苗・株の選び方
苗は春(3〜5月)か秋(9〜10月)に購入し、花穂よりも株姿を重視して選びます。株元から枝が4〜5本以上分岐し、葉の色が銀緑色で締まっているものが良株です。茎の間延びした徒長苗や、株元の葉が茶色く蒸れている株は避けましょう。ポットの底から根が見えるくらい根張りの良いものが理想です。何より重要なのが系統選び。寒冷地ならイングリッシュ系、関東以西の平野部なら耐暑性のあるラバンディン系(「グロッソ」など)やフレンチ系を選ぶと夏越しの失敗が大きく減ります。
Hapot編集部より
ラベンダー(Lavandula)は、地中海沿岸原産のシソ科の常緑低木で、「ハーブの女王」と呼ばれるほど人気の高い植物です。開花期は主に5〜7月で、紫色の花穂と清涼感のある香りが最大の魅力。香り成分の酢酸リナリルやリナロールにはリラックス効果があるとされ、ドライフラワー、ポプリ、サシェ、ハーブティーなど収穫後の楽しみ方も豊富です。系統はイングリッシュ系(香り高く寒さに強い)、ラバンディン系(暑さに比較的強い大型種)、フレンチ系(ウサギの耳のような苞葉が特徴)、デンタータ系などに分かれ、住んでいる地域の気候に合う系統選びが成功の第一歩です。難易度は中級で、乾燥には強い反面、日本の高温多湿な夏が最大の関門。梅雨前の切り戻しと風通しの確保さえ押さえれば、毎年初夏に香りの収穫が楽しめます。
水やり
土が乾いてから(週1回程度)
日光
直射日光
適温
-5-30°C
湿度
30-50%
土
水はけの良いアルカリ性の土
肥料
春に緩効性肥料
成長速度
中
毒性
なし
苗は春(3〜5月)か秋(9〜10月)に購入し、花穂よりも株姿を重視して選びます。株元から枝が4〜5本以上分岐し、葉の色が銀緑色で締まっているものが良株です。茎の間延びした徒長苗や、株元の葉が茶色く蒸れている株は避けましょう。ポットの底から根が見えるくらい根張りの良いものが理想です。何より重要なのが系統選び。寒冷地ならイングリッシュ系、関東以西の平野部なら耐暑性のあるラバンディン系(「グロッソ」など)やフレンチ系を選ぶと夏越しの失敗が大きく減ります。
日当たりと風通しがすべて、と言ってよい植物です。1日6時間以上の直射日光と、風の抜ける開けた場所を選んでください。地中海原産のため高温多湿の日本の梅雨〜夏が最大の試練で、蒸れると株の内側から一気に枯れ込みます。鉢植えなら梅雨は雨の当たらない軒下へ移動、庭植えなら水はけの良い場所に土を盛って(レイズドベッド状に)植えるのが定石です。暑さに強いラバンディン系・ストエカス系、寒冷地なら香り高いイングリッシュ系(アングスティフォリア系)と、地域に合う系統選びも成功の半分を占めます。
乾燥を好み、過湿を何より嫌います。鉢植えは土の表面が乾いてから1〜2日待って、株元に静かにたっぷりと。葉に水をかけると蒸れの原因になるため、株元給水が基本です。頻度の目安は春秋で週1〜2回、夏は朝の涼しい時間に様子を見て。庭植えは根付いたら基本的に水やり不要で、日照りが続くときだけ与えます。「しおれてないか心配で毎日水やり」がラベンダーを枯らす典型パターン。乾かし気味を貫いてください。
年2回の剪定で蒸れ対策と株の若返りを図ります。①収穫を兼ねた花後剪定(6〜7月):花穂の下、葉の付いた位置で刈り取り、同時に株全体を1/3ほど刈り込んで風通しを確保。梅雨前に済ませるのが理想です。②春または秋の整枝:伸びすぎた枝を整えます。注意点は「木質化した古い枝まで切り込まない」こと。葉のない古枝から芽は吹きにくく、深切りは枯れの原因になります。株が古く花付きが落ちてきたら、数年かけて少しずつ更新剪定を。
鉢植えは1〜2年に1回、3〜4月か9〜10月の涼しい時期に。根はやや繊細で、植え替え時に根鉢を強く崩すと傷むため、軽くほぐす程度に留めます。用土は水はけ最優先:市販のハーブ用土、または赤玉土5:腐葉土3:軽石2に苦土石灰をひと握り(弱アルカリ性を好むため)。素焼き鉢との相性が良好です。真夏・真冬の植え替えは株の負担が大きいので避けてください。
挿し木で簡単に増やせます。適期は4〜6月または9〜10月。花の付いていない元気な枝先を5〜10cmで切り、下半分の葉を取って挿し木用土へ。明るい日陰で乾かさないよう管理すると2〜4週間で発根します。ラベンダーの寿命は5〜10年程度で、古株は樹形が乱れ花も減るため、「挿し木で若い株を常にストックしておき、世代交代させる」のが上手な付き合い方です。お気に入りの株の香りをそのまま受け継げるのも挿し木の利点です。
病害虫よりも「蒸れによる立ち枯れ」が圧倒的な死因です。梅雨〜夏に株の内側が蒸れると、灰色かび病や茎腐れで部分的に枯れ、放置すると株全体に広がります。予防は花後の刈り込みと風通しの確保、鉢植えの雨よけ。枯れた部分は見つけ次第、健康な部分まで切り戻してください。害虫ではアブラムシとハダニが稀に付く程度で、ハーブなので薬剤に頼らず、見つけ次第の除去と環境改善で対処するのがおすすめです。
