ラベンダーの種類一覧|4品種の違いと選び方
ラベンダーはシソ科ラベンダー属の常緑低木で、同じ「ラベンダー」でも系統によって寒さと暑さへの強さ、咲く時期、香りが大きく違います。図鑑には、育て方の基本をまとめた「ラベンダー」と、寒さに強く香りの良いイングリッシュラベンダー、うさぎの耳のような苞が付くフレンチラベンダー、暑さに比較的強い大型のラバンディンの4種を掲載しています。一番大きな違いは住む地域との相性で、寒冷地ならイングリッシュ系、関東以西の平野部ならラバンディンやフレンチ系が夏越ししやすくなります。ここでは耐寒性、開花時期、株の大きさ、香りを一覧で比べ、地域と使い道に合う選び方をまとめました。
このページで比べているラベンダーの種類(4品種):ラベンダー、イングリッシュラベンダー、フレンチラベンダー、ラバンディン。ほかにデンタータ(フリンジラベンダー)、スパイクラベンダー、ピナータ(レースラベンダー)など6品種も紹介しています。
ラベンダーとは
| 分類 | シソ科ラベンダー属(Lavandula) |
|---|---|
| 原産地 | 地中海沿岸を中心に、カナリア諸島や北アフリカ、西アジアまで |
| 開花時期 | フレンチ系は4〜6月、イングリッシュ系は5〜7月、ラバンディンは6〜7月 |
| 寒さへの強さ | イングリッシュ系は-15°C前後、ラバンディンは-10°C前後、フレンチ系は-5°C前後が目安 |
| 苦手なこと | 日本の梅雨から夏の高温多湿と、それによる株の内側の蒸れ |
ラベンダーは、香りのよい花穂を付けるシソ科の常緑低木です。夏に乾燥し冬に雨が降る地中海性気候の、日当たりのよい痩せた斜面に自生するものが多く、乾燥には強い一方で、日本の梅雨から夏の蒸し暑さが最大の関門になります。
園芸で育てられるラベンダーは、香りが良く寒さに強いイングリッシュ系(アングスティフォリア系)、苞が目立つフレンチ系(ストエカス系)、両者より大型で暑さに比較的強いラバンディン系、葉の縁にギザギザのあるデンタータ系などに分けられます。どの系統も、梅雨前の刈り込みで株の中に風を通すことと、水はけ最優先の土で乾かし気味に育てることが共通の基本です。
ラベンダーの品種を比較
横にスクロールすると、ほかの項目も比べられます
| 品種 | 大きさの目安 | 難易度 | 日当たり | 水やり | 冬の最低温度 |
|---|---|---|---|---|---|
ラベンダー | 鉢植えで30-60cm、地植えでは品種により40cm-1m。大型のラバンディン系(グロッソなど)は地植えで株張り1m近くになるため、株間を広めに取ります。 | 中級者向け | 直射日光 | 土が乾いてから(週1回程度) | -5°C 以上 |
イングリッシュラベンダー | 草丈30〜60cm、株張り40〜60cmほどで、ラベンダーの中では小〜中型です。「ヒドコート」など矮性の品種は30〜40cmにまとまり、鉢植えに向きます。 | 中級者向け | 直射日光 | 鉢は土が乾いて1〜2日後。寒冷地の庭植えは根付けば雨任せ | -15°C 以上 |
フレンチラベンダー | 草丈30〜60cm、株張り30〜50cm。鉢植えでは30〜40cmにまとまります。花穂は短く太い楕円形で、先端に苞が耳のように立ち上がります。 | 初心者向け | 直射日光 | 開花期は土の表面が乾いたら。花後〜冬は乾いて1〜3日後 | -5°C 以上 |
ラバンディン | 草丈60cm〜1m、株張りは地植えで1m近くになります。花茎が長く伸びるため、開花期は花穂を含めて高さ1m前後になります。鉢植えは10号前後の大鉢が目安です。 | 初心者向け | 直射日光 | 庭植えは根付けばほぼ不要。鉢は土の表面が乾いたら朝に | -10°C 以上 |
条件別のおすすめ
ラベンダーの選び方
寒冷地で香りを楽しむならイングリッシュラベンダー
イングリッシュラベンダーは-15°C前後まで耐えるとされ、4種の中で最も寒さに強い系統です。北海道や東北、高冷地なら庭植えで長く育ち、富良野のラベンダー畑の主役もこの系統です。反対に暖地の梅雨から夏の蒸れには最も弱いので、関東以西で育てる場合は6〜7号の鉢植えにして、梅雨は軒下、7〜8月は西日の当たらない場所へ移します。
関東以西の庭植えならラバンディン
