苗・株の選び方
良い苗の条件は、葉の色が濃く密に茂っている、幹がまっすぐで根元がぐらつかない、品種名のラベルが付いている、の3点です。
避けたいのは、葉が黄ばんで節間が間延びした日照不足の苗と、品種不明の苗です。実を収穫したい場合は、ミッションとネバディロ・ブランコのように開花期の重なる2品種以上を必ず選びます。植え付け適期の3-4月か9-10月に、高さ50cm-1m程度の2-3年生苗を購入すると活着が良く、樹形も作りやすいです。
Hapot編集部より
オリーブは、乾燥した痩せ地でも育つ強健さを持ち、関東以西の平地なら地植えで越冬できるため、庭木や果樹が初めての人にも向く難易度の低い常緑樹です。地中海沿岸原産のモクセイ科の高木で、シルバーグリーンの細長い葉が風に揺れる姿は爽やかで、洋風の庭やベランダのシンボルツリーとして不動の人気を誇ります。5-6月に咲く小さな白い花のあと、秋には実が緑から黒紫へと色づき、塩漬けや新漬けにして楽しめます。ただし多くの品種は自家結実性が低く、実を収穫するにはミッションとネバディロ・ブランコなど開花期の重なる異品種を2本以上植えるのが基本です。唯一の弱点は過湿で、水はけの良い土と日当たりさえ確保すれば、樹齢数百年を超えることもある長寿の木を長く楽しめます。鉢植えなら8-10号鉢で高さ1-2mに維持でき、肥料は3月と10月の年2回で足ります。

水やり
土が乾いてから(週1回程度)
日光
直射日光
温度の目安
-5-35°C
湿度
30-50%
土
水はけの良い弱アルカリ性の土
大きさの目安
鉢植えでは8-10号鉢で高さ1-2m程度に維持できます。地植えでは樹高3-5m、放任すると10m近くに達することもあるため、毎年の剪定で2-3mに抑えるのが一般的です。成長はやや遅めから中程度で、樹形をコントロールしやすい樹木です。
成長の速さ
遅い〜中
温度の目安(耐寒〜耐暑)
-5-35°C
肥料
年2回(3月、10月)
成長速度
遅い〜中
毒性
なし
実をつけるには異なる品種を2本以上植える必要がある。乾燥に強いが過湿に弱い。
良い苗の条件は、葉の色が濃く密に茂っている、幹がまっすぐで根元がぐらつかない、品種名のラベルが付いている、の3点です。
避けたいのは、葉が黄ばんで節間が間延びした日照不足の苗と、品種不明の苗です。実を収穫したい場合は、ミッションとネバディロ・ブランコのように開花期の重なる2品種以上を必ず選びます。植え付け適期の3-4月か9-10月に、高さ50cm-1m程度の2-3年生苗を購入すると活着が良く、樹形も作りやすいです。
日光が大好きな地中海原産の樹木で、日当たりこそが元気の源です。庭植え・鉢植えとも1日6時間以上直射日光が当たる場所が理想で、日照不足では枝が間延びし、花も実も付きにくくなります。風通しの良さも重要で、蒸れる場所では病害虫が増えます。耐寒性は-3°C程度まであり、関東以西の平野部なら屋外で越冬できますが、霜と寒風が続く地域では鉢植えにして冬は軒下へ移します。実を付けたい場合は、自家結実しにくいため異なる品種を2本以上近くに植えるのがポイントです。
よくある失敗は、室内の窓辺で育てて枝が細く伸び、葉がまばらに落ちるケースです。春に屋外の日なたへ1-2週間かけて慣らしながら出し、間延びした枝を切り戻せば、初夏には詰まった新芽が吹きます。収穫は10-11月、実が緑から黒紫に色づいた頃です。
乾燥に強い樹木ですが、乾燥を好むことと水がいらないことは別物です。鉢植えは土の表面が乾いたら鉢底から流れるまでたっぷり与え、夏は毎日から2日に1回、春秋は2-3日に1回が目安です。特に5-6月の開花期から夏の実の肥大期に水を切らすと、花や実がぽろぽろ落ちる原因になります。庭植えは根付いた後は基本的に降雨だけで足り、日照りが2週間以上続くときだけたっぷり与えます。過湿は根腐れを招くため、受け皿の水は必ず捨ててください。
よくある失敗は、冬も夏と同じ頻度で水を与えて土が乾かず、葉が黄色くなって落ちる根腐れです。水を止めて風通しの良い日なたに置き、土が完全に乾いてから与えるリズムに戻し、春に水はけの良い土へ植え替えれば回復します。
