苗・株の選び方
良い株は「咲いている花が半分、蕾が半分」程度のものです。すべて開花済みの株は観賞期間が短くなります。葉は肉厚でツヤとハリがあり、4枚以上付いているものが体力のある証拠。葉がシワシワの株や黄ばんだ株は避けます。鉢の中をのぞいて、根が緑〜銀白色でふっくらしていれば健康です。自宅用なら花が小ぶりで管理しやすいミディ胡蝶蘭がおすすめ。冬の購入は持ち帰り中の寒さで傷むことがあるため、ラッピングのまま長時間屋外に置かないよう注意しましょう。
Hapot編集部より
胡蝶蘭(Phalaenopsis aphrodite)は、蝶が舞うような優美な花を1〜3か月と長期間咲かせるラン科の多年草で、開店祝いや就任祝いなど贈答花の定番として日本で最も親しまれている洋ランです。原産は東南アジアの熱帯雨林で、樹木に着生して育つため一般的な土ではなく水苔やバークで栽培します。開花期は本来冬〜春(1〜5月)ですが、温室生産により一年中流通しています。贈答用の豪華な株は高価なものの、実際は乾燥に強い丈夫な植物で、水のやりすぎにさえ注意すれば初心者でも管理しやすい難易度です。花後の茎を3〜4節残してカットすれば二度咲きも狙え、適切に植え替えながら育てれば10年以上、毎年花を楽しめます。
水やり
水苔が完全に乾いてから(週1回程度、冬は10日に1回)
日光
間接光
適温
18-28°C(最低15°C以上)
湿度
60-80%
土
水苔またはバーク。一般的な土は使わない
肥料
春〜秋に月2回、薄い液肥(2000倍希釈)
成長速度
遅い
毒性
なし
良い株は「咲いている花が半分、蕾が半分」程度のものです。すべて開花済みの株は観賞期間が短くなります。葉は肉厚でツヤとハリがあり、4枚以上付いているものが体力のある証拠。葉がシワシワの株や黄ばんだ株は避けます。鉢の中をのぞいて、根が緑〜銀白色でふっくらしていれば健康です。自宅用なら花が小ぶりで管理しやすいミディ胡蝶蘭がおすすめ。冬の購入は持ち帰り中の寒さで傷むことがあるため、ラッピングのまま長時間屋外に置かないよう注意しましょう。
レースカーテン越しの明るい窓辺が最適です。原産地では樹木に着生してジャングルの木漏れ日を浴びて育つため、直射日光は数時間で葉焼けを起こします。理想は「明るいけれど日は直接当たらない」東〜南向きの窓際。冬は最低15°C(最低でも10°C)を保ち、窓際の夜間冷気を避けて夜は部屋の中央へ移すと安心です。エアコンの風が直接当たると花もつぼみも一気に傷むので、風の通り道は必ず外してください。花を長持ちさせたいなら、開花中はやや涼しめ(15〜20°C)の場所が向いています。
「植え込み材(水苔・バーク)が完全に乾いてから、株元にたっぷり」が鉄則です。頻度の目安は春〜秋で7〜10日に1回、冬は2週間に1回程度。表面が乾いていても中は湿っていることが多いため、水苔を指で押して弾力がなくカサカサになってから与えます。胡蝶蘭を枯らす原因の大半は水のやりすぎによる根腐れです。水は葉の付け根に溜めないこと(溜まったらティッシュで吸い取る)。空中湿度を好むので、霧吹きで葉水を週2〜3回行うと株の調子が上がります。
花が終わったら花茎の切り方で次の楽しみ方が変わります。①もう一度咲かせたい場合:花茎の下から2〜3節目の上でカットすると、1〜2か月で節から二番花の花芽が伸びます(株の体力を使うので元気な株限定)。②株を休ませたい場合:花茎を根元から切り、翌年の開花に体力を回します。黄変した下葉は自然に枯れるまで待ち、ぽろっと取れる状態になってから外します。ハサミは使用前にライターの火で炙るかアルコール消毒し、ウイルス感染を防いでください。
2〜3年に1回、花が終わった直後の春(4〜6月)に行います。水苔が黒ずんで傷む・鉢内が常に湿っぽい・根がはみ出して窮屈、が植え替えサインです。鉢から株を抜き、古い水苔を丁寧に外し、黒くスカスカになった根をハサミで切除。新しい水苔を根に巻き付け、素焼き鉢に「ふんわり詰める」のがコツです(詰めすぎると蒸れます)。植え替え後1週間は水を与えず、切り口を乾かしてから管理を再開してください。バーク植えの場合も手順は同様です。
家庭でできる現実的な方法は「高芽取り」です。花茎の節から葉と根を持つ子株(高芽)が出ることがあり、根が3本・5cm程度に育ったら親から切り離して水苔で植え付けます。高芽は株が疲れているサインでもあるため、見つけたら早めに対処を。株元から子株が出た場合は、根が十分育ってから株分けできます。種からの繁殖は無菌培養が必要で家庭では不可能。焦らず高芽・子株を待つのが胡蝶蘭の増やし方です。
警戒すべきはカイガラムシと軟腐病です。カイガラムシは葉裏や葉の付け根に付く白い綿状・茶色の粒状の虫で、見つけ次第濡らした布や歯ブラシで除去します。軟腐病は葉に水浸状の斑点ができて溶けるように腐る細菌病で、葉の付け根に水が溜まると発生しやすくなります。発症部位は消毒したハサミで大きめに切除し、風通しを改善してください。予防の基本は「水を溜めない・蒸れさせない・清潔な道具を使う」の3点です。
