苗・株の選び方
良い株は、株元から複数のつるが出ていること、葉の色が濃く艶があること、つぼみがピンクに色づいて数が多いことの3点で見分けます。3〜4月のつぼみ付きの株を選べば、香りと花付きを確認して迎えられます。
避けたいのは、葉が黄変して落ちている株と、つるが細く間延びして節間が長い株の2つです。行灯仕立ての完成株は初年から絵になり、フェンスに這わせるなら苗ポットの小株から育てても2〜3年で覆います。購入は開花株が出回る3〜5月が最も選びやすい時期です。
Hapot編集部より
ハゴロモジャスミンは、冬は屋外で寒さに当て、花後すぐに剪定するという2つのルールさえ守れば、関東以西の屋外で毎年4月に香りの雲を咲かせてくれる、初心者向きのつる性花木です。春に株を覆い尽くす白い星形の花から圧倒的な芳香を放ち、たった一鉢でベランダ全体、庭の一角、時にはお隣まで香りが届きます。つぼみのピンクと開花の白のグラデーションも美しく、ジャスミンティーの香りのイメージそのものですが、お茶に使われるのは近縁のマツリカで、本種は飲食には使いません。性質はつる性で丈夫、つるは年に2〜3m伸び、-3°C程度までは屋外で越冬します。花芽は冬の5°C前後の低温に当たってできるため、室内で暖かく冬越しさせすぎると咲きません。また翌春の花芽は夏から秋に作られるので、7月以降に切ると花を失います。フェンスやアーチ、行灯仕立ての鉢と仕立ては自在で、香りを楽しみたい動線に置くのが最大の楽しみ方です。

水やり
土の表面が乾いたら(生育旺盛で水好き)
日光
直射日光
温度の目安
-3-30°C(関東以西で屋外越冬可)
湿度
40-60%
土
水はけの良い培養土
大きさの目安
つるは2〜3m。フェンス・行灯鉢・ハンギングで。
成長の速さ
旺盛(つるは年2〜3m)
温度の目安(耐寒〜耐暑)
-3-30°C(関東以西で屋外越冬可)
肥料
花後と秋に緩効性肥料
成長速度
旺盛(つるは年2〜3m)
毒性
毒性の報告は特にない(食用のマツリカとは別種のため飲食には使わない)
「冬は寒さに当てる・剪定は花後すぐ」の2大ルールで毎春の香りが確定します。つるの旺盛さはフェンスの覆い役として活かして。
良い株は、株元から複数のつるが出ていること、葉の色が濃く艶があること、つぼみがピンクに色づいて数が多いことの3点で見分けます。3〜4月のつぼみ付きの株を選べば、香りと花付きを確認して迎えられます。
避けたいのは、葉が黄変して落ちている株と、つるが細く間延びして節間が長い株の2つです。行灯仕立ての完成株は初年から絵になり、フェンスに這わせるなら苗ポットの小株から育てても2〜3年で覆います。購入は開花株が出回る3〜5月が最も選びやすい時期です。
日当たりの良い場所で育てます。1日5時間以上の日照が花数と香りの濃さに直結します。つる性で2〜3m伸びるため、フェンス、トレリス、アーチか、鉢なら行灯仕立てにします。開花には冬の低温(5°C前後に数週間)に当たることが必要なので、温暖地では屋外での冬越しが正解です。-3°C以下や強い霜は葉が傷むため、寒冷地は軒下や無加温の玄関へ移し、暖房の効いた部屋には入れません。香りが非常に強いので、窓辺や玄関など香らせたい動線への配置が楽しみを最大化します。
よくある失敗は、冬に暖かいリビングへ取り込んで大切に育て、株は元気なのに春に1輪も咲かないことです。花芽ができていないので、その年は諦め、翌冬は屋外か5°C前後になる場所で越冬させると翌春から咲きます。
生育旺盛な分、水の消費も多めです。土の表面が乾いたら鉢底から流れるまでたっぷり与え、春と秋は2〜3日に1回、夏は朝夕2回チェックして乾いていれば与えます。特に4〜5月の開花中の水切れは花と香りを早く終わらせるので、この時期だけは毎朝確認してください。冬は生育が緩やかになるため控えめでよいですが、乾かしすぎず10日に1回程度は与えます。受け皿の水はためないでください。失敗しやすいのは、真夏に旅行で2〜3日水を切らし、葉が一斉に黄変してパラパラ落ちることです。戻ったらすぐ日陰に移してたっぷり水を与え、落ちた葉は戻りませんが、つるが生きていれば2〜3週間で新芽が出ます。行灯仕立ての鉢は根が回りやすく乾きが早いので、根詰まりしたら花後に植え替えて保水力を戻してください。