市販の果樹用土か、赤玉土6:腐葉土3:軽石1の水はけ最優先の配合で、弱アルカリ性を好むため苦土石灰をひと握り混ぜ込みます。鉢底石を3cmほど厚めに敷いてください。過湿を嫌うので、普通の花用培養土を使う場合は軽石を2割足します。樹高が出ると風で倒れやすいため、重い陶器鉢か素焼き鉢が向きます。庭植えは植え穴に苦土石灰と腐葉土を混ぜ、盛り土気味に植えると根腐れしにくくなります。元肥は緩効性肥料を少量にとどめ、多肥は避けます。
適期は2-3月の本剪定と、混み枝を軽く抜く6月です。成長が速く放任すると枝が暴れるため、内向きの枝、交差する枝、真上に強く伸びる徒長枝を付け根から抜く間引き剪定で樹形と風通しを作ります。実を楽しみたい場合の注意点は、前年に伸びた枝に花が咲くことです。枝先を一律に切り揃える刈り込みをすると翌年の花枝がなくなるので、実らせたい年の前は間引き中心にとどめます。直径2cm以上の切り口には癒合剤を塗って病原菌の侵入を防ぎます。
よくある失敗は、樹形を丸く整えようと全体を刈り込んで翌年花が咲かないケースですが、その年に伸びる新梢を切らずに残せば翌々年には開花が戻ります。樹高を抑えたい場合は、高く伸びた主枝を分岐点まで切り戻します。
時期と道具を用意する
本剪定は2-3月、混み枝を軽く抜くのは6月です。清潔な剪定バサミと癒合剤を用意します。
内向きの枝と交差枝を抜く
内向きの枝、交差する枝、真上に強く伸びる徒長枝を付け根から抜きます。樹形が整い風通しが良くなります。
前年枝を残して実付きを守る
花は前年に伸びた枝に咲くため、実らせたい年の前は強く切り詰めず間引き中心にとどめます。
大きな切り口に癒合剤を塗る
直径2cm以上の太い枝を切った場合は、切り口に癒合剤を塗り、病原菌の侵入を防ぎます。
作業後は水やりと置き場所を整える
剪定後は日当たりの良い場所に置き、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。3月に緩効性肥料を与えて新芽の伸びを支えます。
鉢植えは1-2年に1回、3-4月か9-10月に一回り大きな鉢へ植え替えます。根の成長が旺盛で、根詰まりすると水切れしやすくなり葉先が枯れてきます。用土は水はけ最優先で、果樹用土か赤玉土6:腐葉土3:軽石1に、弱アルカリ性に近づけるため苦土石灰をひと握り混ぜるのがコツです。根鉢の外側を軽くほぐし、黒く傷んだ根を切り、全体の1/3以上は切らないようにします。植え替え後は1週間半日陰で養生します。庭植えの移植は根が粗く難易度が高いため、植える場所は最初によく検討してください。
よくある失敗は、2-3年植えっぱなしで夏に毎日水を与えても葉先が枯れ込み、実が落ちるケースです。秋の適期に植え替えれば、翌春の新芽から水切れの症状が消えます。
時期と道具を用意する
適期は3-4月か9-10月です。一回り大きな鉢、果樹用培養土(または赤玉土6:腐葉土3:軽石1に苦土石灰ひと握り)、鉢底石、清潔なハサミを用意します。
鉢から抜いて根鉢をほぐす
株を鉢から抜き、根鉢の外側を軽くほぐして古い土を落とします。葉先が枯れてきたら根詰まりの合図です。
黒く傷んだ根を整理する
黒く傷んだ根や長く回った根をハサミで切り取ります。白い健康な根は残し、全体の1/3以上は切らないようにします。
新しい鉢に植え付ける
鉢底石を2-3cm敷いて用土を入れ、株を中央に置いて隙間に土を足します。株元の高さは元の鉢と同じにします。
水やりと置き場所を整える
鉢底から流れ出るまで水を与え、1週間は半日陰で養生します。その後は日当たりの良い場所で、土が乾いたら水を与えます。
挿し木で増やせます。適期は6-7月で、今年伸びた充実した枝を10-15cmに切り、下葉を取って上の葉を2-3対残し、切り口に発根促進剤を付けて赤玉土や挿し木用土に3-5cmの深さで挿します。明るい日陰で乾かさないよう管理して1-2か月で発根します。発根率はやや低めで品種により5-7割程度なので、数本まとめて挿すのが現実的です。太い枝を使う太木挿しもオリーブ農家で使われる方法です。種からも育ちますが、親と同じ品種にならず実付きまで年数もかかります。
