苗・株の選び方
苗は、ヒメリンゴかアルプス乙女かを名札で確かめて選びます。ヒメリンゴを1本だけ育てるなら、受粉相手になる別品種の苗も一緒に用意します。
良い苗は、根元に接ぎ木のつなぎ目がある接ぎ木苗であること、幹が鉛筆より太くしっかりしていること、枝にふっくら丸い花芽がいくつも付いていることの3点がそろったものです。葉にオレンジ色の斑点が残っている苗と、幹に穴や木くずが見える苗は避けます。秋に実の付いた鉢を選ぶと、実の大きさと色を確かめてから買えます。
Hapot編集部より
ヒメリンゴ(姫林檎)は、春の花と秋の赤い小さな実を、鉢植えでコンパクトに楽しみたい人に向く落葉果樹です。リンゴの仲間の小型種で、直径2〜3cmほどの実がさくらんぼのように長い柄の先にぶら下がり、鉢植えや盆栽の定番として親しまれています。4月にはピンクのつぼみから白い花が開き、9〜10月に実が赤く色づきます。生で食べると酸味と渋みが強いので、主に観賞用とし、ジャムや果実酒にも使います。園芸店でヒメリンゴとして並ぶものには、長野県で見つかった極小玉のリンゴ「アルプス乙女」も含まれ、こちらは実が少し大きく生でも食べられます。
寒さには-20°C前後まで耐えるほど強い一方、注意したいのは受粉と赤星病です。ヒメリンゴは1本では実が付きにくいため、開花期の重なる別品種を近くに置きます。また、赤星病の病原菌はカイヅカイブキなどのビャクシン類と行き来するので、近くにビャクシン類がない場所で育てます。

水やり
鉢は表面が乾いたら。夏は朝夕に確認
日光
直射日光
温度の目安
-20〜35°C(寒さに強く、暖地では夏の乾燥に注意)
湿度
40-60%
土
水はけと水もちのよい、有機質に富んだ土
大きさの目安
鉢植えは8〜10号鉢で高さ1〜1.5mほど。盆栽仕立てでは30〜50cmに保てる。庭植えでは3〜5mになる。
成長の速さ
中(接ぎ木苗で2〜3年で結実。庭植えで3〜5m)
温度の目安(耐寒〜耐暑)
-20〜35°C(寒さに強く、暖地では夏の乾燥に注意)
肥料
2月の寒肥、6月の追肥、10月のお礼肥
成長速度
中(接ぎ木苗で2〜3年で結実。庭植えで3〜5m)
毒性
実は食用(生は酸味と渋みが強い)。種には青酸配糖体が含まれる
実を付けるには受粉相手が大切です。アルプス乙女などを並べ、開花中に筆で人工授粉をすると、鉢植えでも秋に赤い実がたくさん色づきます。
苗は、ヒメリンゴかアルプス乙女かを名札で確かめて選びます。ヒメリンゴを1本だけ育てるなら、受粉相手になる別品種の苗も一緒に用意します。
良い苗は、根元に接ぎ木のつなぎ目がある接ぎ木苗であること、幹が鉛筆より太くしっかりしていること、枝にふっくら丸い花芽がいくつも付いていることの3点がそろったものです。葉にオレンジ色の斑点が残っている苗と、幹に穴や木くずが見える苗は避けます。秋に実の付いた鉢を選ぶと、実の大きさと色を確かめてから買えます。
1日6時間以上日が当たる、風通しのよい場所が向いています。日当たりが悪いと花芽が少なく、実の色づきもくすみます。寒さには非常に強く、寒冷地でも屋外で冬を越せますが、冬の寒さに一定期間当たることで春に花が咲くため、冬に暖かい室内へ取り込まないようにします。暖地では、夏の西日と照り返しで鉢が乾きすぎるので、7〜8月は午後に日陰になる場所へ移します。赤星病を防ぐため、カイヅカイブキなどビャクシン類の生け垣が近くにある場所は避けます。
よくある失敗は、日当たりのよいベランダの床に鉢を直置きし、夏の照り返しで葉が茶色く焼けることです。鉢をスタンドに載せて床から離し、午後だけ日陰に移すと秋には新しい葉が出てきます。
