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ポポーの育て方

Asimina triloba最終更新日:
編集部

Hapot編集部より

ポポー(Asimina triloba)は、北米東部原産のバンレイシ科の落葉果樹で、「森のカスタードクリーム」と呼ばれる濃厚な果実を実らせる希少フルーツです。バナナとマンゴーを合わせたようなクリーミーな甘さと芳香を持ちながら、完熟果は日持ちが2〜3日しかないため市場にほとんど流通せず、「育てた人だけが味わえる果物」として人気が高まっています。熱帯果樹のような風貌に反して耐寒性は-20°C以上と非常に強く、東北地方でも露地栽培が可能です。病害虫にも極めて強く、日本ではほぼ無農薬で育てられるのも大きな魅力です。実がなるまで4〜8年と気長な果樹で難易度は上級ですが、異品種2本の植え付けと人工授粉を押さえれば、秋に芳醇な実を収穫する特別な楽しみが待っています。

分類・基本データ

バンレイシ科
ポポー
別名
ポーポー、アケビガキ、ポポーノキ、アメリカンカスタードアップル
原産地
原産は北アメリカ東部(五大湖周辺からテキサス州にかけて)で、川沿いの肥沃な森林の半日陰に自生します。バンレイシ科では例外的に温帯に適応した種で、日本へは明治時代に導入されました。
大きさ
地植えで樹高3〜5m(放任すると10m近くになることも)。落葉期の剪定で2.5〜3mに抑えると収穫が楽です。鉢植え(10号以上)では1.5〜2m程度で維持できますが、実付きは地植えに劣ります。

育て方サマリ

水やり

土が乾いたら(週2回程度、夏は多めに)

日光

直射日光

適温

-20-35°C

湿度

50-70%

水はけが良く有機質に富む土。堆肥を多めに混ぜる

ケアのポイント

肥料

春(3月)と秋(9月)に有機肥料

成長速度

遅い(実がなるまで4-8年)

毒性

なし(果実は食用)。ただし種子は有毒

実をつけるには異品種の受粉が必要です(1本では結実しにくい)。人工授粉を行うと実付きが格段に良くなります。花は悪臭があり、自然界ではハエが受粉を担います。苗木の段階では直射日光に弱いので半日陰で育て、2-3年経ったら徐々に日向に慣らします。鉢植えでも栽培可能ですが、地植えのほうが実付きは良好。剪定は落葉期に。主幹を切り詰めて低く仕立てると収穫しやすくなります。

育て方の詳細

苗・株の選び方

苗木は秋(10〜11月)か春(3月)に出回ります。確実に収穫したいなら、実がなるまでの年数が短く品質も安定する接ぎ木苗(「NC-1」「サンフラワー」「ウィルソン」など品種名付き)を選びましょう。実生苗は安価ですが結実まで6〜8年かかり、果実の品質も親と同じになりません。良い苗の条件は「主幹がまっすぐで接ぎ目がしっかり癒合している」「根鉢が崩れていない」こと。ポポーは直根性で根の再生力が弱いため、根が傷んだ裸苗よりポット苗が安心です。受粉用に異なる品種を2本そろえて購入するのが基本です。

置き場所・日当たり

成木は日なたを好みますが、幼木のうちは強い直射日光が苦手という二段階の性質を持ちます。植え付けから2〜3年は半日陰か、遮光ネットで西日を和らげた場所で育て、株が充実したら日なた管理に移行します。耐寒性は非常に強く(-25°C程度まで)、日本全国で庭植え可能。「森のカスタードクリーム」と呼ばれる果実を確実に楽しむには、異品種を2本植えるのが基本です(1本でも実が付く品種はありますが、2本あると実付きが段違いに安定します)。

水やりの詳細

鉢植えは土の表面が乾いたらたっぷりと。庭植えは根付いた後は降雨で基本足りますが、夏の乾燥期と実の肥大期(7〜9月)は水切れさせないよう注意します。ポポーは直根性で深く根を張るため、一度根付けば乾燥への耐性はかなり高くなります。幼木のうちは根が浅く乾きに弱いので、株元のマルチングで保湿してあげると生育が安定します。過湿には比較的強く、水はけが極端に悪くなければ問題ありません。