よくある失敗は、挿し穂の土を乾かして2週間で葉が落ちるケースで、ビニール袋で覆って湿度を保ち、直射日光を避ければ、枝が緑色のうちは発根の見込みがあります。発根した苗が実を付けるまでは3-5年かかります。
時期と道具を用意する
挿し木の適期は6-7月です。清潔なハサミ、赤玉土または挿し木用土を入れた鉢、発根促進剤を用意します。発根率がやや低いので数本まとめて挿します。
今年伸びた枝を10-15cmに切る
今年伸びた充実した枝を10-15cmの長さに切ります。下の切り口は斜めに整えます。
下葉を取り発根促進剤を付ける
下の葉を取り除き、上の葉を2-3対残します。切り口に発根促進剤を付けると発根率が上がります。
湿らせた挿し木用土に挿す
湿らせた用土に枝を3-5cmの深さで挿し、周りの土を軽く押さえてぐらつかないようにします。
明るい日陰で1-2か月管理する
直射日光を避けた明るい日陰に置き、土を乾かさないよう管理します。1-2か月で発根したら果樹用培養土に植え替えます。
最大の敵はオリーブアナアキゾウムシです。株元の幹に穴を開けて産卵し、幼虫が幹の内部を食い荒らして最悪株を枯らします。株元に木くずが落ちていたら侵入のサインで、穴を探して針金で幼虫を駆除するか、オリーブに登録のある専用薬剤を株元に散布します。予防は株元を清潔に保ち、下草を茂らせないことです。ほかに新芽を糸で巻くハマキムシとスズメガの幼虫が葉を食害するので、見つけ次第捕殺してください。
よくある失敗は、株元の木くずに気づかず放置して、夏に葉が黄色くなり枝先から枯れ込むケースです。幼虫を取り除いた後、傷んだ枝を切り戻して肥料を控えめにし、翌春の新芽を待てば、幹の半分以上が健全なら回復します。月1回は株元を点検する習慣が一番の予防です。
3月に緩効性肥料を与え、水は鉢植えなら土が乾いたら2-3日に1回たっぷり与えます。置き場所は日当たりと風通しの良い屋外へ。2-3月は剪定、3-4月は植え替えの適期です。5-6月の開花中に水を切らすと花が落ちるので注意し、株元のゾウムシの点検を始めます。
実が肥大する時期で、水は鉢植えなら毎日から2日に1回、庭植えは2週間以上の日照りのときだけ与えます。肥料は不要です。置き場所は日当たりの良い屋外のままで、6月に混み枝を軽く抜いて風通しを確保します。株元の木くずはゾウムシの侵入サインなので月1回確認します。
10-11月に実が黒紫に色づき収穫期を迎えます。水は土が乾いたらたっぷり、肥料は10月に緩効性肥料を与えます。置き場所は日当たりを保ち、9-10月は植え替えの第2の適期です。収穫した実は渋抜きが必要です。台風で倒れやすいので鉢は壁際に寄せます。
水は土が完全に乾いてから、鉢植えで週1回程度に減らし、肥料は与えません。置き場所は-3°C程度まで屋外で耐えますが、寒風と霜が続く地域では軒下や室内の窓辺に移します。夏と同じ頻度で水を与えると根腐れするので、受け皿の水は必ず捨てます。2月下旬から剪定を始めます。
10月の作業をくわしく知りたいときは秋の植え替えの記事も参考になります。
原因
1品種のみで受粉できない、樹が若い、前年に枝先を刈り込んで花枝を落とした
対策
開花期の重なる異品種をもう1本植えるか人工授粉する。剪定は間引き中心にして前年枝を残し、3-5年は樹を育てる
原因
冬の水のやりすぎによる根腐れ、または寒風と霜
対策
水を止めて土を完全に乾かし、風通しの良い日なたへ。冬は週1回程度に減らし、-3°C以下の地域は軒下や室内に移す
原因
オリーブアナアキゾウムシの幼虫が幹の内部を食害している
対策
穴を探して針金で幼虫を駆除するか、オリーブに登録のある薬剤を株元に散布する。下草を刈って株元を清潔に保ち、月1回点検する
原因
室内管理や日陰による日照不足
対策
屋外の1日6時間以上日の当たる場所へ1-2週間かけて慣らしながら出す。間延びした枝は分岐点で切り戻すと初夏に詰まった新芽が出る
原因
根詰まりで水切れしやすくなっている
対策
3-4月か9-10月に一回り大きな鉢へ、赤玉土6:腐葉土3:軽石1に苦土石灰を混ぜた土で植え替える。翌春の新芽から症状が消える
