苗・株の選び方
良い苗の目安は、節間が詰まって茎が太いこと、葉が濃い緑で厚みがあること、株元から脇芽が出ていることの3点です。
避けたいのは、葉裏に白や淡黄色のイボ状の斑点がある白さび病の苗と、茎が細く間延びした徒長苗です。春に苗から仕立てるなら4-5月の若苗、秋の花をすぐ楽しむなら蕾が色づき始めたガーデンマムやポットマムを選びます。ラベルの草丈と開花期を確認し、鉢向きの矮性か切り花向きの高性かを育てる目的で選びます。
Hapot編集部より
キクは、春から初夏に2-3回摘心する手間さえ惜しまなければ、1本の苗が秋に数十輪のドームになる、丈夫で育てがいのある宿根草です。中国原産で奈良から平安期に渡来し、日本で独自の菊文化が花開きました。現在は草丈20cmの矮性ポットマムから切り花用の1m超まで多彩で、花壇や鉢、寄せ植えに使えます。耐寒性が強く、花後に刈り取ると株元に冬至芽と呼ばれる新芽が出て越冬し、翌春に植え直せば毎年咲きます。開花の鍵は夜の暗さで、夜が12時間以上暗くなると花芽を作る短日植物のため、街灯やセンサーライトの当たる場所では咲きません。日当たりと水はけの良い場所で、土の表面が乾いたら水を与え、春から蕾が色づくまで月1回の肥料を続けるのが基本です。白さび病やキクスイカミキリといった特有の病害虫がありますが、風通しの確保と早めの対処で防げます。摘心と夜の暗さ、この2つを押さえれば初心者でも見事な秋の花が楽しめます。

水やり
土の表面が乾いたら(過湿嫌い)
日光
直射日光
温度の目安
15-25°C(宿根草として耐寒性強)
湿度
40-60%
土
水はけの良い肥沃な土
大きさの目安
矮性ポットマム20cm〜切り花用1m超。花壇・鉢・寄せ植えに。
成長の速さ
速い(春に芽吹き秋に開花の宿根サイクル)
温度の目安(耐寒〜耐暑)
15-25°C(宿根草として耐寒性強)
肥料
春〜蕾が色づくまで月1回(開花中は不要)
成長速度
速い(春に芽吹き秋に開花の宿根サイクル)
毒性
ペットが食べると嘔吐等の恐れ(キク科のピレトリン類)
「春〜初夏の摘心2〜3回」がこんもり満開への一本道。秘訣は夜の暗さ——街灯の下では咲きません。
良い苗の目安は、節間が詰まって茎が太いこと、葉が濃い緑で厚みがあること、株元から脇芽が出ていることの3点です。
避けたいのは、葉裏に白や淡黄色のイボ状の斑点がある白さび病の苗と、茎が細く間延びした徒長苗です。春に苗から仕立てるなら4-5月の若苗、秋の花をすぐ楽しむなら蕾が色づき始めたガーデンマムやポットマムを選びます。ラベルの草丈と開花期を確認し、鉢向きの矮性か切り花向きの高性かを育てる目的で選びます。
日当たりと風通しの良い屋外が基本です。1日5時間以上の日照が花付きの条件で、日陰では茎が間延びして花数が減ります。生育適温は15-25°Cで、宿根草として耐寒性が強く、-5°C程度なら軽い霜よけで冬至芽が越冬します。真夏は西日を避けると株の消耗が減ります。最も注意したいのは夜の光で、キクは夜が12時間以上暗くなると花芽を作る短日植物のため、街灯やセンサーライト、室内の明かりが夜間に当たる場所では咲きません。失敗例として、玄関灯のそばの鉢が11月になっても蕾を付けないことがありますが、9月以降は夜だけ暗い場所へ移すか段ボールをかぶせれば、3-4週間で蕾が見え始めます。鉢植えなら夜間に移動できる置き場所を選ぶのが確実です。
土の表面が乾いたら鉢底から流れるまでたっぷり与えます。過湿を嫌うため、乾く前の水やりは根腐れと白さび病の誘因になります。春秋は2-3日に1回、夏の鉢植えは朝夕の1日1-2回、冬の冬至芽は週1回程度が目安です。水は株元に注ぎ、葉にかけると病気が広がりやすくなります。蕾が色づいてからの水切れは花が小さくなる原因なので、秋は特に鉢の乾きを毎日確認します。失敗例として、真夏の鉢植えを1日水切れさせて下葉が黄変し落ちることがありますが、株元にたっぷり水を与えて半日陰で2-3日休ませれば上部の葉は持ち直し、落ちた下葉の分は秋までに脇芽が補います。地植えは根付いた後は晴天が10日以上続いたときだけ与えます。