鉢植えは土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えます。夏は朝夕の2回、乾き具合を確認します。特に4月の開花期と、6〜8月に実が大きくなる時期の水切れは、花や小さな実が落ちる原因になります。落葉する冬は生育が止まるので、土が乾いてから2〜3日後に、暖かい日の午前中に与える程度で構いません。ただし冬でも鉢の土をからからに乾かすと、春の芽吹きが遅れます。庭植えは根付いた後は雨任せで、晴天が10日以上続く夏だけ与えます。
よくある失敗は、夏に1日水を切らして葉がしおれ、小さな実がまとめて落ちることです。すぐに鉢ごとバケツの水に浸けて芯まで湿らせれば、株は数日で回復します。
水はけと水もちのバランスがよく、腐葉土などの有機物を多く含む土が向いています。鉢植えは市販の果樹用培養土をそのまま使えます。自分で配合する場合は、赤玉土小粒7、腐葉土3を目安にし、鉢底石を2〜3cm敷いて水の抜け道を作ります。リンゴの仲間は弱酸性から中性の土を好むので、酸性に傾いた古い土を使う場合は苦土石灰をひとつまみ混ぜます。庭植えは植え穴を直径・深さ50cmほど掘り、掘り上げた土に堆肥か腐葉土を3割ほど混ぜます。
剪定は、葉が落ちて休眠している12月から2月が適期です。ヒメリンゴは、長さ数cmの短い枝(短果枝)の先に花芽を付けます。ふっくら丸い花芽の付いた短い枝は残し、枯れ枝、内側へ向かう枝、交差する枝、真上へ勢いよく伸びる徒長枝を付け根から切ります。長く伸びた枝は先端を3分の1ほど切り詰めると、翌年以降に短い枝が出て花が付きやすくなります。夏の6〜7月に伸びすぎた徒長枝を軽く切ると、株の内側に日が入り、実の色づきがよくなります。
よくある失敗は、形を整えようと短い枝まで切りそろえ、翌春に花がほとんど咲かないことです。翌年は徒長枝だけを抜くと、残った短い枝に花芽が戻ります。
時期と道具を準備する
落葉している12月から2月に行います。剪定ばさみ、太い枝用のノコギリ、癒合剤を用意し、花芽の位置を先に確かめます。
不要な枝を抜く
枯れ枝、内側へ向かう枝、交差する枝、真上へ勢いよく伸びる徒長枝を付け根から切ります。株の内側に日が入るようにします。
短い枝を残す
ふっくら丸い花芽が付いた長さ数cmの短い枝は、翌春に花と実を付けるので切らずに残します。
長い枝を切り詰める
長く伸びた枝は先端を3分の1ほど切り詰め、外向きの芽の上で切ります。太い枝の切り口には癒合剤を塗ります。
植え付けと植え替えは、葉が落ちた11月から3月の休眠期に行います。寒冷地では土が凍る厳寒期を避け、11月か3月に済ませます。苗は最初は6〜7号鉢に植え、根が回ったら2〜3年ごとに一回り大きな鉢へ移して、最終的には8〜10号鉢で育てます。鉢から抜いて古い土を3分の1ほど落とし、黒く傷んだ根や長く巻いた根を切り、接ぎ木のつなぎ目が土に埋まらない高さで植えます。受粉相手の鉢も同じ時期に植え替えると、並べて管理しやすくなります。
よくある失敗は、花芽がふくらみ始めた4月に植え替えて根を切り、花が咲かずにつぼみが落ちることです。その年は水を切らさず肥料を控えて株を休ませると、翌年は咲きます。
時期と用意するもの
葉が落ちた11月から3月に行います。一回り大きな鉢、果樹用培養土、鉢底石、清潔なハサミ、移植ごてを用意します。
根を整える
鉢から株を抜き、古い土を3分の1ほど落とします。黒く傷んだ根や、鉢底でぐるぐる巻いた長い根を切り詰めます。
接ぎ木部を出して植える
鉢底石を2〜3cm敷いて土を入れ、接ぎ木のつなぎ目が土の上に出る高さで据えます。周りに土を入れ、棒で突いて隙間を埋めます。
水やりと支柱
鉢底から流れ出るまで水を与え、細い幹は支柱で固定します。屋外の日なたに置き、肥料は2月の寒肥から再開します。
