苗・株の選び方
苗は開花期の1〜3月に、実際の花を見て選ぶと、好みの色や形を確実に手に入れられます。ガーデンハイブリッドは同じ名前でも株ごとに花が違うためです。
株は、葉に艶があって黒い斑点や筋がないもの、株元から新しい芽がいくつも出ているものを選びます。葉脈に沿った黒い筋や、ねじれた花茎がある株はウイルス病の疑いがあるので避けます。秋に開花見込み株を買う場合は、芽が太く数の多い大きめの株が、翌春に咲く確率が高くなります。
Hapot編集部より
クリスマスローズは、花の少ない1月から3月に、うつむき加減の花を長く咲かせる常緑の宿根草です。日本で流通している株の多くは、レンテンローズ系の交配種「ガーデンハイブリッド(Helleborus × hybridus)」で、白、ピンク、赤、黒に近い紫、黄色、斑点入りや八重咲きと、株ごとに花の表情が違います。12月ごろから咲く本来のクリスマスローズ(ヘレボルス・ニゲル)は白い花の別種です。花びらに見える部分は萼片なので散りにくく、咲き進むと緑がかった色に変わりながら1〜2か月楽しめます。半日陰でよく育ち、落葉樹の下や建物の東側など、ほかの花が育ちにくい場所の主役になります。10〜11月は植え付け、植え替え、株分けの適期で、根が活発に伸びるこの時期に手入れを済ませるかどうかで翌春の花数が決まります。冬の古葉切りで花芽に日を当てることも大切です。全草に毒があるので、作業は手袋をして行います。

水やり
鉢は表面が乾いたらたっぷり。夏は控えめ
日光
半日陰
温度の目安
-15〜30°C(耐寒性は強く、夏の高温多湿に弱い)
湿度
40-60%
土
水はけがよく、有機質を含んだ土
大きさの目安
草丈30〜50cm、株張り40〜60cmほど。年々株が大きくなります。
成長の速さ
遅い(苗から開花まで2〜3年)
温度の目安(耐寒〜耐暑)
-15〜30°C(耐寒性は強く、夏の高温多湿に弱い)
肥料
10〜11月の元肥と、2〜3月の追肥。夏は止める
成長速度
遅い(苗から開花まで2〜3年)
毒性
全草が有毒。口に入れると嘔吐や下痢を起こすおそれがあり、汁で肌がかぶれることもある
手入れの山場は秋の植え替えと、冬の古葉切りの2回です。夏は休眠ぎみになるので、肥料を止めて涼しい日陰で過ごさせます。
苗は開花期の1〜3月に、実際の花を見て選ぶと、好みの色や形を確実に手に入れられます。ガーデンハイブリッドは同じ名前でも株ごとに花が違うためです。
株は、葉に艶があって黒い斑点や筋がないもの、株元から新しい芽がいくつも出ているものを選びます。葉脈に沿った黒い筋や、ねじれた花茎がある株はウイルス病の疑いがあるので避けます。秋に開花見込み株を買う場合は、芽が太く数の多い大きめの株が、翌春に咲く確率が高くなります。
冬から春は日当たり、夏は日陰という季節で変わる光の当て方が、クリスマスローズを咲かせるコツです。10月から4月は、つぼみと葉に日がよく当たる場所に置くと花数が増え、花色も鮮やかになります。5月から9月は強い日差しと高温で葉が焼け、根も弱るため、明るい日陰か、遮光ネットで半分ほど日を遮った場所に移します。庭植えなら、夏は葉が茂って日陰をつくり、冬は葉が落ちて日が差す落葉樹の下が理想の場所です。寒さには強く、霜や雪をかぶっても枯れないので、冬に室内へ取り込む必要はありません。むしろ暖かい室内に置くと、花茎がひょろりと伸びて株が弱ります。鉢植えは、夏にコンクリートの照り返しを受けないよう、台の上に置いて鉢の周りに風を通します。失敗例は、一年中同じ北側の日陰に置いて、葉ばかり茂って花が咲かないことです。秋から春だけ日の当たる場所へ動かすと、翌年から花が上がってきます。