成長期。新しい葉が出始めます。薄い液肥を月2回。花が終わった株は茎をカットして二度咲きを狙う。
葉が最もよく育つ時期。窓辺の直射日光が強くなるので注意。風通しを確保。
秋の温度差が花芽形成のトリガー。15-18°Cの環境に2-3週間置くと花芽がつきやすい。
花が咲く時期。15°C以上を保ち、エアコンの温風が当たらない場所で。水やりは10日に1回に減らす。
原因
自然な開花サイクル
対策
茎の下から3-4節目の上でカット。節から新芽が出て二度咲きが可能
原因
水不足のサイン
対策
水苔をたっぷり湿らせる。バケツの水に10分浸ける
原因
根腐れで水を吸えない
対策
古い水苔を除去し、傷んだ根を切って植え替え
全体の花言葉は「幸福が飛んでくる」「純粋な愛」。蝶がひらひらと舞い込んでくる姿に幸運の訪れを重ねたことが由来とされ、お祝いの贈り物に選ばれる最大の理由になっています。色別では白が「清純」、ピンクが「あなたを愛します」、珍しい青系は「永遠の幸福」とされ、用途に応じて色を選ぶ楽しみもあります。
風水では胡蝶蘭は「良い気を呼び込み、場の格を上げる花」とされ、特に白い胡蝶蘭は浄化の力が強いといわれます。花言葉の「幸福が飛んでくる」にちなみ、開店祝い・開業祝い・移転祝いに贈る文化が定着しており、立札を付けて贈るのが正式なマナーです。置き場所は気の入口である玄関や、商談が行われる応接室が吉とされ、西に黄色・ピンクの胡蝶蘭を置くと金運に良いという説もあります。枯れた花を放置すると運気が下がるとされるので、花がら摘みはこまめに行いましょう。
そのままでは長く育てられません。贈答用の寄せ植えは、ポット苗3株を1つの化粧鉢に詰めた状態で、鉢底に水が溜まりやすく根腐れの原因になります。花を楽しんだ後(または花後すぐ)に、ラッピングを外して1株ずつポリポットごと取り出し、素焼き鉢などに1株ずつ分けて植え替えましょう。ポット内の水苔が傷んでいなければ、ポットのまま一回り大きい鉢に入れるだけでも構いません。まずはラッピングだけでも早めに外し、風通しを確保することが大切です。
適切に管理すれば10年以上生き、毎年開花させることができます。野生では数十年生きるともいわれる長寿な植物です。長く楽しむコツは、2年に1回(花後の5〜6月)の植え替えで水苔の劣化を防ぐこと、生育期の春〜秋に薄い液肥で体力をつけること、そして冬に15°C以上を保つことの3点です。葉が毎年1〜2枚新しく増えていれば株は順調に育っています。年数が経って下葉が枯れ落ちるのは自然な代謝なので心配いりません。
秋〜冬に株元から出てくる突起は、花芽と新しい根(気根)のどちらかです。見分けるポイントは形と先端で、花芽は先端が平たく手袋のように割れた形で、上に向かってグングン伸びます。一方、根は先端が丸く、表面がツルッとしていて、横や下に向かって伸びる傾向があります。出始めの1〜2cmでは判別しにくいので、3cm程度まで様子を見ると確実です。花芽だった場合は、伸びる方向に支柱を立てて誘引すると、花が一方向にきれいに並びます。
条件付きで可能です。最低気温が18°Cを超える6〜9月なら、直射日光の当たらない明るい日陰(木陰や北側の軒下など)に置くと、風通しが良く株が丈夫に育ちます。ただし直射日光は数時間で葉焼けを起こすため、遮光率50〜70%の遮光ネットやレースカーテン相当の光に抑えることが絶対条件です。台風や強風、長雨の日は室内に取り込みましょう。屋外管理はナメクジやカイガラムシが付きやすくなるので、室内に戻す際は鉢底や葉裏をチェックしてください。
初心者には水苔と素焼き鉢の組み合わせがおすすめです。水苔は保水力が高く水やりの間隔がつかみやすい一方、素焼き鉢が余分な水分を逃がしてくれるためバランスが取れます。バークはプラスチック鉢と相性が良く、通気性に優れて根腐れしにくい反面、乾きやすく水やり頻度が増え、肥料も流れやすくなります。エアコンの効いた乾燥しがちな室内なら水苔、加湿気味の環境や水やり好きの方にはバークが向きます。植え替え時に異なる素材へ替える場合は、古い植え込み材をきれいに取り除いてから行いましょう。
花芽を作る鍵は秋の温度差です。胡蝶蘭は18°C前後の涼しさを2〜3週間経験すると花芽分化が進むため、10〜11月頃に夜温15〜18°Cになる場所(暖房の入らない明るい室内など)に置いてください。一年中暖かいリビングに置きっぱなしだと花芽が付きにくくなります。また、夏までに新しい葉を1〜2枚育てて体力を蓄えることも重要で、葉が増えていない株は施肥と置き場所を見直しましょう。花芽が確認できたら15°C以上の暖かい場所に戻し、蕾が付いたら移動させないのが満開への近道です。