苗・株の選び方
良い苗木は、幹がしなやかで根元にぐらつきがなく、枝が左右にバランスよく出ているもの、葉色が濃く葉先まで傷みがないもの、鉢底から白い根が見えるものの3点で選びます。
避けたいのは、幹の根元に穴や木くずがある株(テッポウムシ)と、夏に葉先が茶色く縮れて株全体が弱っている株です。品種で秋の色が決まり、赤ならイロハモミジや出猩々、多色のグラデーションなら大盃、枝垂れなら青枝垂が定番です。鉢植えなら成長の穏やかな品種モミジが管理しやすいです。
Hapot編集部より
モミジ(イロハモミジ)は、水切れと夏の西日にさえ気をつければ丈夫に育つ落葉樹で、庭に四季の移ろいを招きたい人に向くシンボルツリーです。鉢植えや盆栽でも育てられ、ベランダで紅葉を楽しむこともできます。春の芽吹き、夏の青葉、秋の紅葉、冬の枝姿と一年を通じて表情が変わり、日本庭園では古くから主役を務めてきました。庭植えでは年に30-50cm伸びて3-10mになりますが、剪定で3m前後に抑えられます。美しく紅葉させる条件は、昼夜の寒暖差、適度な日照、そして葉を傷めない夏越しの3点です。特に西日による葉焼けは紅葉前に葉を傷める最大の原因で、午前は日が当たり午後は日陰になる場所に置くだけで秋の色づきが大きく変わります。剪定は落葉直後の11-12月に限られ、1月以降に切ると樹液が止まらなくなる点だけは覚えておいてください。

水やり
鉢は土の表面が乾いたら(夏は朝夕・水切れ厳禁)
日光
半日陰
温度の目安
-15〜35°C(耐寒性強。夏の西日が苦手)
湿度
40-60%
土
保水と排水を兼ねた肥沃な土
大きさの目安
庭植えで3〜10m(剪定で制御)。鉢植え・盆栽なら30cm〜2mで四季を楽しめる。
成長の速さ
中
温度の目安(耐寒〜耐暑)
-15〜35°C(耐寒性強。夏の西日が苦手)
肥料
2月の寒肥のみで十分(多肥は紅葉を鈍らせる)
成長速度
中
毒性
無毒
「夏の水切れと西日から葉を守る」が美しい紅葉への一本道。剪定は落葉後すぐの11〜12月に——真冬の剪定は樹液が止まりません。
良い苗木は、幹がしなやかで根元にぐらつきがなく、枝が左右にバランスよく出ているもの、葉色が濃く葉先まで傷みがないもの、鉢底から白い根が見えるものの3点で選びます。
避けたいのは、幹の根元に穴や木くずがある株(テッポウムシ)と、夏に葉先が茶色く縮れて株全体が弱っている株です。品種で秋の色が決まり、赤ならイロハモミジや出猩々、多色のグラデーションなら大盃、枝垂れなら青枝垂が定番です。鉢植えなら成長の穏やかな品種モミジが管理しやすいです。
午前中に日が当たり、午後は日陰になる場所が理想です。紅葉には日照が必要ですが、夏の西日は葉焼けを招き、秋の発色を鈍らせます。建物の東側や落葉高木の下が好適地で、強風の当たる場所は葉が傷むため避けます。庭植えは成長が中程度で年に30-50cm伸び、放任すると5m以上になるため、建物や隣地から2m以上離して植えます。鉢植えは移動できるのが強みで、夏は半日陰、秋は日なたへ動かせば紅葉の条件を作れます。耐寒性は強く-15°C程度まで耐えるので全国で育ちますが、寒風の直撃は枝先を枯らします。失敗例として、南向きの壁際に鉢を置いて7月に葉が全面チリチリになることがあります。その場合は明るい日陰へ移して朝夕の水やりを続ければ株は回復し、翌春に新しい葉が出ます。
モミジは水切れに敏感で、特に鉢植えの夏は朝夕2回の水やりが基本です。土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るまで与え、乾きやすい7-8月は朝と夕方の2回に増やします。庭植えは植え付けから2-3年は土が乾いたら与え、根付いた後は降雨任せで構いませんが、10日以上雨が降らないときはたっぷり補水します。株元に腐葉土やワラで3-5cmのマルチングをすると、乾燥と地温の上昇を同時に防げます。秋の紅葉期はやや乾かし気味にすると色が冴えるとされますが、完全に乾かすのは禁物です。失敗例は、夏に1日水を切らして葉先が茶色く縮れることです。縮れた葉は戻りませんが、水やりを再開して半日陰で管理すれば株は枯れず、翌春には正常な葉が展開します。冬は落葉しているので、鉢は土が乾いてから2-3日後に与える程度で足ります。
