ブドウの種類一覧|3品種の違いと選び方
ブドウは、つるを棚や垣根、鉢の支柱に這わせて育てる落葉果樹で、どの品種も1本で実がなります。図鑑には、デラウェアや巨峰など生食用の「ブドウ」と、日本で生まれ生食にもワインにも使われる「マスカット・ベーリーA」と「甲州ブドウ」の3種を掲載しています。種類による一番大きな違いは雨と病気への強さで、米国系の血を引く品種ほど日本の梅雨と秋雨に耐え、欧州系の性質が強い品種ほど雨よけや袋かけが欠かせません。ここでは育てやすさ、耐寒性、収穫時期、仕立て方を一覧で比べ、庭やベランダの条件に合う選び方をまとめました。なお、日本では免許なしにアルコール分1%以上の酒を造ることが酒税法で禁止されているため、収穫した房は生食やジュース、ジャムで楽しみます。
このページで比べているブドウの種類(3品種):ブドウ、マスカット・ベーリーA、甲州ブドウ。ほかにシャインマスカット、巨峰、ピオーネなど7品種も紹介しています。
ブドウとは
| 分類 | ブドウ科ブドウ属(Vitis) |
|---|---|
| 原産地 | 欧州系は西アジア周辺、米国系は北アメリカ。日本にもヤマブドウが自生する |
| 実のつき方 | 図鑑の3種はどれも1本で実がなる(受粉樹は不要) |
| 収穫時期 | 品種によって7〜10月。マスカット・ベーリーAと甲州は9月下旬〜10月 |
| 寒さへの強さ | 強い。図鑑の3種は-10〜-15°C程度まで耐えるとされる |
ブドウは、巻きひげで他の物に絡みながら伸びるつる性の落葉果樹です。栽培されている品種は、ワインの原料として古くから改良されてきた欧州系(Vitis vinifera)と、北アメリカ原産で病気や寒さに強い米国系、そしてその交配から生まれた品種に大きく分けられます。
日本の生食用の品種の多くは、欧州系と米国系の交配から生まれています。雨が少ない地域で育ってきた欧州系は粒の質や香りに優れる一方、日本の梅雨や秋雨で病気にかかりやすく、米国系の血を引く品種ほど雨に強くなります。日本固有の甲州や、新潟で生まれたマスカット・ベーリーAは、この気候で長く栽培されてきた品種です。
育て方の共通点は、日当たりと水はけのよい場所を好み、冬の剪定で樹形と実の付き方を整えることです。どの品種も雨が病気を広げるので、雨よけと袋かけが成功の土台になります。
ブドウの品種を比較
横にスクロールすると、ほかの項目も比べられます
| 品種 | 大きさの目安 | 難易度 | 日当たり | 水やり | 冬の最低温度 |
|---|---|---|---|---|---|
ブドウ | つる性で棚なら3m四方にも。鉢植え行灯仕立てなら1.5mでベランダ可。 | 上級者向け | 直射日光 | 庭植えは基本不要(乾燥に強い)。鉢は表面が乾いたら | -15°C 以上 |
マスカット・ベーリーA | つる性で、棚なら2〜3m四方、垣根なら横3m前後に広がります。鉢植えの行灯仕立てなら高さ1.5m程度です。 | 中級者向け | 直射日光 | 庭植えは根付けば不要。鉢は表面が乾いたらたっぷり | -15°C 以上 |
甲州ブドウ | 棚仕立てでは1本で数m四方に広がる大型のつる。垣根なら横3m前後、鉢植えは高さ1.5〜2mに抑えられます。 | 中級者向け | 直射日光 | 庭植えは根付けば不要。鉢は表面が乾いたら | -10°C 以上 |
条件別のおすすめ
ブドウの選び方
初めて育てるなら生食用の強健品種かマスカット・ベーリーA