原因
ハマキムシの幼虫
対策
巻かれた葉を開いて中の幼虫を捕殺し、被害枝を切り取る。混み枝を抜いて風通しを良くすると発生が減る
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
オリーブの花言葉は「平和」「知恵」です。「平和」は旧約聖書のノアの箱舟の物語で、ハトがオリーブの枝をくわえて戻り、洪水が引いたことを知らせた逸話に由来します。「知恵」は、女神アテナがオリーブの木を人々に贈ったギリシャ神話にちなみ、国連旗にもオリーブの枝が描かれています。
風水では、丸みのある小さな葉を密に茂らせる常緑樹は家庭運や人間関係を円満にするとされ、玄関まわりや庭の南西に植えると良いといわれます。由来は、聖書や神話で平和と勝利、豊穣の象徴とされてきた歴史にあり、新築祝いや開店祝いの縁起木として贈られます。2本寄り添って植えると実を結ぶことから、良縁を呼ぶ木ともされます。
苗木を植えてから実がなるまでは、おおむね3-5年が目安です。2-3年生の苗を購入すれば、早ければ植え付けの翌々年から開花・結実が始まります。実を付けるには樹がある程度充実する必要があるため、若木のうちは肥料と日当たりを確保してしっかり樹を育てることが先決です。また、開花期の重なる異品種を近くに植えること、冬に10°C以下の低温に一定期間当てること(休眠打破)が結実の条件になります。
基本の剪定は芽が動き出す前の2-3月に行います。幹の内側に向かう枝、交差する枝、真上に勢いよく伸びる徒長枝を付け根から切り、樹の内部まで日光と風が通る「透かし剪定」が基本です。オリーブは今年伸びた枝に翌年花が咲くため、枝先を一律に切り揃える刈り込みをすると実が付かなくなります。樹高を抑えたい場合は、高く伸びた主枝を分岐点まで切り戻します。夏の軽い枝抜きは6-7月に可能です。
生のオリーブの実はオレウロペインという強い渋み成分を含むため、そのままでは渋くて食べられません。家庭では渋抜きが必要です。手軽なのは塩水漬けで、10月頃に収穫した実を水に1-2週間(毎日水を替える)さらしてから、10%程度の塩水に漬け込む方法です。グリーンの新漬けは渋抜き後1-2週間で食べられます。苛性ソーダを使う本格的な渋抜きは短時間で仕上がりますが、取り扱いに注意が必要です。
鉢植えで十分育てられ、ベランダ栽培にも向いています。日当たりと風通しの良い場所に置き、8-10号以上の鉢に水はけの良い土で植え付けます。鉢植えは地植えより乾きやすいので、夏は土の表面が乾いたら毎日でも水やりを。1-2年に1回、3-4月か9-10月に一回り大きな鉢へ植え替えないと根詰まりで葉が落ちやすくなります。強風時に倒れやすいため、台風前は壁際に移動するか横に倒しておくと安心です。受粉用の2品種を並べればベランダでも結実します。
オリーブの耐寒温度は-3°C前後が安全圏で、瞬間的には-10°C程度まで耐える品種もありますが、寒風と凍結が続く環境では枝枯れや落葉が起こります。地植えの目安は関東以西の平地から瀬戸内・九州で、東北や信州などの寒冷地では鉢植えにして冬は軒下や室内の窓辺に移動する管理が現実的です。寒さに比較的強い品種としてはルッカやネバディロ・ブランコが知られています。幼木ほど寒さに弱いため、植え付け後2-3年は株元のマルチングと寒風よけを行ってください。
オリーブは「平和」「知恵」の花言葉を持ち、ノアの箱舟やギリシャ神話に由来する幸運の木として、新築祝い・結婚祝い・開店祝いの定番ギフトです。常緑で一年中葉を楽しめ、手入れの手間が少ないことも贈り物に向く理由です。夫婦木として2本セットで贈ると「2本揃って実を結ぶ」という意味も込められます。贈る際は受け取る方の置き場所を考え、ベランダなら鉢植えの中型株(高さ1m前後)、庭があるなら2品種の苗木セットがおすすめです。
オリーブの季節の作業や、土・鉢・肥料の選び方をくわしく解説した記事です。
10月の作業と、オリーブの手入れで迷ったときに役立つページです。
執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。