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矢車草の育て方

Centaurea cyanus最終更新日:
編集部

Hapot編集部より

矢車草(Centaurea cyanus)は、こいのぼりの矢車に似た青紫色の可憐な花を4〜6月に咲かせるキク科の秋まき一年草で、正式にはヤグルマギクと呼ばれます。ヨーロッパ原産で、かつては麦畑に自生する野の花として親しまれ、ドイツの国花にもなっています。澄んだ青「コーンフラワーブルー」は宝石サファイアの最高級色の代名詞になるほどで、青のほかピンク・白・赤・紫・黒赤と花色も豊富です。やせ地でも育つほど丈夫で、肥料は控えめが基本。こぼれ種でも毎年咲くため、ガーデニング初心者に最適な入門花です。草丈は品種により30cm〜1mで、切り花やドライフラワー、エディブルフラワーとしても楽しめます。種まきは9〜10月の秋まきが基本で、冬の寒さに当てることで春に充実した花を咲かせます。

分類・基本データ

キク科
矢車草
別名
ヤグルマギク、コーンフラワー、セントーレア
原産地
ヨーロッパ東部〜南部の原産です。原生地では麦畑や草原などの日当たりの良いやせた土地に自生する野の花で、英名コーンフラワー(cornflower)は「麦畑の花」に由来します。
大きさ
高性種で草丈60cm〜1m、矮性種で20〜40cm。切り花・花壇の後方には高性種、プランターや花壇の縁取りには矮性種が向きます。地植えのほうが大きく育ち、株張りは20〜30cmほどになります。

育て方サマリ

水やり

土の表面が乾いたら(過湿厳禁)

日光

直射日光

適温

-5-25°C(暑さにやや弱い)

湿度

30-50%

水はけの良い草花用土。やせた土でもOK

ケアのポイント

肥料

元肥を施せば追肥はほぼ不要。多肥にすると倒れやすい

成長速度

速い

毒性

なし(花はエディブルフラワーとしても利用可能)

種まきは9-10月の秋まきが基本。直根性で移植を嫌うため、直まきかポットで育苗して根を崩さず植え付けます。倒れやすいのが最大の弱点で、支柱を立てるか密植して互いに支え合わせる方法が有効。多肥にすると徒長して余計に倒れやすくなるので肥料は控えめに。花がら摘みをこまめにすると開花期間が延びます。こぼれ種で翌年も咲きますが、場所を選ばず増えるので注意。切り花にする場合は朝の涼しい時間に収穫を。

育て方の詳細

苗・株の選び方

苗は10〜11月と早春に流通します。矢車草は直根性で根をいじられるのを嫌うため、ポットの底から根が回りきった大苗より、本葉6〜8枚程度の若い苗を選ぶのが最大のポイントです。葉が銀緑色でハリがあり、株元がぐらつかず、節間が詰まったずんぐりした苗が良株です。徒長してひょろ長い苗は植え付け後に倒れやすくなります。種から育てる場合は9〜10月にまけば春にしっかりした株になります。高性種か矮性種かで用途が変わるため、切り花目的なら草丈80cm前後の高性種、プランターなら矮性種とラベルを確認して選びましょう。

置き場所・日当たり

日当たりと水はけの良い場所を選べば、あとは放任でも咲く丈夫な花です。1日5時間以上日の当たる花壇やプランターへ。ヨーロッパの麦畑に自生していた花らしく、やせ地でもよく育ち、肥沃すぎる土ではむしろ茂りすぎて倒れやすくなります。寒さには非常に強く、秋まき苗は霜に当たっても平気で越冬します。草丈が高くなる品種(80cm〜1m)は風で倒れやすいため、風当たりの強い場所では矮性品種を選ぶか、支柱を用意しましょう。

水やりの詳細

乾かし気味の管理が合っています。庭植えは根付いた後の水やりはほぼ不要で、降雨に任せてOK。プランターは土の表面が乾いたらたっぷりと与えますが、過湿は立ち枯れ病と根腐れの原因になるため、「乾いてから」を徹底します。特に梅雨時の水のやりすぎに注意。花や葉に上から水をかけるとうどんこ病を助長するので、株元に静かに注ぐのが基本です。

