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クリスマスローズの育て方

Helleborus orientalis最終更新日:
編集部

Hapot編集部より

クリスマスローズ(Helleborus orientalis)は、ヨーロッパ〜西アジア原産のキンポウゲ科の常緑多年草で、花の少ない冬から早春(1〜3月)にうつむき加減の上品な花を咲かせる貴重な存在です。「冬の貴婦人」と称される気品ある佇まいで、シックな花色と相まって30〜40代のガーデナーから絶大な支持を集めています。花に見える部分は萼片のため観賞期間が2か月以上と長く、白・ピンク・紫・グリーン・黒に近い濃紫まで花色が豊富。一重(シングル)、八重(ダブル)、セミダブルと花形のバリエーションも楽しめます。日本で主に流通するのは交配種のガーデンハイブリッドで、寒さに非常に強く(-15°C程度まで)、半日陰でよく育つため落葉樹の下やシェードガーデンに最適。一度根付けば毎年株が充実して花数が増える、長く付き合える宿根草です。難易度は中級で、夏越しが最大のポイントになります。

分類・基本データ

キンポウゲ科
クリスマスローズ
別名
ヘレボルス、レンテンローズ、冬の貴婦人、ガーデンハイブリッド
原産地
ヨーロッパ中南部から西アジア(トルコ、コーカサス地方など)原産。ブナなどの落葉樹林の林床や石灰岩質の斜面に自生し、冬〜春に日が差し夏は木陰になる環境で育っています。
大きさ
草丈30〜50cm、株張りは充実すると40〜60cm。鉢植えでは5〜7号鉢で30cm前後にまとまります。原種のニゲルはやや小型で20〜30cmです。

育て方サマリ

水やり

土の表面が乾いたら(秋冬は週2回、夏は控えめに)

日光

半日陰

適温

-15-25°C

湿度

50-70%

水はけの良い弱酸性〜中性の土。赤玉土5:腐葉土3:軽石2

ケアのポイント

肥料

10月〜4月に月1回緩効性肥料。夏は肥料不要

成長速度

遅い

毒性

全草が有毒(プロトアネモニン)。素手での剪定は避ける

夏越しが最大のポイント。直射日光と高温多湿を嫌うので、夏は半日陰で涼しく管理します。古い葉は11月頃に根元から切り取ると、花芽が見やすくなり株も美しくなります。植え替えは10-12月が最適。深植えにせず、芽が地際に出る程度に。種からも育てられますが、開花まで3年ほどかかります。株分けは花後すぐ(3-4月)に行いましょう。花がらは種をつけると株が弱るので、早めに切り取ります。

育て方の詳細

苗・株の選び方

開花株は花が見られる12〜3月に購入するのが確実です。クリスマスローズは交配種が多く、ラベル写真と実際の花が異なることが珍しくないため、好みの花色・花形を選ぶなら開花中の株を自分の目で確かめるのが鉄則です。株元から太い新芽が複数上がっているもの、葉の枚数が多く葉色の濃いものが良株。ポットを持ち上げて軽すぎる株や、株元がぐらつくものは根の状態が悪い可能性があります。安価な未開花の小苗(9cmポット)は開花まで1〜2年待つ必要があるので、初心者は2年生以上の開花見込み株か開花株を選びましょう。

置き場所・日当たり

季節で日照が変わる場所が理想という、少し変わった好みを持ちます。ベストは落葉樹の株元のような「秋〜春は日なた、夏は木陰」になる場所。花芽を作る秋から開花期の冬〜春はしっかり日に当て、暑さが苦手な夏は西日の当たらない涼しい半日陰で夏越しさせます。鉢植えなら季節で移動:10〜4月は日なた、5〜9月は風通しの良い明るい日陰へ。寒さには非常に強く、霜や雪をかぶっても平気です。

水やりの詳細

庭植えは根付けば降雨だけでほぼ足ります。鉢植えは土の表面が乾いたらたっぷりが基本ですが、季節でメリハリを付けます:生育期の秋〜春はしっかりと、半休眠する夏は乾かし気味に(過湿は根腐れと立ち枯れの元)。夏の水やりは夕方の涼しい時間に。冬は凍結を避けるため暖かい日の午前中に与えます。花期に葉や花に水をかけると灰色かび病の原因になるので、株元に注ぐようにしましょう。

