれるケースです。その場合は半日陰で水を切らさずに休ませます。
時期と道具をそろえる
落葉期の12〜3月、厳寒期を避けた暖かい日に行います。一回り大きな鉢、赤玉土小粒と腐葉土、鉢底石、剪定ばさみを用意します。
株を抜いて根を整える
鉢から株を抜き、根鉢の肩と底を軽くほぐします。黒く傷んだ根や、底でぐるぐる巻いた根を切り取ります。
新しい鉢に植える
鉢底石を敷いて土を入れ、元と同じ深さに株を据えます。周りに土を入れ、割り箸で軽くつついて隙間をなくします。
水やりと養生
鉢底から流れるまで水を与え、芽が動くまで明るい日陰で休ませます。肥料は芽が伸び始めてから少量与えます。
挿し木と株分けで簡単に増やせます。挿し木は3月に前年の枝を使う春挿しと、5〜9月にその年に伸びた枝を使う夏挿しがあり、10cmほどに切った枝の下の葉を取って、赤玉土小粒や挿し木用土に挿します。明るい日陰で乾かさずに管理すると、1か月ほどで根が出ます。株分けは3月下旬〜4月に、根元から出た枝を根ごと2〜3本ずつ切り分けます。種まきもできますが、発芽しにくいとされ、実が付くまで数年かかります。
よくある失敗は、挿したあとに直射日光の当たる場所に置いて穂を乾かすケースです。根が出るまでは明るい日陰に置きます。
時期と枝を選ぶ
春挿しは3月に前年の枝、夏挿しは5〜9月にその年に伸びた枝を使います。病気のない元気な枝を選びます。
挿し穂を整える
枝を10cmほどに切り、下の葉を取って上の葉を2〜3枚残します。大きな葉は半分に切り、1時間ほど水揚げします。
用土に挿す
湿らせた赤玉土小粒か挿し木用土に、穂の半分ほどを挿します。株元を軽く押さえ、たっぷり水を与えます。
発根まで管理する
明るい日陰で土を乾かさずに管理すると、1か月ほどで根が出ます。新しい葉が伸びたら小鉢に植え替えます。
害虫はほとんど付きませんが、梅雨どきから秋にかけてうどんこ病が出ることがあります。葉が白い粉をふいたようになったら、その葉を取り除き、混んだ枝を間引いて風を通します。日照不足と風通しの悪さが原因なので、冬の剪定で枝数を整えておくことがいちばんの予防です。もう一つは鳥で、紫の実はヒヨドリやメジロなどに好まれ、色づいた10月から食べられることがあります。
よくある失敗は、うどんこ病の葉を放置して株全体に広げてしまうケースです。見つけた葉はすぐに取り、落ち葉も片付けます。殺菌剤を使う場合は、用途に登録のあるものを7〜10日おきに2〜3回散布します。
3月までに剪定と植え替えを済ませます。3月下旬〜4月は株分けの適期です。芽が伸び始めたら枝先は切らずに伸ばします。乾燥が続くときは鉢の水やりを忘れずに行います。
6〜7月に淡い紫の小花が咲き、開花後に油かすなどを少量施します。夏の水切れは実が落ちる原因になるので、鉢は朝に毎日確かめ、庭植えも晴天が続けば株元に水を与えます。うどんこ病の葉は早めに取ります。
9月下旬から実が色づき始め、10月〜11月上旬が見頃です。鳥に食べられたくない枝には防鳥ネットをかけます。色づいた枝は切って花瓶に挿しても楽しめます。11月ごろから葉が黄ばんで落ち始めます。
落葉期で、12〜3月が剪定と植え付けの適期です。伸びすぎた枝を切り詰め、混んだ枝を間引きます。2月に寒肥を施します。寒さに強いので防寒は要りません。鉢植えは乾いてから数日おいて水を与えます。
10月の作業をくわしく知りたいときは秋の植え替えの記事も参考になります。
原因
夏の水切れや西日による株の弱り。6〜7月の開花後に実が育つ時期に乾燥すると、若い実が落ちやすい。
対策
梅雨明けから8月は、鉢植えは朝に毎日、庭植えも晴天が続くときは株元にたっぷり水を与えます。西日の強い場所では株元を腐葉土で覆い、翌年からは午後に日陰になる場所へ移すと安定します。
原因
うどんこ病。日当たりと風通しの悪い場所で、梅雨どきから秋にかけて発生しやすい。
対策
白くなった葉は早めに取り除き、混み合った枝を付け根から間引いて風を通します。広がる場合は用途に登録のある殺菌剤を散布します。冬の剪定で枝数を整えておくのが一番の予防です。
原因
ヒヨドリやメジロなどの採食。紫の実は鳥に好まれ、色づき始めの10月から食べられることがある。
対策
観賞したい枝に防鳥ネットをかけるか、色づいた枝を切って室内に飾ります。実は落葉後もしばらく残りますが、鳥の多い庭では早めに楽しむつもりでいると安心です。
原因
肥料の与えすぎ、または強すぎる剪定。窒素分が多いと葉と枝が茂り、花付きが悪くなる。
対策
肥料は2月の寒肥と開花後の少量にとどめ、追加の施肥をやめます。剪定は落葉期に伸びすぎた枝を切り詰める程度にし、株元から出る細い枝を整理して日を当てると、翌年は花が増えます。
原因
コムラサキでよく見られる自然な性質。細く伸びた枝の先は冬に枯れ込みやすく、病気とは限らない。