根は太く、水を蓄える性質があるため、常に湿った状態より、乾いてからたっぷり与えるメリハリのある水やりを好みます。鉢植えは、10月から5月の生育期は土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまで与えます。開花中は花に水をかけず、株元に注ぐと花が傷みにくくなります。夏は生育がゆるやかになるので、乾きを確認してから夕方の涼しい時間に与え、土が湿ったままにならないようにします。夏に受け皿の水を溜めたままにすると、根腐れで株ごと枯れることがあります。庭植えは根付けば基本的に雨任せで、真夏や冬に晴天が長く続いたときだけ与えます。冬に雨が少ない地域では、乾燥でつぼみが傷むことがあるので、晴れた日の午前中に水を与えます。失敗例は、夏も春と同じ量の水を毎日与え、株元が黒く腐ってしまうことです。夏は鉢を持って軽くなってから与えるくらいで十分です。
根は太く深く伸びるので、水はけと通気性を重視し、腐葉土などの有機質を含んだ土を用意します。鉢植えは赤玉土の小粒5、腐葉土3、軽石か日向土の小粒2の配合が目安で、市販のクリスマスローズ用培養土を使うと手軽です。鉢は根が下に伸びやすい深めのものを選びます。庭植えは植え穴を深さ40cmほど掘り、掘った土に腐葉土や完熟堆肥を3割ほど混ぜます。酸性の強い土を嫌うので、酸性の強い土では植え付け前に苦土石灰を少量混ぜて調整します。
クリスマスローズの剪定は、冬の「古葉切り」と、春の「花茎切り」の2つです。ガーデンハイブリッドは、11月下旬から12月に、前の年に伸びた古い葉を付け根から切り取ります。古い葉を残すと、株元の花芽に日が当たらず、開花が遅れたり花茎が倒れたりします。また古い葉は病気の発生源にもなるため、切ることで灰色かび病などを防げます。株元から新しい花芽やつぼみが見えていることを確かめ、それを切らないように葉柄の根元で切ります。花が終わったら、種を採らない場合は3〜4月に花茎を株元で切り、株を休ませます。種を作らせると株が弱って翌年の花数が減ります。ニゲルなど茎の先に花が付くタイプは、古葉切りは傷んだ葉を取る程度にとどめます。失敗例は、秋の早い時期に古い葉を全部切って株を弱らせることです。葉は夏の間に翌年の花の養分を作っているので、切るのは花芽が見えてからにします。
古葉切りの時期を確認する
ガーデンハイブリッドは11月下旬から12月に行います。株元に新しい花芽やつぼみが見えていることを確かめてから始めます。
古い葉を付け根で切る
手袋をして、前年に伸びた古い葉を葉柄の根元で1枚ずつ切ります。花芽やつぼみを一緒に切らないよう、手で避けながら作業します。
傷んだ葉を処分する
黒い斑点や筋のある葉は、病気が広がらないよう袋に入れて処分します。使ったハサミは株ごとに消毒すると安心です。
花後に花茎を切る
種を採らない場合は、3〜4月に咲き終わった花茎を株元で切ります。株の体力を新しい葉と翌年の花芽づくりに回せます。
鉢植えは根が鉢いっぱいに回りやすく、1〜2年に1回、10月から11月に植え替えます。この時期は根が活発に伸び始めるので、植え替え後の回復が早く、翌春の花にも影響しにくくなります。鉢から抜いたら、根鉢の肩と底の土を軽く落とし、黒く傷んだ根やスカスカになった根を切り取ります。太く元気な根は切らずに残します。一回り大きな深鉢に、新しい土と緩効性肥料を入れて、株元が埋まらない高さで植え直します。芽の付け根を深く埋めると腐りやすいため、元の高さにそろえます。庭への植え付けも同じ10月から11月が適期で、真夏の植え付けは避けます。2〜3月の開花株の植え替えもできますが、根鉢を崩さずに一回り大きな鉢へ移す程度にとどめます。失敗例は、春に花を楽しんだ株を夏に植え替えて、根が傷んで枯らすことです。夏は根が動かない時期なので、秋まで待ちます。
時期と用意するもの
10月から11月に行います。一回り大きな深鉢、クリスマスローズ用培養土か赤玉土と腐葉土、緩効性肥料、手袋、清潔なハサミを用意します。
株を抜いて根を整える
手袋をして鉢から抜き、根鉢の肩と底の古い土を軽く落とします。黒く傷んだ根やスカスカの根は切り、太く元気な根は残します。