剪定・切り戻し

花がら摘みで開花期間が大きく延びます。咲き終わった花を花茎ごと、下の脇芽の上でカットすると、脇芽が次の花を咲かせて春〜初夏まで咲き続けます。放置して種を作らせると株の勢いが一気に落ちるため、こまめな花がら摘みが満開維持の秘訣。草丈が伸びて倒れそうな株は、早めに支柱を立てるか、株の半分ほどの高さで切り戻すと、低い位置で分枝して自立しやすくなります。

植え替え

直根性で移植を嫌うため、「植えたら動かさない」が原則です。種まきは9〜10月(秋まき)が基本で、花壇に直まきするか、ポットまきして本葉4〜5枚の小苗のうちに根鉢を崩さず定植します。株間は20〜30cm。プランターは深さ20cm以上のものに。用土は水はけの良い花用培養土で、肥料は控えめが鉄則です(元肥少なめ、追肥は春に薄い液肥を月1〜2回で十分)。大苗の移植は失敗しやすいので避けてください。

増やし方

種まきで簡単に増やせる一年草です。花後に花がらを一部残しておくと種が熟すので、茶色く乾いたら採取して封筒で冷暗所保存し、秋にまきます。こぼれ種でもよく増え、翌年思わぬ場所から芽を出すのも野の花らしい楽しみ。発芽適温は15〜20°Cで、種は嫌光性のため5mmほど覆土します。秋まきで大株の春咲き、寒冷地では春まき(3〜4月)で初夏咲きと、地域に合わせてまき時を選んでください。

病害虫対策

アブラムシとうどんこ病が二大トラブルです。アブラムシは春の茎頂とつぼみに群がるため、見つけ次第駆除を(テープでの除去や牛乳スプレーでも可)。うどんこ病は葉が白い粉をまぶしたようになる病気で、風通しの悪さと過湿が誘因:株間を空けて植え、混みすぎたら間引き、発症葉は除去します。梅雨前に株姿を整えて風を通しておくと、初夏まで美しい状態を保てます。連作すると立ち枯れが出やすいので、翌年は場所を変えて種まきを。

季節ごとの管理

春の管理

3月頃から開花。花がら摘みをこまめにして開花期間を延ばしましょう。切り花にも最適。

夏の管理

暑さで枯れていきます。種を採取したい場合は花を残して。

秋の管理

9-10月が種まきの適期。直まきか、ポットで育苗して根を崩さず植え付け。

冬の管理

秋まきの苗は冬を屋外で越します。寒さに強いので特に対策不要。霜で地上部が傷んでも春に復活。

よくあるトラブルと対策

茎が倒れる

原因

徒長、多肥、密植不足

対策

支柱を立てるか、密植して支え合わせる。肥料は控えめに

花が咲かない

原因

日光不足、種まき時期の間違い

対策

日当たりの良い場所で管理。秋まき(9-10月)が基本

矢車草の花言葉・風水

花言葉

矢車草(ヤグルマギク)の花言葉は「繊細」「優美」「教育」「信頼」です。細く繊細な花びらの美しさが「繊細」「優美」の由来とされます。「教育」は、ナポレオン軍に追われたプロイセン王妃ルイーゼが麦畑に隠れた際、この花で冠を編んで王子たちを慰めた逸話にちなむもので、のちに王子の一人ヴィルヘルム1世が皇帝となり、この花はドイツの国花になりました。青い花の代表として「青いままのあなたでいて」という誠実さの象徴にも使われます。

風水・縁起

風水で青い花は「水の気」を持ち、心を落ち着かせて集中力や判断力を高める色とされます。澄んだコーンフラワーブルーの矢車草は、仕事運・学業運を高めたい書斎や勉強部屋、東〜南東の庭やベランダに植えると良いといわれます。花言葉「教育」にちなみ、受験期の家庭の庭花や、入学祝い・卒業祝いの花束に加える花としても縁起が良い存在です。切り花を玄関に飾れば、清涼な気で住まいの入口を整えるとされます。ドライフラワーにしても色があせにくい花ですが、風水ではドライは陰の気を持つとされるため、飾るならリビングなど人が集まる明るい場所が無難です。

