苗・株の選び方
苗は4〜6月に流通する根茎付きのポット苗を選びます。まず温帯性か熱帯性かのラベル表記を必ず確認しましょう。屋外で越冬させたいなら温帯性、青や紫の花が欲しいなら熱帯性です。良い苗は新芽(成長点)がしっかりと膨らみ、すでに小さな浮き葉が2〜3枚展開しているもの。根茎がぐらつくものや、葉が黄ばんで溶けかけているものは避けます。スイレン鉢で育てるなら「姫スイレン」など小型品種を選ぶと水深10〜20cmで管理でき、失敗が少なくなります。
Hapot編集部より
睡蓮(Nymphaea)は、水面に丸い葉を浮かべ、5〜10月にかけて気品ある花を咲かせるスイレン科の水生多年草です。モネの連作絵画「睡蓮」で世界的に知られ、庭池やスイレン鉢で楽しむウォーターガーデニングの主役として憧れの存在です。原産地は世界の熱帯〜温帯の湿地に広く分布し、耐寒性のある温帯性スイレンと、青や紫の花色が魅力の熱帯性スイレンに大別されます。日本の気候では屋外で越冬できる温帯性が育てやすく、栽培難易度は中級程度。1日6時間以上の日照さえ確保できれば、直径40cm以上のスイレン鉢で毎年花を咲かせられます。メダカやミナミヌマエビとの相性も良く、ベランダビオトープの中心としても人気が高まっています。

水やり
常時水を張る(水深15-30cm)。水が減ったら足す
日光
直射日光
適温
5-35°C(温帯性は屋外越冬可能)
湿度
水生のため不要
土
田んぼの土または赤玉土(小粒)。肥料を混ぜ込んだ粘土質の土
肥料
春〜秋に月1回、水生植物用の固形肥料を土に押し込む
成長速度
中
毒性
なし
苗は4〜6月に流通する根茎付きのポット苗を選びます。まず温帯性か熱帯性かのラベル表記を必ず確認しましょう。屋外で越冬させたいなら温帯性、青や紫の花が欲しいなら熱帯性です。良い苗は新芽(成長点)がしっかりと膨らみ、すでに小さな浮き葉が2〜3枚展開しているもの。根茎がぐらつくものや、葉が黄ばんで溶けかけているものは避けます。スイレン鉢で育てるなら「姫スイレン」など小型品種を選ぶと水深10〜20cmで管理でき、失敗が少なくなります。
1日6時間以上日の当たる場所が開花の絶対条件です。睡蓮の花は日光で開き、日照不足では葉ばかり茂って花が咲きません。ビオトープや睡蓮鉢は、ベランダ・庭で最も日当たりの良い場所に設置してください。温帯性スイレンは屋外で越冬できる丈夫さで初心者向き、熱帯性スイレンは花色が豊富で香りも楽しめますが冬は室内保護が必要です。水温が上がりすぎる真夏は、鉢の周囲だけ簾で日陰を作ると水の傷みを抑えられます(水面への日照は確保)。
水やりならぬ「水管理」が睡蓮の世話です。基本は蒸発した分の足し水を:夏は毎日〜2日に1回、水位を一定に保ちます。水温と水質の急変を避けるため、足し水は一度に大量に入れ替えず、汲み置きした水を少しずつが理想です。水が緑に濁る(アオコ)場合は日照過多と養分過多のサインで、1/3ずつの部分換水で対応を。メダカやタニシを同居させると、ボウフラ防止と水質安定に役立ち、ビオトープとしての楽しみも広がります。
花がら摘みと古葉取りが日常の手入れです。咲き終わった花は水中で腐って水質悪化の原因になるため、茎の根元から引き抜くように取り除きます。黄変した古い葉も同様に。葉が水面を覆い尽くすほど茂ったら、古い葉から間引いて水面の1/3が空くようにすると、水中に光が入り、株の生育と水質の両方が改善します。この「水面の余白づくり」が花付きを良くする隠れたコツです。
毎年1回、3〜4月の植え替えが開花の最重要条件です。睡蓮は根茎が肥大して1年で鉢の中が根詰まりになり、放置すると翌年ほぼ咲きません。手順は、根茎を掘り上げて新芽の付いた先端10cmほどを残して古い部分を切り捨て、田土(荒木田土)に元肥(マグァンプ大粒など)を混ぜて植え直します。成長期の5〜8月には月1回の追肥(睡蓮用の錠剤肥料を土に押し込む)も忘れずに。「毎年の植え替え+追肥」で見違えるほど咲くようになります。
株分けで増やせます。適期は植え替えと同じ3〜4月。掘り上げた根茎に複数の新芽があれば、芽ごとにナイフで切り分けて別々の鉢に植えるだけです。切り口は腐敗防止に半日ほど乾かしてから植えると安心。温帯性スイレンはこの株分けが基本で、熱帯性スイレンは葉の付け根に子株ができる「ムカゴ種」なら子株を外して増やせます。種からの繁殖も可能ですが開花まで年数がかかるため、株分けが実用的です。
アブラムシとスイレンハムシ(葉を食害する小さな甲虫)が主な害虫です。水面の植物には薬剤が使いにくい(メダカ等に有害)ため、アブラムシはホースの水流で吹き飛ばして水面に落とし、メダカの餌に。ハムシの幼虫が付いた葉は葉ごと切り取ります。病気では葉が黒ずむ褐斑病があり、発症葉の除去と、混みすぎた葉の間引きで風通し(水面の空き)を確保して予防します。水質悪化はすべてのトラブルの温床なので、こまめな花がら・枯れ葉の除去が一番の防除です。