初めてのブドウなら、生食用ブドウのページで入門向けとしているデラウェア、キャンベルアーリー、ナイアガラ、スチューベンか、マスカット・ベーリーAが向いています。どれも米国系の血を引き、べと病や黒とう病に比較的強い品種です。マスカット・ベーリーAは図鑑で中級者向けとしていますが、病気と寒さに強く、冬の短梢剪定と6月に1新梢1房へ減らす作業を守れば、植え付けから3年目に収穫が見込めます。
巨峰やシャインマスカットを育てたいなら
巨峰、ピオーネ、シャインマスカットなど人気の大粒品種は、図鑑の「ブドウ」のページで育て方をまとめています。大粒品種は、ジベレリン処理で種なしにしたり、摘粒で粒の数を減らして房を整えたりする作業が加わり、病気の管理にも慣れが要るため、中級以上向けです。強健品種かマスカット・ベーリーAで1本目の工程を覚え、2本目に迎えると失敗が少なくなります。
日本の在来品種を育てるなら甲州
甲州は山梨で古くから栽培されてきた品種で、2010年に日本の品種として初めて国際ブドウ・ワイン機構(OIV)に登録されました。淡い赤紫の粒は生でも食べられ、9月下旬〜10月に熟します。樹勢が強く、本来は広い棚に枝を広げて育てる品種なので、庭が狭い場合は垣根か12号前後の大鉢で樹を小さく保ちます。初収穫は植え付けから3〜4年目が目安で、3種の中ではやや時間がかかります。
寒い地域で育てるなら
生食用ブドウとマスカット・ベーリーAは-15°C程度まで耐えるとされ、甲州は-10°C程度が目安です。マスカット・ベーリーAは雪の多い新潟で育成された品種で、寒冷地でも育てられます。ただしマスカット・ベーリーAと甲州は9月下旬〜10月に熟す晩生の品種なので、秋の訪れが早い地域では、南向きの日当たりのよい場所に植えて房の数を少なめにし、熟すのを早めます。
ベランダの鉢植えで育てるなら
3種とも10号以上の鉢で育てられ、甲州は樹勢が強いので12号前後の大鉢が目安です。鉢植えは秋雨の時期に軒下へ移せるので、熟期の晩腐病を防ぎやすい利点があります。どの種類も根詰まりしやすいので、落葉期の12〜2月に1〜2年に1回植え替えます。仕立ては、リング支柱につるを巻き付ける行灯仕立てか、支柱やトレリスに主枝を立てる形が扱いやすくなります。
犬や猫がいる家では
ブドウはどの品種も、犬や猫が食べるとブドウ中毒(腎障害)を起こす危険があるとされ、粒・皮・干しブドウとも与えてはいけません。少量でも症状が出ることがあるので、熟期に落ちた粒はこまめに拾い、鉢植えはペットが届かない場所に置きます。収穫した房を室内に置くときも、テーブルの上など手の届かない場所にします。
似た品種の見分け方
粒の色で見分ける
3種の中で、淡い赤紫から藤色がかった灰紫の粒が房になるのは甲州だけです。マスカット・ベーリーAは黒紫色の粒に白い果粉がのります。生食用ブドウは品種によって黒紫(巨峰)、赤紫(デラウェア)、黄緑(シャインマスカット、ナイアガラ)とさまざまです。
房と粒の大きさで見分ける
マスカット・ベーリーAと甲州は中粒で、巨峰より小ぶりです。生食用は、デラウェアのような小粒から巨峰やシャインマスカットのような大粒まで幅があり、摘粒で粒の数を減らして大きく揃えた房に仕上げます。
香りで見分ける
マスカット・ベーリーAは、いちごや綿菓子にたとえられる甘い香りが特徴です。生食用のナイアガラやキャンベルアーリーなど米国系の品種にも、似た系統の甘く強い香りがあります。甲州の粒は、こうした強い甘い香りが控えめです。
収穫時期で見分ける
生食用はデラウェアのような早生から晩生まで品種によって幅があり、巨峰は8月下旬〜9月に熟します。マスカット・ベーリーAと甲州はどちらも9月下旬〜10月に熟す晩生の品種で、生食用の多くの品種より遅く収穫を迎えます。
品種ごとの特徴

ブドウ
Vitis spp.
