苗・株の選び方
良い苗木は、接ぎ木部分がしっかり癒合してぐらつかないもの、幹が太く節間が詰まっているもの、開花実績のある株か花芽付きの株の3点で選びます。
避けたいのは、実生と表示された安価な株(咲くまで7-10年かかります)と、幹にこぶや木くずのある株です。初挑戦は若木のうちから咲く一才藤(一歳藤)が向き、鉢仕立てで翌春から花が見込めます。庭の棚には開花実績のある大苗を選び、花房の長い野田藤系、白花、八重の黒龍など品種も豊富です。
Hapot編集部より
フジ(藤)は、剪定と肥料の考え方さえ覚えれば家庭でも花房を楽しめるつる性の落葉花木で、庭に棚を組める人や、鉢仕立てでじっくり育てる人に向いています。難易度は高めですが、鉢植えの一才藤なら初挑戦でも翌春から花が見込めます。4-5月に20-50cmの花房が棚から滝のように垂れ、万葉の昔から歌われてきた日本原産の花木です。成長は非常に速く、つるは年に2-3m伸びて幹は数十年で木材のように太くなります。花が咲かない原因は、剪定の時期と方法、肥料の窒素過多、日照不足の3つにほぼ集約されます。花芽は短い枝に付くため、7月下旬から8月につるを短く詰める夏剪定と、12-1月に花芽を確認しながら整える冬剪定の二段構えが開花の方程式です。耐寒性は強く-15°C程度まで耐え、全国で栽培できます。種子とさやには毒性があるため、花後に取り除いてください。

水やり
庭植えは根付けば夏の日照りのみ。鉢は表面が乾いたら
日光
直射日光
温度の目安
-15〜35°C(耐寒性強、全国で栽培可)
湿度
40-60%
土
保水力のある肥沃な土(極端な乾燥地は苦手)
大きさの目安
つるは10m超に達する長命樹。棚・アーチ・鉢仕立て(1m前後)まで。
成長の速さ
非常に速い(つるは年数m級)
温度の目安(耐寒〜耐暑)
-15〜35°C(耐寒性強、全国で栽培可)
肥料
寒肥のみ基本(窒素過多は咲かない最大要因のため控えめに)
成長速度
非常に速い(つるは年数m級)
毒性
全草(特に種子・さや)に毒性あり。誤食注意
「夏に短く、冬に整える」二段剪定が開花の方程式。肥料は控えめ——藤は「構ってやりすぎると咲かない」典型です。
良い苗木は、接ぎ木部分がしっかり癒合してぐらつかないもの、幹が太く節間が詰まっているもの、開花実績のある株か花芽付きの株の3点で選びます。
避けたいのは、実生と表示された安価な株(咲くまで7-10年かかります)と、幹にこぶや木くずのある株です。初挑戦は若木のうちから咲く一才藤(一歳藤)が向き、鉢仕立てで翌春から花が見込めます。庭の棚には開花実績のある大苗を選び、花房の長い野田藤系、白花、八重の黒龍など品種も豊富です。
1日6時間以上の日照が花付きの絶対条件で、日照が足りないとつるばかり伸びて咲きません。棚仕立てなら頑丈な構造を最初に用意します。成木の藤は数十年生き、幹は直径10cmを超えて木材級に太るため、フェンスやアーチに誘引する場合もつるの力で歪まない強度が必要です。成長は非常に速く、つるは年に2-3m伸びるので、棚の広さは2m四方以上あると管理が楽です。庭植えは直根性で移植を嫌うため、場所は数十年単位で決めます。鉢仕立ては8号以上の鉢で高さ1m前後に保て、日当たりを追って動かせるうえ、根が制限されるぶん花付きも安定しやすいです。耐寒性は強く-15°C程度まで耐えます。失敗例として、建物の北側に植えて5年間咲かないことがあります。庭植えの移植は難しいので、周囲の枝を整理して日照を増やすか、若木なら落葉期に掘り上げて鉢仕立てに切り替えると2年ほどで咲き始めます。
マメ科ながら湿り気を好む性質で、極端な乾燥は苦手です。庭植えは根付けば降雨任せで構いませんが、夏に10日以上日照りが続くときはたっぷり補水します。鉢植えは土の表面が乾いたら鉢底から流れるまで与え、夏は朝夕2回、冬は乾いてから2-3日後で足ります。特に花芽が充実する7-8月の水切れは翌春の花を減らし、開花中の水切れは花房を早く終わらせるため、春と夏は水に丁寧に向き合います。株元に腐葉土で3cmほどマルチングすると乾燥が和らぎます。失敗例は、8月に鉢を1日水切れさせて葉が黄色くなって落ちることです。すぐに水を与えて半日陰で養生すれば株は枯れず、翌春も咲くことが多いですが、花数は減ります。逆に受け皿に水を溜めると根腐れするので、水を捨てる習慣をつけてください。