水はけと保肥力を兼ねた肥沃な土が向きます。市販の花用培養土をそのまま使えますが、自分で配合するなら赤玉土小粒5、腐葉土3、鹿沼土2にし、鉢底には鉢底石を2cm敷きます。庭植えは植え付け2週間前に苦土石灰を1平方メートルあたり100g混ぜ、1週間前に腐葉土と緩効性肥料を入れて高めの畝にします。同じ場所で続けて育てると連作障害が出るため、庭では2-3年ごとに場所を変えるか、鉢では毎年新しい土に植え替えます。株間は30cmが目安です。
春から初夏の摘心がこんもり満開への一本道です。苗の植え付け後、草丈15cmで1回目の摘心として先端を摘み、脇芽が15cm伸びるごとに2回目、3回目と繰り返し、最終の摘心は7月中旬までに終えます。それ以降に摘むと花芽が遅れ、開花が12月にずれ込みます。大輪を狙う場合は蕾が見えたら中心の1つを残して脇蕾を摘む摘蕾を行います。花後の11-12月は地際から10cmで刈り取り、冬至芽に日を当てます。失敗例として、8月に伸びすぎた枝を切って蕾が付かないことがありますが、切らずに支柱で支えれば秋には咲くので、翌年は7月中旬までに摘心を終えます。摘心で出た枝は挿し芽に使えます。
時期と道具を用意する
摘心は5月から7月中旬、花がら摘みは開花中、刈り取りは花後の11-12月です。清潔な園芸バサミを用意し、晴れた日の午前中に作業します。
草丈15cmで先端を摘む
草丈が15cmになったら茎の先端を指で摘み取ります。脇芽が伸びて15cmになるごとに繰り返し、最終の摘心は7月中旬までに終えます。
大輪を狙う株は摘蕾する
蕾が見えたら、枝先の中心の蕾を1つ残して周囲の脇蕾を摘みます。小輪をたくさん咲かせたい場合は摘蕾せずそのまま咲かせます。
咲き終わった花を切り取る
しおれた花は花首の下で切り取ります。花がらを残すと種づくりに体力を使い、灰色かび病の原因にもなります。
花後に刈り取り冬至芽を育てる
花が終わったら地際から10cmで刈り取り、株元の冬至芽に日を当てます。水は週1回程度にして屋外で越冬させ、4月に植え直します。
植え替えは4月に、冬至芽を株から切り離して植え直す株の更新として行います。古い株は連作障害と病気で年々花が減るため、親株ごとの植え替えより冬至芽の植え直しが確実です。鉢の場合は5号鉢に冬至芽1本を新しい培養土で植え、地植えは前年と違う場所に株間30cmで植えます。深植えは株元の腐敗を招くため、芽の付け根が土の表面に出る高さにします。失敗例として、親株を同じ土のまま3年育てて花が小さくなり白さび病が広がることがありますが、春に健全な冬至芽だけを新しい土に植え直せば、その年から花数が戻ります。植え付け後は日なたに置き、2週間後から月1回の緩効性肥料を始めます。
時期と道具を用意する
適期は4月です。5号鉢、花用培養土、鉢底石、清潔なハサミ、移植ゴテ、緩効性肥料を用意します。冬至芽が5-10cmに伸びた頃が目安です。
親株から冬至芽を切り離す
親株を掘り上げ、根の付いた冬至芽を1本ずつハサミで切り離します。病気のない太い芽を選び、古い親株は処分します。
鉢底石と新しい土を入れる
鉢底石を2cm敷き、新しい培養土を鉢の1/3まで入れます。古い土は連作障害と病気の元なので使い回しません。
芽の付け根を土の表面に出して植える
冬至芽を中央に置き、芽の付け根が土の表面に出る高さで土を足します。深植えは株元の腐敗を招きます。地植えは株間30cmにします。
水を与えて日なたで管理する
たっぷり水を与えて日なたに置きます。2週間後から月1回の緩効性肥料を始め、草丈15cmになったら1回目の摘心をします。