ヒメリンゴは挿し木では根が出にくく、家庭では2〜3月の接ぎ木で増やすのが一般的です。台木には、リンゴの台木として使われるマルバカイドウやミツバカイドウの苗を使います。前年に伸びた枝から芽を2〜3個付けた穂木を切り、台木の切れ目に形成層を合わせて差し込み、接ぎ木テープで固定します。うまく付けば4〜5月に穂木から芽が伸びます。種から育てることもできますが、冬の寒さに当ててから春にまく必要があり、実がなるまで5年以上かかるうえ、親と同じ実になるとは限りません。
よくある失敗は、穂木と台木の形成層がずれて芽が伸びないことです。太さの近い台木と穂木を選び、片側だけでも形成層をぴったり合わせると付きやすくなります。
時期と道具を準備する
2〜3月に行います。マルバカイドウなどの台木、前年に伸びた枝の穂木、よく切れる接ぎ木ナイフ、接ぎ木テープを用意します。
穂木を整える
穂木を芽が2〜3個付く長さに切り、下の端を片側だけ2〜3cmほど斜めに薄く削って、緑色の形成層を出します。
台木に差し込む
台木を地際から5〜10cmで切り、切り口の端を縦に2〜3cm切り込みます。穂木を差し込み、形成層を片側でぴったり合わせます。
固定して見守る
接ぎ木テープで巻いて固定し、穂木の先の切り口も乾かないよう覆います。4〜5月に芽が伸びたら、台木から出る芽をかき取ります。
最も注意したいのは赤星病です。4〜5月に葉の表にオレンジ色の斑点が出て、やがて葉の裏に毛のようなものが生えます。病原菌はカイヅカイブキなどのビャクシン類とリンゴの仲間を行き来して生きているため、近くにビャクシン類がなければほとんど発生しません。避けられない場所では、展葉期から用途に登録のある薬剤で予防します。ほかに、葉に白い粉が出るうどんこ病、春の新芽に付くアブラムシ、葉を食べる毛虫、幹に穴を開けるカミキリムシの幼虫にも気をつけます。
よくある失敗は、隣家のカイヅカイブキの近くで育てて毎年葉が斑点だらけになることです。斑点の出た葉を取り除き、鉢をできるだけ離れた場所へ移すと、翌年の発生が減ります。
4月に花が咲くので、別品種の花と人工授粉をします。開花中は水を切らさず、雨の日は軒下へ移します。日なたに置き、5月に実が多い房を間引きます。赤星病とアブラムシが出やすい時期なので、新芽と葉の表を見回ります。
鉢の土は朝夕に確認し、乾いていれば水を与えます。6月に追肥をして実を大きくします。暖地では7〜8月だけ午後に日陰になる場所へ移します。伸びすぎた徒長枝を軽く切り、カミキリムシの成虫や毛虫に注意します。
9〜10月に実が赤く色づき、観賞するか、ジャムや果実酒用に収穫します。収穫後の10月にお礼肥を与えます。水は乾いたらたっぷり与え、日なたに置きます。うどんこ病の出た葉は早めに取り除きます。
落葉したら剪定と植え替えの適期です。2月に寒肥を与えます。冬も屋外に置いて寒さに当て、暖かい室内へは入れません。水は鉢の土が乾いて2〜3日後に与えます。落ち葉は病気の元になるので集めて処分します。
原因
赤星病です。カイヅカイブキなどのビャクシン類で冬を越した病原菌が、4〜5月の雨で飛んでリンゴの仲間の葉に移ります。
対策
斑点の出た葉は取り除いて処分します。近くのビャクシン類から離した場所へ鉢を移し、翌年は展葉期から用途に登録のある薬剤で予防します。
原因
1本では実の付きにくいヒメリンゴを1本だけで育てているか、開花中の雨や遅霜で受粉できなかったことが考えられます。
対策
開花期の重なるアルプス乙女やほかのリンゴを近くに置き、咲いた花どうしを筆でなでて人工授粉します。開花中は鉢を軒下へ移します。
原因
うどんこ病です。春と秋の乾燥した時期や、日当たりと風通しの悪い株で広がりやすくなります。
対策
白くなった葉や新芽を早めに摘み取り、冬の剪定で枝を間引いて風を通します。広がる場合は用途に登録のある薬剤をラベルどおりに散布します。
原因
春の新芽に集まるアブラムシです。汁を吸われた葉は縮れ、排せつ物でべたついたり黒く汚れたりします。
対策