ブドウは、デラウェアやキャンベルアーリーなど強健な品種を選べば初心者でも数年で収穫でき、鉢植えの行灯仕立てならベランダでも育てられるつる性果樹です。
ブドウの育て方を見る

マスカット・ベーリーA
Vitis 'Muscat Bailey A'
マスカット・ベーリーAは、病気と寒さに強く、生で食べてもおいしい日本生まれの黒ブドウで、欧州系のワイン用品種より雨に強いため、家庭で初めて育てる品種にも向いています。
マスカット・ベーリーAの育て方を見る

甲州ブドウ
Vitis vinifera 'Koshu'
甲州ブドウは、古くから山梨で栽培されてきたと伝わる日本固有の品種で、藤色から淡い赤紫に色づく粒と、すっきりした甘さが特徴です。
甲州ブドウの育て方を見る
品種に共通する水やり・置き場所・植え替えの方法はブドウの育て方にまとめています。
そのほかのブドウの品種
図鑑にまだ個別のページがないブドウの品種です(7品種)。見た目の特徴と、図鑑の品種との違い、流通量の目安を紹介します。
シャインマスカット
農研機構が育成し、2006年に品種登録された黄緑色の大粒品種です。皮ごと食べられ、ジベレリン処理で種なしにして出荷されます。生食用ブドウのページで扱っていて、病気の管理には慣れが要るため中級以上向けです。登録品種なので、増やすのは自家用の範囲に留めます。
巨峰
大粒で黒紫色の、日本を代表する生食用の品種です。静岡県の大井上理農学研究所で、石原早生とセンテニアルを交配して生まれました。8月下旬〜9月に熟し、花が咲いても実が付きにくい花振るいが起こりやすいため、新梢の勢いを抑える管理が要ります。
ピオーネ
巨峰とカノンホールマスカットを交配して静岡県で生まれた、黒紫色の大粒品種です。巨峰より粒が大きく、ジベレリン処理で種なしにしたものが多く出回ります。巨峰と同じく花振るいが起こりやすい品種です。
デラウェア
米国生まれの小粒の赤紫色の品種で、ジベレリン処理による種なしブドウの代表です。早生で、病気に比較的強く鉢植えでも実りやすいことから、生食用ブドウのページで入門向けとして紹介しています。
ナイアガラ
米国生まれの黄緑色の品種で、甘く強い香りが特徴です。寒さに強く、北海道や長野などで多く栽培されています。生食のほか、ジュースや甘口のワインにも使われます。
キャンベルアーリー
米国生まれの黒紫色の品種で、ナイアガラに似た甘く強い香りがあります。寒さと病気に比較的強く、東北や北海道でも多く栽培されてきました。生食用ブドウのページで入門向けとして紹介しているほか、ジュースにもよく使われます。
ヤマブドウ(山ブドウ)
日本の山地に自生するブドウの仲間(Vitis coignetiae)で、小粒で酸味の強い実を付け、秋には葉が赤く紅葉します。寒さに強い一方、雄株と雌株が分かれている雌雄異株なので、実を採るには雌株が必要で、品種によっては雄株も一緒に植えます。
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出典: ブドウの種類一覧|生食用ブドウとマスカット・ベーリーA・甲州の3種の違いと見分け方(写真付き)(Hapot)https://hapot.jp/plants/types/grape
ブドウの種類についてよくある質問
家庭で育てやすいブドウの種類は?
家庭で育てやすいのは、米国系の血を引いて病気に比較的強い品種です。生食用ならデラウェア、キャンベルアーリー、ナイアガラ、スチューベンが入門向けで、生食とワインの両方に使えるマスカット・ベーリーAも、べと病や黒とう病に比較的強く寒さにも耐えます。シャインマスカットは病気の管理に慣れが要るので、2本目以降に選ぶと失敗が少なくなります。
マスカット・ベーリーAと甲州ブドウの違いは?
マスカット・ベーリーAは黒紫色の赤ワイン用品種、甲州は藤色がかった淡い赤紫の白ワイン用品種で、どちらも生で食べられます。マスカット・ベーリーAは1927年に新潟で川上善兵衛が交配した品種で、甲州は山梨で古くから栽培されてきた日本固有の品種です。家庭栽培では、病気と寒さに強いマスカット・ベーリーAのほうが手間が少なく、甲州は広い棚と袋かけが成功の鍵になります。
マスカット・ベーリーAと巨峰の違いは?
巨峰は大粒で8月下旬〜9月に熟すのに対し、マスカット・ベーリーAは巨峰より小ぶりな中粒で、9月下旬〜10月に熟す晩生の品種です。マスカット・ベーリーAには、いちごや綿菓子にたとえられる甘い香りがあります。家庭栽培ではマスカット・ベーリーAのほうが病気と寒さに比較的強く、生食とワインの両方に使える点も巨峰との違いです。
鉢植えで育てられるブドウの種類は?
図鑑に載せているブドウ、マスカット・ベーリーA、甲州ブドウの3種とも鉢植えで育てられます。10号以上の鉢が目安で、樹勢の強い甲州は12号前後の大鉢を使います。行灯仕立てや支柱仕立てにして、冬に芽2個ほどを残す短梢剪定で樹を小さく保ちます。鉢なら秋雨の時期に軒下へ移せるので、病気に弱い品種ほど鉢植えの利点が大きくなります。
雨の多い地域で育てやすいブドウの種類は?
米国系の血を引く品種が育てやすく、生食用ならデラウェア、キャンベルアーリー、ナイアガラ、スチューベン、図鑑の品種ではマスカット・ベーリーAが、べと病や黒とう病に比較的強い品種です。甲州は日本の気候で長く栽培されてきた品種ですが、熟期が秋雨と重なるため袋かけが欠かせません。シャインマスカットなど欧州系の性質が強い品種は、軒下やビニールの雨よけを用意できる場合に選びます。どの品種も、梅雨から収穫までは雨に当てない工夫をすると病気が減ります。