挿し芽が最も確実です。適期は5-6月で、摘心で出た枝先や春に伸びた新芽を5-8cmに切り、下葉を取って1時間ほど水揚げしてから、湿らせた挿し芽用土に3cm挿します。明るい日陰で土を乾かさないよう管理すると、20°C前後なら2-3週間で発根します。発根後は3号ポットに鉢上げし、草丈15cmで摘心を始めます。冬至芽を4月に切り離して植える株分けも同じく確実な方法です。失敗例として、蕾の付いた秋の枝を挿して発根せず枯らすことがありますが、秋の挿し芽は花に体力を使うため向かず、5-6月の花のない枝でやり直せば高確率で付きます。種からも育てられますが親と同じ花にならないため、品種を保つなら挿し芽か冬至芽で増やします。
時期と道具を用意する
挿し芽の適期は5-6月です。清潔なハサミ、挿し芽用土を入れた育苗トレーか3号ポット、水を入れたコップ、割り箸を用意します。
摘心で出た枝先を5-8cmに切る
花のない新芽の先端を5-8cmで切り、下葉を取って上の葉を2-3枚残します。切り口は清潔なハサミで斜めに切り直します。
1時間水揚げしてから挿す
切り口を1時間ほど水に浸けて水揚げし、割り箸で開けた穴に3cm挿して周囲の土を軽く押さえます。株間は5cmにします。
明るい日陰で乾かさず管理する
直射日光を避けた明るい日陰に置き、土の表面が乾いたら水を与えます。20°C前後なら2-3週間で発根し、新芽が動き始めます。
発根したら鉢上げして摘心を始める
新芽が伸びたら3号ポットに1本ずつ鉢上げし、日なたに移します。草丈15cmで1回目の摘心を行い、月1回の肥料を始めます。
白さび病とキクスイカミキリがキク特有の相手です。白さび病は葉裏に白から淡黄色のイボ状の斑点が出る病気で、多湿と株の老化で広がります。病葉を見つけ次第取り除き、風通しを確保し、多発する株は処分して健全な冬至芽や挿し芽から更新します。キクスイカミキリは5-6月に茎に傷を付けて産卵し、茎の先端が急にしおれて垂れます。しおれた部分の少し下で茎を切り、幼虫ごと処分すれば、切った下から脇芽が出て回復します。アブラムシは春の新芽に付くので早めに払い、ハダニは夏の乾燥時に葉裏へ発生するため葉水で予防します。失敗例として、白さび病を放置して株の下半分が枯れ上がることがありますが、病葉をすべて取り除き殺菌剤を1週間おきに2回散布すれば、上部は健全に開花します。
4月に冬至芽を新しい土に植え直して株を更新し、日なたに置きます。土が乾いたら水を与え、5月から月1回の緩効性肥料を始めます。草丈15cmで1回目の摘心をし、5-6月は挿し芽の適期です。新芽のアブラムシとキクスイカミキリの産卵に注意します。
摘心を7月中旬までに終えます。水は鉢なら朝夕、地植えは晴天が続いたときだけ株元に与え、肥料は月1回を続けます。西日を避けた日なたで管理し、夜間の照明が当たらないか確認します。夏の乾燥によるハダニと、水切れによる下葉の黄変に注意します。
開花の本番です。蕾が色づいたら肥料を止め、水切れさせないよう鉢の乾きを毎日確認します。日当たりを確保し、夜は街灯などの光が当たらない場所に置きます。大輪を狙う株は摘蕾をします。秋雨の多湿で白さび病が広がりやすいので風通しを保ちます。
花後の11-12月に地際から10cmで刈り取り、株元の冬至芽に日を当てます。水は週1回程度、土が乾いてから与え、肥料は不要です。屋外の日なたで越冬し、-5°C以下になる地域は軽く腐葉土で霜よけをします。過湿による冬至芽の腐敗に注意します。
原因
キクスイカミキリの産卵です。5-6月に茎に傷を付けて卵を産み、幼虫が茎の中を食い下がります。
対策
しおれた部分の少し下で茎を切り、幼虫ごと処分します。早期に対処すれば株全体への影響は軽く、切った下から脇芽が伸びて回復します。
原因
白さび病。キク特有の重要病害で、多湿と株の老化で広がります。
対策