矢車草のよくある質問

Q矢車草と矢車菊は同じ花?ヤグルマソウとの違いは?回答を見る
A

園芸店で「矢車草」として売られている春の青い花は、正式名ヤグルマギク(矢車菊、Centaurea cyanus)で、本記事の植物です。一方、植物学上のヤグルマソウ(Rodgersia podophylla)はユキノシタ科の山野草で、大きな掌状の葉を持ち初夏に白い花を咲かせるまったくの別物です。昔はヤグルマギクも「ヤグルマソウ」と呼ばれていたため混同が残っており、現在は区別のためヤグルマギクの名が推奨されています。種や苗を通販で買う際は、学名や写真を確認すると間違いがありません。

Q矢車草は春まきでも育てられる?回答を見る
A

寒冷地では3〜4月の春まきが可能で、6〜7月に開花します。一方、関東以西の温暖地では9〜10月の秋まきが断然おすすめです。秋まき株は冬の低温でじっくり育って根張りが良く、春に株が大きく花数も多くなります。温暖地で春まきすると、株が小さいまま開花期を迎え、梅雨と夏の暑さで早く枯れてしまうため、花を楽しめる期間が短くなります。発芽適温は15〜20°C前後なので、秋まきなら残暑が落ち着いた彼岸過ぎ、春まきなら桜の開花前後が目安です。

Q矢車草(コーンフラワー)の花は食べられる?回答を見る
A

矢車草の花はエディブルフラワー(食用花)として利用でき、ハーブティーの「コーンフラワー」としても流通しています。花びらにはほのかな香りとわずかな甘みがあり、サラダやケーキの飾り、青色が映えるハーブティーのブレンドに使われます。ただし食用にできるのは、農薬を使わずに自分で育てた花か、食用として販売されているものに限ります。園芸店の切り花や観賞用の苗は食用を想定した農薬管理がされていないため、絶対に口にしないでください。食べる際はガクを外し、花びらだけを摘んで使います。

Q矢車草をドライフラワーにするには?回答を見る
A

矢車草は色があせにくく、ドライフラワー初心者に最適な花です。咲き始め〜七分咲きの花を、晴れた日の朝に茎を長めに付けて収穫します。満開を過ぎた花は乾燥中に花びらが散りやすいので避けましょう。葉を取り除き、5本程度を輪ゴムで束ねて、直射日光の当たらない風通しの良い室内に逆さに吊るします。1〜2週間でカラカラに乾けば完成です。梅雨時は湿気でカビやすいため、エアコンの効いた部屋か除湿機の近くで乾かすときれいに仕上がります。スワッグやハーバリウムの花材としても人気です。

Q矢車草はプランターでも育てられる?回答を見る
A

プランターで十分育てられます。直根性で根が深く伸びるため、深さ20cm以上の標準プランター(65cm)を選び、矮性種なら3〜4株、高性種なら2〜3株を株間15〜20cmで植えます。用土は水はけの良い草花用培養土で、元肥入りならその後の追肥はほぼ不要です。過湿を嫌うので、鉢底石を敷き、水やりは土の表面が乾いてからにします。ベランダなど風の通る場所では高性種が倒れやすいため、矮性種を選ぶか、早めに支柱やリングを設置すると安心です。日当たりが良ければマンションのベランダでも春にたくさん開花します。

Q矢車草の種はいつ、どうやって採る?回答を見る
A

5〜6月、花が終わって花首の付け根(ガクの部分)が茶色く枯れ、振るとカサカサ音がする頃が採種の適期です。花がらごと摘み取り、紙袋の中で揉みほぐすと、先端に毛の付いた米粒大の種が取れます。よく晴れた日に採ると湿気が少なく保存性が上がります。採った種は封筒などの紙袋に入れ、乾燥剤と一緒に冷暗所で保管すれば、秋の種まきに十分使えます。なお、こぼれ種でも翌年よく発芽しますが、交雑や先祖返りで花色が変わることがあり、青以外の園芸品種は親と同じ色が咲くとは限りません。