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クレマチスの育て方

Clematis spp.最終更新日:
編集部

Hapot編集部より

クレマチスは、「つる植物の女王」の称号を持つ、立体ガーデニングの主役です。バラの「つるの相棒」として世界中の庭で共演し、フェンス・オベリスク・アーチを大輪の花で埋め尽くします。品種は数百種、花期も春〜秋と多彩——そして初心者を悩ませる最大の関門が「剪定」です。しかしその正体は、たった3タイプの分類:①旧枝咲き(去年の枝に咲く→強く切らない)、②新枝咲き(今年の枝に咲く→冬にバッサリ)、③新旧両枝咲き(中間→花後に軽く)。自分の株がどれかを知る、それだけで剪定の迷路は出口に変わります。もうひとつの合言葉は「頭は日なた、根元は日陰」:この2つを覚えれば、女王は毎年、壁一面の花で応えてくれます。

分類・基本データ

キンポウゲ科
センニンソウ属 Clematis
クレマチス
別名
テッセン、鉄線、カザグルマ、モンタナ、ビチセラ
原産地
世界に約300種。日本のカザグルマ・中国のテッセンが大輪園芸品種の親です。
大きさ
つるは1.5〜4m(系統差)。フェンス・オベリスク・アーチ・行灯鉢仕立てに。

育て方サマリ

水やり

土の表面が乾いたら(乾燥にやや弱い)

日光

直射日光

適温

-10〜30°C(系統により差はあるが総じて耐寒性強)

湿度

40-60%

水はけと保水を兼ねた肥沃な土(深植えが特徴)

ケアのポイント

肥料

生育期に月1回の置き肥+液肥(肥料好き)

成長速度

速い(つるは年数m)

毒性

全草に毒性(プロトアネモニン)。汁液でかぶれることも。ペット注意

「自分の株の剪定タイプを知る」ことが上達の9割。ラベルの系統名は捨てずに記録してください。

育て方の詳細

苗・株の選び方

初心者は「新枝咲き」か「新旧両枝咲きの四季咲き大輪」から:剪定が簡単(冬にバッサリ or 花後に軽く)で失敗がありません。憧れのモンタナ系(旧枝咲き・春の滝咲き)は剪定理解後の2株目に。購入時はラベルの系統名を必ず保存——それが翌年の剪定の教科書になります。

置き場所・日当たり

「頭は日なた、根元は日陰」がクレマチスの黄金律です。花には1日4〜6時間の日照が必要ですが、根は高温と乾燥を嫌うため、株元に低い草花を植えるか、鉢・石で日陰を作ります。つるの誘引先(フェンス・オベリスク・アーチ・バラの株元)を植え付け前に用意:つるは自分で巻き付く力が弱いので、随時ヒモで留める前提の設計にします。風で新芽が折れやすいため、強風の通り道は避けてください。

水やりの詳細

乾燥にやや弱く、土の表面が乾いたらたっぷりの標準管理を丁寧に守ります。特に鉢植えの夏は朝夕チェック:水切れは下葉の枯れ上がりと花数減に直結します。株元マルチング(バークや草花の根陰)が乾燥と地温の両対策に。過湿による根腐れもあるため、水はけの良い土が前提です。

最適な土の作り方

クレマチス特有の鉄則が「深植え」です:株元の1〜2節を土に埋めて植えると、地中の節から新しい芽(吹き替え芽)が出て、立ち枯れ病で地上部を失っても復活できる保険になります。土は水はけと保水を兼ねた肥沃な配合(赤玉土5:腐葉土3:軽石2)。植え付け適期は真夏を除くほぼ通年で、根鉢を崩さずそっと(根はゴボウ状で繊細です)。鉢は深鉢を選びます。

剪定・切り戻し

3タイプ分類がすべてです。【旧枝咲き(パテンス系・モンタナ系など春一季咲き)】花芽は前年の枝に付くため、剪定は花後すぐの整理程度:冬に切ると花がなくなります。【新枝咲き(ビチセラ系・テキセンシス系・インテグリフォリア系など)】今年伸びた枝に咲くため、冬に地際から2〜3節でバッサリ:春の新枝が花枝になります。【新旧両枝咲き(ラヌギノーサ系など大輪四季咲き多数)】花後に花から1〜2節下で軽く切ると、繰り返し咲きます。ラベルの系統を確認し、不明なら「花後に軽く」の中間運用で1年観察を。