保水力と水はけを兼ねた土が理想です。鉢植えは赤玉土7、腐葉土3の配合が定番で、鉢底には鉢底石を2-3cm敷きます。市販の花木用培養土でも問題なく育ちます。庭植えの植え付けは落葉期の11-2月に、厳寒期を避けて行います。植え穴は根鉢の2倍の幅に掘り、腐葉土と堆肥を3割ほど混ぜ込んで浅めに植え、支柱を添えます。肥料は2月の寒肥(油かすと堆肥)だけで十分で、チッソ過多は徒長と紅葉の鈍りを招くため控えめにします。
剪定の適期は落葉直後の11-12月に限られます。モミジは早春に樹液が動き出すのが早く、1月以降に切ると切り口から樹液が滴り続けて株を弱らせます。また6-9月の葉のある時期に太い枝を切ると、葉焼けと胴枯れの原因になるため、この時期は不要な小枝を指で摘む程度にとどめます。基本は自然樹形を活かす間引き剪定で、混み合った枝、逆さ枝、幹に向かう枝を付け根から抜きます。強い切り詰めは無骨な徒長枝を呼ぶため、切り戻すなら枝分かれの位置で細い枝を残して切ります。直径2cm以上の切り口には癒合剤を塗ります。庭植えでは年1回の間引きで樹高3m前後に保て、鉢植えは春に伸びる新梢を2-3節で摘むと枝が細かく分かれて姿が整います。失敗例として、3月に太枝を切って樹液が止まらなくなることがあります。癒合剤を塗って様子を見れば枯れることは少なく、翌年は11-12月に剪定を移してください。
時期と道具を確認する
適期は落葉直後の11-12月です。清潔な剪定バサミ、太枝用のノコギリ、癒合剤を用意し、1月以降は樹液が流れるため作業しないと決めておきます。
枯れ枝と混み枝を抜く
枯れた枝、内側に向かう枝、交差する枝、幹から直立する徒長枝を付け根で切ります。切り残しを作らず、枝の分岐点にぴったり沿わせて切ります。
樹高と幅を分岐点で詰める
高さを抑えたい枝は途中で切らず、外向きの細い枝が残る分岐点まで戻して切ります。一度に全体の3割以上を切らないようにします。
太い切り口に癒合剤を塗る
直径2cm以上の切り口には癒合剤を塗り、乾燥と病原菌の侵入を防ぎます。細い枝の切り口は塗らなくて構いません。
剪定後の管理と寒肥
切り落とした枝葉を片付け、鉢は風の当たらない場所へ戻します。2月に寒肥を施し、春に伸びた徒長枝は5-6月に指で先端を摘んで枝ぶりを整えます。
鉢植えは2-3年に1回、落葉後の11-12月か芽吹き前の2月末-3月に植え替えます。根詰まりすると夏の水切れが頻発し、葉焼けと落葉が続くため、周期を守ることが夏越しの保険になります。手順は根鉢を3分の1ほどほぐして古い根と黒い根を整理し、一回り大きな鉢に新しい土で植え付けます。盆栽仕立ては2年に1回、根を半分ほど切り詰めて同じ鉢に戻します。庭植えの植え付けも同じ時期で、根鉢の2倍の穴に腐葉土を混ぜて浅植えにし、支柱を立てて風で揺れないようにします。3年以上経った庭木の移植は根を切る量が多く、活着率が下がるため、前年に根回しをして細根を出させてから行います。失敗例は、8月に植え替えて葉がすべて落ちることです。その場合は日陰に置いて水を切らさず、枝が緑なら翌春に芽吹くので諦めずに管理を続けてください。植え替え後1か月は肥料を与えません。
時期と道具をそろえる
適期は落葉後の11-12月か芽吹き前の2月末-3月です。一回り大きな鉢、赤玉土と腐葉土、鉢底石、剪定バサミ、割り箸、支柱を用意します。
鉢から株を抜いて根をほぐす
鉢の縁を叩いて株を抜き、根鉢の肩と底を3分の1ほどほぐします。黒く傷んだ根と長く伸びすぎた根をハサミで切り、白い細根は残します。
新しい鉢に浅めに植える
鉢底石を2-3cm敷き、赤玉土7と腐葉土3の土を入れます。根の付け根が土の表面に出る程度の浅植えにし、割り箸で突いて隙間をなくします。
支柱を立てて固定する