ラバンディンはイングリッシュラベンダーとスパイクラベンダーの交雑種で、暑さと多湿に比較的強く、-10°C前後の寒さにも耐えるとされます。関東以西の平野部の庭植えで最も失敗が少ない系統で、代表品種の「グロッソ」がよく流通しています。株張りが1m近くになるので、株間を80cm〜1mあけて植えます。
暖地のベランダで手軽に始めるならフレンチラベンダー
フレンチラベンダーは暑さに比較的強く、4〜6月と早く咲くため、春の鉢花として暖地で初めて育てる人に向いています。花穂の先にうさぎの耳のような苞が立つ見た目が特徴です。耐寒性は-5°C前後が目安とされ、霜の降りる夜は軒下や無加温の玄関へ移します。
ハーブティーやお菓子に使うなら
口にする用途にはイングリッシュラベンダーが向いています。樟脳のような成分が少なく、甘く穏やかな香りだからです。ラバンディンは香りが強く樟脳を思わせる成分が加わり、フレンチラベンダーは樟脳に似た成分を多く含むとされるため、どちらも観賞やサシェ、ポプリで楽しみます。
ドライフラワーやスワッグを作るなら
花茎が長く花穂も長いラバンディンは、束ねて逆さに吊るすだけで見栄えのよいドライフラワーやスワッグになります。香りも強く長持ちします。小さな束やサシェならイングリッシュラベンダー、苞の色を残したリースの材料ならフレンチラベンダーが向いています。
冬の最低気温で選ぶ
耐寒性の目安は、イングリッシュラベンダーが-15°C前後、ラバンディンが-10°C前後、フレンチラベンダーが-5°C前後です。ラベンダーのページでは、多くの品種の目安を-5°Cとしています。冬に-5°Cを下回る地域でフレンチラベンダーを育てるなら、冬は取り込める鉢植えにします。
系統の分からない苗を買ったら
ラベルに「ラベンダー」としか書かれていない苗は、まずラベンダーのページの基本の育て方で管理します。どの系統も、日当たりと風通しのよい場所、水はけ最優先の土、乾かし気味の水やり、花後すぐの刈り込みが共通の基本です。花が咲いたら、苞の有無や花穂の長さ、咲いた時期で系統の見当をつけられます。
似た品種の見分け方
苞の有無で見分ける
花穂の先に、うさぎの耳のような大きな苞(ほう)が立ち上がっていればフレンチラベンダーです。イングリッシュラベンダーとラバンディンの花穂には目立つ苞がなく、小さな花が穂状に並びます。
花穂の長さと株の大きさで見分ける
ラバンディンは花茎が長く、株張りも1m近くになる大型で、花穂も長くすらりと伸びます。イングリッシュラベンダーは草丈30〜60cmで、花穂は短めでまっすぐ立ちます。フレンチラベンダーは花穂が短く太い楕円形です。
咲く時期で見分ける
最も早く咲くのはフレンチラベンダーで、4〜6月です。イングリッシュラベンダーは関東の平野部で5月下旬〜6月、寒冷地では6〜7月に咲き、ラバンディンはそれより少し遅れて6〜7月に咲きます。
香りで見分ける
葉や花をこすって、甘く穏やかな香りならイングリッシュラベンダー、甘さの奥にすっきりした樟脳のような香りが加わればラバンディン、甘さが控えめで清涼感の強い香りならフレンチラベンダーです。
品種ごとの特徴

ラベンダー
Lavandula
ラベンダーは、乾燥に強く手間は少ない一方で、日本の高温多湿な夏が最大の関門となる中級者向けのハーブで、日当たりと風通しの良いベランダや庭を確保できる方に向いています。
ラベンダーの育て方を見る

イングリッシュラベンダー
Lavandula angustifolia
イングリッシュラベンダーは、ラベンダーの中で最も香りが甘く上品で、寒さに最も強い系統です。
イングリッシュラベンダーの育て方を見る

フレンチラベンダー
Lavandula stoechas
フレンチラベンダーは、花穂の先にうさぎの耳のような苞(ほう)が立ち上がる、見た目の可愛らしさが際立つラベンダーです。
フレンチラベンダーの育て方を見る

ラバンディン
Lavandula × intermedia
ラバンディンは、イングリッシュラベンダーとスパイクラベンダーの交雑から生まれた大型のラベンダーです。
ラバンディンの育て方を見る
品種に共通する水やり・置き場所・植え替えの方法はラベンダーの育て方にまとめています。
そのほかのラベンダーの品種
図鑑にまだ個別のページがないラベンダーの品種です(6品種)。見た目の特徴と、図鑑の品種との違い、流通量の目安を紹介します。
デンタータ(フリンジラベンダー)