剪定・切り戻し

適期は落葉期の12〜2月です。自然に整った樹形になる素直な樹なので、若木のうちは主幹を2m程度で芯止めして高さを抑え、収穫しやすい樹形を作るのが主な仕事。成木は①混み合った枝・内向きの枝の間引き、②下垂して地面に付きそうな枝の整理、を軽く行う程度で十分です。花芽は前年枝に付くため、枝先を強く切り詰めすぎないこと。強剪定への反応は穏やかで、果樹の中では剪定が最も楽な部類です。

植え替え

ポポーは直根性で「移植を嫌う」樹です。庭植えの場所は最初に慎重に選び、一度植えたら動かさないのが原則。鉢植えの場合は2年に1回、落葉期の2〜3月に、根鉢をできるだけ崩さずに一回り深い鉢へ植え替えます(直根が長いため深鉢が適します)。苗を購入する際も、根を傷めないポット苗を選び、植え付け時に根をいじりすぎないことが活着の鍵です。用土は果樹用培養土か赤玉土6:腐葉土4で。

増やし方

種まきが最も手軽です。食べた果実の種を乾かさないよう保存し(乾燥すると発芽率が激減)、湿らせた土に埋めて冬の寒さに当てると、翌年の初夏に発芽します。ただし実生は親と同じ味にならず、結実まで5〜8年かかります。品種の味を受け継ぐには春の「接ぎ木」(実生台木に好みの品種を接ぐ)が王道ですが難易度は高め。庭に2本植えるなら「苗木を2品種購入」が最速で確実な選択です。

病害虫対策

ポポー最大の魅力のひとつが「病害虫がほとんど付かない」ことです。葉や樹皮に含まれる成分を虫が嫌うため、無農薬・放任でもまず問題が起きません。日本では天敵となる病害虫がほぼおらず、果樹栽培で必須の消毒作業が不要という稀有な存在。強いて挙げれば、完熟して落果した実にコガネムシや小バエが集まる程度で、実を早めに収穫すれば解決します。「消毒いらずの家庭果樹」を探しているならポポーは最有力候補です。

季節ごとの管理

春の管理

3月に肥料を施します。4月頃に独特の暗紫色の花が咲きます。人工授粉で実付きを確保。

夏の管理

実が大きくなる時期。水やりをしっかり。9月頃に実が黄緑色〜黄色に色づいたら収穫。

秋の管理

収穫期(8-10月)。落果したものを拾って追熟させるのも。9月に肥料。

冬の管理

落葉休眠期。剪定の適期。主幹を切り詰めて樹高を管理。

よくあるトラブルと対策

実がならない

原因

受粉不良(1品種のみ)

対策

異品種を植えるか、花が咲いたら人工授粉する

苗が枯れる

原因

直射日光(幼木は弱い)

対策

2-3年目までは半日陰で管理し、徐々に慣らす

ポポーの花言葉・風水

花言葉

ポポーの花言葉は「健康」とされます。病害虫にほとんど侵されず、農薬に頼らなくても毎年元気に育つ丈夫な樹勢と、ビタミンやミネラルを豊富に含む滋養豊かな果実に由来するといわれます。春に咲く暗紫色のうつむきがちな花は地味ながら独特の存在感があり、希少な果樹であることから「知る人ぞ知る贈り物」として記念樹に選ばれることもあります。

風水・縁起

風水では、実のなる木は「金」の気を持ち、家に豊かさと繁栄を呼び込む象徴とされます。なかでもポポーのように年月をかけて大きく実る果樹は「育てる年月とともに家運が熟していく」縁起木と解釈され、新築や子どもの誕生の記念樹に向くといわれます。病害虫に強く手がかからない丈夫さは「健康長寿」の象徴とも重なります。受粉のために2本並べて植える性質を「夫婦和合」に結びつける見方もあり、庭の東〜南東に植えると発展運を後押しするとされています。