植え付け直後は根が動きやすいので、支柱を1本添えて幹をひもで軽く結びます。ウォータースペースを2cm残し、鉢底から流れるまで水を与えます。
植え替え後の管理
風の当たらない明るい日陰に1か月置き、土の表面が乾いたら水を与えます。肥料は芽吹きが揃うまで与えず、植え替えた年の寒肥は半量にします。
種まき(実生)、取り木、接ぎ木が主な方法です。家庭で最も手軽なのは取り木で、4-6月に枝の一部の樹皮を幅2cmほど環状に剥ぎ、湿らせた水苔で包んでビニールで覆います。2-3か月で発根したら親株から切り離して鉢に植えます。実生は10-11月にプロペラ型の種を採り、乾かさずに湿った砂と一緒に冷蔵庫で保存して3月にまくと、1か月ほどで発芽します。親と同じ葉性になるとは限らず、それが実生盆栽の面白さでもあります。園芸品種を同じ姿で増やすには、2-3月にイロハモミジの実生台木へ接ぎ木するのが一般的です。挿し木は発根率が低く、初心者には向きません。失敗例として、種を乾燥保存して春にまき、まったく発芽しないことがあります。モミジの種は乾くと休眠が深くなるため、採ったらすぐに湿らせた状態で低温処理するのが要点です。
時期と道具を準備する
取り木の適期は4-6月です。清潔なナイフ、湿らせた水苔、透明なビニール、ひも、発根促進剤を用意し、直径1cm前後の充実した枝を選びます。
枝の樹皮を環状に剥ぐ
枝の中ほどで、幅2cmほど樹皮をぐるりと一周剥ぎ取ります。緑の形成層まで確実に削り取り、剥いだ部分に発根促進剤を薄く塗ります。
水苔で包んで密封する
湿らせた水苔をこぶし大にして剥いだ部分を包み、ビニールで覆って上下をひもで縛ります。乾かないよう、月に1-2回は上の口から水を足します。
発根を確認して切り離す
2-3か月でビニール越しに白い根が見えたら、水苔の下で親枝から切り離します。根を崩さないよう、水苔ごと赤玉土主体の鉢に植え付けます。
切り離した後の管理
明るい日陰に置き、土を乾かさないよう管理します。翌春に新芽が伸びたら日なたに移し、通常の水やりと2月の寒肥に切り替えます。
最大の敵はゴマダラカミキリの幼虫(テッポウムシ)です。6-8月に成虫が幹の根元に産卵し、幼虫が幹の中を食い進むため、株元に木くずが落ちていたら穴に針金を差し込むか専用の薬剤を注入します。放置すると2-3年で枯れることがあります。5-6月のアブラムシは新芽に集中するので、見つけ次第水で洗い流すか薬剤で駆除します。夏のイラガの幼虫は触ると強く痛むため、葉裏を確認しながら枝ごと取り除きます。病気ではうどんこ病と、剪定の切り口から入る胴枯れ病に注意し、適期の剪定と癒合剤で予防します。葉先が茶色く縮れる症状の大半は病気ではなく、水切れ、西日、寒風によるものです。失敗例は、木くずに気づかず秋に片側の枝が枯れ込むことです。その場合は枯れ枝を落とし、穴を探して幼虫を駆除すれば、残った枝から樹勢が戻ることが多いです。
3-4月に芽吹き、鉢は土の表面が乾いたら水を与えます。肥料は2月の寒肥が効いているので追加は不要です。置き場所は日なたで構いませんが、4-5月はアブラムシが新芽に付きやすいので見回りを始めてください。
鉢は朝夕2回、庭は10日雨がなければたっぷり水を与えます。肥料は与えません。午後は日陰になる場所へ移し、株元をマルチングします。西日による葉焼けとテッポウムシの木くずが夏のトラブルです。
水はやや控えめにすると紅葉の色が冴えますが、乾かしすぎは落葉を早めます。肥料は不要です。日当たりと寒暖差のある屋外に置いて色づかせます。暖かい室内では紅葉しないので、鉢を取り込まないでください。
落葉後は鉢の水やりを3-4日に1回に減らし、2月に油かすと堆肥の寒肥を施します。置き場所は寒風の当たらない屋外で、-15°C程度まで耐えます。11-12月が剪定の適期で、1月以降の剪定は樹液が流れて株を弱らせます。
10月の作業をくわしく知りたいときは秋の植え替えの記事も参考になります。
原因
水切れと西日による葉焼け。モミジの夏の定番ダメージ。