新芽が伸び始めます。緩効性肥料を与え、花の準備を。
最大の難関。蒸れ防止のため梅雨前に切り戻して風通しを確保。半日陰に移動も有効。
涼しくなると回復。秋の剪定で形を整えましょう。
比較的耐寒性あり。-5°Cまで耐える品種が多いですが、霜よけは推奨。
原因
高温多湿による蒸れ
対策
梅雨前に切り戻して風通しを確保
原因
肥料過多、日光不足
対策
肥料を控え、日当たりの良い場所に移動
花言葉は「沈黙」「あなたを待っています」「清潔」。「沈黙」は、ラベンダーの香りが高ぶった気持ちを鎮め、心を静かに落ち着かせる効能を持つことに由来します。「あなたを待っています」は、ラベンダーに触れた娘が恋の病で待ち続けたというヨーロッパの伝説から。「清潔」は、語源がラテン語の lavare(洗う)とされ、古代ローマで入浴や洗濯の香り付けに使われていた歴史にちなみます。
風水で紫は高貴さと精神性を象徴する色で、ラベンダーは悪い気を浄化し心を安定させる植物とされます。特に気の入口である玄関や、人間関係運に関わる東南の方角に置くと良いとされ、香りが空間の気の流れを整えると考えられています。寝室にドライのサシェを置けば安眠を促す効果も期待でき、リラックスしたい空間との相性は抜群です。6〜7月の収穫期に束ねて吊るしたラベンダーバンドルは、ヨーロッパで魔除け・厄除けとして扉に飾られてきた伝統があり、夏至の頃の風物詩として取り入れるのもおすすめです。
本当によくある失敗ですが、正しくは「暑さ」より「蒸れ」が原因です。地中海原産のラベンダーは高温多湿が苦手で、日本の梅雨〜夏に株の内部が蒸れて傷みやすいのです。対策は3つ。第一に、梅雨入り前(5月下旬〜6月上旬)に開花と同時に収穫を兼ねて全体の1/3ほど刈り込み、風通しを確保すること。第二に、鉢植えなら雨の当たらない軒下に移動すること。第三に、関東以西ではそもそも耐暑性のあるラバンディン系(「グロッソ」「スーパーセビリアンブルー」など)を選ぶこと。この3点で夏越しの成功率は大きく上がります。
暖地でおすすめなのはラバンディン系の「グロッソ」です。香りが良く花穂も長く、耐暑性と耐寒性を兼ね備えた最も失敗の少ない品種とされます。フレンチラベンダー(ストエカス系)も暑さに強く、4〜6月にウサギの耳のような花を咲かせます。デンタータ系(フリンジラベンダー)は四季咲き性があり温暖地向きです。逆に、北海道・富良野のイメージで知られるイングリッシュ系(「ヒッドコート」「オカムラサキ」など)は香りは最高ですが暑さに弱く、平地の夏越しは難易度が高めです。
香りが最も強いのは、花穂の1〜3割が開花した「咲き始め」のタイミングです。満開まで待つと精油成分が減り、ドライにしたとき花がポロポロ落ちやすくなります。収穫は晴れた日の午前中、朝露が乾いた頃に行うと香り成分が濃く残ります。花穂の下、葉の付いた茎を2〜3節含めた位置でハサミを入れると、切った箇所から脇芽が出て株の更新も兼ねられます。束ねて輪ゴムで留め、風通しの良い日陰に逆さに吊るせば2週間ほどでドライフラワーが完成します。
ラベンダーは草ではなく低木なので、株が古くなると茎が木のように茶色く硬くなる「木質化」は自然な現象です。問題は、木質化した古い枝からは新芽がほとんど出ないこと。放置すると株元がスカスカで上だけ茂る不格好な姿になります。対策は、毎年花後と秋〜早春に、緑の葉が残る位置まで軽く刈り込み、株をコンパクトに保つ予防的な剪定です。すでに老化が進んだ株は、3〜4月に新芽の位置を確認しながら数年かけて段階的に切り戻すか、若い枝で挿し木をして株を更新するのが現実的です。葉のない木質部まで一度に深く切ると枯れることがあるので注意してください。
住んでいる地域によります。寒冷地や降水量の少ない地域なら地植えで大株に育てられ、管理も楽です。一方、梅雨が長く夏が蒸し暑い関東以西の平地では、雨や台風のときに軒下へ動かせる鉢植えのほうが夏越しさせやすいです。鉢植えは6〜10号のテラコッタ鉢に、鉢底石を厚めに敷き、ハーブ用土か赤玉土小粒6:腐葉土2:軽石2の水はけの良い配合で植えます。地植えの場合は20〜30cm土を盛った「レイズドベッド」状にすると排水性が確保でき、株元に小石を敷くと泥はね防止と蒸れ対策になります。
一定の根拠があります。ラベンダーの香り成分リナロールや酢酸リナリルは、蚊やガなど一部の昆虫が嫌う成分として知られ、ヨーロッパでは衣類の防虫にラベンダーのサシェを使う伝統が古くからあります。実際、ラベンダー自体にはアブラムシなどの害虫がつきにくく、庭に植えるとコンパニオンプランツ的な働きも期待できます。ただし、植えてあるだけで蚊が寄ってこなくなるほどの強い忌避効果はありません。防虫目的なら、乾燥させた花をサシェにしてクローゼットや引き出しに入れる使い方が最も効果的で、香りが薄れたら揉むと復活します。