市販の花用培養土でよく育ちます。自分で配合するなら赤玉土(小粒)6、腐葉土3、パーライト1が目安で、鉢底石を2〜3cm敷きます。鉢は根詰まりを見越して6〜7号のやや大きめの深鉢に行灯支柱を立ててスタートすると管理が楽です。元肥は緩効性肥料を用土10Lあたり10g程度混ぜます。庭植えは水はけの良い場所を選び、植え穴に腐葉土を3割ほど混ぜて植えます。フェンス際に植えるなら誘引の計画とセットで場所を決めてください。粘土質で水が溜まる場所は土を盛って高くします。
鉄則は花後すぐ、5〜6月に行うことです。翌春の花芽は夏から秋に今年伸びたつるに作られるため、7月以降の剪定は花芽ごと失う咲かない剪定になります。花が終わったら、伸びすぎたつるを2分の1〜3分の1の長さまで整理し、絡まりをほどいて誘引し直します。萌芽力が強いので強剪定にもよく耐えます。旺盛なつるは放任すると数年でもつれた塊になるため、花後の大掃除を年中行事にするのが美観と花付きの両立法です。
よくある失敗は、秋に伸びすぎたつるが邪魔になって9〜10月に切り、翌春に花が数輪しか咲かないことです。切ってしまった場合はその年は諦め、翌年は必ず6月までに剪定を終えて夏以降は伸ばし放題にすれば、翌々春には香りが戻ります。剪定は晴れた日に清潔なハサミで行ってください。
時期と道具を確認する
剪定は花が終わった直後の5〜6月に行い、7月以降は切りません。清潔なハサミ、麻ひも、手袋を用意し、晴れた日の午前中に作業します。
花がらと枯れたつるを取る
咲き終わった花がらを摘み、茶色く枯れたつるや葉のない古いつるを付け根から切ります。株の内部に光と風が入るようにします。
伸びすぎたつるを2分の1に切る
伸びすぎたつるを2分の1〜3分の1の長さまで切り戻します。萌芽力が強いので強く切っても新芽が出ます。葉か節を残す位置で切ってください。
絡まりをほどいて誘引し直す
残したつるをほどき、フェンスや行灯支柱に均等に振り分けて麻ひもで軽く固定します。団子状になった部分はほどくより切った方が早いこともあります。
お礼肥を与えて伸ばし放題にする
剪定後に緩効性肥料をお礼肥として施し、土が乾いたらたっぷり水を与えます。7月以降に伸びるつるには翌春の花芽が付くので、秋まで切らずに誘引だけします。
鉢植えは1〜2年に1回、花後の5〜6月に剪定とセットで行います。根の成長が速く、根詰まりすると水切れと花付きの低下が進みます。鉢底から根が出ている、水がすぐに抜ける、葉が黄変しやすいといった様子が植え替えのサインです。一回り大きな鉢へ移すか、根を3分の1整理して同じ鉢に戻します。行灯仕立ての場合は支柱ごと抜き、つるをほどいてから根を整理し、植え直してから誘引し直すと形が整います。失敗しやすいのは、花芽の付いた秋や冬に植え替えて根を傷め、春の花が減ることです。適期以外に根詰まりに気づいたら、植え替えは5〜6月まで待ち、それまでは水やりの回数を増やしてしのいでください。植え替え後は1週間ほど明るい日陰に置き、土が乾いたらたっぷり水を与え、2週間後にお礼肥として緩効性肥料を施します。
時期と道具を用意する
植え替えは花後の5〜6月、剪定とセットで行います。一回り大きな深鉢、花用培養土、鉢底石、行灯支柱、清潔なハサミ、麻ひも、手袋を用意し、前日に水を与えておきます。
つるをほどいて株を抜く
行灯仕立ては支柱ごと鉢から抜き、絡まったつるをほどきます。伸びすぎたつるは2分の1〜3分の1に剪定してから根の作業に移ると扱いやすくなります。
古い土と根を整理する
根鉢の肩と底の土を3分の1ほど落とし、黒く傷んだ根を切ります。同じ鉢に戻す場合は根鉢の外側を3分の1削り、根が回った部分をほぐします。
新しい鉢に植えて支柱を立てる
鉢底石を2〜3cm敷いて土を入れ、株元の高さを元と同じにして植えます。行灯支柱を立て、つるを螺旋状に巻き付けて麻ひもで軽く固定します。
水を与えて養生し肥料を再開
鉢底から流れるまで水を与え、1週間ほど明るい日陰に置きます。土が乾いたら水やりを続け、2週間後にお礼肥の緩効性肥料を施して日なたへ戻します。
