苗・株の選び方
初心者はスカシユリ系(丈夫・カラフル・香り控えめ)か、テッポウユリ系から。香りの女王を求めるならオリエンタル系(カサブランカ)を深鉢で。球根は大きく重く、鱗片がふっくら締まったものを:ユリは球根の大きさ=花の豪華さ、が正直に出ます。乾いてカサカサの見切り品は避けましょう。
Hapot編集部より
ユリは、一輪で空間の格を変える香りと花容で、「花の女王」バラと双璧をなす球根界の最高峰です。カサブランカに代表されるオリエンタル系の芳香と豪華さ、スカシユリ系の色彩とタフさ、日本自生のヤマユリ・テッポウユリの気品——系統ごとの個性も深い世界。そして意外なほど家庭向きです:秋に球根を植えれば夏に開花、数年植えっぱなしで株は充実していきます。他の球根と違う最大の特徴が「上根(うわね)」:茎からも根が出るため深植えが鉄則で、これを知らないと本領を発揮しません。「深く植えて、頭は日なた・足元は涼しく」——この言葉さえ覚えれば、真夏の庭に女王の香りが立ちます。
水やり
乾いたらたっぷり(極端な乾燥は苦手)
日光
半日陰
適温
-10〜30°C(系統により差。総じて耐寒性強)
湿度
40-60%
土
水はけの良い深い土(深植えが前提)
肥料
植え付け時の元肥+芽出しと花後に追肥
成長速度
秋植え→初夏〜夏に開花。数年で株が充実
毒性
猫に極めて危険(花粉・花瓶の水でも腎不全の恐れ)。猫のいる家庭は栽培・切り花とも回避を
初心者はスカシユリ系(丈夫・カラフル・香り控えめ)か、テッポウユリ系から。香りの女王を求めるならオリエンタル系(カサブランカ)を深鉢で。球根は大きく重く、鱗片がふっくら締まったものを:ユリは球根の大きさ=花の豪華さ、が正直に出ます。乾いてカサカサの見切り品は避けましょう。
「頭は日なた、足元は日陰」がユリの理想です:花には日照が必要ですが、球根は地温の上昇を嫌うため、株元に低い草花を植えるか、東向きの半日陰が最適解になります。オリエンタル系(カサブランカ等)は特に西日を嫌い、スカシユリ系は日なたに強め。深い根張りのため、耕土の深い場所か深鉢(30cm以上)を用意します。連作を嫌うので、ユリの後にユリは3〜4年空けて。
春の芽出しから開花までは、土の表面が乾いたらたっぷりと(生育期の水切れはつぼみの数と花のサイズに直結)。夏の開花後も葉が枯れるまでは通常管理を続け、球根を太らせます。休眠期(秋〜冬)も土中の球根は乾きすぎを嫌うため、鉢植えは月数回の水やりを忘れずに——「ユリの球根は乾物ではなく生モノ」と覚えてください。
深植えこそユリの生命線です。ユリは球根の上の茎からも根(上根)を出して養分を吸うため、「球根の高さ3個分(15〜20cm)」の深さに植えます(浅植えは生育不良と倒伏の元)。植え付けは10〜11月:深さ30cm以上を耕し、腐葉土をたっぷり混ぜ、元肥は球根に触れない位置に。鉢は深鉢に1球が基本です。購入した球根は乾かさず、すぐ植えるのが鉄則(乾燥に弱い無皮鱗茎です)。
開花中は雄しべの花粉を摘み取ると、花が長持ちし衣類の汚染も防げます(切り花の作法と同じ)。花が終わったら花首だけを切り(種を作らせない)、茎と葉は黄変するまで残して球根を育てます。秋、地上部が完全に枯れたら地際で切って越冬へ。
植えっぱなしで数年育つ球根ですが、鉢植えは2年に1回、庭植えも3〜4年したら10〜11月に掘り上げて植え直します(分球した子球の整理を兼ねます)。掘り上げた球根は乾かさないよう、湿らせたピートモスと共にすぐ植え付けを。
分球(自然に増える)と木子(茎の地中部に付く小球)が手軽です。上級者の楽しみとして「鱗片挿し」:球根の鱗片を1枚ずつ外し、湿ったバーミキュライトに挿すと数か月で小球が生まれます(1球から数十の子孫が作れる、ユリならではの繁殖術)。開花サイズまでは2〜3年の養成が必要です。
最重要はユリクビナガハムシ(赤い甲虫:成虫・幼虫とも葉を食害)とアブラムシ(ウイルス病を媒介:葉のモザイク模様が出た株は治療不可のため処分)です。見つけ次第の捕殺・駆除を。梅雨時は葉枯病(ボトリチス)が出やすく、発症葉の除去と風通しで対応します。連作土壌の球根腐敗は輪作で予防を。そして繰り返しになりますが、猫への強毒性(花粉の毛づくろいでも中毒)だけは庭の配置・切り花の飾り場所で必ず配慮してください。
芽出し→ぐんぐん伸長。芽出し肥と支柱(高性種)の準備を。
開花の本番。花粉摘み・花がら切りで球根を守る。
地上部が枯れたら地際でカット。植え付け・植え直しの適期。
土中で休眠。鉢は乾かしすぎない程度の水やりを継続。
原因
ユリクビナガハムシ。成虫・幼虫(黒い糞を背負う)ともユリ専門の食害虫。
対策
見つけ次第捕殺します(動きは鈍め)。幼虫は糞の塊ごと拭い取りを。放置すると葉がなくなり球根が痩せるため、春からの見回りが肝心です。
原因
ウイルス病。アブラムシが媒介し、治療法はない。
対策
発症株は残念ですが掘り上げて処分し、感染源を断ちます。ハサミ・手指の消毒、アブラムシの早期駆除が予防のすべてです。健全株との植え場所の分離も有効。
ユリ全体の花言葉は「純粋」「威厳」。白は「純潔」(聖母の花)、オレンジは「華麗」、ピンクは「虚栄心」。冠婚葬祭すべてに立つ、格の花です。
凛と立つ大輪は「高貴な陽の気」の象徴。玄関に活けるユリは来客運と家格を上げるとされます(香りが強いため寝室は控えめに)。
球根の消耗サイクルに入っています。原因は①浅植え(上根が働けず球根が痩せる:掘り上げて3個分の深さへ植え直しを)、②花後の管理不足(花首だけ切り、葉は枯れるまで残して球根を太らせる+お礼肥)、③連作・過密(3〜4年ごとに場所替えか分球整理)、④夏の地温上昇(株元のマルチングや下草で「足元涼しく」)。この4点を整えると、2年目から花が戻ります。ユリは「植えた年より2〜3年目が本番」の花:正しい養生で年々豪華になる方向へ切り替えましょう。
はい、猫にとってユリ科(ユリ属・ワスレグサ属)は最も危険な植物のひとつです。花・葉・茎・花粉・さらには活けた花瓶の水まで、ごく少量の摂取や、体に付いた花粉の毛づくろいだけでも急性腎不全を起こし、死に至る例が報告されています。猫のいるご家庭では、庭植え・鉢・切り花のすべてを避けるのが唯一の安全策です(「届かない場所」は猫には存在しません)。代替として、猫に安全な花:バラ、ガーベラ、キンギョソウ、ラン類などがあります。万一かじった痕跡があれば、症状がなくても直ちに動物病院へ。