対策
焼けた葉は戻りませんが株は無事です。朝夕の水やりと午後日陰への移動(鉢)またはマルチング(庭)で以後の葉を守ります。焼けが軽ければ秋の紅葉も部分的に楽しめます。
原因
テッポウムシ(ゴマダラカミキリ幼虫)の食入。放置は枯死リスク。
対策
木くずの出る穴を特定し、針金で幼虫を駆除するか専用ノズル剤を注入して穴を塞ぎます。6-8月は成虫の産卵期なので株元の見回りを強化してください。
原因
4-6月のアブラムシの吸汁。排泄物で葉がベタつき、すす病を招くこともあります。
対策
水で洗い流すか、園芸用の薬剤を散布します。縮れた葉は戻りませんが、駆除後に伸びる葉は正常です。株元の混み枝を抜いて風通しを良くすると発生が減ります。
原因
夜も暖かい場所で寒暖差が足りない、日照不足、または夏の水切れや西日で葉が傷んでいる。
対策
10月以降は屋外の日当たりに置き、夜間も取り込まずに寒さに当てます。夏に傷んだ葉は色づかないため、翌年は朝夕の水やりと午後日陰の配置で葉を守ることが最優先です。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
モミジの花言葉は「美しい変化」「大切な思い出」とされます。芽吹きから紅葉、落葉まで季節ごとに姿を変える性質と、秋の紅葉狩りの記憶が由来といわれています。「遠慮」「自制」という言葉が添えられることもあります。
風水では、秋に赤く染まる葉が実りと転換の気を象徴するとされます。庭の西から北西に植えると家の運気の巡りを整えるといわれ、玄関脇の鉢植えは季節の変化を家に呼び込む役割を持つとされます。断定できる根拠はなく、庭の彩りとして楽しむのが本来です。
紅葉の三条件である健康な葉、日照、寒暖差のどれかが欠けています。最も多い原因は夏のダメージで、水切れと西日で傷んだ葉は秋を待たずに茶色く枯れます。来年は夏の朝夕の水やりと、午後に日陰になる配置で葉を守ることが最優先です。次に、夜も暖かい室内や暖房の近く、街灯の下では寒暖差が足りず色づきません。モミジは屋外で寒さに当ててこそ染まります。日照不足も発色を鈍らせるため、秋は日の当たる場所へ移してください。この3点を整えれば、翌年の秋は見違えます。
時期外れの剪定による樹液の流出です。モミジは1月には樹液が動き始めており、冬から春の剪定は切り口から滴り続ける事態を招きます。今できることは癒合剤をしっかり塗って様子を見ることで、多少の流出で枯れることはありませんが、体力は奪われます。以後の剪定は落葉直後の11-12月に集中してください。太い枝を切る予定があるなら、なおさらこの適期を厳守し、直径2cm以上の切り口には必ず癒合剤を塗ります。
できます。コツは夏の置き場所と秋の寒暖差の2点です。7-8月は午後に日陰になる位置へ鉢を移し、朝夕の水やりで葉を傷めずに秋を迎えます。10月以降は日が当たる場所へ戻し、夜間も屋外に置いて寒さに当てます。エアコンの室外機の風が当たる場所は葉が乾いて縮れるので避けてください。鉢は6-8号で高さ1m前後に保ち、2-3年に1回の植え替えで根詰まりを防げば、毎年安定して色づきます。
植物学上はどちらもカエデ属で、明確な区別はありません。園芸では葉の切れ込みが深く5-7つに分かれる種類をモミジ、切れ込みが浅い種類をカエデと呼び分けるのが一般的です。イロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジがモミジと呼ばれる代表で、育て方はどれも同じです。ハウチワカエデやトウカエデはカエデと呼ばれ、やや乾燥に強い傾向があります。庭に植えるなら、紅葉の赤が鮮やかなイロハモミジを基準に選べば失敗が少ないです。
モミジの季節の作業や、土・鉢・肥料の選び方をくわしく解説した記事です。
10月の作業と、モミジの手入れで迷ったときに役立つページです。
執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。