挿し木で簡単に増やせます。6〜7月、花後に伸びた若いつるを2節ずつに切り、下の節の葉を取って挿し木用土に挿すと、3〜4週間で発根します。明るい日陰に置き、土を乾かさないよう管理し、発根後は日なたへ移して2〜3か月後にポットから鉢へ植え替えます。つるの先を土に留めておくだけで発根する取り木(伏せ枝)はさらに確実で、親株につけたまま1〜2か月後に切り離します。失敗しやすいのは、9月以降に挿して冬の寒さで発根前に枯らすことです。挿し木は6〜7月に行い、遅くても8月までに終えて、秋までに根を張らせてください。香りの株のお裾分けはもらって嬉しい定番のギフトで、挿し木から2〜3年で親株と同じように咲きます。種はほとんどできないため、家庭では挿し木か取り木一択です。
時期と道具を準備する
挿し木の適期は6〜7月です。清潔なハサミ、挿し木用土を入れた育苗ポット、割り箸、霧吹き、手袋を用意し、花後の剪定で出た若いつるを材料にします。
つるを2節ずつに切る
今年伸びた若いつるを、節が2つ含まれる長さ(8〜10cm)に切り分けます。下の節の葉を取り、上の節の葉は蒸散を抑えるため半分に切ります。
下の節を挿し木用土に挿す
湿らせた挿し木用土に割り箸で穴を開け、下の節が土に埋まるように挿して軽く押さえます。1ポットに1本ずつ挿すと後の植え替えが楽です。
明るい日陰で発根を待つ
明るい日陰に置き、土が乾かないよう霧吹きも併用します。3〜4週間で発根し、新芽が動き始めたら日なたに移して通常の水やりに切り替えます。
秋までに根を張らせる
2〜3か月後、根が回ったら5号鉢に植え替えて薄い液肥を始めます。冬までに根をしっかり張らせ、屋外で寒さに当てれば2〜3年で親株と同じように咲きます。
丈夫で病害虫は少なめです。アブラムシ(春の新芽とつぼみ)、ハダニ(乾燥期の葉裏)、カイガラムシ(茂りすぎた内部)が定番で、見つけ次第対処します。アブラムシは水で洗い流すか薬剤で、ハダニは週2回の葉水で予防し、カイガラムシは歯ブラシでこすり落とします。つるが密集した内部は蒸れやすく、梅雨時にカビが出ることがあるため、花後の剪定で風通しを確保することがそのまま予防になります。失敗例で多いのは、3〜4月のつぼみにアブラムシが群がり、放置して花が変形し香りが弱まることです。つぼみが色づく前に葉裏と先端を週1回確認し、見つけたら早めに洗い流せば、花は正常に開きます。冬に葉が少し落ちるのは半常緑の性質で、病気ではありません。薬剤を使う場合は、開花中は花に散布を避けてください。
4〜5月が開花の本番です。水は毎朝確認して乾いたらたっぷり与え、肥料は開花中は与えません。日当たりの良い場所で香りを楽しみ、花後の5月にすぐ剪定と植え替えをします。つぼみにアブラムシが付きやすいので週1回確認してください。
剪定は6月までに終え、お礼肥の緩効性肥料を与えます。水は朝夕確認して乾いていればたっぷり与え、6〜7月は挿し木の適期です。日なたに置き、7月以降はつるを伸ばし放題にして花芽を作らせます。夏の水切れで葉が黄変して落ちるので注意してください。
花芽が作られる季節です。剪定は我慢し、9月に緩効性肥料を施して株を充実させます。水は2〜3日に1回、土が乾いたら与えます。日当たりの良い場所のままにし、伸びたつるは切らずに誘引だけします。乾燥でハダニが出やすいので葉裏に水をかけてください。
屋外で寒さに当てます。5°C前後の低温が花芽の完成に必要で、暖かい室内には入れません。水は10日に1回程度、肥料は与えません。強い霜や-3°C以下になる日だけ軒下へ移します。葉が少し落ちるのは半常緑の性質で、春に新芽が出れば問題ありません。
原因
旺盛なつるの放任。数年でもつれた塊になるのがこの植物の性。
対策
花後(5〜6月)に思い切って1/2まで刈り込み、つるをほどいて誘引し直します。萌芽力が強いので強剪定にもよく耐えます。以後は毎年の「花後の大掃除」を年中行事に。
原因
冬の寒風・強霜による葉傷み、夏の水切れ、または根詰まり。
対策
冬の落葉は多少なら正常範囲(半常緑の性質)。春に新芽が吹けば問題ありません。生育期の黄変なら水切れか根詰まりを疑い、水やりを見直して花後に一回り大きな鉢へ植え替えを。