数が少ないうちに水で洗い流すか、付いた新芽ごと切り取ります。春は数日おきに新芽を見回り、肥料の与えすぎで枝が軟らかくならないようにします。
原因
カミキリムシの幼虫(テッポウムシ)が幹の中を食べ進んでいます。放っておくと枝や株全体が枯れることがあります。
対策
木くずの出ている穴を探し、針金を差し込んで幼虫を取り除くか、用途に登録のある薬剤を穴に注入します。夏は成虫を見つけ次第捕まえます。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
ヒメリンゴの花言葉は、リンゴの仲間として「選択」「名声」などとされます。ギリシャ神話で、最も美しい女神を選ぶ場面に黄金のリンゴが登場することに由来するといわれます。小さな実には「誘惑」という言葉が添えられることもあります。
風水では、赤い実は人を引き寄せる良縁の色とされ、実のなる木は家に実りや豊かさをもたらすといわれます。鉢植えのヒメリンゴは、日当たりのよい南側のベランダや玄関先に置くと縁起がよいとされます。根拠のある話ではないので、日当たりとビャクシン類から離れた場所を優先して置き場所を決めます。
ヒメリンゴは1本では実が付きにくく、受粉相手の別品種があると実りやすくなります。リンゴの仲間は自分の花粉で実を結びにくいものが多く、開花期の重なるアルプス乙女やほかのリンゴ、カイドウの仲間を近くに置くのが基本です。アルプス乙女は1本でも実がなりやすい品種とされます。鉢を並べて置き、開花中に筆で花どうしの花粉を付け合うと、実付きがさらに安定します。
なります。鉢植えや盆栽で実を楽しむのが定番の果樹です。8〜10号鉢で高さ1〜1.5mに保てば、ベランダでも育てられます。接ぎ木苗なら植えてから2〜3年で実がなり始め、鉢植えでは1鉢あたり20〜50個ほどが目安です。実を付けすぎると翌年の花が減るので、5月に1つの房で1〜2個に間引きます。受粉相手の鉢を並べて置けるのも鉢植えの利点です。
アルプス乙女は、ヒメリンゴとして売られることも多い極小玉のリンゴです。長野県で見つかった品種で、実の重さは30〜50gほどとヒメリンゴより大きく、甘酸っぱくて生で食べられます。1本でも実がなりやすいとされます。ヒメリンゴは実が直径2〜3cmと小さく、生では酸味と渋みが強いので観賞が中心です。並べて植えると互いの受粉相手にもなります。
食べられますが、生では酸味と渋みが強いので加工がおすすめです。ジャムやコンポート、果実酒にすると、小さな実でも香りよく仕上がります。生で食べやすいのはアルプス乙女のほうです。リンゴの仲間の種には青酸配糖体が含まれるため、種はかみ砕かずに取り除きます。観賞用なら、実は木に残しておくと冬の初めまで赤い色を楽しめますが、長く残すと木が疲れるので年内に摘み取ります。
赤星病の病原菌は、ビャクシン類とリンゴの仲間を行き来して生きています。冬はカイヅカイブキなどのビャクシン類で過ごし、4〜5月の雨でリンゴの仲間の葉に移ってオレンジ色の斑点を作ります。夏には再びビャクシン類へ戻ります。そのため近くにビャクシン類がなければ発生はほとんどありません。生け垣が近い場合は、鉢を離れた場所へ移すか、展葉期から用途に登録のある薬剤で予防します。
多い原因は、受粉相手がいないこと、開花中の雨、剪定のしすぎの3つです。1本だけでは実が付きにくいので、別品種を近くに置いて人工授粉をします。開花中に雨が続くと虫が来ず受粉できないため、鉢は軒下へ移します。花芽は短い枝の先に付くので、冬に短い枝まで切ると花が減ります。暖かい室内で冬を越させた場合も、寒さが足りず花が咲きにくくなります。
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執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。