保水力のある肥沃な土を好みます。鉢は赤玉土7、腐葉土3に鉢底石を2-3cm敷き、市販の花木用培養土でも構いません。庭植えの適期は落葉期の11-3月で、植え穴は根鉢の2倍に掘って堆肥を3割混ぜ、直根を傷めないよう丁寧に植えます。フジは移植を嫌うので場所は最初に確定します。肥料は1-2月の寒肥にリン酸主体のものを少量施すだけにとどめ、窒素の効いた肥料や、芝生や菜園の肥料が根域に流れ込む立地は葉ばかりで咲かない原因になります。
藤の開花はほぼ剪定で決まります。夏剪定は7月下旬から8月に行い、今年伸びた長いつるを基部の葉4-6枚(20-30cm)を残して切り詰めます。養分が短い枝に集中し、そこに花芽ができます。花芽は短枝に、葉芽は長いつるに付くのが藤の法則です。冬剪定は12-1月、葉が落ちて丸い花芽と尖った葉芽が見分けられる時期に、花芽を2-3個残して各枝を整理し、不要なつるや絡み枝を抜いて棚を整えます。切ってはいけないのは3-4月のつぼみが膨らむ時期で、この時期に枝を詰めると花房ごと失います。成長は非常に速く、放任するとつるが年に2-3m伸びて棚が絡み枝で埋まるため、5-6月に伸びすぎたつるを軽く整理しても構いません。失敗例として、冬に長いつるをすべて根元近くで切り、翌春まったく咲かないことがあります。花芽ごと切ったためで、その夏から夏剪定を始めれば翌々春には花が戻ります。
時期と道具を確認する
夏剪定は7月下旬から8月、冬剪定は12-1月です。清潔な剪定バサミ、太枝用のノコギリ、癒合剤、手袋を用意し、3-4月の蕾の時期は切らないと決めておきます。
夏剪定でつるを短く詰める
今年伸びた長いつるを、基部の葉4-6枚(20-30cm)を残して切り詰めます。養分が短い枝に集まり、そこに花芽ができます。棚を覆う主枝は残します。
冬剪定で花芽を見分ける
落葉後、丸くふくらんだ花芽と細く尖った葉芽を見分けます。各枝に花芽を2-3個残して先を切り、花芽のない長いつるは付け根から抜きます。
絡み枝を抜いて棚を整える
絡み合ったつる、棚から垂れて邪魔な枝、枯れ枝を付け根から切ります。直径2cm以上の切り口には癒合剤を塗り、切った枝やさやは片付けます。
剪定後の寒肥と管理
冬剪定後は1-2月にリン酸主体の寒肥を少量施します。春につぼみが膨らんだら水を切らさず、花後はさやを切り取って夏剪定に備えます。
鉢仕立ては2年に1回、落葉期の12-2月に植え替えます。根鉢を3分の1ほど整理して同じサイズか一回り大きな鉢へ植え、根を切ることが適度なストレスとなってかえって花付きが締まる面もあります。最終的には8-10号鉢にとどめ、それ以上は根を切り詰めて同じ鉢に戻します。庭への植え付けは11-3月で、根鉢の2倍の穴に堆肥を混ぜ、直根を曲げないよう深さを合わせて植え、棚やフェンスに主枝を誘引します。庭植えの移植は直根性ゆえ極めて難しく、3年以上経った株は活着率が下がります。どうしても動かすなら前年に根回しをして細根を出させてから行います。失敗例は、5月の開花直後に鉢を替えて葉がしおれ、夏まで生育が止まることです。日陰で水を切らさずに管理すれば秋には回復するので、翌年からは落葉期に植え替えてください。植え替え後1か月は肥料を控えます。
時期と道具をそろえる
適期は落葉期の12-2月です。8-10号の鉢、赤玉土と腐葉土、鉢底石、剪定バサミ、支柱を用意します。庭植えなら根鉢の2倍の穴を掘るスコップと堆肥も準備します。
鉢から株を抜いて根を切り詰める
鉢の縁を叩いて株を抜き、根鉢の外側を3分の1ほど整理します。太い根も一部切り詰めて構いません。適度なストレスが花付きを締めます。
直根を曲げずに植え付ける
鉢底石を2-3cm敷いて土を入れ、直根が折れ曲がらない深さに合わせて株を置きます。周りに土を詰め、割り箸で突いて隙間をなくします。