病葉を見つけ次第除去して処分し、風通しを確保します。多発する株は諦めて処分し、健康な冬至芽や挿し芽から株を更新するのが確実です。
原因
夜間に街灯や室内の明かりが当たっている、または7月中旬以降に摘心した影響です。
対策
9月以降は夜だけ暗い場所へ移すか段ボールをかぶせると3-4週間で蕾が見えます。摘心は翌年から7月中旬までに終えます。
原因
同じ土や場所で育て続けた連作障害と株の老化です。
対策
4月に健全な冬至芽だけを切り離し、新しい土か前年と違う場所に植え直します。親株は処分します。その年から花数と大きさが戻ります。
原因
日照不足による徒長、摘心不足、または夏の水切れです。
対策
日当たりの良い場所へ移し、支柱を立てて支えます。黄変した下葉は取り除き、翌年は草丈15cmから2-3回摘心して低く仕立てます。
ここにない症状は症状から調べるで、葉の色・しおれ・虫・病気などから逆引きできます。
キクの花言葉は「高貴」「高潔」「真の愛」です。皇室の紋章に用いられ、平安時代から不老長寿の象徴として重陽の節句で菊酒が飲まれた歴史に由来します。色別では赤が「あなたを愛しています」、白が「真実」、黄が「破れた恋」とされ、贈り物には赤やピンクが選ばれます。
キクは「長寿と厄除けの花」とされ、玄関や東側に飾ると家族の健康運を高めるといわれます。重陽の節句にキクの花を浮かべた酒で無病息災を願った風習が由来で、陰の気が強まる秋に陽の気を補う花とされました。黄色いキクは金運、白いキクは浄化の意味を持つとされます。
本当です。まず夜の明るさを疑ってください。キクは夜が12時間以上暗くなると花芽を作る短日植物で、外灯やセンサーライト、カーテン越しの室内光が夜間に当たっていればそれが原因です。鉢なら夜だけ暗い場所へ移すと3-4週間で蕾が見え始めます。次に疑うのは数年同じ場所で育てた株の老化で、春の挿し芽や冬至芽の植え直しで若返らせます。7月中旬以降の摘心も花芽を遅らせる一因です。
摘心のリズムがすべてです。苗の植え付け後、草丈15cmで1回目の摘心をし、脇芽が15cm伸びるごとに2回目、3回目と繰り返し、最終は7月中旬までに終えます。あとは放任で秋を待てば、1本の苗が数十輪のドームになります。市販のガーデンマムはこの仕立てが済んだ状態で売られているので、初年は買った株で楽しみ、翌年から自分の摘心で再現するのが上達の近道です。肥料は蕾が色づくまで月1回を続けます。
冬至芽は花後の11-12月に株元から出る新芽で、翌年の株になる大切な芽です。花が終わったら地際から10cmで刈り取り、冬至芽に日が当たるようにして屋外で越冬させます。水は週1回程度で過湿を避け、-5°C以下になる地域は腐葉土で軽く霜よけをします。4月に親株から冬至芽を切り離し、新しい土に1本ずつ植え直すと、病気を持ち越さず若い株で秋を迎えられます。親株は処分して構いません。
5-6月に起こるならキクスイカミキリの産卵がほぼ確実です。成虫が茎に傷を付けて卵を産み、幼虫が茎の中を食い下がるため、傷より上がしおれます。しおれた部分の少し下で茎を切り、幼虫ごと処分してください。早期に対処すれば株全体への影響は軽く、切った下から脇芽が伸びて回復します。摘心と同じ効果になるので、その後の仕立てに組み込めます。予防は5-6月の見回りで、産卵痕のある茎を早めに切ることです。
キクの季節の作業や、土・鉢・肥料の選び方をくわしく解説した記事です。
10月の作業と、キクの手入れで迷ったときに役立つページです。
執筆: Hapot編集部
植物を迎えたばかりの人が枯らさずに育てられるように、植物図鑑と症状別の記事を編集しているチームです。農林水産省や農研機構など公的機関の栽培指針を確認したうえで、温度や頻度を数値で示し、迷いやすい判断は結論から書くことを大切にしています。誤りや古くなった情報はお問い合わせから受け付け、確認のうえ更新しています。