ポポーのよくある質問

Qポポーは植えてから何年で実がなりますか?回答を見る
A

接ぎ木苗なら植え付けから3〜4年、種から育てた実生苗では6〜8年が目安です。早く収穫したい場合は、品種名の付いた接ぎ木の2〜3年生苗を購入すると、早ければ植え付け2〜3年後に初結実します。ただし幼木のうちに実をならせすぎると樹の成長が止まるため、最初の年は1〜2個に制限しましょう。開花しても受粉相手がいないと年数だけが過ぎてしまうので、異品種2本の植え付けと開花時の人工授粉が、結実までの年数を縮める実質的な近道になります。

Qポポーの人工授粉はどうやればいいですか?回答を見る
A

ポポーの花は雌しべが先に成熟し、その後に同じ花の雄しべが花粉を出す「雌性先熟」のため、同じ木の花同士では受粉しにくい仕組みです。4月頃、花が開いて雄しべが茶色っぽくなり花粉が出ている花を見つけたら、小筆や綿棒で花粉を集め、別品種の開いたばかりの花(雌しべが緑色でみずみずしい状態)の中心に優しく塗りつけます。晴れた日の午前中に、数日おきに繰り返すと確実です。1つの花から複数の実がつくため、授粉後に1果房2〜3個へ摘果すると大きな実になります。

Qポポーの実の食べごろと追熟の方法を教えてください回答を見る
A

収穫期は9〜10月です。食べごろのサインは「果皮が黄緑色から黄色みを帯びる」「甘い香りが強くなる」「軽く触れると少し弾力がある」「自然に落果し始める」こと。木を軽く揺すって落ちる実は完熟です。少し早採りした実は、室温(20°C前後)に2〜4日置けば追熟して柔らかくなります。完熟果の日持ちは常温で2〜3日と短いため、食べきれない分は果肉をスプーンで取り出して冷凍するのがおすすめです。冷凍するとシャーベットのような食感で楽しめます。なお種子は有毒なので必ず取り除いてください。

Qポポーは鉢植えでベランダでも育てられますか?回答を見る
A

可能ですが、いくつか条件があります。ポポーは地中深くまっすぐ伸びる直根性のため、10号以上の深鉢(できれば縦長のスリット鉢)を使い、植え替えは根鉢を崩さずに2〜3年に1回行います。受粉用に異品種2鉢が必要なので、ベランダでは10号鉢2つ分のスペースを確保してください。幼木のうちは夏の直射日光を避けた明るい半日陰に置き、3年目以降は日向で管理します。鉢植えは地植えより実付きが少なく樹高1.5〜2mで数個〜10個程度の収穫が現実的な目安ですが、希少果実を味わうには十分です。

Qポポーの花は本当に臭いのですか?室内や玄関先でも大丈夫?回答を見る
A

ポポーの花は自然界でハエに受粉してもらうため、肉が傷んだようなかすかな臭気を発します。ただし臭いはごく弱く、花に鼻を近づけてようやく分かる程度です。開花期も4月の2〜3週間ほどに限られるため、庭やベランダ栽培で生活に支障が出ることはまずありません。玄関先に植えても通行時に臭いが気になることはほぼないと考えて大丈夫です。むしろ暗紫色のベルベットのような花は観賞価値があり、開花は人工授粉のタイミングを知らせてくれる大切なサインでもあります。

Qポポーの剪定はいつ、どのように行いますか?回答を見る
A

剪定の適期は落葉後の12〜2月です。放任すると5m以上に育って収穫も授粉作業もできなくなるため、植え付け時に高さ60〜80cmで主幹を切り返し、毎年の冬剪定で2.5〜3mまでに抑える低樹高仕立てが家庭向きです。基本は「上に強く伸びる徒長枝を切り、横向きの枝を残す」「内側に向かう枝や込み合った枝を間引く」の2点。ポポーは前年に伸びた枝に花芽がつくため、短い充実した枝を切りすぎないよう注意します。切り口が大きい場合は癒合剤を塗っておくと安心です。