主枝を支柱や棚に誘引する
鉢仕立ては支柱を1本立てて主枝をひもで結び、高さ1m前後で止めます。庭植えは棚やフェンスに主枝を固定し、たっぷり水を与えます。
植え替え後の管理
1か月は肥料を与えず、土の表面が乾いたら水を与えます。芽吹き後は日照6時間以上の場所に置き、1-2月の寒肥はリン酸主体を少量にします。
接ぎ木と挿し木が主な方法です。園芸品種の維持は接ぎ木が基本で、市販苗もほとんどが接ぎ木株です。3月に実生台木へ切り接ぎし、活着まで1か月ほど乾燥を防ぎます。挿し木は3月の休眠枝挿しか6月の緑枝挿しで、10-15cmの穂を赤玉土に挿し、発根率は5割前後と中程度です。取り木は4-6月に枝の樹皮を環状に剥いで水苔で包み、2-3か月で発根させる方法で、家庭では最も確実です。種から育てる実生は咲くまで7-10年かかり、親と同じ花にならないため、観賞目的なら開花実績のある苗木の購入が近道です。種子とさやには毒性があるので、種まきをするときも手袋を着け、子どもの手の届かない場所で扱います。失敗例は、緑枝挿しを直射日光の下で管理して1週間で枯れることです。半日陰で霧吹きをしながら管理し直せば、残った穂の発根が見込めます。
時期と道具を準備する
取り木の適期は4-6月です。清潔なナイフ、湿らせた水苔、透明なビニール、ひも、発根促進剤、手袋を用意し、直径1cm前後の充実した枝を選びます。
樹皮を環状に剥いで包む
枝の中ほどで幅2cmほど樹皮を一周剥ぎ、形成層まで削って発根促進剤を塗ります。湿らせた水苔で包み、ビニールで覆って上下をひもで縛ります。
乾かさずに発根を待つ
月に1-2回、上の口から水を足して水苔を湿らせておきます。2-3か月でビニール越しに白い根が見えたら切り離しの合図です。
親株から切り離して植える
水苔の下で親枝から切り離し、水苔を崩さずに赤玉土7と腐葉土3の鉢に植えます。支柱を立てて主枝を結び、たっぷり水を与えます。
切り離した後の管理
明るい日陰で1か月養生し、その後日なたへ移します。翌年から夏剪定を始め、肥料は寒肥のリン酸少量のみとします。開花までは2-3年が目安です。
フジツボミタマバエが最も特徴的な害虫で、蕾の中に幼虫が入ると蕾が膨らんだまま開かずに落ちます。被害蕾を集めて処分し、毎年続く場合は3月頃の開花前に薬剤で防除します。5-9月のハマキムシとマメコガネは葉を食害するため、見つけ次第捕殺します。ブドウトラカミキリなどのテッポウムシは幹の中を食い進み、株元の木くずで気づくので、穴に薬剤を注入します。幹や枝にできるこぶ(こぶ病)は切除して癒合剤を塗ります。病害虫よりも、剪定、窒素、日照という咲かない三大要因の管理が藤との付き合いの本体です。失敗例として、4月に開かない蕾を放置し、翌年も同じ症状が続くことがあります。落ちた蕾を土ごと片付けて幼虫の越冬を断ち、翌春の防除を加えれば、2年ほどで被害は収まります。
4-5月の開花中は水切れが花房を早く終わらせるため、鉢は毎日土を確かめて与えます。肥料は不要です。日当たりの良い場所に置き、花後はさやを切り取ります。蕾が開かずに落ちるフジツボミタマバエに注意します。
鉢は朝夕2回、庭は10日雨がなければたっぷり水を与えます。肥料は与えません。日照6時間以上の場所に置き、7月下旬から8月につるを葉4-6枚で詰める夏剪定を行います。水切れは翌春の花数を減らします。
水やりは土の表面が乾いてからに戻し、肥料は不要です。つるの伸びが落ち着くので、棚の補強や点検の好機です。ハマキムシの食害が続くことがあるので葉を見回り、落葉が始まったら落ち葉を片付けます。
鉢の水やりは乾いてから2-3日後に減らします。1-2月にリン酸主体の寒肥を少量施します。屋外で-15°C程度まで耐え、12-1月に花芽を確認しながら冬剪定を行います。長いつるを根元から切ると花芽を失うので注意します。
10月の作業をくわしく知りたいときは秋の植え替えの記事も参考になります。
原因
フジツボミタマバエの幼虫が蕾に食入している可能性が高い。
対策
落ちた蕾・開かない蕾を集めて処分し、幼虫の連鎖を断ちます。毎年続く場合は開花前(3月頃)の防除散布が有効です。