4-5月が植え付けの適期。根茎を斜めに植え、成長点が土の上に出るように。肥料を施す。
花の最盛期。花がらは水中に落とさないよう摘み取ります。月1回固形肥料を土に押し込む。
花が終わり、葉が黄色くなり始めます。肥料を停止。
温帯性は水を張ったまま屋外で越冬可能。鉢が凍らないよう深さを確保するか、発泡スチロールで保温。
原因
日光不足(6時間未満)
対策
1日6時間以上直射日光が当たる場所に移動
原因
肥料過多(窒素が多い)
対策
肥料を控え、リン酸主体の肥料に切り替え
原因
アオコの発生
対策
直射日光を遮る浮草を入れるか、水を換える
睡蓮の花言葉は「清純な心」「信頼」「信仰」です。泥の中から茎を伸ばし、水面で汚れのない清らかな花を開く姿が由来とされます。朝に開き午後には閉じる開閉を3〜4日繰り返す性質から、眠る蓮=「睡蓮」の名が付きました。古代エジプトでは太陽の再生の象徴として神聖視され、ギリシャ神話のニンフ(水の精)が学名Nymphaeaの語源になっています。
風水において水辺に咲く睡蓮は「財運と浄化」を象徴する縁起の良い花とされます。きれいな水を保ったスイレン鉢は良い気をため込む「財の器」と考えられ、特に庭やベランダの東〜南東に置くと発展運・金運に良いといわれます。仏教では極楽浄土に咲く花として神聖視され、お盆や仏事の花としても親しまれてきました。一方、水が濁ったり腐ったりすると悪い気がたまるとされるため、枯れ葉や花がらをこまめに取り除き、清潔な水を保つことが開運の条件です。メダカを泳がせると水が動き、気の停滞を防ぐともいわれます。
最も分かりやすい違いは葉と花の位置です。睡蓮は葉に切れ込みがあり、葉も花も水面に浮かぶように咲きます。一方ハスは葉に切れ込みがなく水を弾き、葉も花も水面から高く立ち上がります。植物としても睡蓮はスイレン科、ハスはハス科で別のグループです。また、ハスは花後に蜂の巣状の花托ができてレンコン(地下茎)が食用になりますが、睡蓮は観賞専用です。スイレン鉢など小さい容器で育てやすいのは、根の張りが比較的浅い睡蓮のほうです。
相性は抜群で、ビオトープの定番の組み合わせです。メダカはボウフラ(蚊の幼虫)を食べてくれるため、夏の蚊の発生源対策になります。睡蓮の葉はメダカの隠れ家や産卵場所、夏の日除けにもなります。注意点は3つあります。植え付け直後の肥料や土の濁りが落ち着く1〜2週間後にメダカを入れること、農薬を使用しないこと、水深15cm以上を確保して夏の水温上昇(35°C以上)を避けることです。エビ(ミナミヌマエビ)を加えるとコケ取り役として水質維持に役立ちます。
温帯性は耐寒性があり日本全国で屋外越冬が可能で、花色は白・ピンク・赤・黄が中心、水面に浮かぶように咲きます。熱帯性は青・紫など温帯性にない花色や香りが魅力で、花が水面から10〜30cm立ち上がって咲き、夜咲き品種もあります。ただし熱帯性は水温10°C以下で枯死の恐れがあるため、冬は球根を掘り上げて湿らせた砂に埋め、10°C以上の室内で貯蔵する手間がかかります。初心者はまず温帯性から始め、慣れたら熱帯性に挑戦するのがおすすめです。
全量の水換えは基本的に不要で、蒸発した分を足し水するのが基本です。メダカや微生物がいる鉢では、頻繁な全換水はかえって環境を不安定にします。足し水は夏なら2〜3日に1回、カルキ抜きした水か汲み置きの水道水で行います。水が白く濁る・臭うなど水質悪化のサインが出たら、3分の1程度を部分的に換えましょう。緑色の濁り(アオコ)は富栄養化が原因なので、肥料を控え、枯れ葉や花がらをこまめに取り除くことが根本対策になります。
直射日光が1日6時間以上当たる南〜東向きのベランダなら十分育てられます。直径40cm・深さ25cm程度のスイレン鉢に姫スイレンを植えるのが省スペースで現実的です。注意点は重量で、水を張った睡蓮鉢は40〜60kgになるため、排水溝の近くなど構造的に強い場所に置き、避難経路をふさがないようにします。コンクリート床は夏に高温になるので、すのこやレンガで底上げすると水温上昇を防げます。日照が4時間程度しか取れない場合、花数は減りますが姫スイレンなら開花の可能性があります。
熱帯性は水温が10°Cを下回ると枯死する恐れがあるため、屋外放置では越冬できません。11月頃、葉が枯れてきたら株を掘り上げ、根茎の付け根にできた球根を探します。球根を湿らせた川砂やバーミキュライトに埋め、ビニール袋で乾燥を防いで10〜15°Cの室内(玄関など)で春まで貯蔵します。4月下旬〜5月、水温が15°Cを超えたら浅い水に植えて発芽させ、本格的に植え付けます。掘り上げが面倒な場合は、鉢ごと室内の水槽に沈めてヒーターで15°C以上を保つ方法もあります。