苗・株の選び方
地域と用途で選びます:温暖地でそのまま食べるなら完全甘柿(富有・次郎・太秋)、寒冷地や干し柿目的なら渋柿(平核無・市田柿・蜂屋)。1〜2年生の接ぎ木苗で、接ぎ木部がしっかり癒合し根の張った苗を。多くの甘柿は1本で実りますが、品種によっては受粉樹(禅寺丸など)があると実付きが安定します。
Hapot編集部より
カキ(柿)は、「桃栗三年柿八年」と歌われながら、実際は接ぎ木苗なら3〜4年で実り始める、日本の秋を象徴する家庭果樹です。学名Diospyros=「神の食べ物」の名の通り、樹上で完熟した甘柿の味は格別で、庭の柿の木は日本の原風景そのもの。1本で実る品種が多く(富有・次郎など甘柿の定番は単為結果性あり)、受粉樹の心配も基本不要です。管理の勘所は3つ:①隔年結果(成り年と裏年の交互)を摘果で平準化する、②実らせすぎない、③冬剪定で樹の高さを制御する。この3点を覚えれば、毎年秋の食卓に自家製の柿が並びます。剪定に強く寿命も長い、孫の代まで付き合える一本です。
水やり
庭植えは基本不要。鉢は表面が乾いたら
日光
直射日光
適温
-10〜35°C(甘柿の栽培適地は年平均13°C以上の温暖地)
湿度
40-60%
土
保水力のある肥沃な土
肥料
12〜1月の寒肥+7月と収穫後の追肥
成長速度
中(接ぎ木苗で3〜4年から結実)
毒性
実は食用
地域と用途で選びます:温暖地でそのまま食べるなら完全甘柿(富有・次郎・太秋)、寒冷地や干し柿目的なら渋柿(平核無・市田柿・蜂屋)。1〜2年生の接ぎ木苗で、接ぎ木部がしっかり癒合し根の張った苗を。多くの甘柿は1本で実りますが、品種によっては受粉樹(禅寺丸など)があると実付きが安定します。
日当たりの良い場所に植えます。日照不足は甘柿の渋抜け不良と花芽減少に直結。放任すると5m超になるため、収穫と管理を考えて「低く横に広げる」樹形を最初から意識し、隣家との距離も確保します。甘柿は温暖地向き(寒冷地では渋が抜けず渋柿化します)、寒冷地では渋柿品種を干し柿用に育てるのが伝統的な正解です。鉢植え(10号以上)でもコンパクトに実らせられます。
庭植えは根付けば降雨で基本足ります。注意すべきは夏の乾燥:7〜9月の極端な水切れは「生理落果」(実がポロポロ落ちる)の引き金になるため、日照りが続く年はたっぷり補水を。鉢植えは土の表面が乾いたらたっぷり、実の肥大期は特に切らさないこと。カキは元来、保水力のある土を好む果樹です。
保水力と肥沃さを兼ねた土を好みます。植え付けは落葉期の11〜3月(厳寒期は避ける):植え穴に堆肥をたっぷり混ぜ込み、接ぎ木部分を土に埋めないよう浅めに植えて支柱を添えます。鉢植えは果樹用培養土でOK。乾燥しやすい痩せ地では株元のマルチング(腐葉土・ワラ)が有効です。
適期は落葉期の12〜2月。カキの花芽は「枝の先端付近」に付くため、全部の枝先を切り詰めると花がなくなります。基本は①混み合った枝・徒長枝を「付け根から抜く」間引き剪定、②高さを抑えたい主枝だけ切り返す、の使い分けです。樹を低く保つ「低樹高栽培」を意識し、脚立で届く高さで芯を止めると、収穫も摘果も楽になります。夏の徒長枝(真上に伸びる勢いの強い枝)は6〜7月に元から除去してOKです。