原因
剪定不足と窒素過多による栄養成長の暴走。
対策
7月末から8月に全てのつるを葉4-6枚で切り詰める夏剪定を導入し、肥料を寒肥のリン酸少量だけに絞ります。1-2年で花芽優先の株に切り替わります。
原因
7-8月の水切れ。鉢植えや植え付け1-2年目の株で起きやすい。
対策
すぐに水を与えて半日陰で養生すれば株は枯れません。株元にマルチングをし、夏は鉢を朝夕2回、庭は10日雨がなければ補水します。翌春の花数はやや減ります。
原因
こぶ病(細菌による腫瘍)。剪定の切り口や傷から感染することが多い。
対策
こぶを健全部まで切り取り、切り口に癒合剤を塗ります。使ったハサミは消毒し、切ったこぶは袋に入れて処分します。株全体が弱ることは少なく、以後は適期剪定で傷を減らします。
原因
窒素過多、日照不足、夏剪定の遅れのいずれか。若木では年数不足のこともある。
対策
肥料を寒肥のリン酸少量のみにし、日照6時間以上を確保します。7月下旬から8月の夏剪定と、7-8月の水切れ防止を徹底すると、翌々春には花房が伸びてきます。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
フジの花言葉は「優しさ」「歓迎」「決して離れない」とされます。しなやかに絡みつくつるの性質と、垂れ下がる花房が訪れる人を迎えるように見える姿が由来といわれています。「恋に酔う」という言葉が添えられることもあります。
風水では、垂れ下がる花房が良縁と繁栄が降り注ぐ象徴とされます。家紋に多く使われてきたことから一族繁栄の吉木ともいわれます。一方でつるが絡みつく性質から、庭の中央には植えないとする考えもあります。断定できる根拠はなく、棚の構造と日照を優先して植える位置を決めるのが実用的です。
藤の三大要因を順に確認します。1つ目は剪定で、長いつるを放置していると咲きません。花芽は短い枝に付くため、7月下旬から8月につるを葉4-6枚残して切り詰める夏剪定が最重要です。逆に冬にバッサリ切るだけだと花芽ごと失います。2つ目は窒素過多で、肥料は寒肥のリン酸少量だけにし、芝や菜園の肥料が流れ込む立地にも注意します。3つ目は日照で、6時間未満なら周囲の枝を整理するか鉢に移します。この3点を正すと、早ければ翌春、通常2年で咲き始めます。若い実生株は成熟に年数が必要なので、一才藤系を選ぶのが近道です。
見つけ次第切り取るのが正解です。さや(豆果)を実らせると株の栄養を大きく消耗し、翌年の花付きが落ちます。花房が終わったら、房の付け根からさやごと切り取ってください。なお藤のさやと種子には毒性があり、誤食すると嘔吐や腹痛を起こします。見た目がエンドウに似ているため、お子さんが豆と間違えないよう、この点でも早めの除去が安心です。乾いたさやが冬に爆ぜて種を飛ばす様子は面白いのですが、観察は数個で十分です。
咲きます。むしろ根が制限されるぶん花付きが安定しやすく、初挑戦には鉢仕立ての一才藤をおすすめします。鉢は8号から始め、最終的に10号程度で止めます。管理の要点は、日当たり6時間以上、7-8月の水切れ防止、7月下旬から8月の夏剪定、肥料は寒肥のリン酸少量のみ、2年に1回の落葉期の植え替えの5点です。主枝を1本立てて支柱に絡ませ、高さ1m前後で止めると花房が目の高さで楽しめます。
種子とさやを中心に全草に毒性があり、誤食すると嘔吐や腹痛を起こすことがあります。花に触れる程度は問題ありませんが、豆に似たさやは子どもや犬が口にしやすいため、花後に必ず切り取ります。剪定した枝やさやは放置せず処分してください。万一食べた場合は口の中を洗い、量が多いときや症状が出たときは医療機関や動物病院に相談してください。栽培そのものを避ける必要はなく、さやの管理を習慣にすれば安全に楽しめます。
フジの季節の作業や、土・鉢・肥料の選び方をくわしく解説した記事です。
10月の作業と、フジの手入れで迷ったときに役立つページです。
執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。