対策
春に芽が動いたら、芽の出ない枯れた部分だけを切り取ります。花は春に伸びた新しい枝に咲くので、枝先が枯れても実付きにはほとんど影響しません。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
ムラサキシキブの花言葉は「聡明」「上品」などとされます。名前が平安時代の作家・紫式部に通じることや、紫色の実の気品ある姿に由来するといわれます。名前は、重なり合って付く紫の実を「紫重実(むらさきしきみ)」と呼んだことから転じたという説が知られています。
風水では紫は品格や精神性を表す色とされ、紫の実を付けるムラサキシキブは落ち着いた気を呼ぶ植物として紹介されることがあります。ただし、言い伝えの域を出ない話です。実用面では、和風の庭や玄関まわりに秋の彩りを添える木として、昔から親しまれてきました。
関東以西の平地では、9月下旬から実が色づき始め、10月〜11月上旬が見頃です。6〜7月に淡い紫の小花が咲いたあと、夏のあいだに緑の実が育ち、秋に艶のある紫色に熟します。葉が黄ばんで落ちたあとも、しばらくは枝に実が残ります。ただし紫の実は鳥に好まれ、色づいたころから食べられることがあります。長く楽しみたい枝には防鳥ネットをかけるか、色づいた枝を切って室内に飾ります。
見分けるポイントは、樹高と枝ぶり、実の付き方、葉のギザギザです。ムラサキシキブは高さ2〜3mになり、枝はやや横に伸びて、実はまばらに付きます。コムラサキは高さ1〜2mで、枝が弓なりに垂れ、実が枝に沿ってぎっしり固まって付きます。葉の縁のギザギザも、ムラサキシキブは葉全体にあり、コムラサキは先の半分だけです。園芸店で「ムラサキシキブ」として売られている株の多くはコムラサキで、育て方はほぼ同じです。
育てられます。特にコンパクトなコムラサキは鉢植えに向いています。6〜7号鉢から始め、2〜3年に1回、落葉期の12〜3月に一回り大きな鉢へ植え替えて、8号鉢程度で長く楽しめます。用土は赤玉土小粒6、腐葉土4の配合か花木用培養土を使います。注意したいのは夏の水切れで、鉢が乾くと若い実が落ちてしまいます。夏は朝に毎日乾き具合を確かめ、照り返しの強いベランダでは半日陰へ移します。
葉が落ちた12〜3月が適期です。ムラサキシキブもコムラサキも、春に伸びた新しい枝に花を咲かせるので、落葉期に切っても翌年の花を減らす心配はほとんどありません。伸びすぎた枝を切り詰め、混み合った枝や枯れ枝を付け根から間引きます。株元から細い枝が増えたら、古い枝を地際から切って若い枝と入れ替えます。春に芽が伸びてから枝先を切ると、その年の花が減るので避けます。
多い原因は、夏の水切れ、日照不足、肥料の与えすぎです。開花後の夏に土が乾くと、育ち始めた実が落ちてしまいます。日陰では花そのものが少なくなり、肥料が多いと枝葉ばかり茂ります。夏は水を切らさず、午前中に日が当たる場所で育て、肥料は2月の寒肥と開花後の少量にとどめます。ムラサキシキブは1本でも実がつく木なので、受粉樹を植える必要はありません。色づいた実が急になくなる場合は、鳥に食べられていることが多いです。
ムラサキシキブの実に、はっきりした毒性は知られていません。ただし食用として栽培される植物ではないので、食べるのは控えてください。小さな子どもやペットが口にしないよう、実の付いた枝を室内に飾るときは手の届かない場所に置きます。紫の実はヒヨドリやメジロなどの鳥がよく食べ、種は鳥に運ばれて別の場所で芽を出すことがあります。万一たくさん口にして具合が悪くなった場合は、念のため医師や獣医師に相談します。
10月の季節の作業と、ムラサキシキブの手入れで迷いやすいところに合わせて選んでいます。
今の季節に読みたい
秋の植え替え
秋は多肉植物や草花、果樹の植え替え・植え付けに向く一方、観葉植物は春まで待つのが基本です。秋の適期の目安、植物タイプ別の可否、根の扱い方と植え替え後の管理を解説します。
植物カレンダー
10月にやること
ムラサキシキブは今月「実の見頃・防鳥ネット」の時期です。ほかの植物の植えつけ・植え替え・肥料の適期も月ごとに確認できます。
ツール
冬越しチェック
植物名とお住まいの気候帯から、屋外で冬越しできるか・室内に取り込むべきかを図鑑の耐寒データで判定します。
困ったとき
症状から原因を調べる
葉が黄色い・しおれる・虫がついた…症状別に見分け方と対処を解説しています。
ナレッジ
地植えと鉢植え
同じ植物でも地植えと鉢植えでは手間も育ち方も別物です。水やり頻度・成長スピード・冬越しのしやすさで比較し、鉢ごと地植え(根域制限)のメリット・デメリットや、シンボルツリーを鉢で育てる場合の注意点まで整理します。
執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。