Lavandula dentata。葉の縁に細かいギザギザ(鋸歯)が入るのが特徴で、花穂の先に小さな苞が付きます。四季咲き性が強く暖地向きで、寒さにはやや弱い系統です。園芸店でもときどき見かけます。
スパイクラベンダー
Lavandula latifolia。ラバンディンの親の一つで、葉の幅が広く、花茎が枝分かれして伸びます。樟脳を思わせる強い香りが特徴で、精油の原料として知られます。苗の流通は多くありません。
ピナータ(レースラベンダー)
Lavandula pinnata。羽のように細かく切れ込んだ葉が特徴で、カナリア諸島などの原産です。四季咲き性があり、暖地では長く咲きますが、寒さに弱いため冬は室内での管理が必要です。
ムルティフィダ(ファーンリーフラベンダー)
Lavandula multifida。シダのように細かく切れ込んだ葉と、枝分かれした青紫の花穂を持つラベンダーです。寒さに弱く、種から育てる一年草のように扱われることもあります。
ラナータ(ウーリーラベンダー)
Lavandula lanata。葉が白い綿毛に覆われた銀白色のラベンダーで、スペイン南部の山地が原産です。多湿にとても弱く、雨の当たらない場所での鉢植えに向きます。流通は少なめです。
ヴィリディス
Lavandula viridis。フレンチラベンダーに近い仲間で、花穂の先の苞と花が淡い黄緑色から白になるのが特徴です。イエローラベンダーの名で紹介されることもあります。流通は少なめです。
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出典: ラベンダーの種類一覧|イングリッシュ・フレンチ・ラバンディンなど4種の違いと見分け方(写真付き)(Hapot)https://hapot.jp/plants/types/lavender
ラベンダーの種類についてよくある質問
ラベンダーの種類で一番育てやすいのはどれですか?
関東以西の平野部なら、暑さと多湿に比較的強いラバンディン(代表品種はグロッソ)が最も育てやすい系統です。鉢植えで手軽に始めるなら、4〜6月に咲き暑さにも比較的強いフレンチラベンダーも向いています。北海道や東北など夏が涼しい地域なら、寒さに強く香りの良いイングリッシュラベンダーを庭植えにするのがいちばん長持ちします。
イングリッシュラベンダーとフレンチラベンダーの違いは?
フレンチラベンダーは花穂の先にうさぎの耳のような苞が立ち、4〜6月と早く咲き、暑さに比較的強い暖地向きの系統です。イングリッシュラベンダーは苞がなく、甘く穏やかな香りで、-15°C前後の寒さに耐える寒冷地向きの系統です。フレンチラベンダーの耐寒性は-5°C前後が目安で、香りは樟脳を思わせる清涼感が強めです。
ラバンディンとイングリッシュラベンダーの違いは?
ラバンディンはイングリッシュラベンダーとスパイクラベンダーの交雑種で、株張りが1m近くになる大型の系統です。暑さと多湿に比較的強く、関東以西の庭植えにも向きます。香りはイングリッシュラベンダーより強く、樟脳を思わせるすっきりした成分が加わります。交雑種のため種がほとんどできず、増やすのは挿し木が基本です。
暖地で夏越ししやすいラベンダーの種類は?
ラバンディンとフレンチラベンダーです。どちらも暑さに比較的強く、関東以西の平野部でも夏越ししやすい系統です。ラバンディンは株間を80cm〜1mあけた庭植え、フレンチラベンダーは梅雨に軒下へ動かせる鉢植えが向いています。イングリッシュラベンダーは暖地の夏の蒸れに最も弱いので、育てるなら鉢植えにして、夏は西日の当たらない場所へ移します。
ハーブティーに使えるラベンダーの種類は?
ハーブティーやお菓子に使うなら、イングリッシュラベンダーを選びます。樟脳のような成分が少なく、甘く穏やかな香りだからです。ラバンディンは香りが強く樟脳を思わせる成分が加わり、フレンチラベンダーは樟脳に似た成分を多く含むとされるため、口にする用途には向かないといわれます。どちらもサシェやポプリ、ドライフラワーで楽しみます。
寒冷地で庭植えできるラベンダーの種類は?
最も寒さに強いのはイングリッシュラベンダーで、-15°C前後まで耐えるとされます。北海道や東北でも、日当たりと水はけのよい庭なら雪の下で冬を越します。ラバンディンも-10°C前後まで耐えるとされ、寒風の当たらない場所なら庭植えできます。フレンチラベンダーは-5°C前後が目安なので、寒冷地では冬に取り込める鉢植えにします。