鉢植えは2年に1回、落葉期に一回り大きな鉢へ。カキは直根性で太い根が少ないため、根鉢はあまり崩さず丁寧に扱います。庭植えの移植は幼木のうちに:成木の移植は難易度が高い果樹です。
品種の味を受け継ぐには接ぎ木が必要です(種から育てると渋柿に戻ることが多く、結実まで7〜8年かかります=まさに桃栗三年柿八年)。家庭では春(3〜4月)に前年枝を台木(共台や実生台)に切り接ぎします。難易度は高めなので、確実なのは苗木の購入:1〜2年生の接ぎ木苗からなら3〜4年で初収穫が狙えます。
二大病害は落葉病(円星落葉病・角斑落葉病:秋に葉に斑点→早期落葉→実も落ちる)と炭疽病(実に黒い凹み)。予防は落ち葉の徹底清掃(越冬菌源を断つ)と、6〜7月の予防散布が有効です。害虫はヘタムシ(カキノヘタムシガ:実のヘタから食入して落果させる)が最重要で、6月と8月の防除適期に対処します。カイガラムシ・イラガ(触ると激痛の幼虫)も定番なので、冬のマシン油散布と見つけ次第の除去を。熟期の鳥・スズメバチには早めの収穫で対抗します。
新梢と花の季節。5月の開花後、6月の生理落果は自然現象。
7月の摘果が最重要作業(1枝1果目安)。夏の乾燥時は補水。
10〜11月に収穫。ヘタと実の間にハサミを入れて。
剪定・寒肥・落ち葉清掃(病気予防)・苗の植え付け適期。
原因
落葉病(円星・角斑落葉病)。早期落葉すると実も熟せず落ちる。
対策
落ち葉は病原菌の越冬場所:徹底的に集めて処分します。翌年は6〜7月の予防散布が有効。数年続けると発生が目に見えて減ります。
原因
カキノヘタムシガ(ヘタムシ)の幼虫。
対策
落果は放置せず拾って処分し、幼虫の連鎖を断ちます。防除適期は6月と8月:この2回の薬剤散布で被害を大幅に減らせます。冬の粗皮削りで越冬幼虫を減らすのも伝統の対策です。
カキの花言葉は「恵み」「自然美」。たわわに実る秋の姿と、紅葉の美しさに由来します。
たわわに実る柿は「豊穣と長寿」の象徴。昔から屋敷内に植えられ、実りの少ない「木守り柿」を一つ残す風習は、自然への感謝と翌年の豊作祈願です。
「隔年結果」です。カキは実らせすぎた年に樹が消耗し、翌年の花芽を作る力を失って裏年になります。対策は「成り年の7月の摘果」:1枝に1果(葉20〜25枚に1果)を目安に、小さい実・傷んだ実・上向きの実を落とし、樹の負担を毎年一定に保ちます。今年の裏年は樹の休養年と割り切り、剪定と施肥で体力を回復させれば、来年から摘果込みの安定サイクルに乗せられます。
6月の落果は「生理落果」という自然の間引きで、ある程度は正常です(樹が養える数に自分で調整しています)。ただし大量に落ちる場合は①ヘタムシの食入(落ちた実のヘタ側に虫穴がないか確認。あれば6月・8月の防除を)、②夏の乾燥・肥料切れによる樹勢低下、③日照不足、を疑います。落果した実は放置せず拾って処分:ヘタムシの温床を断つことが翌年の予防になります。
家庭でできる定番は3つ:①干し柿(皮をむいて紐で吊るし2〜3週間。寒風と天日が渋を旨味に変えます。カビ防止に熱湯5秒くぐらせが伝統の技)、②アルコール抜き(ヘタに35度の焼酎を付けてポリ袋で密封、1〜2週間)、③冷凍抜き(丸ごと凍らせて解凍するとシャーベット感覚に)。渋(可溶性タンニン)が不溶化すれば甘さだけが残ります。富有など甘柿でも寒冷地では渋が残ることがあり、その場合も同じ方法が使えます。