剪定・切り戻し

剪定というより「古葉取り」が主な手入れです。12月頃、花芽が上がってくる前に、傷んだ古い葉を付け根からカット。株元に日が入って花芽の生育が促され、花が葉に埋もれず美しく見え、病気の予防にもなります。花後は、種を採らないなら花茎を根元から切り取ると株の消耗を防げます。作業時は念のため手袋を(茎葉の汁に触れるとかぶれることがあります)。

植え替え

鉢植えは1〜2年に1回、生育開始期の10〜11月が最適期です(真夏と開花中は避ける)。根がよく張るため、根詰まりすると花付きが悪くなります。一回り大きな鉢に、水はけの良い土(山野草用土や、赤玉土5:腐葉土3:軽石2)で植え付けを。同時に株分けも可能で、大株を芽が2〜3個ずつ付くように手で割って分けます。庭植えの移植も10〜11月に。

増やし方

株分けと種まきの2通りです。株分けは10〜11月、植え替えと同時に。確実に親と同じ花が咲きます。種まきは5〜6月の採り蒔きが基本で、開花まで2〜3年かかりますが、交雑で親と違う花が咲く「ガチャ」的な楽しみがあります。こぼれ種でも株元に実生苗が育つことが多いので、見つけたら秋に掘り上げて鉢上げすると増やせます。

病害虫対策

灰色かび病とブラックデス(ウイルス病)が要注意です。灰色かび病は多湿期に花や葉が茶色く腐る病気で、傷んだ部分の除去と風通し確保で予防を。ブラックデスは葉や花に黒い斑紋やねじれが出る治療不可能なウイルス病で、発症株は残念ですが処分し、使ったハサミは必ず消毒してください。害虫はアブラムシが新芽や花に付きやすく、ウイルスを媒介するため見つけ次第駆除します。

季節ごとの管理

春の管理

開花期(1-3月)。花がら摘みをこまめに。花後に株分け可能。3-4月に追肥。

夏の管理

最大の難関。半日陰で涼しく管理。水やりは早朝か夕方に。マルチングで地温上昇を防ぐ。

秋の管理

成長期の始まり。10-11月に古い葉を切り取り、肥料を施します。植え替えの適期。

冬の管理

花芽が上がってくる時期。寒さには非常に強いので、屋外管理でOK。霜で花が傷むことがあるので注意。

よくあるトラブルと対策

花が咲かない

原因

株が若い、肥料不足、深植え

対策

開花まで3年以上待つ。10月から施肥し、植え付け深さを確認

葉が黒くなる

原因

ブラックデス(ウイルス病)

対策

感染株は処分する。治療法はない

夏に葉がしおれる

原因

高温・直射日光

対策

半日陰に移動し、マルチングで地温を下げる

クリスマスローズの花言葉・風水

花言葉

花言葉は「追憶」「私を忘れないで」「いたわり」「慰め」。うつむいて咲く控えめな花姿や、誰もいない冬の庭で静かに咲く様子から、物思いにふけるイメージの言葉が付けられました。「いたわり」「慰め」は、古代ヨーロッパで薬草として心の病の治療に使われたと伝えられる歴史に由来します。中世の騎士が戦場へ向かう際、恋人にこの花を贈ったという逸話から「私を忘れないで」が生まれたとされ、冬の贈り物にも物語性のある花です。

風水・縁起

クリスマスローズは「気を静める」「邪気を払う」植物とされ、ヨーロッパでは古くから悪霊除けとして家の入口近くに植えられてきた歴史があります。風水的には、うつむいて咲く姿が謙虚さと内面の充実を象徴し、半日陰を好む性質から鬼門(北東)や日当たりの悪い玄関まわりの運気改善に使える数少ない開花植物として重宝されます。花の少ない冬に庭へ生気をもたらすこと自体が幸運を呼ぶとされ、クリスマスやお正月から春の彼岸まで長く咲き続けるため、年末年始の縁起植物として寄せ植えに加えるのもおすすめです。

