苗・株の選び方
苗(切り苗)は葉が4〜5枚付き、茎が太くしおれの少ない束を。品種はしっとり甘い「紅はるか」、ホクホク系「紅あずま」、ねっとり最強の「安納芋」が三大人気。焼き芋の好みで選ぶのが一番楽しい選び方です。
Hapot編集部より
サツマイモは、「痩せ地ほどよく採れる」という家庭菜園の常識破りな主食級作物です。肥料が多いと「つるボケ」で葉ばかり茂りイモが付かない——つまり土づくりも追肥もほぼ不要で、5月に苗(つる)を挿したら10月の収穫まで基本ほったらかし。芋掘りの瞬間の「ごろごろ出てくる」高揚感は、大人も子どもも関係なく盛り上がります。プランターでも深型+袋栽培で十分可能。そして自家栽培の真価は収穫後:2週間以上の「追熟(キュアリング的貯蔵)」で甘さが劇的に増すことを知れば、掘りたてを食べて「甘くない」と嘆く失敗とも無縁です。手間をかけない勇気が試される、逆説の人気者です。
水やり
植え付け直後のみ毎日。活着後はほぼ雨任せ
日光
直射日光
適温
20-35°C(暑さに強い。霜は厳禁)
湿度
40-60%
土
痩せた水はけの良い土(肥料NG)
肥料
基本不要(前作の残肥で十分。チッソはつるボケの元)
成長速度
旺盛(つるは数mに伸びる)
毒性
食用。葉・茎も食べられる
苗(切り苗)は葉が4〜5枚付き、茎が太くしおれの少ない束を。品種はしっとり甘い「紅はるか」、ホクホク系「紅あずま」、ねっとり最強の「安納芋」が三大人気。焼き芋の好みで選ぶのが一番楽しい選び方です。
日当たりの良い場所で育てます。つるが数mに伸びて地面を覆うため、広がる余地のある場所か、あんどん支柱・フェンスに這わせる「空中栽培」で省スペース化を。プランターは深さ30cm以上の深型か、土のう袋・不織布ポットの「袋栽培」が手軽で収量も安定します。連作障害は出にくい方ですが、ネコブセンチュウ対策として同じ場所は1〜2年空けると安心です。
植え付け直後の1週間だけは、苗(つる)が根付くまで毎日水やりを。活着後は基本的に雨任せでよく、乾燥に非常に強い作物です。むしろ水と肥料が多い環境はつるボケの元。プランター・袋栽培のみ、真夏に土がカラカラになったら与える程度で十分です。収穫前の1〜2週間は水を控えると、甘みが乗って貯蔵性も上がります。
「肥えていない土」が最高の準備です。前作の野菜の残肥だけで十分すぎるほどで、堆肥・元肥は原則不要(極端な痩せ地なら草木灰やカリ分のみ少量)。水はけの良い高畝(高さ30cm)を立てるのがイモの肥大と形の良さにつながります。黒マルチを張ると地温確保・雑草抑制・つる返しの手間減と三拍子。プランターは肥料の少ない土(古土の再利用も好適)でOKという、リサイクル精神と相性の良い作物です。
夏の名物作業が「つる返し」です。地面を這うつるは節から根を下ろし、そこに小さなイモを作って栄養を分散させてしまうため、月1〜2回、つるを持ち上げて根を剥がし、裏返して畝に載せ直します。これだけで株元のイモに栄養が集中し、収量とサイズが変わります。葉が茂りすぎた場合のつる先の摘心も可(摘んだ葉柄はきんぴらに)。空中栽培なら、つるが地面に触れないためつる返し自体が不要になります。
苗は「切り苗(つる苗)」を5月〜6月上旬に植え付けます。ポット苗ではなく、葉付きのつるを購入し、節を3〜4節、土に横たえて埋める「船底植え」か「斜め植え」が標準(埋めた節からイモが付きます)。植え付け後数日は葉がしおれますが、節から発根すれば復活するので水だけ与えて見守りを。収穫は10月〜11月上旬、霜が降りる前に必ず掘り上げます(イモは寒さに弱く、霜後は貯蔵性が急落します)。
春に苗づくりから挑戦もできます:3月に保存イモを温かい場所(25〜30°C)で伏せ込むと芽が伸び、25cmほどに育ったつるを切って苗にします(1個のイモから数十本)。ただし温度管理が必要なため、初心者は5月に市販の切り苗を買うのが確実。収穫後の小イモを来春の種イモに残せば、自家循環も可能です。
地上部はコガネムシ(成虫が葉を食害)、ハスモンヨトウ・エビガラスズメの幼虫(葉を大量に食べる)が主で、見つけ次第捕殺すれば大勢に影響なし。問題は地下:コガネムシ幼虫とハリガネムシ、ネコブセンチュウがイモの表面を傷つけます。対策は①連作を避ける、②未熟な堆肥を入れない(幼虫を呼びます)、③被害が続く畑は対抗植物(マリーゴールド)の輪作。基腐病など病害は健全な種苗の購入でほぼ回避できます。
5月に切り苗を植え付け(船底植え)。活着までの水やりだけ丁寧に。
つる返し月1〜2回。あとは繁茂を見守るだけ。
10月に試し掘り→本収穫。晴天が続いた日に掘ると貯蔵性◎。
収穫イモは新聞紙に包み13〜15°Cで貯蔵。2週間の追熟で甘さ本番。
原因
コガネムシ幼虫・ハリガネムシの地中での食害。
対策
被害部を切り取れば食べられます。次作は未熟堆肥を入れない(幼虫を呼ぶ)・連作を避ける・マリーゴールドの輪作で土中環境を改善します。
原因
低温障害(冷蔵庫や寒い場所はNG)か、収穫時の傷からの腐敗。
対策
貯蔵は13〜15°Cの冷暗所で、新聞紙に包んで。掘るときはイモを傷つけないよう株元から離してスコップを入れ、傷イモは貯蔵せず先に食べるのが鉄則です。
サツマイモの花言葉は「乙女の純情」。アサガオに似た淡いピンクの花(日本では稀に咲く)に由来します。
土の中で育つイモは「蓄財」の象徴。秋の芋掘りは家族の実りの行事として、豊かさを呼ぶとされます。
典型的な「つるボケ」です。原因は①肥料過多(特にチッソ。前作の残肥が多い場所や堆肥入りの土)、②つる返しをせず栄養が分散した、③日照不足、の順で疑います。対策は来季:肥料を一切入れない・高畝にする・月1〜2回のつる返しを守る、で見違えます。今季の株も、霜までまだ時間があれば肥大が進むことがあるため、収穫を焦らず10月下旬まで待つのも手です。
正常です。サツマイモの甘さは「貯蔵中にデンプンが糖に変わる」ことで完成します。掘りたては甘さ半分と心得て、①土付きのまま半日干す、②新聞紙に包んで段ボールへ、③13〜15°Cの冷暗所(冷蔵庫はNG:低温障害で傷みます)で最低2週間、できれば1か月追熟させてください。紅はるか・安納芋は1〜2か月でねっとり甘さの本領を発揮します。さらに調理は低温でじっくり(160〜170°Cのオーブンで90分など)が糖化酵素を最大限働かせるコツです。