元の高さで植え直す
鉢底石と土を入れ、芽の付け根が元と同じ高さになるよう株を置きます。周りに土を入れ、棒で突いて根の隙間を埋めます。
水やりと養生
鉢底から流れ出るまで水を与え、1〜2週間は明るい日陰で休ませます。その後は日当たりのよい場所に移し、冬の開花に備えます。
株を増やすなら、10月から11月の株分けが確実です。大きくなった株を鉢から抜いて土を落とし、芽が3つ以上付くようにナイフや手で切り分けます。小さく分けすぎると開花まで数年かかるので、大きめに分けるのがコツです。分けた株はそれぞれ深鉢に植え、明るい日陰で乾かしすぎないように管理します。もう一つの方法は種まきで、5〜6月に熟した種を採ったらすぐにまく「取りまき」が基本です。種は乾くと発芽しにくくなるため、保存せずにまきます。夏から秋を土の中で過ごし、翌春に発芽して、花が咲くのは2〜3年後です。ガーデンハイブリッドは交配種なので、種から育てると親とは違う色や形の花が咲き、どんな花になるかを楽しめます。失敗例は、株分けを春の開花後に行い、根が十分に張らないまま夏を迎えて枯らすことです。株分けは秋に行えば、冬までに根が伸びて落ち着きます。
株分けの時期を選ぶ
根が活発に伸びる10月から11月に行います。数年育てて芽が多く、鉢いっぱいに大きくなった株が向いています。
株を抜いて芽を数える
手袋をして鉢から抜き、土を落として芽と根の付き方を確認します。分ける位置を、1株に芽が3つ以上残るように決めます。
切り分ける
清潔なナイフで根元を切り分けるか、手で引き分けます。太い根をなるべく傷つけないようにし、細かく分けすぎないようにします。
植えて根付かせる
それぞれを深鉢に元の高さで植え、たっぷり水を与えます。明るい日陰で乾かしすぎないよう管理し、根付いたら日なたへ移します。
春と秋の新芽や花にアブラムシが付きやすく、葉が縮れたり、ウイルス病を運ばれたりします。見つけたら水で洗い流すか、用途に登録のある薬剤を使います。冬から春の開花期は、花や古い葉に灰色のカビが生える灰色かび病が出やすく、傷んだ花と葉を早めに取ることで防げます。注意したいのは、葉脈に沿って黒い筋や斑点が広がり、花茎がねじれる「ブラックデス」と呼ばれるウイルス病です。治す方法がないため、疑わしい株は根ごと抜いて処分し、使ったハサミは消毒します。春から初夏には、ナメクジが新芽や花びらをかじることがあり、食べ跡があれば夜に見回るか誘引剤で対処します。夏は高温多湿で根腐れが起きやすく、株元が黒くやわらかくなったら傷んだ部分を取り除いて植え直します。失敗例は、古い葉を残したまま冬を越させ、灰色かび病が新しい花芽にまで広がることです。古葉切りが一番の予防になります。
2〜3月が花の盛りです。花びらに見える萼片は散りにくく、咲き進むと緑がかった色に変わります。種を採らない場合は3〜4月に花茎を株元で切ります。新葉が出たら追肥を与え、アブラムシを確認します。
暑さに弱く、生育がゆるやかになる時期です。明るい日陰や遮光した場所に移し、肥料は止めます。水やりは乾いてから夕方に与え、土を湿ったままにしません。5〜6月は種の取りまきができます。
10〜11月は植え付け、植え替え、株分けの適期です。根が活発に伸びるので、元肥を入れて植え直します。日当たりのよい場所に戻し、つぼみを育てます。11月下旬からは古葉切りを始めます。
12月までに古い葉を切り、花芽とつぼみに日が当たるようにします。寒さには強く、霜や雪に当たっても屋外で冬越しできます。1月ごろから花茎が伸びて咲き始めるので、乾燥しすぎないよう水を与えます。
10月の作業をくわしく知りたいときは秋の植え替えの記事も参考になります。
原因
株が若い、肥料不足、深植え、冬の日照不足
対策
開花まで3年ほど待つ。10月から月1回施肥し、芽が地際に出る深さか確認。秋から春は日なたに置く
原因