クリスマスローズのよくある質問

Qクリスマスローズという名前なのにクリスマスに咲かないのはなぜですか?回答を見る
A

日本で広く流通しているのは交配種のガーデンハイブリッド(ヘレボルス・オリエンタリス系)で、本来の開花期は1月下旬〜3月だからです。本家の「クリスマスローズ」は、ヨーロッパでクリスマスの頃に白い花を咲かせる原種ヘレボルス・ニゲルだけを指す名前でした。日本では属全体をクリスマスローズと呼ぶ習慣が定着したため、名前と開花期のズレが生まれています。どうしてもクリスマスに花を楽しみたい場合は、11〜12月に開花するニゲル(「クリスマスキャロル」など)の開花株を選んでください。

Qクリスマスローズの花が緑色に変わってきました。病気ですか?回答を見る
A

病気ではなく自然な変化です。クリスマスローズの花びらに見える部分は実は萼片(がくへん)で、本当の花びらは退化して蜜腺になっています。萼片は受粉が終わっても散らずに残り、役目を終えると葉緑素が増えて白やピンクの花が徐々にグリーンへ変化していきます。この「グリーンに退色した姿」も渋い魅力として楽しむ愛好家は多いです。ただし、種をつけたままにすると株が消耗するため、株を充実させたい場合は色が変わり始めた頃に花茎を根元から切り取りましょう。切った花は浅い器に浮かべるフローティングフラワーとして楽しめます。

Qクリスマスローズには毒があると聞きました。扱い方の注意点は?回答を見る
A

はい、全草にプロトアネモニンなどの有毒成分を含み、汁液に触れると人によって皮膚がかぶれることがあります。剪定や植え替えなど汁液に触れる作業では園芸用手袋を着用し、作業後は手をよく洗ってください。誤食すると嘔吐や腹痛を起こすため、犬・猫・小さな子どものいる家庭では、切った葉や花茎を放置しないことが大切です。とはいえ観賞している分にはまったく問題なく、苦味が強いためペットが好んで食べることもまれです。古くから「毒をもって邪を払う」と魔除けにされてきた歴史も、この成分に由来します。

Q古葉切り(葉を切る作業)は必ずやらないとダメですか?いつやりますか?回答を見る
A

必須ではありませんが、やることを強くおすすめします。適期は花芽が動き出す前の11月下旬〜12月。前年から残っている古い葉を地際からすべて切り取る作業で、3つのメリットがあります。第一に、立ち上がる花茎に日光が当たり花つきと花色が良くなること。第二に、古葉に潜む病原菌(ブラックデスや灰色かび病の温床)を持ち越さないこと。第三に、花が葉に埋もれず観賞価値が上がることです。ただし株が若く葉数が少ない場合や、傷んでいない葉が多い場合は、汚れた葉だけ間引く程度でも構いません。切る際は清潔なハサミと手袋を使ってください。

Qクリスマスローズはこぼれ種で増えますか?生えてきた苗はどうすればいい?回答を見る
A

はい、地植えで花がらを残しておくと5〜6月に種が落ち、秋〜翌春に株元周辺から発芽してよく増えます。ただし交配種のため、こぼれ種の子は親と同じ花が咲くとは限らず、色や花形はまさに「開花してのお楽しみ」です。生えてきた実生苗は、本葉が2〜3枚になった春か秋に掘り上げて9cmポットに移植し、半日陰で育てます。開花までは早くて2年、通常3年かかります。親株の真下に密集したまま放置すると親の根を圧迫し合うので、増やしたくない場合は花後に花茎ごと切り取って種を落とさせないようにしましょう。

Qマンションのベランダ(鉢植え)でもクリスマスローズは育てられますか?回答を見る
A

育てられます。むしろ季節で置き場所を変えられる鉢植えはベランダ向きです。秋〜春は日が当たる場所、5月以降はエアコン室外機の熱風が当たらない明るい日陰へ移動します。北向きベランダでも夏は安心な一方、冬の日照が不足すると花つきが落ちるため、できれば冬に日が入る環境が理想です。鉢は通気性の良い素焼き系の6号以上を使い、コンクリート床からの照り返し熱を避けるためスノコや鉢スタンドで床から浮かせるのがコツ。水やりは秋〜春は土の表面が乾いたら、夏は2〜3日に1回夕方に控えめに与えます。2〜3年に1回、10〜12月に一回り大きな鉢へ植え替えれば長く楽しめます。