苗・株の選び方
苗は接ぎ木部がしっかり癒合した1〜2年生苗を。品種は収穫期で選びます:早い順に極早生(9〜10月)・早生(11月)・中生・晩生(12月〜)。家庭なら味の評価が高い早生系(宮川早生など)が定番。寒めの地域ほど早生系が安全です。
Hapot編集部より
ミカン(温州みかん)は、こたつの相棒を自分の庭で育てられる、日本の冬の家庭果樹の代表です。柑橘類の中では耐寒性が高く(-5°C程度)、関東以西なら庭植えで毎年たわわに実ります。種がなく皮がむきやすい温州みかんは、実は世界に誇る日本生まれの品種。1本で実り受粉樹も不要、トゲもほぼ無く、常緑で目隠しにもなる、と家庭向きの美点が揃います。管理の柱は「隔年結果対策の摘果」と「3月の剪定」の2つだけ。鉢植えなら寒冷地でも冬に取り込んで栽培可能です。自家産の完熟みかんの、あの皮の香りごと頬張る贅沢は、育てた人だけのものです。
水やり
庭植えは夏の日照り時のみ。鉢は表面が乾いたら
日光
直射日光
適温
-5〜35°C(温暖地向き。寒冷地は鉢植えで)
湿度
40-60%
土
水はけの良い肥沃な土
肥料
3月・6月・10月の年3回(柑橘は肥料好き)
成長速度
中(苗から3〜4年で結実)
毒性
実は食用
苗は接ぎ木部がしっかり癒合した1〜2年生苗を。品種は収穫期で選びます:早い順に極早生(9〜10月)・早生(11月)・中生・晩生(12月〜)。家庭なら味の評価が高い早生系(宮川早生など)が定番。寒めの地域ほど早生系が安全です。
日当たりの良い、北風の当たらない場所が理想です。柑橘は日照が糖度に直結:1日6時間以上を確保します。寒さ対策も配置が9割で、建物の南側・冬の寒風を避けられる場所なら関東以西で安定して越冬します。幼木のうちは寒さに弱いため、植え付け後2〜3年の冬は不織布やコモ巻きで防寒を。鉢植え(10号以上)なら移動できるので、寒冷地・ベランダでも「冬は軒下や室内窓辺へ」の運用で実らせられます。
庭植えは根付いた後は基本的に降雨で足り、夏の日照りが続くときにたっぷり与える程度です。ただし7〜8月の極端な乾燥は実の肥大不足と落果の原因になるため、雨の少ない年は意識的に補水を。逆に収穫前の秋に水分が多すぎると味がぼやけるため、9月以降は控えめが甘さのコツ(プロは「水を切って糖度を乗せ」ます)。鉢植えは表面が乾いたらたっぷりの基本管理で、夏は毎日チェックを。
水はけの良い肥沃な土を好みます。植え付けは3月中旬〜4月(春植えが基本。秋植えは温暖地のみ)。植え穴に堆肥をたっぷり混ぜ、接ぎ木部を地表に出して浅めに植え、支柱を添えます。鉢植えは果樹用か柑橘用培養土で。柑橘は肥料好きなので、植え付け後は3月(春肥)・6月(夏肥)・10月(秋肥)の年3回の施肥をルーチンにしてください。
適期は3月(春の芽吹き前)です。柑橘は葉の量が翌年の実を左右するため、切りすぎは禁物:①混み合った枝・枯れ枝・内向枝を間引く、②真上に強く伸びる徒長枝を元から抜く、の整理が中心で、全体の2割以下の軽剪定に留めます。樹の高さは主枝の先端を毎年少しずつ詰めて2〜2.5mに管理すると、収穫・摘果・防寒がすべて楽になります。夏以降の強剪定は翌年の花芽を失うので厳禁です。
鉢植えは2年に1回、3〜4月に一回り大きな鉢へ。根詰まりは実付き低下と葉の黄化に直結します。最終的に10号以上の鉢に育てると収量が安定。庭植えの移植は幼木のうちに済ませましょう。
品種の維持には接ぎ木が必要です(カラタチ台木への切り接ぎ・芽接ぎ)。家庭では技術と台木の入手性から、苗木購入が現実的:1〜2年生の接ぎ木苗から3〜4年で初収穫が狙えます。種からの実生は結実まで10年前後かかるうえ性質も変わるため、観察用と割り切りを。
春〜秋の最頻出はアゲハチョウの幼虫です。若葉を丸坊主にする勢いで食べるため、幼木のうちは見つけ次第捕殺を(成木なら多少は許容できます)。次いでカイガラムシとすす病のセット(冬のマシン油散布が有効)、ハダニ、葉に白い線を描くミカンハモグリガ(エカキムシ:夏秋の新芽を守る)。病気はかいよう病(葉・実にかさぶた)と黒点病が代表で、風通しの良い剪定と、枯れ枝の除去(黒点病の温床)で予防します。実が近づいたらカラス・ヒヨドリ対策のネットも忘れずに。
3月に剪定・春肥・植え付け。5月の白い花は香りのご褒美。
生理落果後の7〜8月に摘果。乾燥時は補水、エカキムシ警戒。
秋肥を10月に。色づき始めたら水を控えて糖度を乗せる。
11〜12月に収穫。幼木は防寒。収穫後のお礼肥も忘れずに。
原因
アゲハチョウの幼虫。柑橘の葉が大好物。
対策
幼木なら見つけ次第捕殺(葉の量=樹の体力です)。成木なら多少は許容範囲。卵(黄色い粒)の段階で取るのが最も楽です。
原因
黒点病(枯れ枝が感染源)や、すす病(カイガラムシ由来)。
対策
枯れ枝を徹底的に除去し(黒点病の温床)、カイガラムシは冬のマシン油散布で退治します。見た目の問題で中身は食べられることがほとんどです。
ミカンの花言葉は「純潔」「花嫁の喜び」。初夏に香る白い花は、西洋でウェディングの花飾りにも使われてきました。
実る柑橘は「金運と子孫繁栄」の象徴。橙(だいだい)に通じる縁起から、庭の南〜南東に植えると家運が実るといわれます。
柑橘の宿命「隔年結果」で、対策はカキと同じく「成り年の摘果」です。7〜8月に、葉25〜30枚に1果を目安として小玉・傷果・込み合った実を摘み、樹の負担を平準化します。裏年には花を多く残す逆の調整も有効。加えて年3回の施肥(特に収穫後のお礼肥)で樹勢を保つこと、収穫を遅らせすぎないことも安定への鍵です。数年続ければ「毎年ほどほどに実る」理想のサイクルに乗ります。
糖度を上げる4大要素は「日照・水控え・摘果・完熟」です。①日当たりを妨げる枝を剪定で整理、②色づき始める9月以降は水やりを控えめに(雨の多い年は株元にマルチシートで雨よけも)、③摘果で1果あたりの葉数を確保、④収穫を急がず完熟まで待つ(品種の適期を守る)。また若木の実はそもそも酸が強い傾向があり、樹齢とともに味が乗ってきます。収穫後1〜2週間の貯蔵で酸を抜く「予措」も、産地の知恵として使えます。