ブラックデス(ウイルス病)。アブラムシが媒介
対策
治療法がないため感染株は処分し、使ったハサミは消毒。アブラムシを見つけ次第駆除して予防する
原因
高温・直射日光・西日
対策
風通しの良い明るい日陰に移し、マルチングで地温を下げる。水やりは夕方に控えめに
原因
灰色かび病。多湿と花への水かけ
対策
傷んだ花と葉を取り除き、水は株元だけに与えて風通しを確保。古葉取りで予防する
原因
夏の過湿による根腐れや立ち枯れ
対策
水やりを止めて日陰へ移し、土が乾いたら腐った根を整理して水はけの良い土に植え直す
原因
受粉後に萼片の葉緑素が増える自然な変化
対策
病気ではない。株の消耗を防ぐなら色が変わり始めた頃に花茎を根元から切る
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
クリスマスローズの花言葉は「私の不安を和らげて」「いたわり」「追憶」などとされます。冬の寒い時期に、うつむきながらも長く咲き続ける姿から、そっと寄り添う気持ちが連想されたといわれます。下向きに咲く花は、見上げると中の模様が見える奥ゆかしさも魅力です。
風水では、冬の寒さの中で咲く花は、停滞した気を動かし、新しい始まりを呼ぶとされます。玄関まわりや庭の東側に植えると、春を待つ時期に明るい気配を添えてくれるといわれます。ただし全草に毒があるので、置き場所は子どもやペットの手が届かないことを優先して決めます。
10月から11月が最適です。暑さが和らいで根が活発に伸び始める時期なので、植え替えたあとに根が早く落ち着き、翌春の花にも影響しにくくなります。2〜3月の開花中にも植え替えはできますが、根鉢を崩さずに一回り大きな鉢へ移す程度にします。根が動かない真夏の植え替えは、根が傷んで枯れる原因になるので避けます。
ガーデンハイブリッドは11月下旬から12月に、前年の古い葉をすべて付け根から切ります。株元に新しい花芽やつぼみが見えていることを確認し、それを傷つけないように葉柄の根元で切ります。古い葉を残すと花芽に日が当たらず、病気の原因にもなります。茎の先に花が咲くニゲルなどは、傷んだ葉を取る程度で構いません。
多い原因は、株がまだ若い、冬に日が当たっていない、夏に根が傷んだ、の3つです。種から育てた株や小さな苗は、咲くまで2〜3年かかります。一年中日陰に置いていると花芽ができにくく、古い葉を切らずに残していると花芽に日が届きません。夏の過湿や高温で根が弱った株も、翌年は花が少なくなります。秋に植え替えて肥料を与え、冬は日の当たる場所に置くと、多くは翌年から咲き始めます。
全草に毒があります。口に入れると嘔吐や下痢などを起こすおそれがあり、茎や根の汁が肌に付くとかぶれることもあります。古葉切りや株分けは手袋をして行い、作業後は手を洗います。子どもやペットが葉や花をかじらない場所に植えるか、鉢を置くようにしてください。
屋外のままで大丈夫です。耐寒性が強く、霜や雪に当たっても枯れません。むしろ寒さに当たることで花芽が育ち、春にそろって咲きます。暖かい室内に長く置くと、花茎がひょろりと伸びて株が弱ります。開花中の鉢を室内で楽しむ場合は、数日ごとに屋外へ戻すか、暖房の効いていない明るい場所に飾ります。
病気ではなく、クリスマスローズの自然な変化です。花びらに見える部分は萼片で、咲き進むと緑がかった色に変わり、そのまま長く残ります。種を採らない場合は、色が変わって見頃を過ぎたと感じたら、3〜4月に花茎を株元で切ると株の負担が減ります。切った花は、緑に変わった状態でも切り花として楽しめます。
10月の季節の作業と、クリスマスローズの手入れで迷いやすいところに合わせて選んでいます。
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執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。