原因
冬に暖かい室内で越冬させて花芽ができなかった、または7月以降の剪定で花芽を切り落とした。
対策
その年は諦め、翌冬は屋外か5°C前後になる無加温の場所で越冬させます。剪定は花後すぐから6月までに終え、夏以降はつるを切らないようにすれば翌春から咲きます。
原因
3〜4月の新芽とつぼみに付くアブラムシ。放置すると花が開かず香りも弱まる。
対策
つぼみが色づく前に葉裏と先端を週1回確認し、見つけたら水で洗い流すか薬剤で駆除します。開花中は花への散布を避け、変形した花は摘み取ってください。
原因
根詰まり。根の成長が速く、1〜2年で鉢いっぱいに根が回る。
対策
花後の5〜6月まで待って一回り大きな鉢へ植え替えるか、根を3分の1整理して同じ鉢に戻します。それまでは朝夕の水やりでしのぎ、鉢を日陰に移して蒸散を抑えてください。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
ジャスミンの花言葉は「愛想の良い」「優美」「官能的」です。誰の心にも届く甘い香りと、たおやかに伸びるつるの姿が「愛想の良い」「優美」の由来とされます。名前はペルシャ語で「神からの贈り物」を意味する「ヤースミーン」に由来し、ハゴロモ(羽衣)の名は、株を覆う白い花を天女の羽衣に見立てたものです。
風水では強い芳香は「良縁と社交運を呼ぶ」とされ、玄関や門まわりのハゴロモジャスミンは人の縁を家に招くといわれます。ジャスミンはアジアで古くから神聖な花とされ、インドでは花輪にして寺院に捧げる習慣があります。白い花は浄化の力を持つとされ、東側や南東側に植えると家庭運と対人運を高めるといわれます。
二大原因は冬の暖かさと剪定の時期です。ハゴロモジャスミンの花芽は冬の5°C前後の低温に数週間当たって完成するため、冬に暖かい室内へ入れっぱなしだと株は元気でも花芽ができません。屋外か無加温の場所で冬越しさせてください。もうひとつは7月以降につるを切った場合で、そこに乗っていた翌春の花芽ごと失っています。剪定は花後すぐから6月までに移してください。この2点を正せば来春は香りが戻ります。肥料の窒素過多による葉ボケと、極端な日照不足も補助要因として確認しましょう。
ハゴロモジャスミンの香りは園芸植物でも最強クラスで、好きだけど近すぎると強いという感想はよくあります。工夫は3つで、寝室の窓の真下や食卓の隣は避けて玄関アプローチや庭の風下側などすれ違いで香る距離に置く、鉢植えの機動力を活かして満開の1〜2週間だけ特等席へ移す、夜に香りが強まる性質を考慮して夜の動線に配置する、です。逆にいえば一鉢で広範囲をカバーできる効率の良さがあり、香りの音量調節は距離で行うのが正解です。
花が終わった直後の5〜6月が唯一の適期です。翌春の花芽は夏から秋に今年伸びたつるに作られるため、7月以降に切ると花芽を失い、翌春に咲かなくなります。花後に伸びすぎたつるを2分の1〜3分の1まで整理し、絡まりをほどいて誘引し直してください。萌芽力が強いので強く切っても大丈夫です。秋につるが邪魔になっても切らず、誘引だけで対応します。冬に葉が少し落ちても剪定はせず、春に花が終わるのを待ってから一気に整理するのが毎年咲かせるコツです。
作れません。ジャスミンティーに使われるのは近縁のマツリカ(アラビアジャスミン)で、ハゴロモジャスミンは観賞用です。毒性の報告は特にありませんが、食用としての安全性が確認されていないため、花を飲食に使うのは避けてください。香りを楽しむなら、切り花にして室内に飾るか、乾燥させてポプリにする方法が向いています。切り花は開きかけのつぼみが多い枝を朝に切り、浅い水に活けると3〜5日香りが続きます。ペットが少しかじる程度なら問題ないとされますが、大量に食べないよう注意してください。
ハゴロモジャスミンの季節の作業や、土・鉢・肥料の選び方をくわしく解説した記事です。
10月の作業と、ハゴロモジャスミンの手入れで迷ったときに役立つページです。
執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。