植え替え

鉢植えは1〜2年に1回、休眠期(12〜2月)に。根はゴボウ根で移植ストレスに弱いため、根鉢を崩さず一回り大きな深鉢へ「そっと引っ越し」が原則です。庭植えの移植も休眠期に大きく掘り上げて。

増やし方

挿し木(挿し芽)が基本です。5〜7月、今年伸びた充実したつるを1節ずつ(節の上下でカット)に分け、節を土に半分埋める「一節挿し」で。発根まで1〜2か月、成功率は品種により中程度なので数を挿します。つるを土に伏せて節から発根させる「取り木」も確実な方法です。

病害虫対策

最重要は「立ち枯れ病」:元気だったつるが突然しおれて枯れる、クレマチス名物の病気です。原因は株元の傷や病菌で、対処は枯れたつるを地際で切除するのみ——しかし深植えしてあれば地中の芽から復活します(これが深植えの保険の意味)。害虫はアブラムシ・ハダニ・ヨトウムシ、春の新芽を食べるナメクジに注意。うどんこ病は風通しで予防します。

年間カレンダー

1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
開花
肥料
手入れ
手入れの内容
  • 2新枝咲きの冬剪定(地際2-3節)・寒肥
  • 4誘引ラッシュ・置き肥スタート
  • 5開花本番・花後剪定(タイプ別)
  • 6挿し木適期・二番花への追肥
  • 7水切れ厳重注意・株元マルチ確認
  • 12休眠期の植え替え・タイプ別剪定の計画

季節ごとの管理

春の管理

旧枝咲き・両枝咲きの開花本番。誘引ラッシュとアブラムシ見回り。

夏の管理

新枝咲きの開花期。水切れ厳重注意。挿し木の適期。

秋の管理

四季咲き系の返り咲き。秋の植え付け適期。

冬の管理

剪定タイプ別の冬作業(新枝咲きはバッサリ、旧枝咲きは触らない)。

よくあるトラブルと対策

元気だったつるが一本だけ急にしおれた

原因

立ち枯れ病。株元の傷や病菌で導管が詰まるクレマチス名物。

対策

枯れたつるを地際で切除して処分します。深植えしてあれば地中の芽から高確率で吹き替わるため、株は諦めず水やりを継続して復活を待ちます。

冬に剪定したら春に全く咲かなかった

原因

旧枝咲きタイプを冬にバッサリ切り、花芽ごと失った。

対策

今年は株の回復を優先し、来季から「花後すぐの整理だけ・冬は触らない」へ変更を。系統名の確認(モンタナ系・パテンス系は旧枝咲き)が再発防止の全てです。

クレマチスの花言葉・風水

花言葉

クレマチスの花言葉は「精神の美」「旅人の喜び」。細いつるが大輪を支える気高さと、欧州で旅籠の軒を飾った歴史に由来します。

風水・縁起

つるが上へ絡み咲く姿は「運気の上昇と縁結び」の象徴。門扉やアーチのクレマチスは、良い縁を家に導くとされます。

クレマチスのよくある質問

Q剪定の仕方が分からず、毎年切っていいのか怖いです。回答を見る
A

怖さの正体は「タイプを知らないこと」だけです。確認手順:①ラベル・購入記録で系統名を調べる(モンタナ/パテンス→旧枝咲き、ビチセラ/テキセンシス→新枝咲き、大輪四季咲きの多く→新旧両枝咲き)。②不明なら1年観察:春一番の花が「去年からある古い枝」に咲けば旧枝咲き、「春に伸びた新しい枝」に咲けば新枝咲きです。③運用:旧枝咲きは花後の整理だけ・冬は触らない/新枝咲きは冬に地際2〜3節でバッサリ/両枝咲きは花後に1〜2節下で軽く。この3行をメモしておけば、剪定バサミはもう怖くありません。

Q元気だったつるが突然しおれて枯れました。回答を見る
A

クレマチス名物「立ち枯れ病」の典型です。株元の傷から菌が入り、水を運ぶ管が詰まって一枝〜株全体が急にしおれます。対処:①枯れたつるを地際で切除して処分、②株元を清潔にし、水はけを確認。そして希望を捨てないこと——「深植え」してあれば、地中に埋めた節の芽が生きており、数週間〜翌春に新しいつるが吹き替わって復活する例が非常に多いのです。枯れてもすぐ株を捨てず、1年は水やりを続けて様子を見てください。予防は深植え・株元を傷つけない・清潔なハサミの3点です。